Dr.ゲムデウス   作:(´鋼`)

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Nightmareの再来 パート3

「仮面ライダー……クロノス……!でもあの人は確か……!」

 

 

『あの場にクロニクルガシャットさえ無かったのは覚えている!だが……何故この世界に居る!?』

 

 

「『檀正宗!』」

 

 

 

【RESTART】

 

 

 

 目の前のクロノスがバグルドライバーのABボタンを同時に押すと、時が動き始めた。時が動いたことによって周囲の人間の時間も動き出し、ヒースクリフとMはデウスを見やる。

 

 

 しかしデウスだけ違った方向を見ていた為に、その2人もデウスが向けている視線の先を見た。

 

 

 

「ッ、クロノス!?」

 

 

『どういう事だ!?檀正宗なら既に!』

 

 

 

 Mが空を見て叫んだことで、全員がそちらを見やった。そして仮面ライダークロノスの姿に驚愕していくプレイヤーが続出し始めた。

 

 

 当たり前だ。仮面ライダークロノスとは4年前に震撼させた画期的なARとVRを融合させたゲーム【仮面ライダークロニクル】の中に登場する“伝説の戦士”、そんな存在が4年の時を経てSAOに現れたことが信じられないのだ。

 

 

 そして空に現れた仮面ライダークロノスは、下を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

〔諸君、()()のゲームへようこそ〕

 

 

「なに……?」

 

 

 

 その発言でヒースクリフが苛立ちを覚えたのも束の間、空に浮かび上がる仮面ライダークロノスは続けて言った。

 

 

 

〔このマスター権限は今や、私の手の中にある。この世界を私の思うがままにすること……そんなこと今は容易い。例えばだが

 

 

 ()()()()()()()()()こともなぁ〕

 

 

 

 そこでやはり騒がしくなる人間が多数いる。しかし騒がしくなる中でも、これはチュートリアルの1巻だとそう思っていた。だが茅場晶彦が、仮面ライダークロニクルのボスを参加させるのだろうかと予想するプレイヤーも居た。

 

 

 そして後者を予想した人間は、それが当たっていたことを知る。

 

 

 

〔半信半疑みたいだな諸君。ならば真実を見せてやる〕

 

 

 

 すると仮面ライダークロノスの両隣や、プレイヤー付近の上空にホログラム映像が流れ出した。しかしそれは単なる映像ではなく、()()()()ことを発表するニュースであると。

 

 

 

〔この序盤で死んだプレイヤーが居るだろう?そしてそのプレイヤーが何故帰って来なかったのか、疑問に思わなかったのか?

 

 

 もう既に()()()のだよ。そのプレイヤー達は〕

 

 

 

 そうして映し出される映像に、心当たりのある人物が発見することで……この映像にも仮面ライダークロノスの発言にも信憑性が高まった。同時に恐怖も与えた。

 

 

 

〔君達の装着しているナーヴギア……もしそれを無理やり外した場合でも君達は死ぬことが決められている。

 

 

 そして君達のHPバー……それが無くなったとしても、現実の君達は脳を焼かれて死ぬのさ。これが……私の決めたルールだぁ。

 

 

 ではこの事態を解決するにはどうするか?

 

 

 簡単な事だ。君達が100層にまで到達し、あるボスを倒してもらえれば君達は元の世界に戻る事が出来る。それが……コイツだ〕

 

 

 

 全てのプレイヤーの上空に、大きく映し出されるホログラム。そして映っていたのは……驚愕すべき存在であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()。仮面ライダークロニクルのラスボスだ……コイツを100層で倒せば、君達の命は保証しよう〕

 

 

「「「 なっ!? 」」」

『私……だとっ!?』

 

 

〔さぁ諸君!1万人のプレイヤー諸君!

 君達の運命を決めるゲームを始めようではないか!

 

 

 ソードアート・オンラインという微温(ぬるま)湯のゲームではなく!

 

 

 【クロニクルアート・オンライン】またの名を……

 

 

 

【CAO】を!

 

 

 

 

 もう1つの現実を!とことん楽しむが良いィ!〕

 

 

 

 そうクロノスが言い切ると、全プレイヤーが光に包まれる。

 

 

 

「ッ!?な、何が起きて!?」

 

 

 

 誰かがそう叫んだ途端、光が治まった。しかし治まった後で気付いたのは……最も面倒なことであった。

 

 

 

「……!先輩、顔!」

 

 

「顔……?一体どういう……」

 

 

()()()なんですよ!多分全員!」

 

 

「…………何だとォ!?」

 

 

 

 そう、全てのプレイヤーがリアルそのものとなっていたのだ。これではパニック所の騒ぎでは無い。全てのプレイヤーの個人情報とも言える“顔”が、仮想世界で暴かれた状態にあるのだ。

 

 

 特に著名人である茅場晶彦(ヒースクリフ)や、その他の有名プレイヤーの本当の性別や顔など……様々な問題が起きている。全員パニックに陥っている中で、ヒースクリフは素早く頭装備にフードを装備する。

 

 

 

「先輩、いつの間に……」

 

 

「慌てず騒がす不明のプレイヤーで行こうと予定していたが……とんだ誤算だった。まさかここで使うとは」

 

 

「用意周到ですね……でも今は全員を!」

 

 

 

 デウスとMは互いに頷いて、大声を出しながら広場を駆け巡る。

 

 

 

「落ち着いて下さい!皆さん落ち着いて!」

 

 

「CRから派遣されましたドクターです!皆さん落ち着いて!」

 

 

「ドクター……?まさか、CRって……仮面ライダーだ!仮面ライダーが来てくれた!」

 

 

 

 一先ずは……といった所だろうか。しかしまだ混乱は治まっていない。このままではパニックが蔓延して恐怖を与え、終いにはクリア出来ても後遺症が残ってしまう恐れがあった。

 

 

 そして今のドクターの数と、プレイヤーの数では割に合わない。仮面ライダーが駆けつけてきた事により安堵する者や、未だにパニックとなっている者と2分されていようと対応に追い付かない。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな時、広場の何処からか気持ちの良い音楽が流れてきた。ハーモニカの音色から始まり、次にギターの音色が流れる。その心地良さに誰もが足を止めて、その音色のする方向を見た。

 

 

 男プレイヤーが2人。それぞれ大剣と短剣を装備しているのだが、デウスとヒースクリフの両名はそのプレイヤーに既視感を覚えていた。というよりもあのプレイヤー2人に対しては特に覚えていた。

 

 

 デウスは1度、βテスト時に戦った相手として。ヒースクリフは自分の想像力を掻き立ててくれたプレイヤーの2人として。

 

 

 

「あの人達……って、まさかあの時の」

 

 

「あの2人は……『ゼロ』と『バダン』……」

 

 

 

 短くも体感時間では長く感じた。そしてその音楽に聞き惚れた全員が足を止めて、結果自殺者というのを殆ど出さずに済んだ。そう考えて良いと思ったデウスとMは少しだけ安堵した。

 

 

 

「お前ら!何しれっと自殺しようとしてんだよ!?

 アイツが言ってただろ!?あのゲムデウスとかいうボスを倒せば良い話じゃねぇか!

 

 

 お前らが自殺する度に、そんなチャンスが減っていって……終いには誰もラスボスを倒せはしねぇだろ!

 

 

 だが俺達には何がある!?

 お前らが装備しているのは何だ!?

 

 

 ()()()()()だろ!

 だったら武器を取れ!そして叫べ!

 俺達は必ず現実(リアル)に帰ると!

 そう信じて死なねぇ様に生き延びろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ……そうだ!」

「俺達には今、武器がある!」

「100層目指してゲムデウスを倒せば、俺達は帰れるんだ!リアルに!」

「けど怖い……でも、怖いって言って現実で死ぬのはもっと怖い!」

 

 

「その気がありゃあ充分だ!だったら100層に辿り着くまでに鍛え上げろ!そしてラスボスにトドメをさして、ゲームクリアさせるぞ野郎共ォ!」

 

 

『『ぉおおおお!』』

 

 

「な、何て先導力……!」

 

 

「けど、これだと皆が頑張っていける気がするよ」

 

 

「…………」

 

 

 

 その先導力は約1万人の中の男衆の決意を固めた。

 その先導力は約1万人の中の女衆の決意をも固めた。

 

 

 彼、ゼロは特に人望に優れたプレイヤーだ。それは現実でも変わりなく、殆どの者が彼を頼ったりする。

 

 

 まるでそれは“光”、とても大きな光であった。

 

 

 しかし1万人を束ねようとして、打倒ゲムデウスの発言をしたのは……ある意味不味かった。ヒースクリフやM、パラドや檀黎斗が……そしてデウスと、ラスボスに指定されたゲムデウス自身もが“葛藤”を抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あき……ら……?」

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 ふと、デウスの本名を知るプレイヤーから声を掛けられた。振り向くと、そこにはデウス(高山明)が愛する女性の姿があった。

 

 

 

「優美……優美なのか?」

 

 

「やっぱり……明だ……!」

 

 

 

 目に涙を浮かべながらデウスに抱き着く優美。それを優しく受け止めたデウスは、少し躊躇したものの頭を優しく撫でた。

 

 

 

「助けに来てくれた……私のヒーローが……!」

 

 

「……あぁ、助けに来たよ。僕が……()()が」

 

 

 

 人目をはばからずに抱き着いている2人を見て、女性陣は赤面し男性陣はポカンとしている。そして何やら、何処かで動きがあったみたいだ。

 

 

 

 

 

 

()()!」

 

 

「……この声は、確か」

 

 

 

 声のする方向を見ると、特徴的な栗色の髪の毛をたなびかせてやって来る1人の少女が。

 

 

 

「明日奈ちゃん!?」

 

 

「先生!やっぱり先生だ!」

 

 

「姉ちゃんほら!仮面ライダーの先生居るって!早く早く!」

 

 

「ちょ、ちょっとユウキ!」

 

 

「まさか……っ!」

『……おいおいマジか』

 

 

 

 そしてやって来る2人の少女。短髪と長髪の女の子2名がデウスの元へやって来る。

 

 

 

「木綿季ちゃん!?それに藍ちゃんまで!?」

 

 

「……せ、先生!」

 

 

『今度の声は……もう大方予想が付いてしまったが』

 

 

 

 そして現れてくる童顔の黒髪の少年。

 

 

「桐ヶy……!」

 

 

「しぃーっ!……こ、ここでは『キリト』って名乗ってます」

 

 

「あ、あぁ……そうだった。君達のアバターネームは?」

 

 

「ユウキだよー!」

「ランです」

「アスナにしました」

『己らアバターネームの意味わかってるのか?』

 

 

「おっ、んだよキリト。お前の知り合いかよ」

 

 

 

 そして集まって来たのは、何もこの4人ではない。先程1万人を導いていたゼロという少年とバダンという少年、そして他に少女も来ていた。

 

 

 

「君達は……」

 

 

「俺はゼロ。さっきそこで言ってた奴だ、宜しく頼むぜ。あとそのキリトとは知り合いだ」

 

 

「バダンだ……この馬鹿に振り回されてる。そこのキリトとは見知った関係だ」

「おいコラ」

 

 

「『シノン』よ。宜しく」

 

 

 

「あ、あと先生!他にも連れてきて良いかな!?」

 

 

「誰をだい?ユウキちゃん」

 

 

「ちょっと待っててね!」

 

 

 

 素早く人混みの中に入り混み、そしてまた素早く戻って来た。両手に2人の手を掴んでいる状態で。

 

 

 

「ほらこの子達!困ってたから、先生みたいに助けたの!」

 

 

「あ、あの……どうも」

 

 

「こ、こんにちは…………」

 

 

「大丈夫だよ2人とも!先生は信頼できるから!」

 

 

 

 その様子を見ていたデウスは微笑みながら、その2人に視線を合わせる様にしゃがんで質問を投げかけた。

 

 

 

「初めまして、仮面ライダーのお医者さんさ。良ければ君達の名前も教えてもらって良いかな?」

 

 

「り、『リズベット』です。宜しくお願いします!」

 

 

「あ、アタシは『シリカ』って言います!」

 

 

「宜しく2人とも。ここではデウス……“神様”って意味で名乗らせてもらってるよ」

 

 

「「 こ、こちらこそ! 」」

 

 

 

 こうしてデウスを中心に、また新たなチームが組まれていくことになった。だがこれは、デウスが積み重ねてきた1つの思いやりが形になったものだと推測しよう。

 

 

 

 

 

 

 




次回『Dr.ゲムデウス』は!

 新たに集いし仲間たち!

「スゲェ面子だな……こりゃ」


 しかしデウスには彼らに話さなければならない秘密が!

「そんな……そんなのって……!」


 そして初クエスト!に厄介な奴等が!?

「何でこの世界にコイツらが居るんだ!?」


 次回『デウスの話すsecret!』




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