衛宮士郎に憧れた男   作:黒幕系神父

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国を滅びから救いたい。
起こった悲劇をなかったことにしたい。
その結果、自分という人物が消えようとも…。
そんな願いを掲げた少女は、結局マスターの信頼を勝ち取ることなく敗北した。


5話「夢に見ていたあの日の影に」

様子がおかしい。

 

何故か戸惑ったような。まるであり得ないものを見るような顔で少女はこちらを見ていた。

 

 

 

「あなたは…」

 

そんな彼女の瞳は昔の知り合いにあったかのような、親愛に満ちた瞳だった。

 

 

「そう。そういうことですか。わかりました。」

 

 

何をだ。何を理解したんだ。

 

間違いない、彼女は俺を知っている。

 

2度目の召喚が本来あり得ないんだ。なんらかの不具合が彼女に起こったのかもしれない。

 

 

本来の歴史を辿ったセイバー、とかか?わからない、が可能性はある。この世界はどんなこともあり得る。

最もあり得ない存在である自分がいる以上、何が起こるかわからない。

 

 

 

可能性としたらUBWルートかHFルートだろうか?

 

セイバールートは本来ならあり得ない。そのルートの彼女は理想郷へと向かったからだ。英霊にはならない。

ただ…セイバールートは3種類ある。原作版、漫画版、アニメ版。

基本は同じであるが流れが違う。特に漫画、アニメ版は理想郷に向かったという記述はない。

可能性こそ低いがセイバールートであることも視野にいれるべきか。

 

 

 

もしくは自分と同じ転生者か?

 

可能性が一番高いだろう。自分という転生者がいるのだ。それを縁として転生者であるアルトリア・ペンドラゴンが現れてもおかしくない。

 

 

まあ結局はよくわからない。が…どうでもいいか。彼女の実力はその風格から本物とわかる。

そんな事は後で確認すればいい話だ。

それよりも問題は今からだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――結局イリヤは帰っていった。

 

まるで憎むような、恨むような眼でセイバーを見た後、

 

「ふん!泥棒ネコが沸いてるわね…。まあいいわ、帰る。」

 

「またねお兄ちゃん。次はそいつもろとも確実に殺すから。」

 

そんなイリヤの態度に、セイバーは何も言わなかったけれど。

彼女は怨敵をにらむような眼で、呪い殺すかのような眼で。そうして、去っていくイリヤを見送っていた。

 

こうして、俺の聖杯戦争初めての戦いは終わったのだ。

 

 

 

 

 

 

セイバーとはまだ何も話をしていない。

彼女は俺の原点だ。俺が正義の味方を目指すこととなったきっかけ。

一方的な情もある。でも、彼女はサーヴァント、いずれ消える。

そんな報われない恋をしたところで意味はない。その結果正義の味方をやめる、なんてことになったらどうしようもない。俺は衛宮士郎なのだから。可能性がある以上彼女との接点は最低限にしておきたい。

 

だから機械的に彼女と意思疎通をしなければならない。

 

でないとどうしようもなく惹かれてしまうある種の自信がある。

 

 

 

そんな、俺の情景は正義の味方になるためには、ふさいでおく。

 

 

今は、それよりも重要なことがある。

 

 

桜を救う。

 

そうだ。それが俺の本来の目的。

 

そのためにはキャスターの宝具、ルールブレイカーが必要である。

短剣の形をしたその宝具は魔術的な縛り・契約を解除できる能力を持つ。

人外の力を持つサーヴァントを唯一強制的に支配することが出来るマスターの権限・令呪すらも無効にできる。

 

どころかサーヴァントのマスター権すら解除できるインチキきわまりない武器だ。

 

 

 

桜は外道の魔術師によって虫による肉体改造が施されている。彼女をその魔術師から助けるためにはまずは体内の虫を駆除しなければならない。

やっかいなことに、その虫は醜悪な呪いの虫だ。消し飛ばしても呪詛を残されたら桜は救えない。

桜を救うためには、虫を臓器ごと消し飛ばし、ルールブレイカーで呪詛を完全に取り除いた後アヴァロンを埋め込んで救命させる。

今俺に残された唯一の方法。

 

 

原作でアヴァロンは最大級の呪いであるこの世全ての悪(アンリ・マユ)を弾き飛ばしている。ゆえに呪いにも有効だが…相手は醜悪な虫を体内に埋め込む外道。何かがあったとしても遅い。ルールブレイカーを使い万全を期す。

 

 

セイバーが召喚されたことで鞘は本来の力を取り戻している。

未だ発動はしていないが、彼女の魔力を注がれたら、俺は無限の再生能力を得るだろう。

その再生能力は桜を救う鍵となる。

 

 

俺の計画に支障はない。

 

 

 

とはいえ、

 

エミヤの中の無限の剣製内部にはルールブレイカーは存在しなかった。

短剣だからだろうか。

それともエミヤはルールブレイカーを知らないのか?

無限の剣製の性質上短剣だからといって内部にないということはあり得ないはずだが、そもそもアレは剣のうちに入るのだろうか。よくわからない。

 

それに、メジャーどころの干将・莫耶やカラドボルグを見ることは出来たが、投擲武器に対して無敵の概念を持つ防御型宝具である熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)を見ることはなかった。

 

これに関しては、元々問題ない。

宝具の投影すらまともに出来るとは思えない俺が剣ではない。盾の宝具を見たとしても投影できる気がしないからだ。

 

そう、宝具の投影。あの時、何故か出来たカリバーンの投影。あれは奇跡だったか。もう一度しろといわれて、決して出来るとは思えなかった。何故出来たのか、疑問に尽きる。

 

俺は投影についてもっと知らなければならないということか。

とはいえ、だ。

 

それを今夜からしなければならない、そういうわけではない。

ヘラクレスは今夜もう襲ってはこないだろう。だから無理することはない。

 

最大の障壁を気にしなくて良い今、聖杯戦争の鍵を握るであろうキャスターの宝具をひと目見る。それが今夜の俺の目的。

 

見さえすれば、後で俺が投影の技術を上げた後ルールブレイカーを投影すればいい。今宝具の投影が出来なくても問題はない。

 

 

キャスターとそのマスター。そして俺の友である一成の住まう場所。柳洞寺。

いるかはわからない。まだキャスターはマスターと出会ってないかもしれない。

けれど、もしキャスターがいて、アサシンがまだ召喚されていなかったら?

 

最大の好機だ。可能性はある。

 

 

念のために慎二も呼んでおくか。

 

 

 

――――だけどその前に、

 

不機嫌そうにこちらに説明を求めているセイバーを説得しなくちゃいけないな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっははははは!さすが我!」

今日も今日とてギルギルマシーンの調子は最高だ!宝具として昇華したこのマシーンは文字通り格が違う。レースにおいても我はやはり王であった。

今回の相手はなかなかに良いものであった。まあそれでも勝つのは我であるが!

 

 

と、はて。なんらかの気配が…これは…!

我の嫁であるセイバー!セイバーではないか!

 

近くに不可思議な魂がいるが…まあ雑種だろう。薄汚い色をしている。

 

 

 

それよりもセイバーだ!ふっはっは!今行くぞ!吹き荒れろギルギルマシーンよ!

 

 

 

 

真夜中、爆音でバイクを走らせる黄金がそこにいた。

 

 

 

 

 




複線&説明回、ゆえに短い。実は結構重要回。


UBWアニメ版も原作とは少し違いますが大体が同じですので書きませんでした。
漫画・アニメ版セイバールートはUBW要素を追加しているので原作とかなり違います。


転生者(憑依者)はオリ主以外いません。

独自解釈
ロー・アイアス:士郎(偽)はローアイアスを仮に見たとしても投影できません。
衛宮士郎の投影は無限の剣製内部に貯蔵された剣を現実に持ってくることで投影を可能とします。そして無限の剣製には剣しか存在しないためローアイアスは存在しません。
となればロー・アイアスは無限の剣製による支援なしで投影しなくてはいけません。エミヤのように極まったのならいざしらず、流石に士郎(偽)にそのようなぶっ飛んだ投影はできません。

え?原作の衛宮士郎は出来ていた?主人公補正でしょう(すっとぼけ)
え?無限の剣製内部にはクーフーリンの槍がある?剣じゃない?

気にするな!


ルールブレイカー:これ単体では桜を救うことは不可能。虫を消してからではないと無理とした。
ぶっちゃけていうとチートすぎるために弱体化。物語が成立しねぇ。


ギルギルマシーン:AUOのバイク。金色に輝く10年間の結晶。今作においては宝具として昇華している。乗っている間騎乗スキルを付与。誰でも乗りこなすことが出来る。
物語で結構重要な役割がある模様。
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