フィールドに現れた眩い大きな光が辺りを包み込み、やがて消えていく。だがその光が消えていく中、中心に居たであろう
3本の角、内2本は
だが姿が変わったウルトラマンを見て、人々は1つの希望を見出しつつあった。あの時とは違うウルトラマンを見て、もしかしたらと
「『き、貴様っ──!その姿はッ──!?』」
ザ・ワンも、姿が変わった
だが、ザ・ワンには負ける要素が微塵も感じられなかった。この強さは例え相手が誰であろうと揺るぎはしないと考えていたから。そして
だからこそ、ザ・ワンは狼狽えたもののすぐに元の心情へと戻り、青いエネルギー弾を放った。その数、およそ30弱。
だがウルトラマンは避けようとはしなかった。それどころか片手で円を描き両手両腕を突き出す。その円に沿ってバリアが張られ、青いエネルギー弾は全て防がれたのだ。
「『なにっ──!?』」
「『今度は……俺の番だ!』」
頭部のスラッガーを手に取り装備すると、ウルトラマンはザ・ワンに接近していく。青いエネルギー弾をまた放つが、スラッガーの二刀流によって全て斬り伏せられ消滅していく。
その事実に、ザ・ワンは信じられないものを見たような表情となる。だがウルトラマンはお構い無しにスラッガーで腹部を斬り付ける。その攻撃は以前よりも断然力が、斬れ味が増していた。
「『ば、馬鹿なッ──!? この力はッ──!?』」
「『
「『ゴアッ!?』」
ザ・ワンの腹部に蹴りがくい込まれる。数歩後ろへと行くが、連続したウルトラマンの攻めに成す術が無くなりつつあった。
「『クソッタレがァアア!』」
「『ッ!? しまっ!』」
スラッガーの攻撃を止め、ウルトラマンの腕を封じるとザ・ワンは尻尾で首絞めに取り掛かる。ウルトラマンの体が宙に浮くと、ようやくチャンスが来たと謂わんばかりにザ・ワンはウルトラマンの胸のタイマーからエネルギーのようなものを吸い取り始めた。
「『がぁッ……! ッ、くそ……力が…………吸い取られて……!』」
「『お前に勝ち目なんて、元から無かったんだよ!諦めて俺の一部になりなぁ!』」
「『悪いが────それだけは御免だ……なッ!』」
「『ぬぐぉおッ!?』」
ウルトラマンが左のスラッガーで下から上へと尻尾を斬り上げ、今度は上から下へと斬り下ろす。尻尾へのダメージがあったのか、苦しげな声を出すザ・ワン。ウルトラマンは拘束を逃れて脱出し、ザ・ワンから離れると2つのスラッガーを投擲する。
縦横無尽に駆け巡るスラッガーは、ザ・ワンの様々な部位を斬りつけていく。鬱陶しくなったザ・ワンは翼を広げる風圧でスラッガーの接近を阻止し、上空へと逃れる。
スラッガーが両方頭の方に戻ると、ウルトラマンは上を見上げた。せめて、あのザ・ワンと同じように飛べることが出来たらとつくづく思っていたのだが、ゼロはウルトラマンから1つのビジョンを受け取った。ただそれは、鳥が飛び立つ瞬間の映像。
しかしゼロは感じるものがあったのだろうか。ザ・ワンの居る上空へと目配せする。今にもザ・ワンはエネルギー弾を発射しようとしているが、その向きが若干ウルトラマンからズレていることが分かった。
「『────ッ! まさかアイツ……! 周りのプレイヤーに!?』」
狙いがそれらだと分かると、ウルトラマンは決心したように上へと高くジャンプする。そしてゼロが感じるのは、飛び立つ瞬間の鳥の映像、このウルトラマンが見せてくれた切っ掛けであった。
ウルトラマンが、
だが先にウルトラマンが回り込み、円形のバリアを作って防ぐ。ザ・ワンもイラつきを覚え始め、ウルトラマンへと50弱の数ものエネルギー弾を放つ。しかしそれぞれバラけていて、1箇所を守れば他にも被害が出てしまう範囲であった。
「『こっちにも飛び道具あるのを忘れたのかよッ!』」
スラッガーを両サイドに投げ飛ばしエネルギー弾を切り裂き、自身に向かっているものは大きなバリアを作って防ぎきる。全て斬り捨てたスラッガーが元に戻りバリアが消える。
しかしザ・ワンの姿が見えない。あの防御中に何処へと行ってしまったのかが分からなかったが、ウルトラマンやゼロの危険察知能力がいち早く気付いた。その瞬間、ウルトラマンはアインクラッドの端の
ウルトラマンが防御に集中していた間、ザ・ワンがアインクラッドの外へと飛び出していた。ザ・ワンの視界には宙に浮かぶ鋼鉄の城があり、その城に向かってエネルギーをチャージしていた。
「『ここを消しゃあ、あの憎い奴と人間どもを一掃できる! 俺をここまで追い詰めた、テメェが悪いんだぜぇ!?』」
エネルギーのチャージが完了し終える。そしてザ・ワンの口から先程のとは比べ物にならない大きさのエネルギー弾が、アインクラッドに牙を向いた。
「『テメェの自業自得だろぉがァアア!』」
「『なんだとぉ!?』」
ウルトラマンは2つのスラッガーを合わせて回転させ、エネルギー弾を削ぎ落とすように防御していく。自身にも火の粉が飛ぶが、それでも大したことではない。寧ろこの世界に今生きる全てのプレイヤーを守れたという事実に、ゼロの心が満たされていく感覚が覚えられていく。
「(俺、嬉しいのか? 人を守ることが、こんなにも心が満たされると感じているのか?
でも、もしそうだとしたら……俺は、物凄い幸せモンだな)」
全て削り終えると、スラッガーを戻しザ・ワンへの接近をする。エネルギー弾が削られ動揺していた所に素早く胴体に拳が入り込むことでダメージが入り、ウルトラマンはそのままザ・ワンをアインクラッドから遠ざけていく。
「『だってよぉ! また人の希望になれんだからよぉ!』」
「『何をほざいてやがるゥ!?』」
「『テメェには分からねぇだろぉな! この気持ちが!
誰かの為にこの力を使えることの喜びを! 大切さを!
知らねぇのなら、その体と脳ミソに叩き込んでおけ!
俺はウルトラマン! 人間を、この世界に生きるプレイヤー達を! 守り抜く思いが詰まった希望の姿だ!』」
ウルトラマンが止まり、慣性の法則でザ・ワンが少し離れた場所で止まる。
ウルトラマンが左腕を上に、右腕を下に交差する。両腕を内側へと回しながら移動させ、その両腕にエネルギーを蓄積させる。その両腕に流れ行くのは希望の光、ウルトラマンの持つ誰かを守る力。
両腕を大きく左右に広げ、そして両手首を合わせて小さなL字を作った。
「『ライトニング・シュトロォオオーム!』」
放たれるは、力。雷にも等しき大いなる自然の力。眩い光と、膨大な熱量。そしてザ・ワンの吸収量を大幅に越すエネルギーの量。
ザ・ワンがその必殺技を受けて、この世から消えるのにはそう時間が掛からなかった。
「『ァアアアアアアアアア!』」
ザ・ワンの断末魔が爆発とともに広がる。その日、アインクラッドの外に1つの叫び声の混じった爆発と、その爆発を背景に佇む巨人の姿があった。
1つの光が2人の元に辿り着くと、その光が消え去ってゼロが姿を現した。希望に満ち溢れたあの姿と、帰ってきたゼロを見て、帰りを待っていたシノンがゼロを抱きしめる。
「おかえりなさい、ゼロ」
「あぁ────ただいま、シノン」
そうしてしばらくの間、2人で抱きしめ合っていた。
そして時間が経っていく。ザ・ワンの悲劇は犠牲者を多く出させてしまったのが現状であったが、それでもプレイヤーの面々は突如現れたウルトラマンの登場で、また攻略への希望を咲かせることとなった。
死んで行った者達の名前は、第1層の石碑に刻まれた名前の上に1本線が引かれてあった。勿論そこには、ゼロの後悔であるサチにも同じことが言えていた。だが、もうゼロは迷わなかった。
第1層の石碑に両手を合わせて長い時間頭を下げる。追悼の意と、今後の未来。彼が背負うべき物を、彼自身が再確認していく。ウルトラマンとしてやるべきことを果たす、その使命を胸に刻みながら。
そしてウルトラマンのことを知ったシノンと、バラしてしまったゼロはというと…………。
「ねぇ、どういう事か説明しなさいよバダン。ほら早くしなさいよねぇ」
「ちょおいシノン……!バダンが完全に引いてんだけど……!何やったんだよ……!?」
「やはりどんな場所でも、女が強いに変わりはないのか……」
シノンがバダンに脅迫して真実を知ろうと躍起になっていたそうだ。