つまらないものですが、気軽に見てください。
退屈だと思ったら、いくらでもブラウザバックしていただいて構いませんので…。
ー人の気持ちなど、誰にも理解できないものなのであるー
誰もが一度は思ったことはあるだろう。
俺だって例外ではない。
人の気持ち、考え、感情、何もかもが、俺には到底理解できない。したくない。する価値もない。
自分のことすら、なにも分かってないのに、なぜ背伸びして人の気持ちを考えようとするのか、意味不明であり時間の無駄だ、と俺は思っている。
人に、自分のことを理解してもらった記憶がないことへの当てつけではない。単純に、純粋に、意味不明だということである。
一歩外の世界には、人々が何かを話し、笑い合い、罵り合い、泣き合うそんな声ばかり聞こえる。そんな世界が、俺には一つの蜂の巣のように見える。
結局ああだこうだと言っていても独りなのには変わりなく、自分の巣がどこにあるかも分からず、帰り道を探して飛び回っている「蚊」のように、一言二言業務的な用事の話を血を吸うように学校で話すのみ。あとは無言で飛び回って居場所を探す毎日だ。
それで良いと思っていた。それが答え。ベストアンサー。
見ての通りだ。俺はただの捻くれた高校生。青春などという響きはもはや皆無。こうして独り思案を巡らせ続け、取り留めもない毎日を過ごしていた。
…本当今になって思う。このままで良かったのに。
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10月14日、朝、8時22分。県立石崎高等学校2年1組教室。
俺はいつものようにイヤホンを耳に押し当てお気に入りの音楽を聴きながら本を読んでいる。
音楽は偉大だ。いつでも俺の心を支えてくれる。
…と大げさなことを言っているが結局は友達のいない自分に寄り添ってくれるのが、というか離れないのが音楽なだけなんだかな。
さて、そろそろ予鈴が鳴る時間かな、と思いつつ本にしおりを挟もうとしたとき…
…………っ!?
視線を感じた…?なんだこの感覚は。
見渡しても、誰も何も見ていない。
そりゃそうだ。俺のことを見るやつなんて誰もいない。そんなの決まりきったことだ。
学校でも友達も呼べるのは一人もいない。だから俺のことを見るのは憐れみか侮蔑のどちらかしかないはずだが、今の視線はそのどれにも当てはまらないようなそんなものだった。
授業は概ね退屈に進んで行く。何事もない、淡々と過ぎる日常。これが理想だ。何も起こらない、何も変わらない日々が何よりも安心できる。それでいいと、それだけを感じながら学校生活を孤独に過ごしていた。
授業が終わり、下校時間。誰よりも早く学校を出ることに人一倍長けていると我ながら思う。帰路に向かおうと校門を出た時だった。
「…しまったな」
天気予報を今日に限ってチェックしていなかったツケが来たようだ。この季節にしては珍しいゲリラ豪雨が襲って来た。
雨宿りを余儀なくされた俺は、放課後のベストプレイス、学校近くの川沿いの橋の下に逃げ込んだ。
ベストプレイスに着くと、カバンに常備してあるコーヒーを飲む。無論微糖。ベストプレイスでのコーヒーは格別である。
さて、雨が止むまで何をしようか…読んでた本は読み終えてしまったから買いに行こうと思ってたんだがな…などと思案に暮れていると…
「…いやー、しまったなー。傘忘れるとは我ながら痛恨のミス」
声が突然聞こえた。思わずビクッと肩が上がる俺。
少し離れたところに、雨で全身をやられた女子が一人いた。制服からして、同じ学校のようだ。顔は…うん、わからん。
幸い目は合わなかった。ここで目が合って何かを言われると、何を言えば良いのかわからないからな…絵に描いたようなコミュ障である。
暇つぶしに仕方なく読み終えてる本をもう一度見返そうかと思い、適当にページをめくる。
「あ、あああなたも雨宿りなの?」
少し離れたところにいた女子らしい人の独り言か。それにしてもえらいはっきり聞こえるな。微妙に距離あるはずなんだがな。
「ねぇ、聞いてる?おーい。」
「え、俺?」
まさかの俺には言ってたパターンか。いやいや待てそんなイベントあるなんて聞いてないんだけど。
初めて俺は女子の顔を見る。容姿は…普通に可愛いと言えるレベルだ。俺なんかとは比べものにならないくらい充実した学園生活を送れるような、リア充グループに速攻入れそうだな。
ただその代わりに表情はとても強張っていた。そんなに俺が気持ち悪かったら無理して話しかけなくてもいいんだぞ?
「君はいつもここにいるの?」
女子が聞く。
「まぁ…そうですね。大抵いつもここに…いますね…」
律儀に答える俺。
「ここ、結構穴場よね。少し茂みあるから雨宿りに選ぶには勇気がいると思うんだけど。私は無難に学校から離れたところにいるからこんな近くで暇つぶししてるのは初めてだから何か不思議」
…お、おう。そうか。それは良かった。てかなんて言ったら良いのか本当わかんねぇよ。
「そう…なんですね。」
「まあ…普段一人でいる者同士だから、ベストプレイスくらいはあるよね……やっぱり似てるんだゴニョゴニョ」
最後の方が全然聞き取れなかった。話が入って来ないくらいには突然のトークイベントに焦りを感じていたため、不可解な言い回しに気づくのに少し時間を要してしまった。
「…者同士?」
「そう。私もよく一人でいるもん。知らなかった?」
「待ってくれ。俺はそもそもあなたの顔も名前も知らない…」
しかも相手は俺のことをあたかも知ってるように話している。どういう事なんだ…?
「クラス同じなのに顔も名前も知らないとは…なんたることだ…私は両方とも知ってて休み時間の過ごし方まで調査済みだと言うのに…」
…同じクラス?
俺はまじまじと彼女の顔、姿を見る。んーわからん。
とりあえずいろいろ書きたいことはあるが一つずつ潰していこう。
「あなたの名前は?」
「吉田琴音」
「俺の名前はわかるのか?」
「田中…?竹内…?」
あれ、そこはわからないのね。すんなり行こうよ。
「吉田…さんとやら、休み時間はいつも何している?」
「自習という名の人間観察」
つながりそうだ。
「もしかして…メガネをいつもかけている一番端の席の真面目キャラ全開で不思議ガールがあだ名の…?」
「ご名答」
…つながった。
県立石崎高校2年1組出席番号36番。容姿端麗超絶無口。休み時間はいつもノートに何かを書いている、不思議ガールこと吉田琴音。
普段は黒眼鏡をかけているが、今はかけていないようだ。
それに髪も下ろしている。普段なら後ろでポニーテールだというのに。
…にしても雨の日に紙を下ろす必要はないだろ。髪の毛濡れちまうぞ?
「ふーん、他人には興味ないです、みたいな顔してるのに、結構私のこと見てるんだね。ちょっと嬉しい。」
フフっと言い、優しい笑顔になる不思議ガール吉田。
…それなりに可愛いのがまた悔しい。
「俺も趣味は人間観察だからな。誰がどういう言動、行動をしているかこっそり見て、どいつもこいつもくだらないなと一人ほくそ笑むのが休み時間の過ごし方のベストだと自負している。」
「こっそり…ってところがまた捻くれてるね。田村くんの気持ちは分かるけど。どいつもこいつもくだらないんだよ。」
そう言いながらも笑顔をキープする吉田とかいう女。
やだな…女子ってやっぱり怖いな……。
てかまだ名前間違えてるし。
「さて…そろそろ私は帰るね。もうこんな時間だし。また明日学校でね。」
ふと時計を見ると、17時半を過ぎていた。もうこんな時間だったんだ。
「じゃあね、田中くん。バイバイ」
最後の最後の挨拶がこれかよ。結局名前覚えられてないんじゃん、
そそくさと、逃げるように去って行く吉田なる女。明日も学校でって…なるべく目立ちたくないんだがな。あと…
「俺の名前は田宮だっての」
いかがでしたでしょうか?
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