杏子side
~東2局 ドラ 8萬 親 妹尾杏子~
東1局は松実さんが倍満をツモ和了りすることで片岡さんの連荘を止めることができた。だけど点差が大きい上に松実さん以外はドラによる打点上昇が望めないから現状はかなり絶望的だ。
杏子(未来師匠との特訓で身に付けた『あれ』を使って少しでも点差を縮めるのが無難だけど、そのためには狙いをつけないと……)タンッ
優希「ロン」
杏子(……っ!まさか2巡目でもう張っていたなんて)
優希「2600……!」
清澄 168700+2600=171300
総武 69900-2600=67300
杏子sideout
~控え室~
長い長い東1局が終わり、ようやく迎えた東2局で杏子が片岡さんに振り込んでしまった。
綾香「あちゃ~。振り込んじゃったよ!」
美咲「これでうちが最下位だね……。こんなの初めてじゃない?」
鈴音「確かに今までうちが最下位に落ちるなんてなかったと思うからね。……でもこのまま終わってしまうほどうちは、杏子は甘くないよ。だよね未来?」
県大会ではずっと1位で美咲が他校を飛ばし続けてたし、この全国大会でも2回戦で杏子が少し落ち込んでいたけど、後続で圧倒的点差をつけて駒を進めたからね。
未来「ええ、杏子には2回戦が終わった翌日からずっと私がスパルタで色々と叩き込んだわ」
綾香「み、未来先輩のスパルタですか!?それはまたヤバそうな……」
実際に未来のスパルタはマジでキツい。私も入学する前に麻雀のルールをバッチリ覚えるべく未来に色々教えてもらったけど、軽くトラウマになったものである。
美咲と初めて麻雀を打った日も牌を握る度に手がプルプルしてたからね本当に。
なので未来のスパルタを受けて尚且つ未来を師匠と崇めている杏子を私は密かに尊敬しているのだ。
未来「綾香も受けてみる?」
綾香「え、遠慮しておきます……」
鈴音「……話を戻すと杏子はまだそのスパルタで得た片鱗を見せていないということでいいのかな?」
未来「そうね。けれど片岡さんの連荘が終わったからあとはそのチャンスを伺っているといったところかしら」
鈴音「ならもう心配ないかもね。それに……」
鈴音(麻雀は本来4人でやるものだからね。それさえわかっていれば片岡さんを止めることはそう難しくない)
私が長野で清澄の人達と麻雀した時は私1人で打っていた。それは私以外が全員味方だったから。
でも大会中は自分以外は全員敵であり、場合によっては誰かと味方になって共闘したりできるから。
鈴音(未来と特訓した杏子ならもうその答えに気付いているだろうね)
そう考えながら私はテレビで頑張ってる杏子を見守る。
未来「それにしてもさっきの振り込みは無用心だわ。杏子が戻ってきたらまた特訓ね」
鈴音「……程々にしてあげてね」
そもそも2巡目で張っていて、それをダマで通してるなんて普通はわからないからね?
杏子side
~東3局 ドラ 白 親 宮永照~
優希「リーチ!」タンッ
清澄 171300-1000=170300
杏子(また片岡さん……。やっぱり東場が終わらないと彼女の勢いを落とすのは難しいかな?)タンッ
照「ポン」カシャッ タンッ
杏子(宮永さんの鳴きによって片岡さんの1発が消えた。これで1翻分の打点が無くなったけど、今日の片岡さんはそれでも和了りそうだからまだ油断はできない)
~そして~
杏子「」タンッ
玄「」スッ
照「……ポン」
玄「」ピクッ
……?また宮永さんの鳴き……。もしかして宮永さんは自分の親番を犠牲にしてでも東場を終わらせようとしてる?
杏子(そういえば師匠や先輩達も麻雀は4人でやるものだって言ってたっけ……。それを理解して麻雀をやっているから先輩達や去年の個人戦で1位だった宮永さんは強いんだ。そして今日のために強さを最大まで高めた片岡さんと松実さんもそう……!こんな人達と最高の舞台で戦える。今はそれを楽しみながらこの4人で麻雀を打とう……!)
照「」タンッ
杏子「ロン。タンヤオのみ。……1000点です」
この1000点は宮永さんのおかげで和了れたものだけど、私自身の力で宮永さんに直撃させてみせる……!
総武 67300+1000+1000=69300
白糸台 69900-1000=68900
宮永さんの差し込みとはいえなんとか3位になった。東場はあと1局……。頑張らなきゃ!
今回はここまでです。
じかいよこく!
宮永照の差し込みによって焼き鳥を回避した杏子。未来の教えで得たものを発揮するべくタイミングを伺う杏子だが……?
予定より早くあげれてよかった……。では次回もよろしくお願いします!本編の前に番外編あげるかも?