意識を失った杏子を運んでいると、前方から未来が歩いて来た。
鈴音「今から会場へ?」
未来「少し化粧室には寄って行くけれどね。それよりも……」
私がおんぶしている杏子に、未来は視線を寄せた。
未来「中々の無茶をしてきたようね」
鈴音「うん……。迎えに来て良かったよ」
会場から出るまでに、倒れちゃうんじゃないかと心配だったもん。まぁ無事で良かったよ。
未来「とはいえ目を覚ますには時間が掛かるでしょうね」
鈴音「……やっぱり能力を酷使し続けたから?」
未来「能力の酷使でキャパシティーオーバーになり、脳にかなりのダメージを負っている……。杏子の回復力次第だけれど、下手すれば今日中には目が覚めないかも知れないわ」
鈴音「そんな……」
それじゃあ杏子は決勝戦終了を見届けられないって事!?
未来「あくまでも可能性に過ぎないのと、杏子の回復力によって変わってくるわ。どちらにせよ、仮眠室で休ませなさい」
仮眠室……。そういえば会場に行く前に、そんなのがあったね。
鈴音「でも病院じゃ駄目なの?」
未来「怜と杏子のケースはまるで違う……。病院だとどうにもならない可能性もあるわ。それに外的損傷もないしね」
鈴音「そっか……。ならそうしようかな」
未来がそう言うなら、間違いもないだろうしね。
未来「それと貴女も大将戦が始まるまで休んでおきなさい」
私も……?
未来「今日までで神経をすり減らしているみたいだし、決勝戦……という事もあって相手は強大よ?最高のパフォーマンスを見せる為にも万全の体力と精神で挑む必要があるわ」
成程……。未来の言う事も一理あるね。
鈴音「……わかったよ。杏子と一緒に休んでく」
未来「そうしなさい」
私が杏子と一緒に休む事を決めると、未来は会場へと歩を進める。
鈴音「私が言う必要ないのかも知れないけど、頑張ってね」
未来「なるようにしかならないわ」
相変わらずクールだ事。まぁそれでこそ、響未来……という人間なんだよね。
未来Side
鈴音と雑談を交わし、再び会場へと向かう。
未来「頑張ってね……か。私自身、いつも通り程々にやるわ。後半戦の南3局以外はね」
後半戦の南3局は、杏子が私に託したリザベーションがある。あの新道寺のWエースが有しているあの特殊な異能……。それを杏子は1局限りとはいえ、発動させたのよね。
未来(後半戦の南3局……。その時になると、本当にリザベーションが掛かっているのか……。興味深いわね)
それ以外は適度に流すとしましょうか。面子も窮屈な相手ばかりだし……ね。
今回はここまでです。
じかいよこく!
遂に始まる次鋒戦。窮屈だと評していた相手に未来はどのような麻雀を見せるのか……!?