グレイトな人に転生した   作:puni56

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アスランハーレムには拒否反応も結構あるんですね。
原作もハーレム状態だったから嫌われているのでしょうか?

本作ではラクスが勝手にハーレムとか言っているだけですけどね。
どうなるかは種運命編になってからですね。

読者の皆様に感謝を。


10話:不信

 

 

「……」

 

イザークは怒っていた。少なくとも本人はそのつもりだったのだが……ディアッカはイザークの態度を見て笑いを堪えるのに必死だった。何故か?それは現在、頭部と右腕を破壊されたデュエルを抱えながらヴェサリウスに向け移動中であることに関係する。ほんの数分前、ディアッカは突如始まったラクスの話が長かったので離脱したのだ。何故か全員ラクスに夢中だったので追撃も無くあっさりとメンデル内に入れた。メンデル内部に侵入したディアッカが警戒したのはフリーダムの待ち伏せだった。ジャッジメントとの戦闘中にメンデル内に入って行ったフリーダムの意図はディアッカには分からない。クルーゼ隊に気付き戦闘しに行ったのかもしれないし、違うかもしれない。確実なのはメンデル内部にフリーダムがいるということだけ。そういうわけでディアッカが警戒しながら進んでいると小破したデュエルが膝立ち状態でいるのを発見した。久しぶりの友人の機体に嬉しくなり通信を入れる。

 

「イザークよ、私は帰ってきた!!」

 

するとイザークがディアッカのセリフをスルーし物凄い剣幕で怒ってきた。

 

「ディアッカか?貴様こんなところで何をやっている!!」

 

「久しぶり会ったのに相変わらずだな、イザーク」

 

懐かしい感覚だと思いながらイザークと会話するディアッカ。

 

「無事に意識を取り戻してくれたのは嬉しい。が、何なのだその機体は!?」

 

怒った素振りを見せながらも口元が緩んでいるイザーク。ディアッカはそれに気付きニヤニヤしてしまう。数ヶ月会わなかっただけではイザークは変わらないようだ。

 

「何を笑っているんだディアッカ!」

 

ディアッカの様子に気付いたイザークが反応する。

 

「いや~別に?何でもないぜ。

 それでこの機体はというと、特務隊に配属されたのに伴って受領したジャッジメントだ」

 

事前に情報伝達がされてなかったのか、と思いつつ、簡単な機体情報を送信するディアッカ。

 

「お前が特務隊だと?

 クッ、いつの間に。アスランといい、お前といい、自爆すれば特務隊に配属されるのか?」

 

「俺に聞くなよ」

 

イザークに言われたようにアスランとディアッカは共に機体を自爆させている。イザークの言うことが本当なら洒落にならない。フリーダムのパイロットはイザークを想定していたのだから……もしかしてイザークも自爆するのかもしれないと不吉なことをディアッカは考えてしまった。

 

「ちっ、まあいい。それで、お前は何しにこの場へ来たんだ?」

 

「もちろん、任務だぜ!ま、それは後で説明してやるよ。

 俺のことよりイザークこそこんな場所で何してるんだよ?」

 

「俺はクルーゼ隊長と一緒にストライクと戦っていたのだがな。

 あと一歩というところでフリーダムに乱入されてこの様だ」

 

戦闘を思い返し苛立ちながらも説明するイザーク。

 

――メンデル内

 

ストライクとゲイツが交差する。

 

「よもや貴様がその機体のパイロットとはな。だが、少々荷が重いのではないかな、ムウ?」

 

「だったら試してみろ!」

 

ストライクが右肩の120mm対艦バルカン砲を放ち、ゲイツはそれを回避する。

 

「ちっ」

 

「貴様に討たれるのもまた、と思ったのだがな。どうやら貴様はその器ではないようだ」

 

「ほざくな!!」

 

クルーゼの指揮官用ゲイツがビームを撃ち、それをギリギリで回避したフラガのパーフェクトストライクが左後背部に背負ったアグニを構えると即座にゲイツに向かってビームを放った。発射までの溜めがあるせいで、クルーゼはアグニの軌道を読み回避する。

 

「まだだ!」

 

アグニを戻し左肩のマイダスメッサーを右手で掴み投げようとした瞬間――

 

「おいおい、寝惚けているのか?」

 

ストライクの足元下方からビームが飛来しストライクの左腕を撃ち抜いた。

 

「くそ!」

 

直前の行動をキャンセルし回避行動をするも間に合わずに被弾したストライク。フラガは体勢を立て直すために一端後退した。

 

「ふん……」

 

ストライクの奇襲に成功したイザークはどこか不満そうな態度でそのままゲイツの横に並んだ。

 

「助かったよイザーク」

 

「いえ!」

 

援護をしたイザークに礼を述べるクルーゼ。クルーゼからすればイザークの援護が無くとも問題なかったのだが、そこは流石というべきか。自らの目的の為には部下を褒める言葉など自然と出る。

 

「さて、舞台の途中で退場させるのは私としても心苦しいのだがね。

 しかしこれも運命と思って諦めたまえ」

 

「ぬかせ!」

 

再びビームを撃ち牽制するゲイツに対してストライクは対艦刀―シュベルトゲベールを抜刀し突撃する。

 

「うおおぉぉ!!」

 

「やれやれ……イザーク、右側面に回れ!」

 

「ハッ!」

 

突撃とは言っても左腕を失い、右腕のみでシュベルトゲベールを保持し飛行している状態のストライクは機体がバランス制御処理に集中せねばならず、必然的に出せるスピードも落ちてしまう。故にクルーゼはストライクと一定距離を保ちながらビームを撃つ。そしてゲイツが気を引いている間にデュエルが何の武装の無い右側面―ストライクの左側に回り込み、ビームサーベルを展開し一気に距離を詰める。

 

「これで終わりだなぁ、ストライクゥ!!」

 

「しまっ!」

 

ディエルのビームサーベルがストライクの胸部を捉える――

 

「何!?」

 

しかし、横から飛来したビームによってビームサーベルを持っていた右腕が破壊された。と同時にゲイツとデュエルのコクピットに警報が鳴り響く。

 

「あれは!!」

 

フリーダム、と言い切る前にメインカメラのある頭部がビームによって破壊された。イザークがモニター映像をサブカメラに切替えるとフリーダムがビームサーベルを持った右手を振り下ろそうとしていた。

 

「ええい!」

 

アラスカでの経験からかフリーダムの攻撃をシールドの正面で防ぐデュエル。

 

「っ!?」

 

決まると思った攻撃を防御されたことに驚くキラであったが、即座に右腰のビームサーベルも展開しシールドに攻撃を加える。耐久力に限界がきていたデュエルのシールドは2本のビームサーベルによって呆気なく切断、破壊されてしまった。防御手段が無くなったデュエルはフリーダムの左回し蹴りよって地面まで落下し叩きつけられてしまう。駆動系を損傷したのかスラスターの出力が上がらず、動けなくなってまった。

 

「くっそ~!」

 

前回に続き今回も蹴られ見逃されたことに腹を立てるイザーク。一方、イザークの心情なんて知らないキラはストライクを確認する。

 

「ムウさん!」

 

ストライクはキラが気付いた時には既にゲイツのエクステンショナルアレイスターが腹部右肩とに撃ち込まれ落下していた。

 

「っ!!」

 

ゲイツがストライクに追撃を行う前にフリーダムはお得意の技でゲイツの四肢を切断する。姿勢制御ができなくなったゲイツはそのまま研究所方面へと落下していった。

 

 

 

――

 

 

「それで?結局クルーゼ隊長はどうしたんだよ?」

 

「わからん。落下位置は捕捉はしているが距離があってな。

 デュエルもこの状態だから変に動けなくてな……」

 

「なら俺がサポートしてやるから行こうぜ」

 

「ふん、お前の助けなんぞなくとも……と言いたいところだが、仕方あるまいな。

 だが帰投したら色々と聞かせてもらうぞ?」

 

「わかってるって。俺も相談したい事があるからな」

 

――こんな事やり取りがあって現在に至る。

 

「さてクルーゼ隊長はどっこかな~?」

 

デュエルを抱えながらクルーゼのゲイツを捜索しているとジャッジメントのレーダーがフリーダムを捉える。

 

「ちぃ、こんな時に!」

 

同じく気付いたイザークは焦るがフリーダムの方もストライクを抱えた状態で飛んでいた。

 

「「……」」

 

ディアッカとキラは無言のままそれぞれの機体の空いている手で敬礼した。まるで某バルキリーの如く完璧な敬礼だった。擦れ違うのは一瞬だったがこの瞬間、親近感が湧き2人の心は1つになった。貧乏クジ役の同士としてだが……その後、研究所から出てきたクルーゼとクルーゼのゲイツを回収しヴェサリウスに向かった。なお、その際にゲイツとデュエルを抱える事になったジャッジメントのライフルはデュエルが持つことになった。メンデルから脱出したディアッカは3隻あるヴェサリウスの内、中央の艦に通信を入れる。

 

「こちら特務隊ディアッカ・エルスマン。ヴェサリウス、着艦許可を!」

 

「ディアカ、君か!?」

 

「お久しぶりです、アデス艦長」

 

「ああ。無事で何より。着艦を認める」

 

「ありがとうございます!」

 

イザークが連絡を入れておいたお蔭で簡単な手続きで着艦することができた。さて、残されていたコロニーメンデルの港口。ディアッカが内部に侵入してからもラクス・クラインのハーレム演説は続いていた。さて、ここは戦場であり、また戦闘中でもあった。つまり何が言いたいかと言うと――

 

「あれ?ディアッカは?」

 

「うん?」

 

「え?」

 

「あっ」

 

ニコルの声にみんなが周囲を探すといつの間にかジャッジメントがこの宙域から消えていた。

 

「おい、ちゃんと監視をしていたのか!?」

 

バルトフェルドが声を荒げるが後の祭り。

 

「ディアッカ……」

 

アークエンジェルのブリッジではドミニオンの警戒やら索敵、MSの補給で大忙しなのだがニコルだけは床に座り込んだまま動かない。ニコルの様子に気付いたミリアリアが声を掛けると――

 

「ハーレムじゃなければ駄目なの?」

 

「え?」

 

「そうか。だから、いなくなっちゃったんだ……」

 

ディアッカが去ってしまった事によりショックを受けたニコルは落ち込みこんな事を言い出した。

 

「ニコル、落ち着いて!」

 

ミリアリアがニコルの両肩を掴み顔を見ると、口では言い表せない異性に見せてはならない顔をしていた。

 

「え、衛生兵~!!」

 

ミリアリアの声が虚しく木霊する。

 

 

 

 

 

――なんとか無事帰還したディアッカはアデスに挨拶をするためにブリッジを訪れた。

 

「失礼します!」

 

敬礼し入るとブリッジクルーが慌ただしく働いていた。

 

「アデス艦長!」

 

「ディアッカか。驚いたよ、まさか君が特務隊に配属とはな」

 

「色々ありまして……」

 

ディアッカがアデスに状況説明をしているとクルーゼが入室してきた。

 

「アデス、準備はできているな?」

 

「ハッ!」

 

クルーゼはそのまま艦長席の横まで移動するとパネルを操作し回線を開いた。

 

「地球連合軍アークエンジェル級に告げる。戦闘を開始する前に本艦で拘留中の捕虜を返還したい」

 

それだけ言ってクルーゼはMSデッキへ行ってしまった。

 

「捕虜とは何ですか?」

 

「ああ。クルーゼ隊長がアラスカで発見した少女でな。

 以降、隊長が自分の世話役として置いている」

 

「何か有益な情報を持っていたということですか?」

 

「アラスカで捕えた少女ということしかわからない。我々も詳しくは聞いていないのだ」

 

「……」

(少女だと?まさかクルーゼ隊長かロリコニアの住人だったとは驚きだぜ!)

 

ディアッカがクルーゼのロリコン疑惑に衝撃を受けているとシグーに乗ったクルーゼより連絡が入る。

 

「目標はあくまでエターナルだ。私が出た後に合図があったらポッドを射出しろ、いいな?」

 

「はっ!」

 

アデスとクルーゼの通信終了後、意味がわからないディアッカはアデスにポッドの事を尋ねる。

 

「ポッドとは?」

 

「捕虜を入れた救難ポッドの事だ」

 

「戦場にも関わらず何故射出をするんですか?」

 

「隊長には何か考えがあるのだろう。いつもの事だ」

 

クルーゼのおかしな行動に疑問を持つディアッカ。

 

(……確かに隊長の勘や思い付きは毎度の事だが今回はおかしな点が多い)

 

エターナルの強奪があったせいか、過敏になっているのか、一度疑ってしまえばキリがない。

 

「……アデス艦長」

 

「君の言いたいことはわかる。だが今はこの場を切り抜けるのが先だ。そうだろ?」

 

どうやらアデスも今回のクルーゼの命令と様子に疑問を持ったらしい。それでもクルーゼに何も言わないのは軍人としての規範意識の高さか、矜持か。

 

(別に隊長が裏切ったわけでもないし、考えても仕方ないか……よしっ)

 

「自分も出撃します」

 

「……わかった。だが君はどう動くのだ?」

 

「エターナルを、といきたいところですがまずは邪魔な連合艦を潰します。

 奪取されたとはいえアレ等はザフトの物。連合に鹵獲されてはマズイですから」

 

「了解した。ならばそちらは任せる。気を付けろよ?」

 

「ありがとうございます。では失礼します!」

 

アデスに敬礼しディアッカはブリッジを出ると急いでMSデッキへ向かう。

 

(さてどうするか……)

 

これからニコル達と戦闘することを考えながらディアッカはMSデッキへと向かう。

 

 

ヴェサリウスのMSデッキにはジャッジメント、シグー、デュエルが待機状態にあった。ディアッカがブリッジにいる間MSデッキでは初めて見るジャッジメントにみんな興味津々に見ていた。しかしコンディションレッドが発令された為、整備班は慌ただしく作業に移った。シグーはクルーゼがゲイツを受領してからも整備は行われていたので簡単な調整のみで出撃が可能だ。だが一方、イザークのデュエルは破損した部分、つまり右腕と頭部は予備部品を積んでいなかったので修理が出来なかった。このままでは戦闘に支障がでるのでメインカメラの付いている頭部のみ修理をすることになった。そう、ジンの頭部を取り付けたのだ。いわばザク頭ならぬジン頭といったところか。カメラやセンサー機能は元々の頭部に劣るが艦周辺で戦闘する分には問題が無いと判断されたそうだ。

 

「くっ、こんな状態で出撃せねばならないとは!」

 

自業自得だと理解しているイザークであったが性格から不満が口から出てしまう。確かに体はデュエルで頭はジン。右腕は肩から取り外され代わりに左腕に装備していたアンチビームシールドを取り付けている状態はひどく不格好にも見える。他に気になる事といえば何故か整備班の人間がハイテンションで作業していたことだろう。

 

「イザーク、君は艦を守ってくれたまえ。私はエターナルをやる」

 

「ハッ!しかしディアッカは?」

 

コクピット内で発進準備をしていたイザークにクルーゼから通信が入った。

 

「彼は特務隊だ。私に指揮する権限は無いよ。なに、彼ならうまくやるさ。

 我らは我らの仕事をするだけだ、いいな?」

 

「ハッ」

 

イザークに指示を出しリニアカタパルトにシグーを移動させるクルーゼ。

 

「よし。ラウ・ル・クルーゼ、シグー発進する!」

 

「イザーク・ジュール、デュエル出るぞ!」

 

ヴェサリウスのリニアカタパルトから発進したシグーは作戦通りジン12機と共にエターナルへ、デュエルはヴェサリウスを守るためブリッジ直上部についた。

 

「ディアッカ・エルスマン、ジャッジメント発進する!」

 

イザークに遅れること数分、ディアッカも戦場に立った。

 

「イザーク、言い忘れていたが赤い機体―ジャスティスに乗っているのはアスランだから」

 

「は?」

 

「それからブリッツに乗ってるのもニコルだから」

 

「は??」

 

「じゃ、そういうことで!以上通信終了」

 

「おい、待て!!」

 

ディアッカはイザークの制止を無視しドミニオンまで一気に移動し攻撃を開始する。

 

「拠点攻撃だ!!」

 

気合を入れてビームを連射するもアンチビーム爆雷やラミネート装甲があるためにドミニオンはダメージを負わない。

 

「見た目通り足つきと同等の性能ってわけか。それなら!」

 

ビームが効かない事を確認したディアッカは実体弾のレールライフルで攻撃を始める。当然ドミニオンもゴットフリートやバリアント等の強力な武装で反撃をしてくる。それをジャッジメントは持ち前の機動力で回避してゆく。

 

「この機体は機動力に特化しているんでね。簡単には当たらないぜ!!」

 

ディアッカはドミニオンの攻撃を回避しつつもミサイルを迎撃、右舷ローエングリンを破壊したりと大活躍であった。すると――

 

「おら~撃滅!!」

 

ドミニオンの援護に戻ってきたレイダーがジャッジメント背後からミョルニルを放った。レイダーの接近に気付いていたディアッカはすぐに反撃に移った。ジャッジメントは後ろに振り向き両腰のバラエーナビーム砲を展開、発射しミョルニルを破壊した。

 

「チイッ」

 

激高し執拗に攻撃するレイダーをジャッジメントは軽くあしらう。一方でそんな戦闘の様子をアークエンジェルのブリッジから見つめていた者がいる。そう、ニコルだ。ブリッツの修理が間に合わなかったニコルはCICを手伝っていた。ドミニオンはかつての副長であるナタルが艦長をしている為に苦戦していたアークエンジェルであったがそこにジャッジメントが現れたのだ。しかもドミニオンを攻撃し始め、まるでアークエンジェルを援護しているかのようだった。そんな状況にニコルは歓喜し終始笑顔だった。それはもう、ミリアリアがドン引きするほどに。

 

(ディアッカ、私の為に……)

 

先程も同じ状況になったからか、ニコルは自分の為にディアッカがアークエンジェルを守っていると勘違いしている。いや、確かに第三者から見ればジャッジメントがアークエンジェルを援護しているように見えなくもない。実際にマリューも援護してくれてるのか、と考えていたりする。ディアッカとすればアスラン達との戦闘後に疲弊したところを狙われる可能性があるから、ドミニオンを先に攻撃しただけのことで他意は無い。将来、まさかこの事が追及されるとはこの時点のディアッカが予想できなかったのも仕方がないのかもしれない。

 

「いい加減に!!」

 

レイダーは武装のほとんどを破壊され、レールライフルを浴び続けたせいでエネルギーも心許無い。それにも関わらず攻撃を繰り出すレイダーの攻撃をジャッジメントは回避する。

 

「……」

 

レイダーとドミニオンを相手にしながらもディアッカは冷静に対応しドミニオンにダメージを与えていく。

 

(そろそろ充分か?)

 

ディアッカが引き際を考えているとヴェサリウスより通信が入る。

 

「ディアッカ!」

 

「イザークか。どうした?」

 

「エターナルともう一隻がこちらに転進してきて攻撃が激しい。援護を頼む!」

 

ディアッカが確認するとクサナギとエターナルの集中砲火を浴びているヴェサリウスがあった。

 

「了解、すぐに向かう!」

 

ディアッカは即座に戦域を離脱、ヴェサリウスに向け発進した。残されたアークエンジェルはというと史実通りドミニオンとの戦闘を継続した。メンデル側では――

 

「レーダーに機影!これは……ジャッジメントです!は、速い!!」

 

エターナルのブリッジでダコスタが叫ぶ。

 

「ちぃ、ドミニオンを相手していればいいものを!迎撃、取り付かせるな!!」

 

バルトフェルドの指示でエターナルはヴェサリウスに向けていた砲門の半分をジャッジメントに向け発射する。エターナルの後ろから迫っていたジャッジメントであったが回避を余儀なくされる。「くっ」そのままエターナルの艦底部を通りアデスのヴェサリウスの前に到着する。無論、ディアッカはその過程でエターナルに攻撃することも忘れない。

 

「アデス艦長!」

 

「すまん、助かった!」

 

「ふん、ようやくお出ましか……」

 

アデスはディアッカに礼を言い、イザークはいつも通りだった。ディアッカがどうこの場を切り抜けるか考えていると国際救難チャンネルで通信が入った。

 

「アークエンジェル!私、ここ!」

 

「私です!フレイ・アルスターです!!」

 

「何だこれは?発信元はポッド……例の捕虜か!?」

 

ディアッカを含めた戦場にいる者が驚いている間も少女は話し続ける。

 

「か、鍵を持っているわ、私……戦争を終わらせる鍵。だから、だから、お願い!!」

 

 

 

戦闘宙域を漂う恐怖から助かりたい一心で言い放ったその言葉は新たな争いの幕開けとなった。

 

 

 




Q:主人公なのにヒロインと数カ月も会っていないなんて、一体どうなっているのでしょうか?
A:ディアッカが3隻同盟に入らなかったせいです。

Q:ニコルって本当にヒロインなの?
A:天使です。

Q:ディアッカの過去話とか無いの?
A:隠された秘密(笑)とか悲しい過去(笑)なんてありません。語るまでもない普通の人生です。

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