グレイトな人に転生した   作:puni56

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この話は本編の結末とは無関係なIFの話です。
読まなくても支障はありません。

読んで下さる皆さんに感謝を。


番外編:世界の破滅する日

選ばれなかった未来

 

 

ユニウスセブンの軌道変更。

そのニュースは瞬く間に世界に広がり地球に住む誰もがモニターを食い入るように見つめる。

 

 

その頃宇宙では…

 

ザフト軍の新造艦ミネルバはジュール隊と合流後ユニウスセブン破砕任務を実行していた。シンのインパルス、ルナのガナーザクウォーリア、アレックス‥もといアスランのザクファントム、レイのブレイズザクファントム、イザークのスラッシュザクファントムがカオス、ガイア、アビスの強奪機体及び今回の実行犯と思われるジン部隊と戦闘を行っていた。

ユニウスセブンが半分に割れあと少しというところで、それは起きた。

 

「ミネルバ、メインスラスター及び主砲に被弾、損傷拡大!!」

 

「「「「「何!?」」」」

 

突如ミネルバから告げられたその情報は驚愕すべきものであった。

一体どこから?

どうやって?

わからない事だらけだがミネルバに戻ろうとするシン、ルナマリア、レイ、アスラン。

だがしかし‥

 

「え?嘘‥」

 

その言葉を最後にルナマリア機は爆散した。

 

「「ルナマリア!?」」

 

馬鹿な、どこから?周囲を警戒するアスラン達。

 

「そこだ!」

 

前大戦の経験からかアスランが何も無い空間にビームを撃った。

すると‥突如MSのスラスター噴射特有の光が発生しビームは虚しく空を切る。

そしてそれが徐々に姿を現す。どうやらミラージュコロイドを使用しているようだ。

アスランには見覚えがあった。

前大戦に参加した者、正式なザフト軍人であるならば誰もが直接あるいは資料映像等で間接的に見たことがあった。いや、プラントの一般国民ですら知っている。

機体のみならずパイロットのことも。そう、誰もが知る機体、救国の英雄。

その姿は‥‥

 

「黒い、バスター?」

 

正確にいえば右腕のみはブリッツの物であるが。無言で佇む謎の機体。

その場の誰もが硬直している中。

 

「あんたがルナをー!!」

 

「待て、シン!」

 

アスランの制止を振り切り激高したシンがビームサーベルで斬りかかる!

バスターに当たると思われた瞬間‥

 

「フッ」

 

スピーカーから笑い声が聞こえた気がした。

インパルスをビームが貫く。

それも全方向から。

 

「クゥッ!」

 

シンは咄嗟に機体を動かした。

おかげでコクピットに直撃は免れたが中破し換装しなければ戦闘継続は難しい状態になった。

その時‥

 

「クククク、フハハハハハ、ハーハッハッハッハッハ!!!!」

 

オープンチャンネルを使用しているのか戦場に笑い声が響く。

気付くとバスターの隣にも見覚えのある機体があった。

そこには‥

 

「馬鹿な!ありえない!!」

 

「あの機体は!」

 

「…プロヴィデンスだと?」

 

アスランとイザーク、デュランダルが驚くのも無理はない。

何故ならプロヴィデンスは先の大戦でフリーダムに破壊されたのだから。

 

「ほう。その声、アスランにイザーク、それにギルバートかね?」

 

「「クルーゼ隊長!?」」

 

「その声!君はラウなのか!?」

 

3人に聞き覚えのある声。

 

「そうだ、ギルバート。君の友人のラウ・ル・クルーゼだ!」

 

アスランとイザークを無視しミネルバにいるデュランダル議長と話す謎の男。

 

「…俺はサトー達の援護に向かうゼ。強奪機体が邪魔をしているみたいだからな」

 

今まで沈黙していたパイロットが通信を開く。

 

「フッ、了解した。こちらの事は任せてくれたまえ」

 

「ああ…」

 

「だが‥手加減をするつもりはないのでね。構わないかね、ディアッカ・エルスマン?」

 

「「何!?」」

 

「しつこい!任せると言ったはずだゼ!!」

 

バスターのパイロットはプロヴィデンスのパイロットと会話を交わしたのちユニウスセブンに向かって行った。

 

「待て、貴様!」

 

「ディアッカ、本当に君なのか!?」

 

バスターを追うイザークとアスラン。

残ったプロヴィデンスとのやり取りは続く。

 

「何故君が、一体どうやって?」

 

デュランダル議長にとってはあってはならない事態なのだ。

ディステニープラン実行の為の準備をここで頓挫させるわけにはいかない。

何とかイレギュラーなこの事態を打開しようとするデュランダル議長であったが‥

 

「フッ、それはこれから死に逝く君達には関係ないことだろう!!」

 

言い終わるとプロヴィデンスからドラグーンが11基射出されミネルバを襲う。

先の攻撃でダメージを負ったミネルバには荷が重過ぎる相手だ。

ブリッジをビームで撃ち貫かれるミネルバ。

こうして為す術なくデュランダル議長もろともミネルバは撃沈した。

 

「ラウ!!」

 

レイのブレイズザクファントムがプロヴィデンスに攻撃を仕掛ける。

 

「おっと」

 

難なく回避するプロヴィデンス。

 

「何故ギルを撃った!?」

 

「邪魔だから撃っただけだが?」

 

「ラウ!!」

 

「私がいない間に随分とあの男に手懐けられたようだが、所詮あの男は君を駒としか思ってはおらんよ。私の事も含めてな‥」

 

「それでも!」

 

ビーム突撃銃で、ビームトマホークで、グレネイドで。

あらゆる武器、攻撃を仕掛けるもプロヴィデンスには一つも傷をつけられない。

 

「クッ」

 

「残念だよレイ。君ならば私の跡を継いでくれると期待したのだがな‥だが所詮はその程度、君もギルバートのところへ送ってやろう!!」

 

そう言い放ちドラグーンで攻撃するプロヴィデンス。

レイは呆気無く爆散した。

 

「さて、私は次の段階に移るとしよう」

 

クルーゼはそう呟きユニウスセブンとは逆方向に機体を進めた。

 

 

 

 

 

一方ユニウスセブンでは‥

 

「アハハハ!ごめんね、強くってさあ!!」

 

アビス、カオス、ガイアが次々とジンを破壊していく。

 

「クッ、ナチュラルどもがぁ!!」

 

サトー達の腕は決して悪くない、赤服に相当するほどだ。

しかし今回は相手が最新型機ということもあり旧式のジンハイマニューバーでは分が悪い。

次々に数が減らされるテロリスト達。

そこへ

 

「お待たせ!」

 

「何!?」

 

声がしたと同時にアビスがビームで撃ち貫かれる。

すぐさまカオスの方へアビスを蹴り飛ばすバスター。

 

「アウルっ!」

 

カオスの目前でアビスが爆散する。

 

「グウレイト!!」

 

「ディアッカ!!」

 

「何もんだ、てめぇ!!」

 

カオスが機動兵装ポッドを射出するが最小限の動きで回避しながらトリケロスでビームを撃ち破壊していく。

 

「サトー、こいつらは俺が引き受ける!お前たちはユニウスセブンを!!」

 

「いいのか?」

 

「ああ、俺達の怒りを‥憎しみを‥ナチュラル共に見せてやろうゼ!!」

 

「よく言った、その通りだ!行くぞ皆!では先に行っているぞ、ディアッカ。追いついて来いよ!」

 

「もちろんだゼ!!」

 

サトー達はメテオブレイカーの破壊に向かう。

 

「さて‥」

 

バスターの前には攻撃を繰り出すカオスとガイアがいる。

 

「くっ、押されている?この俺が!?」

 

「堕とす‥」

 

ハッキリ言ってこいつらは弱い。

今のままでも倒せるが‥

 

「時間が無い、本気でやらせてもらうゼー!!」

 

SEEDを発動させるディアッカ。

 

「何!?こいつ、動きが!」

 

対装甲散弾砲で視界を塞ぎミラージュコロイドを展開する。

カオスの右側面で解除しトリケロスを腹部に当てビームを連射する。

 

「お、俺がこんな‥」

 

カオスが爆散する。

 

「スティングー!!」

 

ガイアが突っ込んでくるが

 

「甘いんだよ!」

 

正面から来るので一斉射撃で仕留める。

 

「ネオ‥」

 

こうして強奪された3機は活躍することもなく破壊された。

ディアッカがサトー達に合流する為に移動しようとしたその時…

 

「「ディアッカー!!」」

 

アスランとイザークが追いついた。

 

「ディアッカ、本当にお前なのか?」

 

イザークが尋ねると

 

「ああ、エザリア・ジュール ファンクラブ名誉会長のディアッカ・エルスマンだゼ!」

 

「いや、その紹介はどうなんだ?」

 

「貴様、まだ母上の事を!?」

 

戦場だというのに相変わらずの3人であった。

 

「生きていてくれたことは嬉しい。が、何だこれは!どうして貴様がテロリスト共と行動している!?」

 

イザークが真偽を問いかける

 

「それは‥お!ミネルバは破壊できたみたいだな。さすが隊長だゼ!!」

 

「「何!?」」

 

イザークとアスランは慌てて確認するもミネルバの信号はLOSTの表示が‥

 

「ディアッカー!!」

 

アスランがビームトマホークで斬りかかる。

トリケロスのシールド部分で受け止めるバスター。

 

「ディアッカ、お前!あの艦にはカガリも乗っていたんだぞ!!」

 

「カガリ?‥ああ、あのオーブの」

 

「それなのにお前は!」

 

「それが何の関係がある?」

 

「何!?」

 

「誰が乗っていようが関係ない。ミネルバは邪魔だから破壊しただけだゼ。

それに、ナチュラルが死んだところでどうだっていうんだ?」

 

「ディアッカー!!」

 

SEEDを発動させるアスラン。

 

「俺が援護する!」

 

イザークも思うところがあるのか珍しくアスランと連携する。

 

「何故怒る、アスラン?あいつらは敵だゼ?」

 

「違う!彼女は平和望んでいた!」

 

「ザフト軍の艦に乗っているのに?」

 

「何だとっ」

 

「前回は地球軍の艦に乗り、しかも戦闘機を使用しバルトフェルド隊に損害を与えた。

ヤキンではMSに乗り前線で戦ってた。で、今回はザフトの最新鋭艦に乗っている。

相手に損害を与えておいて仲良くしましょうって、頭おかしいんじゃないの?」

 

「貴様!」

 

「ま、そんなことはどうだっていいんだ。ナチュラルさえ滅ぼせればなぁ!!」

 

「グッ」

 

アスランのザクがビームトマホークを持っていた右腕ごと破壊される。

 

「ディアッカ!」

 

スラッシュザクファントムのビームアックスを防御し両肩220mm径6連装ミサイルポッドを発射する。

 

「チィッ」

 

後方へ離脱するイザーク。

 

「どうやら腕は鈍っていないようだな‥」

 

強い!それがアスランとイザークが感じたことだった。

2人掛かりでも仕留められず、逆に圧倒されている。この強さの原因はなんだ?

 

「どうしてだ、ディッカ。ヤキンの戦いの後、お前が姿をくらましMIAと判断され、それでも俺達はお前の無事を案じていた。それが何故!?」

 

「イザーク、お前は変わらないな‥イザーク、この件から手を引け。

俺達のやろうとしていることはプラントにとっても悪くないことなんだ!」

 

「ふざけたことを言うな!」

 

アスランが攻撃してくる。

 

「カガリを殺したお前がー!」

 

「ミネルバは隊長なんだが‥まあ、いっか」

 

2機の連携攻撃を掻い潜りながら通信する。

 

「カガリってナチュラルだろ?別に俺達コーディネーターじゃないんだし、いいだろ?」

 

「ふざけるな!!」

 

「ふざけているのは貴様達だろうが!!」

 

ザクファントムのバックパックを破壊する。

 

「ニコルを殺したあいつ等と何故偽りの世界で笑うのか、貴様らは!!!」

 

「「えっ」」

 

「クライン派によってザフトは変わってしまった‥」

 

「何を!?」

 

「何故気付かんかー!!パトリック・ザラのとった道こそ唯一正しきものと!!!!」

 

一斉射撃によりザクファントムの四肢を破壊しダルマ状態にするバスター。

 

「ディアッカ、お前‥」

 

イザークはディアッカの咆哮を聞き納得がいった。

足つき戦、パナマ攻略戦での執拗なナチュラルへの攻撃、ヤキンでの前線勤務希望、大戦後の失踪‥そうだ、予兆はあったじゃないか。全てはニコルが亡くなった後の事だ。

 

「‥ニコルの仇、なのか?」

 

イザークが尋ねると

 

「その通りだ!ニコルを殺したナチュラル共を殺し俺の復讐は完成する。邪魔をするならばイザーク、お前も殺す!!」

 

イザークがモニター越しに見たのは髪もボサボサで無精ひげを生やし血走った目でこちらを睨む

復讐者の顔をしたディアッカだった。

ああ、どうしてこうなってしまったのかと、イザークは思いを巡らす。

昔‥アカデミーの卒業式で笑い合っていた俺達。ニコルと将来について語り合っていたディアッカ。確かに分かり合えていた俺達。けれど今はもう‥

 

「キラだって殺したくってニコルを殺したわけじゃない!」

 

空気を読めないアスランがキラを擁護するする発言をしてしまった。

アスランとしては殺し殺されるのはお互い様だと言いたいのだろうが‥

馬鹿め、この場では逆効果だぞ。

 

「‥‥」

 

ディアッカは無言でアスランを攻撃した。

今のアスランに防ぐ手立ては無い。

コクピットを破壊されたザクファントムは宇宙のチリと消えた。

 

「‥ディアッカ、ザフト軍人としてユニウスセブンの落下を見逃すわけにはいかない。

そして何よりも!友として俺はお前を止める!!」

 

「ならばかかってこい、イザークゥ!!」

 

「ディアッカァー!!」

 

両機が擦れ違う。そして‥火花が散るスラッシュザクファントム。

 

「哀しいな‥」

 

その言葉を最後にイザークは爆散した機体に呑まれた。

 

「‥‥‥」

 

その様子を見つめるディアッカに通信が入る。

 

「こちらの準備は完了した。後は君待ちといったところだ、ディアッカ」

 

「了解です、隊長」

 

スラスターを吹かしサトー達の下へ向かうディアッカ。

 

 

 

 

 

この数時間後ユニウスセブンは地球に落下し多くの命を奪った。

被害は甚大で開戦を企んでいたロゴスも諦めるしかなく一方、プラントではザラ派がクーデターにより政権を奪取、直後月の地球軍基地を占領。

レクイエムを使用し地球連邦に服従を迫った。

 

その後のディアッカやクルーゼの行方を知る者は誰もいない。

 

 

世界は暗黒の時代へと突き進む。

 

この世界を救う歌姫と騎士はユニウスセブンの落下で死亡してしまったのだから…

 

 

 

 

 

 




今回はIFの未来。逆を言えばこの結末にはならないということ。
つまり次話は‥わかりますね?

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