相変わらず文章はメチャクチャですが、ごゆるりと。
放課後、中校舎2階のトイレ掃除を終えた俺は2年1組の教室へ戻る。
目的なそう、吉田との待ち合わせだ。
「お、来たね。それじゃ、行こうか。」
そう言ってどこに行くのかも告げずに歩き出す彼女。一体どこ連れて行く気だよ……。
せっかく放課後ティータイムを決め込もうと思ったのによ…まぁ、ちゃちゃっと終わらせて帰ればいっか。
着いた場所は、特別棟3階。普段飯を食ってる屋上にほど近い場所だぅた。
とはいえ、普段からここの棟は授業でも使われていない、言わば廃墟だ。昔の備品やらを置いている物置と化した教室が多いイメージだ。人通りもほとんどないこの棟だからこそ、俺のベストプレイスは存在している。
「人通り少ないよねーやっぱり。人とすれ違うのすら嫌いそうだからピッタリかな?」
そうだよ。まったく、明るい声でなんて暴言吐いてるんだよこの女は。
そんな特別棟の部屋、プレートにも何も書かれていないその場所からは、男子二人の笑い声が聞こえる。
深呼吸を一回して、彼女はノックをして入室。
「連れて来たよ。新入部員」
さっきのトーンとはえらい変わって、聞こえるか聞こえないかのトーン。
「お、おう、とうとう来たか!」
「やっと念願の新入部員か。」
部屋に入った俺の目にまず飛び込んで来たのは、小綺麗に整えられた机、コーヒーカップ、そして何故か人災ゲームを始めとしたボードゲーム一式。そして男子二人。
一人は長身イケメン金髪。もう一人は低身長黒髪黒縁メガネ。
…なんだ。どこなんだここは。
「まあまあ、とりあえず座ってよ。新入部員くん。」
そんな景色にあっけに取られてたのか、2人いた男の一人に話しかけられたのに気づかなかった。
「.あ、すみません……」
それともう一つとんでもないこと言われたような気がするんだが気のせい…だよな。うん。
「っていうか、新入部員ってどういう事ですか?まさかとは思いますけど、俺が新入部員…?」
「あれ、先生からは、『ボランティア部に入りたい男子がいる』って聞いてるんだけど、違ったの?」
「違いますよ。一言もそんなこと言ってません。人違いじゃないんですか?」
「友達いないから、友達付き合いを体験してみたくて…ってのを吉田に相談したんじゃなかったのか?それで、ウチ来たら良いじゃんって勧められたって、顧問の先生から聞いてるんだけど。」
俺がボランティア部に入部?はぁ?そんな話一言もしてなかっただろ。
「誰だ、そんなこと言いふらした奴は…お前か!?」
友達付き合いを体験してみたい?なんだそれは。そんなもの一ミリも欲していない。冗談だとしてもタチの悪い。
吉田の方をじっと睨む。バツの悪そうな表情をしていた。
「違うよ。言いふらしたのは先生で…確かに田宮くんにも、学校での友達が必要かなぁーってのは思うよ?」
「余計なお世話だ。そんなんで俺が喜ぶと思ってたのか?」
騙された、バカにされた、という不要な怒りの矛先を吉田にぶつける。みるみる吉田の表情が陰る。
そんなことお構いなしに、おれは畳み掛ける。
「もともと俺は友達なんて要らないんだよ。こうやってバカにされて、騙されて、あいつは滑稽だったと、今日の飯のお供になるくらいなら、初めからそんな関係は要らないんだよ。うっとうしい。迷惑だ。」
そう言って部屋を立ち去る俺。
自分でも分かっている。
これが本心ではないことを。
思いとは裏腹に、言葉を吐き出してその場を去る。
ここは、俺のいて良い場所じゃない。どこもかしこもそうなんだ。
特別棟を出たところだっただろうか。吉田が俺の腕を掴んだ。
「田宮くん!ごめん…違うの…」
その表情は見えなかったが、声と身体は明らかに震えていた。
…泣かせてしまったか。面倒だな。
「何が違うんだよ。友達ごっこと称して友達のフリをして、その一部始終を身内と共有して、笑い者にしてたんだろ!?違うのかよ!!そうなんだろ!!?」
出てくる言葉は汚いものばかり。
結局、素直になれない自分が一番面倒なんだ。
「違うの。頼まれたの。田宮遼くんをここにつれて来なさいって。顧問の……田宮先生に。」
「…………」
「田宮…先生?」
…そういうことか。
全て納得してしまった自分が情けない。
田宮先生、とは呼びたくないが、あのクソ姉貴、なんてことしてくれてんだよ。
田宮絆。8歳年上の俺の姉。県立石崎高等学校の国語教師として、日々授業の準備やら教師付き合いやら、忙しい社畜教師生活を送っている(姉貴談)。人当たり、スタイル、性格何もかもが男の理想とも言える。
友達ガー、彼女ガーと、兎にも角にも俺のことを気にかけてはちょっかいをかけてくる。その上秀才、運動神経抜群のため喧嘩も強いときたもんだ。勝てる相手ではない。
よりにもよって、姉貴が部活の顧問とは…しかも俺を巻き込むかね。
はぁーーーー…と長めのため息を一つ。
「分かった。分かったよ。帰るのはやめておく。とりあえず話聞いてみるだけはするから。」
肩を落としてうなだれる俺。一方、引き止めに成功した方は、
「本当に!?ありがとう!!」
輝かんばかりの笑顔だった。眩しい。可愛い近い良い匂い可愛い。
「ていうか、さっきまで泣いてたのが嘘みたいだな…。」
「うるさい。それは言うな。殴るぞ。」
むくれて俺を睨みつける吉田。
なんと言うか…不思議ガールやネガティヴ少女には見えないな。そのキャラ。
なんにせよ、部活に入るかどうかは、とりあえず後の2人との相性次第だな。意気投合するとは限らんだろうし…
ーーーーーーーーーー
30分後、ボランティア部部室。
「田宮くん、マジでおもろいわ。そこら辺のクラスメイトより話してておもろい。この捻くれは一体何食ったら出てくるん…?いや、本当に吉田の友達か?ってくらいだな。」
「おいこら桧山、ところどころ褒めてないだろ。田宮くんの考え方には、概ね同意できる。人の気持ちを理解できない、ってのはすごくよく分かる。人付き合いが面倒なのも、俺もたまにあるからね。そう言う考え、もっと聞かせて欲しい」
2人にとっておれはツボだったらしく、結局(2人の中では)意気投合しました。俺の目論見ことごとくダメじゃね?
帰り道、今日起こった出来事を振り返ってみた。
とりあえず、いろいろと分かった事があった。
一つ目
部活は基本週1か2。金曜日放課後の定例会議と、土日どちらかにイベントの手伝いがあればそこに参加する。という活動内容らしい。
二つ目
桧山と足立の二人は、幼稚園からの幼馴染。二人でこの部活を立ち上げ、姉貴の紹介で吉田が入ったらしい。
三つ目
その桧山と足立は仲よさそうな雰囲気だが、二人と吉田となると、そういうわけでもなさそうだった。むしろ、避けてるまでありそうな、そんな感じだった。
桧山と足立のセットで、俺に質問責めをしてた時、吉田は本を読んでいた。こういう時は、俺の答えとかに反応を示すものではないのだろうか…とも思ったが、居場所がない、となると入りづらかったのかもしれない。
だがそうなると、矛盾している点がある。
俺に対する態度だ。
これまで吉田と接してきた中では、あいつのキャラは確かに不思議ではあるが、明るいというイメージがあった。その明るさが眩しいこともあるが。
だが、あの二人が同じ空間にいる時は、嘘のように静かである。
まぁ、便所飯をするくらいには友達がいないみたいだし、もともと静かな性格なんだと思う。それなら、俺にもその性格でいて欲しいものだがな。もう遅いか。
なぜ俺にはあんなに物事をハッキリ言える感じで接する事が出来るんだろうか…?
ーーあいつも、もしかして…ーー
「アホか。そんなわけあるかよ。」
俺は独り言を吐いて、空を見上げる。
夕日が沈みかけていた。
今回はここまでになります。
それではまた次回で。