俺が開けた扉は全てダンジョンになる件   作:っぴ

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あらすじ:悪魔を仲間にするの事。コンゴトモヨロシク


#52「喜んで頂けるのなら水着もなんのその」

「よし、解散! 帰ろう」

「えええええ! 待って! 待ってください、って!」

 

 2足歩行の羽根乳牛が、俺にすがりつこうとヨタヨタ歩いてくる。

 こわっ!

 めっちゃ怖い!

 

「そんな直立歩行する牛が住めるほど、我がオコノギ家は広くないんだ! 今回はご縁が無かったと言う事でっ! じゃっ!」

「はっ!? そうでしたそうでした! 私、人間! 人間になれます、って!」

 

 

 ボムンッ!

 

 

 ややコミカルな爆発音と共に牛がカラフルな煙に包まれた。

 煙の中から現れた人物は――

 

 きらめく金髪と泣きぼくろが印象的な美女だった。

 

 しかも……

 

「しかも薄いドレスから覗く双丘が……ファルフナーズより凄い!」

「……マサト様、声に出ているのですわ」

 

 

 はっ!? しまった! つい……

 

 

「い、いや。その、何だ。服をまた新しく追加しないとなー……なんて」

「結局、殿方は胸なのですね! 胸が大きければよろしいのですねっ!」

 

 姫様かなりお冠。姫だけに。

 だが、ファルフナーズも地球人基準では最高に大きいと思っていたが……

 それを上回るとは。

 

 訊ねずにはいられないッ!

 

「た、例えばその、頼んだら水着とか……」

「はいっ、わたし頑張っちゃいますから! ダンジョン・オープナーさんに喜んで頂けるのなら水着もなんのその、ですって!」

 

「た、たまにうっかり触っちゃったりとか……」

「恥ずかしいですって……でも、うっかりなら仕方無いかな、って」

 

「そ、添い寝とか何とか……」

「わたし、抱きついて寝るクセありますけど、それでも良ければ、って」

 

 俺は天を仰いだ。

 

 

 ついに引き当てたのだ。

 

 そう、理想のおっぱい美女を!

 

 我が一生、ここに成れりッ!

 

 

 拳を天に突き上げ、あふれる涙の熱さを噛み締める。

 

「――ッ、合格ッ! 今日からヨロシクお願いしますッ!」

「きゃああ~~ッ! メンバーの皆さん、わたし、やーりましたぁーって!」

 

 

 ファルフナーズとスクルドが口々に文句を言ってる。

 

「マー君は結局おっぱいなんじゃのー ワシももっと大人の姿になっておくべきかのー!」

「マサト様ったら色香に惑わされるなんてっ! 私が毎日こんなに頑張っておりますのにー!」

 

 なだめるのに30分かかった。

 

――

 

「まあまあ、神様をファルフナーズの世界へ招くのがこのダンジョン探索の主目的だろ?」

「それはそうですけれども……マサト様の態度が変身前と後で真逆なのですわ」

 

 なだめきれてなかった。

 

 ま、おいおい納得してもらうしか無いかー

 

「ともかく連れて行かない手は無いし、来るとなったら牛の姿で歩き回られても困るしな。しかも2本足で」

「ですがですがー!」

 

 ファルフナーズが口を尖らせる。

 

 そーゆー仕草が子供っぽいんだよな。

 まあ年相応ではあるのだが。

 

 

「で、では、今後ともヨロシクという事で握手を。俺の事はマサトと呼んでくれ」

「はいっ! よろしくお願いしますね、って! わたしの事はハーちゃんと呼んで欲しいな、って」

 

 互いに手を触れ握手を――しないで挨拶代わりのスキンシップ開始!

 

「おっとぉ!? つまずいたァー!」

「ひゃんっ!?」

 

 ハーちゃんこと、悪魔ハゲンティの手を素通りし俺の手が魅惑の丘へと向かう!

 

 超世界級のおっぱいは大きさだけなのか!? 触り心地もそうなのか!?

 

 今、右手に全神経が集中するっ!

 

 

 ピシャーンッ!

 

 

 その瞬間、俺は電撃に体を撃たれ一瞬頭が真っ白になった。

 

 

 意識が戻り振り向く。

 

 スクルドが仁王立ちのまま手をこちらに掲げ、厳しい表情になっていた。

 その手から煙が一筋。

 

 電撃を放ったのはお前か!

 

「待つのじゃ、マー君! そやつの手に触れるのは危険なのじゃ!」

「お前の方がよっぽど危険だ! 問題は無いって言ったのはスクルドだろぉ!?」

 

 スクルドの視線が俺を通り越してハーちゃんを真っ直ぐに見据える。

 

「ハゲンティとやら。貴様の権能、ドレイン系じゃな!?」

「あっ、はい。その通りですって。人間さんからドレインしたパワーを力に変えますって」

 

 ドレイン……ゲームで良くある、敵のHPを吸収するアレか。

 

「じゃ、じゃあ俺がハーちゃんに触ると耐久点吸われて死ぬの?」

「そうじゃ。いや、吸収するものは生命力とは限らぬ。悪魔だけに生命力の器、すなわち寿命そのものを吸うタイプもおる」

 

「こわっ! 寿命自体を吸われたら、いくら俺が死に戻りできても意味がなくなっちまうぜ!?」

「その通りじゃ。こやつの権能を明らかにするまで触れるのは危険すぎるのじゃ」

 

 悪魔ハゲンティこと、ハーちゃんはオロオロしている。

 

「スクルド、そーゆー事は先に教えてくれよなー」

「異なる体系の神の力なぞワシでも知らぬのじゃ。マー君が近づいて初めて力場の変動に気づいたのじゃからのー」

 

「だからって電撃で止めなくてもー」

「咄嗟の判断じゃ。そもそも見知らぬ神にいきなり抱きつく無礼者なぞ、有史以来マー君くらいなもんなのじゃー」

 

 ほう。

 人類史上最高の無礼者だったのか、俺。

 

 いや、違うな。

 見解の相違だ。

 

 そこに美女のおっぱいがある限り!

 危険を顧みず求めるのが男の本道よ!

 

「よし、ハーちゃん。神の権能とやらの情報を聞かせてもらおうか」

「分かりましたって。でもわたしのドレインはとても平和的な力で、生命力なんて吸いません、って」

 

 

「ほほー、じゃあ相手の何を吸い取るの?」

 

 

 

「毛根です、って」

 

 

 

 

「帰れ! ダンジョンの闇へ帰って! 今すぐ!」

「ええええええ! 酷いですって! とても平和的じゃないですかー、って!」

 

「うるせえ! 毛根は命より大事なんだ!」

「でもでも! 引き換えに錬金術とか使えますよー、って! 石ころが金塊になりますよ、って!」

 

「知るか! 金なんかより毛根じゃ! 返して! 俺の毛根返して!」

「ま、まだ1本も頂いて無いですよ、って……」

 

「よもや本当に俺の毛根を狙ってきた悪魔だったなんて」

「知力と知識も上がるんですよー、って。とってもお得な権能なんですよ、って」

 

 頭の中身が満ちても、外側が不毛の地じゃあなあ。

 

――

 

 スクルドが優しく俺の頭を叩く。

 

「マー君も災難じゃのー ご馳走を目の前に触れる事もかなわぬとはのー」

「くっそー、これのどこが良い神だってんだ。ハズレもハズレ、大ハズレじゃないか」

 

 ハーちゃんがビクンと怯えてひきつる。

 目には涙。

 

 可哀相ではあるが……

 

「なるべくドレインは抑えていますので、マサトさんさえ良ければ……って」

「抑えられるの!? どのくらい?」

 

「限界まで抑えて1秒1本、ですって」

「帰って頂けますか」

 

 抑えてそれかよ!

 おっぱい1秒、毛根1本か。

 

「あ、服の上からとかなら2秒で1本くらいに……ですって」

「俺の心、見透かされてる!?」

 

――

 

 うつむいて腹を抑えていたファルフナーズがフォローに入る。

 こいつ、今の今まで笑いを堪えていたな!?

 

「マ、マサト様。せっかくのご縁を頂いたのですし」

「だ、だが2秒で1本はキツい」

 

「もうっ! 淫らな事ばかり考えないでくださいまし!」

「お、『淫ら』ってファルフナーズの口から出るとエロさが増すな。もう1回言って?」

 

 

 ぺちぺちぺち……

 

 

 お姫様にはたかれてしまった。

 まあ元から非力な上に、無敵状態に保護されている影響でかゆいくらいにしか感じないのだが。

 

「ま、まあ冗談はともかく、触ったら危険な神様と一緒に暮らすのはなあ」

「誤魔化したのですわ」

「ごまごまじゃー」

 

 そこは誤魔化されてくれよ。

 

「そ、そこは大丈夫ですって。ドレイン能力の対象はマサトさんだけですから、って」

「一番ダメじゃねーか!」

 

 

 ファルフナーズがポンと手を叩く。

 スクルドも腕を組んで重々しげに頷いた。

 

「まあ、でしたら安心なのですわ」

「やはり良い悪魔だったのじゃー」

 

「俺俺、俺の安心は!?」

 

 

 神様を迎えて招くのがこのダンジョン探索の目的だ。

 それは分かる。

 

 だがいくら絶世の美女とは言え、触れたら毛根を死滅させてくる相手が側にいるとなると……

 

「マサト様、どうか……」

「マー君、腹をくくるのじゃー」

 

 ……

 

 …

 

 

 その時、草原に一陣の風が通り抜けた。

 正に奇跡。

 

 奇跡を帯びた風を古来よりこう称する。

 

 

 神風、と。

 

 

 その突風はハーちゃんの短く薄い、そのドレススカートを弄もてあそぶように通り抜けた。

 

「きゃっ、きゃあーっですって!」

 

 天国への扉は開かれた。

 黒きレースのカーテンに彩られた天国がそこに。

 

 そう、見て愛でる天国もそこにはあるのだ。

 風がそう教えてくれたのだ。

 

 

「さ、採用ッ!」

 

 

 飛び上がって喜ぶハーちゃん。

 ファルフナーズが呆れながら怒った。

 

「もうっ! もうっ! マサト様は何を見て決めたのでございますかーっ!」

 

 

 

 黒い下着は大好物。

 

 

 

 

 デビル・ぱんつ万歳




感想とか黒いパンツとかお待ちしております!
いえ、私は白も大好きですが。
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