生死を賭ける戦いから麻雀の世界に転生しました。   作:銅英雄

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久し振りの……というか今年最初の番外編。では今回もよろしくです。


旅行の巻①

美咲side

 

佐野美咲だよ!今日は3年生3人でGW後半に遊びに行くことになってるんだよ!本当は綾香ちゃんと杏子ちゃんも一緒だったらよかっただけど、2人共用事があるみたいなんだよね……。

 

未来「今年はどうするのかしら?」

 

鈴音「去年もそうだったけど、この行き当たりばったりな感じが私達のプチ旅行だよね」

 

鈴音ちゃんが言ったように去年もGW後半に急遽決まったんだよね。GW分の家の仕事はGW前には基本的に全部終わらせちゃってるから、一昨年の千里山との練習試合も、去年の旅行も、そして今年の阿知賀との練習試合も思いっきり楽しめたよ!

 

それから長期休暇のシーズンは時間を作って3人で旅行に行くんだよ。

 

未来「確か去年のGWに行ったのは長野だったわよね?」

 

鈴音「うん、龍門渕邸で麻雀したよね」

 

美咲「そうだね。衣ちゃん達強かったなぁ……」

 

龍門渕高校のレギュラー5人と打てて良い経験になったよね。特に鈴音ちゃんは凄かったよ!

 

その時の回想をお届けするよ!未来ちゃんが!!

 

 

 

美咲sideout

 

 

 

 

 

~回想~

 

未来side

 

なんで私が話さなければならないのかしら……。まぁいいわ。今から話すのは去年私達が龍門渕で麻雀した時の話よ。

 

私達が部室で練習しているときにそれは始まったわ。

 

美咲「3人で遊びに行こうよ!!」

 

鈴音「藪からスティックにどうしたの?」

 

美咲「私達ってあんまり3人で遊ぶことって殆どないと思ったんだよね。GWも明日含めてもあと3日あるし、旅行に行きたいなって!」

 

確かに私達3人で遊んだことって余りないわよね。強いて言うなら3人で麻雀してるくらいでしょうし。

 

それに今年は他校と練習試合をしてないし、羽を伸ばすのもありかもしれないわね。

 

未来「それで何処に行くのかしら?」

 

鈴音「おや?乗り気だね未来」

 

未来「たまにはいいのではないかしら。こういった思い出作りも大事だと思うわよ」

 

鈴音「……そうだね」

 

私と鈴音は卒業した後にこの場所からいなくなっているかもしれないけれど、なんの思い出もないのも味気ないからこれくらいはね。

 

鈴音「で?何処に行くんだっけ?」

 

美咲「それはこれから決めるよ!」ゴソゴソ

 

そう言いながら美咲が鞄から取り出したのは……。

 

鈴音「日本地図……?」

 

美咲「うん、これを壁に貼り付けてっと……」

 

未来「……ここからの展開を予想できる私は可笑しいのかしら」

 

鈴音「大丈夫だよ。私もなんとなく察したから……」

 

やっぱり鈴音もこの後の展開がわかるわよね……。美咲はというとやはりというか何処から出したのかダーツを構えていた。

 

美咲「そしてこのダーツを投げて……」

 

鈴音「そのダーツが刺さった所に遊びに行こうというわけだね」

 

美咲「えっ?なんでわかったの!?もしかして鈴音ちゃんエスパー!?」

 

鈴音「……その発言は美咲なりのボケとして受け取っておくよ」

 

こんな発言をしてる子とテストで学年1、2位を争っているのよね。私は……。というかダーツ未経験者がそれをやると私達の旅行先が水面になってしまうわよ?

 

美咲「という訳で……。えいっ!」ヒュッ

 

鈴音「おっ、とりあえず日本地図の範囲内には刺さったね」

 

美咲が投げたダーツの刺さった先は……。

 

未来「長野県ね」

 

美咲「じゃあ次はこれを使うよ!」

 

鈴音「これは……長野県の地図を印刷した紙?」

 

未来「日本地図とは別に用意していたのね」

 

美咲「全都道府県分あるよ!」

 

態々用意したのね。用意周到すぎるでしょう……。

 

美咲「えいっ!」ヒュッ

 

鈴音「またまた地図範囲内……。もしかして美咲ってダーツの経験者だったり?」

 

美咲「一応ね。お父さんが趣味でやってて、その影響で私もたまにやるんだよ!」

 

鈴音「へぇ……」

 

美咲の意外な特技を見たわね。なんとなくだけれど、ダーツって金持ちの道楽をイメージしてしまうからそれほど意外でもないのかしら?

 

ちなみにこの時点では美咲の家が名家だということは私は知っていて、鈴音は知らないわ。この小説に本編の『第22話』の回想……つまりこの回想から約1ヶ月後に鈴音は初めて美咲の家柄を知ることになるということよ。

 

美咲「ダーツが刺さったのは……っと。ここは……!」

 

鈴音「どうしたの?行ったことある場所だった?」

 

美咲「うん、ダーツが刺さった場所は毎年夏休み頃に家族で行ってる場所なの。そこにある龍門渕っていう家の人達と毎年色々話すんだよ」

 

未来「今その名前を出したってことは……私達の旅行先はその龍門渕って場所でいいのかしら?」

 

美咲「……そうだね。今から向こうに遊びに行けるか聞いてみるよ!」

 

そう言って美咲は電話をかけるために外へ出た。

 

鈴音「……ねえ未来、龍門渕ってあの龍門渕でいいんだよね?」

 

未来「ええ、恐らくね」

 

鈴音「ということはあの5人と麻雀を打つことになるのかぁ……」

 

未来「良い経験になるんじゃないかしら。自分の実力を底上げするチャンスだわ」

 

鈴音「それもそうだね」

 

そもそも最初の予定としては私達が3年生になってから原作キャラと関わるつもりだったけれど、それだけに1年の時に怜、竜華、セーラの3人と出会ったのは予想外だったもの。

 

美咲「おまたせ!透華ちゃんも是非遊びに来てほしいって!!」

 

透華……。龍門渕透華(りゅうもんぶちとうか)のことね。美咲のは家は龍門渕と家族ぐるみの繋がりがあるようね。

 

鈴音「決まりだね。じゃあ明日の朝9時に学校前に集合ってことでいいかな?」

 

美咲「意義なし!」

 

未来「問題ないわ」

 

こうして私達は龍門渕へと赴くことになったわ。

 

 

 

~そして~

 

とりあえず龍門渕邸までの道程は割愛よ。美咲の案内の元に私達は龍門渕邸に着いた。

 

美咲「着いたよ!」

 

鈴音(う~む、アニメとかで龍門渕家の凄さはわかっていたつもりだけど、生で見るとやっぱり凄い……)

 

鈴音は龍門渕邸を見て冷や汗をかいているみたいだけれど、美咲の家もこれくらいの大きさなのよね。まだ美咲の家に行ったことのない鈴音が美咲の家に行くとどんなリアクションを取るのかしらね。

 

美咲がインターホンを鳴らすと、執事と思われる男性と金髪の女性が出てきた。龍門渕透華とハギヨシさんね。

 

透華「ようこそ、龍門渕家へ!美咲さん」

 

美咲「透華ちゃん、久し振り!」

 

透華「美咲さんのお友達も。精一杯おもてなしさせていただきますわ。ハギヨシ!」パチンッ

 

ハギヨシ「畏まりました。皆様、此方へどうぞ」

 

鈴音「あ、ありがとうございます……」

 

未来「ありがとうございます」

 

鈴音の方は顔から緊張の色が見えるわね。前いた世界では豪邸に赴く経験がなかったのかしら?

 

 

~そして~

 

ハギヨシさんに案内された客室にて私達は寛いでいる。

 

鈴音「いやー、執事とか生で見るのは初めてだからつい萎縮しちゃったよ」

 

……そういうことね。図太い鈴音が珍しいと思ったのよね。

 

鈴音「……ねえ未来、今なんか失礼なことを考えなかった?」

 

未来「気のせいよ」シレッ

 

透華「おまたせしました!それでは今から何をしましょうか!?」

 

龍門渕透華の質問に対して間髪入れずに美咲が答える。

 

美咲「麻雀!麻雀しようよ!!」

 

透華「麻雀……ですか?」

 

美咲「うん、こう見えても私達麻雀部なんだ!透華ちゃんも確か麻雀やってたよね?丁度ここに自動卓もあるし打とうよ!」

 

透華「美咲さん達は麻雀部でしたのね……。でしたら私の方からゲストを呼びますので、その方と私が交代で入って打ってもらいます」

 

美咲「ゲスト?」

 

透華「今から呼びに行ってきますわ」スタスタ

 

そう言って龍門渕透華は客室を出た。

 

鈴音(未来、ゲストってもしかして……)

 

未来(麻雀においてのゲスト……。十中八九あの子達でしょうね)

 

龍門渕高校の大将の天江衣(あまえころも)に加えて龍門渕高校麻雀部の面子といったところかしら。

 

 

~そして~

 

やはり龍門渕高校の面子が来たわね。天江衣はいないみたいだけれど……。

 

透華「……本来ならあと1人呼ぶ予定でしたが、まぁいいでしょう。おまたせしました。それでは自己紹介タイムですわ!!」

 

私達と龍門渕高校の面子の自己紹介は割愛。これは本編ではないのだから。

 

それから私達は交代で麻雀を打ち続け、気が付けば夜になっていた。

 

美咲「う~ん、打った打った!」

 

一「皆強いですね……」

 

智紀「まるで歯が立たない……」

 

鈴音「いやいや、私達に明確な差なんてないと思うよ。勝負は時の運だし、誰が勝っても可笑しくなかったしね」

 

純「いや、俺にはわかるね。まだ3人共全力じゃねえってことがよ」

 

美咲「純ちゃんってそんなことがわかるの?」

 

純「ああ、特に大宮さん。あんたは別格だぜ」

 

鈴音「そうかな?私からすれば未来の方が強いと思うけど……」

 

未来「いえ、彼女の言ってることは正しいわよ」

 

実際私も段々鈴音に勝てなくなっている訳だし。本当に自信が失くなってくるわね。

 

透華「……お出ましですわね」

 

???「トーカ、この者達は……?」

 

透華「佐野美咲さん、響未来さん、大宮鈴音さん。総武高校麻雀部にして、貴女と渡り合えるかもしれない方々ですわ。……衣」

 

衣「ほう……?」

 

遂に来たわね。

 

衣「衣は天江衣だ……」

 

天江衣が名乗りの途中にも関わらず刹那といえる動きをした美咲が天江衣に抱き付いていた。

 

美咲「可愛いーっ!」ギュッ

 

衣「わっ!なんだおまえは!?はーなーせー!!」ジタバタ

 

……美咲は天江衣と面識がなかったのかしら。まぁあったらこんなことにはならないわよね。

 

鈴音「美咲、彼女を離してあげて」

 

衣「はーなーせー!!」ジタバタ

 

美咲「はぅぅ……。お持ち帰りー!!」

 

未来「それ違う人のネタじゃない……」

 

話が進まないので、強引に美咲を天江衣から引き剥がした。

 

 

 

 

~そして~

 

次の面子は私達3人と天江衣で打つことになったわ。

 

美咲「よろしくね、衣ちゃん!」

 

衣「ふん……」

 

未来「この2人大丈夫かしら?色々な意味で……」

 

鈴音「あはは……」

 

この麻雀の行方をダイジェストで少しずつ見せていくわ。

 

 

~そして~

 

美咲「ツモ!2000、4000!!」

 

鈴音「ふむ、相変わらず速いね」

 

未来「これでまた美咲がトップね」

 

高火力と速さが美咲の持ち味ね。2年時点の美咲がどこまで通用するか……。とても興味深いわね。

 

さて、これで第1ラウンド終了ね。そして……。

 

衣「……無聊を託つ。総武高校の3人は衣と渡り合えるかもしれないと聞いてウキウキしてたけど……」

 

鈴音「うん……?」

 

美咲「衣ちゃん……?」

 

衣「乏しいな、闕望した。そろそろ御戸開きといこうか」ゴッ

 

ここから第2ラウンド開始よ。

 

鈴音「御戸開きねぇ……」クスッ

 

衣「何が可笑しい?」

 

鈴音「いや、なんでもないよ。ねえ未来」

 

未来「何かしら?」

 

鈴音「今夜は確か満月だったよね?」

 

未来「そうね。綺麗な満月よ」

 

5月だけれど、月見がしたくなるような満月。そして……。

 

鈴音「天江さん、半荘1回にも満たない麻雀で私達を見定めたつもり?ならまだ早いよ。まだ……」

 

一(なに!?大宮さんから感じるこれは……?)

 

純(こりゃもしかすると……)

 

智紀(衣と同等の存在になりうるかも……)

 

鈴音「まだこの麻雀は始まったばかりなんだから……」

 

大宮鈴音も満月の夜に力を発揮する人間なのだから……!

 

未来(はぁ……。こうなるとこの2人と打っている私達が2人の巻き添えをくらう形になるわね。でも……)

 

美咲「鈴音ちゃんも衣ちゃんもいよいよ本気を出すって感じだね!私も負けないよ!!」ゴッ

 

未来(美咲も鈴音と同じで強者に出会い、そして戦うことで力を発揮するタイプなのよね。被害者は私1人だけかしら……)

 

……更にここから白熱した麻雀が繰り広げられるのだけれど、割愛よ。これも作者が未熟なせいね。

 

 

 

~そして~

 

鈴音「さて、これでこの半荘は終わりだね」

 

美咲「あーっ!もうちょっとだったのに!!」

 

未来「今回は鈴音の勝ちね」

 

結果は鈴音がトップで、2位が私、そして天江衣、美咲の順番で全員僅差だった。

 

一「こ、衣が……」

 

智紀「負けた……」

 

透華「し、信じられませんわ……」

 

純「でもこれ現実だよな……」

 

龍門渕高校の面々は唖然とした表情で、そして天江衣は……。

 

衣「もう1回!もう1回だ!!」

 

まるで駄々っ子のようになっていた。身長も相まって本当の子供じゃない……。

 

鈴音「勿論。まだまだ夜は長いんだから」

 

美咲「私も打つーっ!未来ちゃんも一緒に打とうよ!!」

 

はぁ……。やはり1番の被害者は私ね……。

 

 

 

 

 

未来sideout

 

 

 

 

 

~現在~

 

美咲「振り返ると良い思い出だよね!」

 

未来「そうね。鈴音に至っては賭け狂っていたものね。見ていて思わず笑ってしまったわ」

 

失礼な。私はあんなに顔芸かましてないよ!

 

鈴音「話を戻そうよ。今年のGWに何処に行くかでしょ」

 

美咲「そうだね!じゃあこのダーツで……!」

 

未来「貴女も好きね……」

 

この旅行の巻は私達麻雀部が色々な場所に行き、色々な出会いをもたらす。そんな話である。




今回はここまでです。

キャラ紹介

佐野美咲……総武高校の3年生で麻雀部部員。今回の語り部その1。趣味という程ではないが、ダーツを嗜んでいる。テレビで見たダーツの旅に憧れている伏がある。この旅行の巻での行き先は全部ダーツで決める。

響未来……鈴音と一緒にある世界から転生してきた。総武高校の3年生で麻雀部副部長。今回の語り部その2。鈴音と衣、そして美咲の麻雀に巻き込まれつつも2位で終局。彼女もまた魔物と呼ばれる人物である。

大宮鈴音……ある世界から転生してきた主人公。総武高校の3年生で麻雀部部長。今回の語り部その3。前いた世界では満月によって変身する力を持っていた。この世界では変身せずに力だけが増加するというご都合を発揮する。要は主人公補正。あと賭けグルイ。

天江衣……龍門渕高校の1年生(回想内)で麻雀部部員。今回のゲスト。初対面で美咲に抱き付かれ、鈴音と未来には1度も麻雀で勝てないという悲劇が起きる。だがそのおかげで彼女は原作よりも強くなる。

龍門渕透華……龍門渕高校の1年生(回想内)で麻雀部部長。今回のゲスト。龍門渕家は佐野家と深い繋がりがあり、年に1度両家で様々な話し合いが行われているらしい。彼女も原作より強くなり、冷えると美咲でも苦戦する。



他の龍門渕高校の方々の紹介は諸事情によりカットします。あと衣の口調難しすぎっしょ……。

鈴音の満月での力増加については本編で解説します。

ではまた次回でお会いしましょー!

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