東方Projectかと思ったらFateでした 作:働きたくないでござる
色々と忙しいものだったので。
待っている人が居るかはわからないですが
第5話 戦争の狼煙
どうぞ!
とある空間。
そこには二人の人物が空間に空いている複数の穴からコンテナが並ぶ倉庫街を見ていた。
「私の予想が正しければ今夜ここで戦争がはじまるわ。」
二人の片割れの女性―八雲紫は自身の能力によるスキマを使い倉庫街の至る所を注意深く見ている。
「よく、あそこで戦闘が起こるとわかったもんだな。」
もう一人の片割れ―ルーラー『月の英雄』は紫へと視線を向ける。
ルーラーの視線に気付いたのか紫は視線をスキマの向こうからルーラーへと移す。
「今回参加しているマスター達の性格、それと英霊のクラス
それと、現在の位置。これらを把握して予想したのよ。
結果、ここが戦争が始まる場所として確率が高かったの。」
紫は全マスターとその英霊のクラスを把握している。
紫の『境界を操る程度の能力』を使いマスター達を絞込み監視していた。
英霊の真名まではわからなかったが英霊のおおよその性格は把握している。
「『境界を操る程度の能力』。敵に回したくないものだな。
いや、その能力を十全に扱う紫だからこそか。」
「あら、褒めても何も出ないわよ」
紫はどこからか扇子を取り出し、口元を隠す。
二人の仲は悪くない。むしろ良好といっていいだろう。
ルーラーを召喚してから三日。
その三日にお互いのことは殆ど把握している。
紫は幻想郷にいるルーラーの知り合いから聞いたのと自身が見てから
ルーラーは前世の記憶を思い出しながら自身で見て。
「それよりも、ルーラー。あなたの強みしっかりと理解できているわね?」
紫は扇子で口元を隠したまま視線をスキマの向こうへと向ける。
「ああ、勿論だ。」
ルーラーも視線をスキマの向こうへと向ける。
紫が言っているルーラーの強み。
本来ルーラーにはルーラーならではの特典がある。
対魔力、真名看破、神明裁決。これら三つをスキルとして持ちスキルには無いが10キロ四方に及ぶサーヴァントに対する知覚能力がある。
ルーラーとは本来、聖杯戦争を管理するサーヴァントだ。
管理するためには時にサーヴァントをも相手にしなければいけない。
相手をするサーヴァントが自身より弱ければいいが、もし自身より強い場合管理ができなくなる。
だからこそ、ルーラーは英霊同士の戦闘では有利にあるような特典がある。
対魔力は文字通り魔力に対抗するためのスキルだ。
これにより洗脳などを受けづらくする。
真名看破も文字通り英霊の真名を知るスキルである。
英霊とは過去の英雄の一側面であり、伝承に左右される存在だ。
英霊は伝承通りの弱点を持ち反対に強さを持つ。
例をあげるとすればジークフリートは竜の血を浴びたことにより甲羅のように硬い体を持つ。しかし、血を浴びた時に背中に菩提樹の葉が一枚張り付いておりその部分だけが柔らかい。
伝承通りに背中に攻撃を受ければジークフリートは弱体化し倒せるだろう。
このように英霊にとって真名看破は強力なスキルである。
神明裁決。これはルーラーにとって奥の手であり最強のスキルである。
このスキルは令呪を各サーヴァントに対して二画保有することができる。
令呪とは本来マスターが召喚したサーヴァントに対する三回までの命令権を得る刻印である。
刻印は全部で三画あり、その一画一画が強力な魔力を持っている。
その一画を消費し、サーヴァントに対して絶対的な命令を出せる。例外はいるが、これによりルーラーは聖杯戦争を破滅させるサーヴァントに対して他のサーヴァントを使い一方的に倒すことも自害させることができる。
又、サーヴァントの強化としても使え、その力はかなりのものである。
そして、ルーラーとして召喚された『月の英雄』はこのスキルを持っているが十全に扱えない。
ルーラーとしての適性を持たない彼をルーラーとして無理やり当てはめたからだ。
結果として真名看破はクラス看破に神明裁決は自身にしか使えないものとなった。
しかし、これがあるのとないのではかなりの違いがるためルーラーの強みとなる。
「令呪を使えば能力を生前までの力で使えるだろう。
タイミングを間違えないようにしなければな。」
「ええ、期待しているわ。
神々さえ斬ることができるあなたの能力。それと、300年鍛え続けたあなたの実力。どんな強力 な英霊が出たとしても勝てるはずよ。」
ある街の倉庫街にて剣戟の音が響き渡る。
そこでは一人の剣士と一人の戦士がお互いの得物で相手の命を奪おうと戦っていた。
一般人が見れば何が起きているかわからないだろう。
現世の戦争という名には程遠いほどの日本で見つかれば、警察のお世話になるほどの獲物を持つ二人がとてつもない速さで動き回り、何かと何かをぶつけた音が響くだけ。それほどまでに二人の攻撃は早く鋭い。
一人の剣士は見えない得物を振るい、それをもう一人の戦士が二本の槍で防ぐ。
その様子をスキマを通して紫とルーラーは見ていた。
「恐らくあの見えない得物を持っている少女がセイバーで
二本の槍を巧みに使う男がランサーだろう。」
ルーラーは二人の戦闘を見ながら観察している。
「ええ、セイバーのマスターは衛宮切嗣。ランサーのマスターはケイネス・エルメロイ・アーチボルトね。」
紫は戦闘が見えるスキマでなく他の場所を写しているスキマを見る。
「セイバーのマスター衛宮切嗣は囮のマスターを使って他のマスターを暗殺するつもりのようね。」
紫が見ているスキマにはコンテナに隠れながらライフルを構えている切嗣がいる。
「ランサーのマスターケイネス・エルメロイ・アーチボルトはランサーを魔術で強化しながら辺りを警戒している。囮のマスターとは知らないけれど魔術殺しと呼ばれている衛宮切嗣がいることはわかっているみたいね。」
「ああ。衛宮切嗣のやり方は効率がいいし、エルメロイの方はそれがわかっているからこそ慎重に行動しているようだ。」
ケイネスは魔術を使いランサーを強化しながらも使い魔を使い周りを警戒している。
切嗣はそれがわかっているからこそ迂闊に動けない様子だ。
「まさか、時計塔の魔術師がここまで厄介とは思わなかったわ。」
紫はランサーに視線を向けながらも目が鋭くなる。
「エルメロイは才能もすごいが努力をしているのだろう。
強化の魔術は自身にかけるのは簡単だが、他人に、ましてやサーヴァントにかけて戦わせるのは難しい。」
本来、強化魔術とは存在を強化し高める魔術である。
ナイフならば切れ味と強度が上がるという感じだ。
しかし、これは無機物だからこそであり、自身の魔力は生物には通しづらい。かなりの難易度になるものだ。
「ランサーはエルメロイの強化魔術と治癒魔術によりセイバーを徐々に追い詰めていると言ってもいい。
対して、セイバーの方は見えない武器といものは恐ろしいが慣れれば対処できるものだ。そして、現在それでも己の武器を見せないということは武器=真名看破につながるということだろう。」
「セイバーのクラスを持ちAランククラスのサーヴァントで剣を見れば正体に繋がる英霊。絞ることは出来るけれどまだ足りないわね。」
二人がセイバーとランサーの実力、真名を探っているとセイバーとランサーはお互いに距離をとった。
会話は聞こえないがランサーの闘気が膨れ上がり二本槍に巻いてある布を解いていく。
「どうやら、ランサーはここで決着をつけるつもりらしい。」
ルーラーはランサーの目と闘気の膨れ上がりを見てその武器を注視する。
「紅と黄金の槍を巧みに扱いきれる実力。そしてまるで女性を魅了する泣きぼくろ。これは決まりだな。」
うっすらと記憶の中にある物と見ているものを照らし合わせるルーラー。
「ええ、まだそうだと決め付けるわけではないけれどその通りでしょう。」
自身の知識と勘。そして、ケイネスの性格。それを思慮して導き出す紫。
「ケルト神話に出てくるフィオナ騎士団のディルムッド・オディナ。
かなり、強力な相手になりそうだな。」
二人がランサーの真名を導き出したところでランサーはセイバーに向かって紅の槍を突き出す。
セイバーは見えない得物で防ぐ。それはしっかりと槍を抑えた。
しかし
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
防いだセイバーの得物が槍に触れると同時に金色の光を放つ。
「どうやら、ランサーの紅槍は魔力を打ち消す効果があるみたいだな。」
「ええ、これでさっきの推測の確率が上がったわね。それよりも」
「ああ、セイバーの得物・・・いや、剣は黄金の剣。
これはいい情報が取れたものだ。」
ルーラーはセイバーの正体も予測できたらしい。
対して、紫も予測できたみたいだが顔には冷や汗が流れている。
「黄金の剣、竜の魔力。そして、漏れ出した聖なる力。つまりは聖剣。」
「それもかなりの聖なる力だ。お前は一撃貰うだけでもいや、余波だけでもきついのではないか?」
紫は妖怪である。
妖怪とは元来悪しきものであり、聖なる力はそれを浄化する。
つまり、妖怪である紫に対してはとてつもなく厄介なものである。
「確かにあの聖剣は私にとっても厄介よ。
それでも、やりようはあるわ。」
そして、倉庫街でも動きがあったようだ。
セイバーは傷を受けている様子があり、どうやらランサーの紅槍が鎧の上から刺さったようだ。
その傷をセイバーの後ろにいる金髪の女性―アイリスフィール・フォン・アインツベルンが治癒魔術をかけて傷を治していた。
セイバーは自身の傷を見てまとっていた鎧を消す。
「サーヴァントの防具は基本的に魔力で編まれている。
あれは宝具の鎧でないと防ぐことが難しいだろう。」
「そして、私たちの予想が正しければあの黄槍は・・・。」
セイバーは剣にまとっている魔力を解き放ちランサーへと飛び出す
ランサーは紅槍を前に向け向かってくるセイバーを迎え撃つ。
「それは悪手よ。」
それを見ていた紫は呟く。
結果は紫の言葉通りだった。
ランサーは紅槍でセイバーの黄金の剣をいなし今まで地面においていた黄槍を蹴り上げセイバーへと振るう。
セイバーは咄嗟に体をひねり黄槍をかわそうとするが左腕を切られたようだ。
「ディルムッドの紅槍は魔術を打ち消し黄槍は治癒不能の傷を負わせる。」
「いくら、あの騎士王といえどあの傷は直せないでしょうね。」
セイバーはランサーから距離をとり治癒魔術をかけてもらうが回復する予兆は見せない。
「もし鞘を持っていたとしてもあの傷は治すことができないだろう。
あの鞘は不老不死と無限の治癒能力を与えるものだがあの黄槍は最大体力の上限を削るようなものだ。」
「それ故に体力が上限だから、回復はしない。」
セイバーはそのことを確認すると改めて鎧を纏う。
どうやら、治癒不能の攻撃を受けるより魔力を打ち消す槍を相手取るほうがいいとの判断だろう。
セイバーは改めて黄金の剣を構える。
そして、二人が再び激突しようというところで雷が落ちる。
「Alalalala-i」
空中から野太い声と共にチャリオットが降りて来る。
「あれはライダーか。」
男の乗っているチャリオットがセイバーとランサーの間に降りると声をあげる。
「双方武器を収めよ!王の前であるぞ!」
その声はルーラーと紫のもとまで聞こえてくる。
特別、大きい声ではないが自然とその声が聞こえてくる真っ直ぐさがあった。
男はセイバーとランサーの顔を見て頷く。
「我が名は征服王イスカンダル。此度はライダーのクラスを得て現界した。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「よほど自身に自信があるのか。」
「それとも馬鹿なのかしら。いえ、彼はイスカンダルと名乗ったということは馬鹿というわけじゃないと思うのだけど。・・・そうよね?」
ルーラーは呆れており紫はあの男にかつて世界を征服しかけられたということを信じだく内容だ。
これにはライダーのマスターも絶叫しているようだ。
それもそうだ。自身のサーヴァントの弱点にもつながる真名を自分から叫んだのだから、頭も抱え込みたくなるというものだ。
『誰かと思えば私の聖遺物を盗んだウェイバー君ではないか。』
倉庫街に声が響き渡る。
その声はランサーのマスターケイネスの声だ。
ケイネスの声を聞いたライダーのマスターウェイバー・ベルベットは体を跳ねさせる。
『私が使う予定だった聖遺物を使って呼び出したのがそこにいるライダーかね。』
「応とも!」
ケイネスの声にライダーは大きく頷く。
『ふむ。どうやら君が盗み出してくれて助かったようだよ、ウェイバー君。私ではライダーを御しきれないし性格も合わないだろうさ。』
そのケイネスの言葉にウェイバーは顔を恐る恐るあげる。
『それに君ならば彼の征服王とは相性がいいだろう。』
続けて放たれた言葉にウェイバーは驚いている。
『なにを驚いている。私は君の実力は評価に値している。
ただし、才能がないのが残念だかね。』
「ほう、貴様かなりいうではないか。」
『これはこれは彼の征服王に褒められるとは身に余る光栄。
しかし、これは聖杯戦争。生徒といえど容赦はしないつもりだ。』
「然り。手を抜かれたとあればとんだ興ざめである。全てを蹂躙するから征服なのだ。」
ケイネスから続けて放たれる言葉にウェイバーは嬉しいような微妙な顔をしている。
「しかし、貴様は姿を見せない。我がマスターは無理矢理といえどこの場に姿を晒している。これではマスターの器では勝敗はついたというものだろう。」
『確かに度胸という意味でならば私は腰抜けだろう。
しかし、横槍を入れる者が常に狙っているというのならば私は姿を隠そう。私の目的は聖杯戦争に勝つことであって、蛮勇を示すことでないのでな。』
ケイネスの視線が切嗣がいる方へと向く。
それを切嗣は勘が働いてかその場を急いで離れる。
「ふむ確かにこの場を覗いているのがかなりいるだろう。」
それに続きライダーの視線はジブクレーンへと向く。
そこには先日アーチャーに倒されたアサシンがおりライダー以外の視線が向く前に闇に紛れるように消えていった。
「他にもおるだろうが!闇に紛れて覗き見をしておる連中が!」
ライダーの声が倉庫街に響く。
「先ほどのセイバーとランサーの競い合いに惹かれて出てくるのかと思ったが未だに見物とはのう。」
ライダーがため息を吐き片腕を上げて叫ぶ。
「聖杯に集いし英霊たちよ今ここに集うがいい!
尚も姿を見せぬ臆病者ならば征服王イスカンダルへの侮蔑へと知るがいい!」
紫はライダーの叫びを聞きルーラーへと顔を向ける。
「ルーラー。」
その顔はこちらを試すようにそしてルーラーを期待するような感情が含まれていた。
「安心しろ紫。俺もあそこまで言われたのならばでなければな。
俺は『月の英雄』だ。英霊としてのプライドがある。それに・・・・・・お前が呼んだ俺が最強でないはずがないだろ?」
「ええ、行くとしましょう。」
紫はスキマを開く。その先はセイバー、ランサー、ライダー達の真上。
「さてと、聖杯戦争。本格的に始めるとしよう。」
ルーラーと紫が隙間を出ると同時に倉庫街の街灯の上にも一人の英霊が出てくる。
「我を差し置いて王を名乗る不埒ものが一夜に二人もわくとはな。」