戦姫絶唱シンフォギア~未来へと響くは始まりの音楽~   作:Dr.クロ

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イチイバルの少女は知る。自分がやろうとした行動の後に何があるかを…


第十四話~傷ついたクリス~

ファナは唸っていた。

 

原因は前回のクリス来訪のである。

 

ファナ「(まさかクリスさんがふらわーに来るなんて思わなかったっす)」

 

自分の記憶的にもしも進んでいるのなら予想出来るが、現実だからこう違う事が起きると別のになってるかもと不安になる。

 

ファナ「(……なんだか嫌な予感がするっすね…)」

 

んーと唸っているとふと、路地裏を見る。

 

見たかはただの偶然だが、前世の記憶もあって気になってしまう。

 

何気に見てみると…そこに倒れていたの人物に驚く。

 

ファナ「(あれって……クリスさん!)」

 

それに驚いた後にさらにノイズが襲い掛かろうとするのにやばいと感じるが間に合わない…と思われた時…ノイズは光に包まれて消滅する。

 

一体何が…と思っていると…

 

エル「危機一髪ね」

 

ファナ「義母さん!」

 

買い物袋を片手にもう片方の手を付き出しながらファナの後ろにいたエルにファナは驚く中でエルは傍にいた玉藻に買い物袋を預けて、クリスを背負う。

 

エル「大丈夫?ファナちゃん」

 

ファナ「は、はいっす。お2人は何で?」

 

玉藻「買い物に来ていたら入って行くあなたを見かけたので…んでまぁ、いやはや、我々も関わる事になるみたいですね」

 

肩を竦めてクリスを見て言う玉藻のにファナはエルを見る。

 

エル「流石にほっておけないし、こっちで預かるから気になるなら時たまくれば良いわよ」

 

ファナ「は、はいっす!」

 

まぁ、今日はお泊りで良いんじゃないかしらと言いながらリディアンにそれを伝える為か玉藻がスマホを取り出して電話をかけている。

 

ファナ「(クリスさん、傷だらけっすね……)」

 

エルに背負われたクリスの服から出てる肌部分の傷を見てファナは見てなんとも言えない顔になる。

 

クリス「……ひび…き…」

 

ファナ「(クリスさん、響さんのを見てるんっすか?)」

 

偶然漏れた呟きにファナは撫でてあげるのであった。

 

 

しばらくして2人が住んでるマンションに到着し、クリスは治療を受けた後に布団に寝かされた。

 

エル「取り敢えず命に別状はないわ」

 

ファナ「よかったっす…」

 

寝ているクリスを見てそう言うエルにファナは安堵する。

 

ファナ「原作なら未来さんが助けていたっすけど」

 

エル「まぁ、現実なんだし、違う所は出ちゃうのはしょうがないと思うわよ」

 

ふとそう呟くファナにエルはそう言う。

 

玉藻「そうそう。知識とは時には考えるのを邪魔する物になったりしますから、一度は省いて考えませんといけませんよ」

 

ファナ「そうっすね……ありがとうございますっす!」

 

同じ様にそう注意する玉藻にファナも痛感してお礼を言う。

 

するとクリスが呻き声をあげる。

 

クリス「うっ、あたしは…」

 

ファナ「あ、目が覚めたっす!」

 

目を開けて周りを見るクリスに大丈夫っすか?とファナは話しかける。

 

ファナを見てクリスはああ…と思い出した様に頷く。

 

クリス「お前、響達と一緒に居た…」

 

ファナ「ファナっす。倒れていた所を見つけたんっす。そちらの名前は?」

 

一応まだ聞いていないので聞くファナにクリスは雪音クリスだと答える。

 

ファナ「クリスさんっすか。お身体の方は大丈夫っすか?」

 

クリス「あ、ああ、さっきまでの傷が嘘の様に痛くねえ」

 

聞かれた事にそう返したクリスに何かしていたエルが言う。

 

エル「それは良かったわ。さあこれどうぞ」

 

ファナ「お腹減ってると思ったので作って貰ったっす」

 

そう言って指し出したのは食べやすい雑炊であった。

 

差し出されたのを受け取りながらクリスはエル達に警戒しながらもお腹が鳴ったので料理を見た後に1口食べる。

 

クリス「うめぇ…」

 

それにクリスはそう呟いた後に黙々と食べ始める。

 

食べている内に…その瞳から涙が流れる。

 

ファナ「く、クリスさん…?」

 

クリス「……っ」

 

それに戸惑うファナの後にエルはあちゃあ…と今更気づく。

 

エル「(そう言えばこの子…親が死んでから親からの料理と言うのを全然食べてなかったもんね…)あー、話せるならなんで倒れていたか教えてくれると嬉しいんだけど…」

 

クリス「………信じてた奴に捨てられた」

 

ファナ「(やっぱり…)」

 

その言葉にファナ達はあーとなる。

 

それを感づかれない様にエルが話しかける。

 

エル「…ねえもし良かったらしばらく此処に居たらどう?」

 

クリス「何?」

 

驚くクリスにエルは続ける。

 

エル「家がないんでしょ?だったらここに身を置いても良いんじゃない?体は良いけど心のリフレッシュも兼ねてね」

 

ファナ「そうっす!ここでしばらく暮らした方が良いっすよ!」

 

そう言われてクリスは悩む素振りを見せる。

 

仕方がないか…とそれにエルは頬を掻く。

 

彼女自身、過去のせいで大人を嫌っていて、しかもフィーネに捨てられたのもあって警戒されてしまうのは仕方ないだろう。

 

クリス「……少し考えさせてくれ」

 

ファナ「そうっすか…」

 

玉藻「まぁ、体を休める的な意味でもいときなさいな」

 

そう返したクリスのにファナは仕方ないっすと思う中で玉藻はそう言う。

 

クリス「ああ、そうさせてもらうぜ」

 

頷いた後にんで…とクリスは自身の着ているのに目を向ける。

 

治療した際に脱がされた様で今身を包んでるのはネグリジェであった。

 

クリス「この服は……」

 

エル「ああ、丁度パジャマ的なの私はそう言うのしか買わないから、ファナのは…胸が合わなかった」

 

ファナ「ホントデカいっすよねクリスさん」

 

理由を言うエルの後に羨ましそうにネグリジェから見えるクリスの豊満な胸を見て言うファナのにじ、じろじろと見るなとクリスは顔を赤くする。

 

クリス「そ、それよりお前、あの二人の知り合いなんだよな」

 

ファナ「え、あ、そうっす!響さんと未来さんとは知り合いっす」

 

話題転換かそう聞くクリスにファナは頷く。

 

エル「そう言えば貴女、あの二人と戦ったそうね」

 

クリス「んな!?な、なんで!?」

 

目を見開いて驚くクリスにエルはまぁ、ちょっとした独自の情報網をね…とぼかす。

 

ファナ「 (……もしかして遠見の鏡使ったっすね義母さん)」

 

その中で様子が見れそうなのを思い浮かべたファナはハラハラする。

 

エル「確か貴女、響にご執心の様ね」

 

クリス「…あ、ああ」

 

改めて指摘されると恥ずかしいのか頬を赤らめるクリスにファナはあ、可愛いっすと思った。

 

玉藻「それなのになぜ戦ったりしたんですか?彼女はあなたの事を…」

 

クリス「そうだけど…そうだけどよ…」

 

続けての玉藻のに顔を歪めてクリスは黙る。

 

それにファナはエルの服をつまんで何で玉藻がああ聞いたのか聞く。

 

ファナ「(義母さん、なんで玉藻さんはクリスさんにあんなことを?)」

 

エル「(まぁ、彼女が道を踏み間違えない様にかしらね)」

 

踏み間違えない様にと言うエルの言葉にファナは玉藻とクリスを見る。

 

玉藻「…何か悩んでいますね貴女」

 

クリス「……………」

 

無言なクリスに玉藻は続ける。

 

玉藻「よかったら話してみてくれませんか?」

 

クリス「……あんたらに話して何になるんだよ」

 

そう頼む玉藻にクリスはそっけなく返す。

 

玉藻「多少気が楽になるかもしれませんよ?溜め込むのは毒ですし」

 

ファナ「そうっすよ。それに…力になりたいっす」

 

その言葉にクリスは無言だったが口を開く。

 

クリス「……あたしはぶっ潰したいんだ。戦争の火種を、戦う力と意思を持った奴らを。あたしから色んなものを失くさせた奴らを…」

 

出て来た事にやっぱりとファナは自分の知るのと変わらない事に内心唸る。

 

エル「でもそれは……」

 

クリス「ああ、そうだ。この方法は響達が絶対に受け入れない方法だ。それでもあたしは…」

 

うーんとエルはクリスの言葉に唸る。

 

確かに彼女の言いたい事は長年生きたエルには一応分かる所は分かるが…

 

それでも指摘しておかないといけない所はある。

 

エル「確かに無くしたいって気持ちは分かるわ…だけどさ、同じ武力を使って争いは無くせると思う?」

 

クリス「っ!」

 

ファナ「(そうっすよね……。その方法では新たな争いを生むっすから状況によるっすけど無理とも言えるっす)」

 

指摘に顔を歪めるクリスにファナも様々なアニメを見ていたのもあってエルの指摘に同意である。

 

エル「それに貴女、そんなことしていたら、あなたはあなた自身を見失うわよ」

 

クリス「は…?」

 

ファナ「見失うっすか?」

 

そうとエルは頷いてから言う。

 

エル「ぶっ潰すと言うけどどこまでやれば無くなるとか考えた事ある?国を失くせば?ある人がいなくなれば?そう言うのが分かってなきゃあ悪循環になるじゃない」

 

ファナ「あ…」

 

言われて見ればそうだ。

 

ぶっ潰すと言うが、どうすれば良いかなど分かってなければクリスのは絵に描いた餅や机上の空論に当て嵌まる。

 

改めて指摘されたクリスも顔を青くする。

 

クリス「そ、それは…」

 

ファナ「た、確かに見失う可能性高いっす」

 

言葉が詰まるクリスの隣でファナがそう言う。

 

エル「まぁ、そう言う訳だからいる間だけでも良いから自分が何をしたいのか見つめ直しなさいな」

 

ファナ「(クリスさん……大丈夫っすかな…)」

 

話は終わりと言うエルの後にファナはクリスを心配する。

 

クリス「(何をどこまでやれば……そんなこと考えたことなかった)」

 

布団に寝転がり、クリスはエルの言葉を噛み締めていた。

 

見えていなかった…そう言われても仕方がない事実にクリスは天井へ…その先の空へと手を伸ばす。

 

クリス「(……あたしは一体どうすればいいんだろうな)」

 

フィーネに捨てられ、自身の信念達成不可能の事実…その後にクリスは大嫌いな両親を思い出す。

 

歌で世界を救うと言った自身の両親を…

 

クリス「(……っ!あいつらのを思い出して何になるんだよ!あいつ等はとんだ夢想家で臆病者…)」

 

そう考えるが頭から離れないのにクリスは頭を抱える。

 

そんなクリスにエルが思い出した様に言う。

 

エル「あ、そうそう。雪音って事はあなたの両親ってもしかして雅律とソネット・M・ユキネさんよね?大体の事情を知ってるけど、あなたはまだ子供だから分からないだろうけど…大人は夢を叶えようと頑張るから、どんな状況だろうと頑張れる人達がいるのよ」

 

クリス「っ……だとしてもそれで死んだら意味ねぇだろうが!あいつ等はなんであんな地獄に踏み込んだ!なんであたしを連れて行ったんだよ!何を見せたかったんだよ!」

 

その言葉を切っ掛けにクリスは感情を爆発させて叫び、エルを見る。

 

なぜ自身の親の事を知ってるか分からないが、それでも先ほどまで親の事を考えていたクリスにとっては聞き逃せなかったのだ。

 

ファナ自身もエルが語り出したのにハラハラしながら見る。

 

エル「………私の推測だけど、あなたに見せたかったんじゃないかしら?夢は叶うんだっていうのを…子供が自由に夢を見れる様に自分達が小さい頃に夢にしていた事を…だから自ら戦争と言う名の地獄に踏み込んだ」

 

クリス「大人がそんな子供の絵に描かれた様な夢を持って良い訳!」

 

玉藻「違いますわクリス。大人だからこそ夢を見るのです。特に良い大人程、夢を見る意味が、大きくなりますわ」

 

そう言ったエルのに叫ぼうとしたクリスを遮って玉藻はウィンクしてそう言う。

 

大人だからこそ夢を見る…その言葉にクリスはなんだよそれ…と思わず笑う。

 

クリス「大人になったから夢を叶えようとしたのかよ…」

 

玉藻「ええ、大人になれば子供の時に付けられなかった力も得られますし、ちょっと汚い感じにも聞こえますが財布の中も増えますから、子供の時に描いていた夢を叶えられるチャンスが増えて…夢を見る意味が、大きくなりますわ」

 

静かに、玉藻が言ったのをクリスやファナは思う。

 

クリス「(だから父さん達はその夢を叶えるために……怖さもあったのに踏み込んだ…)」

 

ファナ「(……なんか弦十郎さんとのシーン見てるみたいっす)」

 

グッと握り締めるクリスを見た後にファナは自身の前世の記憶からそう思った。

 

そんなファナの頭にエルの声が響く。

 

エル「(ま、私達もその人と同じ考えって事よ)」

 

ファナ「(母さん、脳内に直接に!?)」

 

女神だからこう言うのも簡単よとウィンクする。

 

エル「(折角転生しちゃったんだし、あなたも自分の夢を作ってエンジョイしなさいな)」

 

ファナ「(ファナの夢っすか……)」

 

そう言われてファナはそう言えばそう言うのを考えてなかったなと思う。

 

ファナ「(私は一体どんな夢を持てば良いっすかね……)」

 

改めて言われた事でうーんうーんと悩むファナにエルはくすりと笑う。

 

クリス「…………」

 

クリスもまた考えていた。

 

エルや玉藻から聞いて改めて今後の事を…

 

クリス「(あたしは…あいつ等に見栄を張って置いてそれが不可能なんて…笑えねえな…どうすればいいんだろうな…)」

 

イチイバルを見てからクリスは響を思い浮かべる。

 

クリス「(あいつ…今どうしているんだろうな)」

 

自身の思い人を思い浮かべながらクリスはひとまず寝る事にした。

 

部屋を出たエルは響達の様子を見て、起こってる状況にえーとなる。

 

映っているのは…自分がいる世界ではなく、別の無人世界でぶつかり合う響と未来であった。

 

エル「なにこれ?なんでバトルしてるのこの二人」

 

それに思わずエルは呟くしかなかった。




エル「次回!『まさかの喧嘩!?響と未来』よ。マジでそうなるのよ…」

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