「よし、ステータス確認だ」
「お任せくださいですわ」
わずか2日で7レベル上昇。
意外と頑張ってるなあ、俺。
「では、上から順に読み上げますね」
「よろしく頼む」
「マサト・オコノギ 20歳 慎重161cm 体重77kg 童貞……はて、この新しく追加された童貞というのは、どういう意味でございましょう?」
「よ、余計な項目追加しやがって……ッ!」
「ひゃっ! も、申し訳ありません」
「いや、ファルフナーズに言ったんじゃない」
「はい……あの、続けても?」
「ああ、頼む」
「特性【主天使】一気に良いご身分でございますね。よござんした」
「なんで僻ひがみっぽいんだよ。たまには祝え」
「レベル12、ダンジョン荒らし」
「いいね。それらしくなってきたぜ。ちょっと悪者みたいだけど」
「命中点15+40(金属バット、詳細略):スワッシュバックラー級」
「スワッシュバックラーって何だろう?」
「剣士の事ですわ。ただ……」
「ただ、何?」
「あまり良くない意味でして……日本語に意訳すれば、剣を持った暴漢、くらいの意味に」
「酷い。もうちょっと上手い訳を頼む」
「暴れん坊剣客、と言った所でございましょうか」
「その辺で納得しよう。剣使ったこと無いけど」
「打撃点15+40(金属バット、詳細略):スワッシュバックラー級」
「まあ順調だな。しかしオリンピック級より暴れん坊剣客の方が上なのか。基準が分からないなー」
「回避点18+0:ネズミ級。これは新しい項目ですわ」
「今まで回避してなかったっけ……? ネズミ級って高いのか低いのか」
「防御点22+15(素敵なプロテクター)+7(素敵なマスクとレガース)+5(浮遊靴):トパーズ級」
「トパーズ? 宝石の?」
「はい。とても硬い宝石ですわ」
「おほー、流石にステータス評価もおふざけが少なくなってきたな。満足満足」
「体力点30:英雄的サンドバッグ並み」
「……前言撤回。何だよ、英雄的なサンドバッグって!」
「ひいっ!? 申し訳ありませんっ」
「あ、いや、毎度の事だがファルフナーズに言ったんじゃあ無い」
「さ、左様でございましたか……」
「幸運値:99(ハッピー人生)」
「ああ、ステータスの中でこの項目だけがオアシスのように輝いている」
「まあ! マサト様、更に新しい項目が追加されておりますわ」
「おおっ? 何だ何だ?」
「魔力点5、ですわ」
「きっ! きたああああ! 遂に俺も魔法使いだ!」
「おめでとうございます、マサト様」
「ありがとう、そしてありがとう! 魔法剣士デビューだぜ!」
「……」
「……」
「……で?」
「……はい?」
「いや、どんな魔法の呪文が使えるようになったの?」
「そう言えば……どこにも……きゃっ」
「どしたどした?」
「魔力点の文字に触れたら、ええと呪文一覧という別のページが飛び出しましたわ」
「ポップアップ・ウィンドウだな。呪文は何個ある?」
「ええと、ひとつですわ。召還呪文と言う項目にあります」
「1つってのは少ないが、召還系! ははは! いいぞいいぞ! どんな召還魔法だ?」
「名前は載ってませんが……要スマホ、と書いてありますわ」
「スマホぉ? デジタルなモンスターでも召還するのかな。どれどれ、スマホがある自室に行こう」
「あ、はい」
自室に戻って机の上にあるスマホを握る。
スマホからモンスターが飛び出してくるのかな。
「どうしたんじゃマー君。ステータスの確認とやらは終わったのかの?」
「それが魔法を使えるようになったらしいんだが、スマホを使わないと駄目らしくて」
「変な魔法じゃのー どれ、使ってみせい」
「言われなくてもお披露目タイムだぜ」
どんなモンスターが召還できるか分からないので、ダンジョンに入る事にした。
スクルドはダンジョンに入ろうとせず、扉から顔を覗かせているだけだ。
先日のスライムの中でお漏らししたのがトラウマなのか。
幸い今回は周辺にモンスターは見当たらない。
居たら居たで、召還魔法の最初の犠牲者になってもらおう。
通路の先に向かってスマホを握り締め、体をくねらせるようなポーズを決めてみる。
ズババアアアン!
「よし、ファルフナーズ。召還方法を教えてくれ!」
「かしこまりました。魔力を手からスマホ? に伝えるようにして次の操作を行う……」
「魔力……こうか。おお! 何か体の内側から手に向かってグイグイ来るな! さあ、次はどんな操作だ!?」
「はい、ええと……0X0-9014-1094」
「……」
「……」
「電話番号じゃねーか!」
「ひぃん! 申し訳ありませんー」
「ま、まあ、ともかくやってみよう。ええと、0X0で……きゅーれーいち……待てよ、これは」
「な、何でございましょう?」
「くそ、また語呂合わせだ」
「まあ、ではその数字が召還キーワードなのですね?」
「そんな良いモンじゃないけどな……せめて初回くらいは格好つけて召還してみよう」
魔力を込めると、手の平の上でスマホがカードのようにくるくる回る。
おお、勝手に魔法陣が出たぞ!
「速攻召還! 出でよ! クレイジータクシー!」
パッパーーッ!
クラクションの音と共にギャーギャーと激しいエンジン音。
タイヤのスリップするキュルキュルという音がしたかと思うと――
ガシャーン!
まるでガラスのようにダンジョンの壁が割れ、そこからあのタクシーが飛び込んで来た!
「おらああ! 敵はどこだあああ!」
キキーッ!
「……」
「……」
「兄ちゃん! 敵がいねえじゃねえか!」
「やっぱりこれ、敵を轢いてくれる魔法なのか……物騒な」
「普通に乗せてやってもいいぜ。便利だろぉ?」
「遠慮しておきます」
ファンタジー風にバグった運転手は危険すぎた。
「おう兄ちゃん、通路が狭くてUターンできねえ。バック誘導よろしく!」
「あっ、はい。オーライ、オーライ」
「また、いつでも召還しな。魔力点は2使うぜ」
「タクシー運転手の口から魔力なんて言葉は聞きたくなかったなー」
「運転手なんてつれない言い方はもうするんじゃねえ。俺とお前の仲だ。暮井寺
「ほぼ変わらないと思います。あと、どんな仲ですか」
おっさんのタクシーはバックしながらガラスの様に割れた謎の空間へ引っ込んで……
行かずに停車した。
「忘れてた、兄ちゃん」
「はい?」
「初乗り運賃730円だ」
「金も取るのかよ!」
「カード払いもOKだぜ!」
ご利用は計画的に。
感想とか召還とかお待ちしております!