杏子side
~東4局一本場 ドラ 5索 親 松実玄~
杏子(この先鋒戦で私ができること……。トップで終わること?現状の点差だと私じゃ難しい。なら……!)
あの人に狙いをつける……!それをするにあたって私は昨日してきたことを思い出す……。
~回想~
杏子《師匠とたくさん打って自分を強くしよう……!》
杏子『師匠、おはようございます。今日も打ってもらって……何を見てるんですか?』
師匠に挨拶して、決勝戦に向けて少しでもたくさん打ってもらおうと思い話しかけると師匠はタブレットを見ていた。
未来『おはよう。気になるなら杏子も見るかしら?』
杏子『師匠がいいなら是非……!』
許可をもらってタブレットの方に目を向けると1人の選手がアップで写っていた。
杏子『この人は確か白糸台の……』
未来『弘瀬菫(ひろせすみれ)。私が次鋒戦で当たる相手よ』
杏子『じゃあ師匠は対戦相手の研究をしていたんですか?』
未来『まぁそんなところね。それで彼女の癖を見ていたという訳よ』
杏子『癖……ですか?』
未来『そう。今も再生されているから杏子も見ておきなさい』
杏子『はい……』
弘瀬さんの去年の大会の映像みたいだけど……。あれ?
杏子『さっき弘瀬さんの右手が数ミリ後ろに動きませんでしたか?』
未来『驚いた……。よく見ているのね。今杏子が言っていたように弘瀬さんは癖で右手を動かし、その直後に視線が僅かに対戦相手の方向を向くの。そしてその視線の先に……』
杏子『対戦相手がいてその人に狙いをつける……というわけですね』
未来『そういうことよ。……では打っていきましょうか』
杏子『はい……』
この日も師匠と特訓との銘打ってたくさん打ったんだ……。
~そして~
杏子《張った……!純全三色の良形。……そうだ、さっきの映像の弘瀬さんみたいにやってみよう。確か右手を数ミリ動かして……》ススッ
未来《……?何か仕掛けるつもりね》
杏子《そして視線を相手にぶつける……!》キッ
未来《……成程、そういうことね。面白いじゃない。受けて立つわ》クスッ
師匠は私の意図に気付いた上で私の思惑に乗っているみたい。師匠にはかわされるだろうけど絶対に和了ってみせる……!
~そして~
未来《2巡前から同じ牌を引いてくるわね……。まさかとは思うけれど、これが杏子の当たり牌だとでもいうのかしら?だとするならば……!》
杏子《私の待ち牌は1つだけ……。弘瀬さんのやり方通りに相手が振り込むとして、もしも私の当たり牌が師匠に渡っているのなら全部取り込まれてるかも……》
だとしたらこの局は和了れないってことになるかもしれない。
~そして~
杏子『テンパイです』
未来『ノーテンよ』
杏子『……師匠、手牌を見せてもらっていいですか?』
未来『いいわよ』
私はどうしても気になって師匠の手牌を確認した。
杏子『これは……。もしかして私が張った巡目から抱えていたんですか?』
未来『ええ、もしかしたらこの牌が杏子の当たり牌だと思って抱えていたのだけれど、まさか本当にこれで待っていたとはね。……もしかしたらこのスキルをものにできるのかもしれないわね』
杏子『本当ですか!?』
未来『杏子次第になるけれど、やってみる?』
杏子『はい!やらせてください!!』
未来『ならまずは視線に気を付けましょう。下手をすればその局限りのものになりかねないから』
それから私は師匠と狙い撃ちをできるようになるための特訓をした。
~現在~
杏子(偶然なのかはわからないけど、その時と同じ手の1シャンテン……)
照「リーチ」タンッ
白糸台 62900-1000=61900
杏子(宮永さんのリーチ。これはチャンス……!)
これで宮永さんに狙いをつけられる。
~そして~
杏子(張った。リーチをすれば1発を狙えるけど、鈴音先輩がまだリーチ棒を見せる時じゃないって言ってた。だからダマで仕掛ける!)タンッ
照(このツモ牌から嫌な予感がする……。リーチをしたのは失敗だったかも)タンッ
杏子「ロン。8300です」
照(これは妹尾さんの当たり牌だったか……。でもこの振り込みには何か既視感があった。少し確かめる必要があるかも。それに……)
杏子「……これで南入ですね」
照(妹尾さんから菫の影が見えた……。妹尾さんのデータを改めて調べておこうかな)
私は宮永さんを含む3人に対して挑発まじりにそう告げた。
総武 63300+8300+1000=72600
白糸台 61900-8300=53600
杏子(私がやるべきことは先輩達が出場する個人戦のために同じく個人戦に出場する宮永さんの本気を引き出すこと。だからこれで宮永さんを狙い続ける……!)
そしてこの先鋒戦で宮永さんの打ち筋を引き出してみせる……!
だから宮永さん、先輩達のために私に本気を見せてくださいね……?
杏子sideout
綾香「…………」
鈴音「どうしたの綾香?」
綾香「……いえ、杏子ってあんな表情するんだなって思いまして」
杏子の表情……?ああ、未来がよくする挑発まじりの表情だね。未来もこんなところまで教えなくてもいいのに。未来みたいな人間は1人で十分だよ。
未来「……何か余計なことを考えてないかしら?」ジトッ
鈴音「なんでもないよ」
その内杏子まで未来みたいな性格になったりして……。
まぁそんなことないか。
今回はここまでです。
じかいよこく!
宮永照を狙い撃った杏子。彼女の猛攻は続くのか!?そしてそれに対して宮永照は……?
では次回もよろしくなのです。