【帰り道にて】
「……麻婆食いたい」
『唐突だな』
「疲れたんだから良いだろ別に……泰山行くか」
『泰山?』
「正式名称、紅洲宴歳館・泰山な。居候先の神父に教えて貰ったんだがあそこの麻婆豆腐がめちゃくちゃ美味いんだよ」
『ほう、では味覚を共有させておくか』
「あ、あそこの店な」
『うむ楽しみだ』
そこは全ての窓がカーテンに仕切られており中の様子を伺う事は出来ない
そして扉を開き中に入る
「いらっしゃいアルー!」
店に入った竜牙(+イビルジョー)を出迎えたのは幼女と言っても疑われないであろう女性
半袖のチャイナドレスを着て前掛けを締め頭の左右で髪をシニョンでお団子にまとめた彼女こそ紅洲宴歳館・泰山店長
「竜牙久しぶりアルネ!」
「最近忙しくてねー」
「アイヤー、でも来てくれて嬉しいアルヨ!所で今日一人アルカ?」
「今日は学校帰りだからね」
「あー、だから制服アルカ。所でメニューはいつもので良いカ?」
「勿論!」
『さっき言ってた麻婆豆腐か、楽しみだ』
「おう、絶対気に入るから楽しみにしてろ」
この後恐暴竜の悲鳴が彼の頭の中で轟いたのは完全に余談である
【竜牙が帰った後の部室】
「痛たた……」
「大丈夫ですか部長!?」
「え、ええ大丈夫よ。それよりもアーシア?」
「は、はい!」
「さっき離れろと言ったけどあれは何なの?普通の祈りでは無いわよね?」
「……あれは洗礼詠唱と呼ばれる聖堂教会において、唯一習得が許される奇蹟。主の教えにより迷える魂を昇華し、還るべき「座」に送る簡易儀式です。よって普通の祈りよりも悪魔に対する苦痛は桁違いです」
「……聖堂教会?」
「「普遍的な」意味を持つ一大宗教。
その裏側に存在する組織。
教義に反したモノを熱狂的に排斥する者たちによって設立された、「異端狩り」に特化した巨大な部門。これを聖堂教会と呼びます」
「という事は、彼は天界側の人間……?」
「……多分違います」
「小猫?何か知ってるの?」
「……先輩の家は教会ですが、もう既に追放されてるとそこ神父さんが言ってました」
「小猫、貴女彼の家を知ってるの!?」
「小猫ちゃんアイツの家知ってるの!?」
「は、はい……というより兵藤先輩は毎朝一緒に登校してるの見てますよね?」
「も、もしかして毎朝アイツの家に行ってるの?」
「……(コクン)」
「あの野郎ォォォォォ!!!」
「それよりも小猫、何故私に報告しなかったの?この街は私が管理してるのだから私にそういう教会があるかは報告するべきでしょう?」
「……この街がどうか微妙な所だったので」
「どういう事?」
「……先輩の家はこの前の廃れた教会では無く、駒王と隣町の冬木にある丘の上にある教会、【冬木教会】です」