俺が開けた扉は全てダンジョンになる件   作:っぴ

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あらすじ:みんな大好きナデナデ回。ナデナデなのでセーフ

 ナデナデが嫌いな人はスキップしてください。


#67「お嫁に行けない体にされてしまったのですわ」

「よし、じゃあご褒美にまたナデナデしてやろう」

「はい……はいですワン」

 

 ファルフナーズが頬を赤く染める。

 だがその目線はあくまで熱っぽく。

 

 さわっ

 

 優しくお姫様のピンク髪に触れる。

 

 ふるるっ

 

 ピンクの髪の間から伸びている大きな犬耳が小刻みに震えた。

 丁寧に撫で付けてやると、お姫様は目を細めてうっとりとしてきた。

 

「わふぅ……はぅ~」

 

 ご満悦の声が漏れ出ている。

 

「よ~しよし、ファルフナーズはえらいなー。頑張ってるなー」

「はふ……マサト様にお世話になっている身としては、ふにゃあ……当然ですワン」

 

 にゃあなのか、ワンなのか。

 ちょいちょいブレるな。

 

 だがご褒美ナデナデなので突っ込まない。

 

 がっつりナデナデだ。

 

 

 ナデナデ。

 

 ナ~デナデ。

 

 

「ん~、ファルフナーズは良い子だなー」

「はうう……い、妹のシャフルナーズもお世話になっているものですから。ワン」

 

 

 ナデナデ。

 

 ナデナデ~~

 

 

「ファルフナーズは良い子だから、耳の所も撫でてあげよう」

「ひゃんっ!? 耳は……耳は少々デリケートなのですワン」

 

 

 ほう、そうなのか。

 だが拒む事も嫌がる素振りも無い。

 むしろ……

 

 では一際優しく、指先で。

 

 さわ……

 

 さわわ……

 

 

「きゅううぅ」

 

 鳴き声じみた声を漏らしてきた。

 

 目をきゅっと細める。

 口も小さくすぼめて……

 

 声が漏れるのを我慢しているような感じだ。

 フレーメン現象かな?

 

 

 耳と髪の境目辺りをナデナデ。

 

「くぅ~ん……ま、マサト様ぁ」

「ん~? どうしたー?」

 

 唇が艶を帯びて来ている。

 いつもの瑞々しさが更に熱を帯びて更に湿ってきているような。

 

 耳の周りを集中して撫で付けている。

 すると徐々に耳が柔らかさを増し、ぺたりと垂れてしまった。

 

 垂れ耳、かわいいじゃないか。

 

 

「凄くたくさんナデナデして頂いたのですワン……」

「ははは、何を言う。まだこれからが本番だ」

 

 

「えっ……こ、これ以上ナデナデされてしまうのですか? ワン」

 

「俺はまだ片手。そう、片手しか使っていないんだぜ!」

 

 

 ここまでファルフナーズの髪と耳を撫でていたのは右手。

 まだ左手はフリーハンドだったのだ。

 

 

「りょっ、両手でナデナデされてしまったら私は……私は」

 

 ファルフナーズは言葉を続けられずに飲み込んだ。

 聞く必要なんて無い。

 

 これから存分に見せてもらうのだ。

 

 

 さあ第2ラウンドだ。

 

 

 ナデナデ。

 ダブル・ナデナデ~

 

「ひゃふぅ~……っん」

 

 お姫様の目が潤んでくる。

 頭を右手で撫でつつ、左手で耳をこしょこしょと。

 

「んんうっ! 耳と髪を同時は~……あっ」

 

 声がちょっとすねた様な、それでいて甘えているような声になる。

 犬耳なのに猫なで声。

 

「耳と髪、同時はダメか。ならば――」

 

 左右両手でファルフナーズの両方の犬耳を攻め始める。

 

 ナデナデ。

 ダブルお耳ナデナデ~

 

「――っひゃうんっ! みみっ、耳わっ……きゅうぅん!」

「耳は? どうなんだ?」

 

「マサト様の……意地悪ぅ」

 

 潤んで目尻に涙をたたえた瞳で見つめられる。

 上目遣いがとても可愛らしい。

 

 ビクッと体を震わせ、綺麗な眉を歪ませた。

 

「ひゃあああっ」

 

 

 よーし、良い調子だ。

 このままもっと……

 

 

 あれ?

 

 

 ひょっとして、ファルフナーズって……

 

 凄い美人なんじゃね?

 

 

「ああっ! マサト……様っ……お手が、首すじにぃ……」

 

 

 いやいや、そんなはずはない。

 確かに地球でなら一番の美少女だろうけども。

 

 まだ16歳の子供のはずだ。

 

 でもこの潤んだ瞳が……

 かなり大人びていて。

 

 

「んんっ……そ、そんなに首を撫で……撫でてはぁ……」

 

 

 いやいやいや

 

 と、とにかくナデナデだ!

 ナデナデにかけろ!

 

 ナデナデ。

 ダブルハンド・ナデナデ~

 

 

「んんぅ……い、いやぁ。マサト様あ……」

 

 

 無心でお姫様のピンク髪と耳を撫でつける。

 そうだ。

 ファルフナーズはナデナデで喜ぶ犬耳少女なのだ。

 

 ちょっとイタズラしたくらいで心を動かしてはイカンのだ。

 

 

 あれ?

 

 でも俺って、前は割と年下もストライク・ゾーンだったんじゃね?

 

 ナデナデ。

 全力でソフト・ナデナデ~

 

 

「マ……マサト様っ……お手が、お手がドレスの中にっ……ひゃあんっ!」

 

 

 俺も20歳になったせいか、年下を勝手に切り捨てていた気がする。

 いや、むしろそれはファルフナーズが家に来たからか?

 

 ナデナデナデ。

 

 

「お手が、私の……あっ、そこはダメぇ……」

 

 

 つまり、俺はファルフナーズを意識すまいと……

 俺自身が無意識でブレーキをかけていたのか。

 

 

 ふにふに。

 

 

「あんっ、あっ! マサト様んっ! 揉んで、揉んでしまっているのですわ……」

 

 

 でも意識してしまっても良いんじゃないか?

 ファルフナーズだって悪い気はしてないような素振りが……

 結構あった気が。

 

 俺の気のせいだろうか。

 

 ふにふにっ。

 

 

「あっあっあっ! んっ、くぅ……ん。も、もう私もおかしく……」

 

 

 でも俺の思い違いで、変に意識してしまっても。

 何かこれ以降の生活が気まずくなりそうだし。

 

 むにょんむにょん。

 

 

「やっやっ……んっ! マサトひゃまぁ~ も、もうファルフナーズは……」

 

 

 こうなってはもう意識せざるを得ない。

 しないようにと思っても、ファルフナーズを一人の女性として。

 

 

 ふにむに。

 両指で挟みっ

 

 くりくりりっ

 

 

「きゅうううぅんっ! んっんっ! 先っぽらめぇ~!」

 

 

 くりくり……

 

 

 ん?

 くりくり?

 

 俺は一体何を触ってる?

 

 

「も、もう体の力抜け……腰が……」

 

 ガクン

 

 ファルフナーズが膝を付いて床に崩れ落ちた。

 

 

「はっ!? どうしたファルフナーズ!」

 

 

 ようやく我に返った。

 深く考え込みすぎて、ナデナデ中だったのを忘れてた──

 

 って!

 

 いつの間にこんな事になっていた!?

 

 脱衣所で四つん這いに倒れこんだファルフナーズ。

 俺は倒れこんだファルフナーズに釣られて、覆い被さるような格好だ。

 

 そして彼女の頭をナデナデしていたはずの俺の両手は……

 

 

 ファルフナーズのドレスの中で、その豊穣な胸を揉みしだいていた!

 

 

「こ、これは一体何がどうなったんだ……」

 

 

 肩越しに振り返ったファルフナーズの瞳が涙で潤んでいる。

 紅潮した頬と目尻が少し緩んで、いつもの朗らかさが無い。

 変わりに眠たげな表情にも似た色香が漂っている。

 

 

「マサト様ぁ……私はもう……はぁッ!」

 

 ふるるっ!

 

 ファルフナーズがきゅっと目を瞑り体を震わせる。

 

 こ、これは……!

 

 

―――

 

 貴方は犬を飼った事があるだろうか?

 厳しい上下の社会性を持つ彼らは特にボス・主人への忠義に厚い。

 そして主人が彼らの忠義に十分報いた時に、犬の興奮は最高潮に達する。

 ついには最高の悦びを表すためか、あるいは興奮で緊張が緩むのか……

 

 いたすのだ。

 

 粗相を。

 

 

 おしっこを。

 

―――

 

 

「あっあっ……あーーッ!」

 

 

 シャアアア……!

 

 それは音になりきらない音でファルフナーズの太ももを濡らしていく。

 暖かく、わずかの湯気を立てるそれが、彼女に密着している俺のジーパンをも濡らした。

 

 

 凄い絵面になった。

 

 四つん這いでお漏らしをする、お姫様ドレスのファルフナーズ。

 

 それに覆い被さり、お姫様のドレスに両手を突っ込み胸をまさぐる俺。

 

 

「マサト様の……マサト様のバカぁ……」

 

 

 ナデナデして気の緩んだ隙にちょっとおっぱいをツンツン、のつもりが……

 大惨事になっているぞこれ。

 

 

「ここまでされてしまいますと、私……」

「あ……うん。はい」

 

 市中引き回しの上、磔くらいは覚悟しよう。

 死に戻り可能なうちにやってくれると有り難い。

 

……

 

 

 無言で後片付けを終えたお姫様が、俺のほうをチラチラと見る。

 かと思うと顔はそむけて、髪を撫でたり手をモジモジと組んでみたり。

 

 まあ、そりゃ気まずいよな。

 あんな事までされたものだから。

 

   

「その、マサト様……」

「あ、はい」

 

「こうなってしまっては……その」

「はい……」

 

 

 死の予感。

 さらばだ今生(こんじょう)

 

 すぐ復活するけど。

 

 

「その、責任を取って欲しいのですわ」

「分かってる。どんな仕打ちも覚悟の上だ」

 

「仕打ちだなんて。まずはお父様達に顔を」

「分かった。首を差し出すんだな? それとも顔の皮を……」

 

「えっ?」

「えっ?」

 

 ファルフナーズが首をかしげて言い直す。

 

「その、責任を取って私と結婚して頂かねば、と申しておりますのですが」

「あーうん、結婚ね。結婚」

 

 ……!?

 

 えええ!?

 

「おまっ、それでいいのか!?」

「もうマサト様の手で……お、お嫁に行けないカラダにされてしまったのですわ」

 

 そりゃ、凄い事をやらかしたけど。

 最後までしたわけでもないし……

 

 だが、拒否はできまい。

 いくら俺がヒキニートでも、そこまで男は下げられない。

 

 むしろ玉の輿でしか無い。

 

「お、俺としてはその責任、絶対に取るが……ファルフナーズさえ嫌じゃなければ」

「そんな、嫌だなんて事は……」

 

 

 モジモジしながら押し黙ってしまう。

 

「少しでも嫌なら、無かった事にしても良いんだぞ? 絶対秘密は守る」

「そんなに嫌では……もう! 恥ずかしいのですわーっ!」

 

 恥じらいながら脱衣所から飛び出していってしまった。

 

 手に持っていた、おしっこに濡れたニーソで顔を覆いながら。

 

 

 パタン。

 

 

「――って! 扉を閉めていくなーッ! おーい! ファルフナーズッ!」

 

 

 たっぷり1時間放置された。

 

 

 ガチャリ。

 

 シャフりんが扉を開けて助けてくれた。

 

 

「にーに? まだお風呂入り終わってないの?」

「脱衣所で閉じ込められてな。風呂場の方も開けられないし」

 

「本当に厄介な能力ね! ダンジョン・オープナーって!」

「全くだ……――ックシュンッ!」

 

 風邪を引いてしまいそうだ。

 

 何せ濡れた服を脱いでパンツ一丁だったから。

 

 

……

 

 

 

 その晩はファルフナーズが照れて、一言も口をきいてくれなかった。

 

「なんじゃー? マー君と姫はケンカでもしたんかいのー?」

 

 スクルドが訝いぶかしむのも無理はない。

 気まずい雰囲気は早く払拭しなければ。

 

 

 

「っぶえっくしゅーぃ!」

 

 

 クシャミと共に目が覚める。

 あー、何か頭とか尻がムズムズする。

 

 昨日は気まずいからさっさと寝てしまったんだっけ。

 

 

「マサト様、お早うございますですわ。お風邪を召したようで……」

 

 ファルフナーズが起こしに来てくれた。

 

 

「まあっ! マサト様も!」

「えっ? 何?」

 

 ふるるっ

 

 耳を震わせて毛づくろいをする。

 

 どうも今日は尻尾の据わりが良くないなあ……

 

「って!? 俺にも犬耳と尻尾が!?」

「うふふっ、マサト様とお揃いになったのですわ」

 

 どうやら俺にもライカンスロープ病が移ってしまったらしいぞ。

 

 

 だが、おかげでファルフナーズがご機嫌になった。

 いい笑顔。

 

 

 気まずかった雰囲気も吹き飛んで――

 

 

「待て、ファルフナーズ。その笑顔は何だ!? お姫様たるものニタリと言う笑いは……」

「昨晩はいっぱいナデナデされて、乙女の最も恥ずかしい姿を見られたのですわ」

 

「落ち着けお姫様。そのワキワキという手の動きはダメだ!」

「お返しにたっぷりナデナデして差し上げますのですわー」

 

「やめっ! ちょっ! ダメッ!」

 

 

 あああああーーーーーーッ!

 

 

 

 布団に七つの海が。

 世界地図が出来た。

 

 20歳でおもらしニート。




感想とかナデナデとかお待ちしております!
ナデナデシテー モルスァ!

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