>前回のロンカレ!<
はいはーい!みなさんお待ちかねのモノクマによる前回のロンカレだよ!今回はいつにも増して話が遅々として進まないね!それもこれも謎が多すぎるのが問題だよ!三章だから二人も人が死んじゃって、捜査編だけでも大変だったんだからね!まあそれは裏話的なアレだから画面の前のオマエラにゃカンケーないんだけどね。
さて、前回の学級裁判ではいつもと同じように被害者の確認からだったよ。今回の被害者は2人!“超高校級のジュエリーデザイナー”鉄祭九郎クン、そして“超高校級のハスラー”野干玉蓪サン!うーんこの共通点のなさ!方やガチムチ、方や腹黒キャラっていうね!この2人が死んでいた場所は、ボクが用意したモノクマランド最大の目玉アトラクション『モノクマ城』!
コロシアイをしたからにはやっぱりクロが必要ってことだね。この事件の犯人は、前からずっと言ってた“超高校級の死の商人”だって流れになってきたよ。なんだかみんな“才能”の怪しさだけで話してる感じしない?でもやっぱり死の商人捜しの展開になってきたよ!と言っても直接死の商人の正体が分かればだーれも苦労しないからね。まずは死の商人を知ってる人を捜す展開になりました。ややこしー!
死の商人の正体を知っている人第一号!“超高校級のパイロット”雷堂航クン!元はと言えば星砂クンから聞かされてたから知ってただけなんだけどね。そして正体を知ってる人第二号!“超高校級の按摩”正地聖羅サン!こっちはなんと、死の商人本人から聞いたとか言い出す始末!そして正地サンが指名した“超高校級の死の商人”の正体はァ・・・“超高校級のジュエリーデザイナー”こと鉄祭九郎クン!図体だけデカくてガラスのハートの持ち主な彼がどうして死の商人なんか!?しかも意味深な言葉も飛び出してイッタイドウナッチャウノ〜!んじゃ続き!GO!!
あ〜、しんど。
決意したはいいものの、やっぱり自分の『弱み』を打ち明けるのは躊躇っちゃう。そりゃそうだわ。私だって自分の『弱み』を人に打ち明けるのは・・・うん、色々と困るわ。取りあえず今は鉄くんの『弱み』を受け止めるけれど、自分の『弱み』は誰に打ち明ければいいのかしら・・・。
「お、俺は──」
どこかへ飛んでいきそうだった私の思考は、続く鉄くんの言葉で引き戻された。嘘じゃないと証明するためなのか、モノモノウォッチの画面も向けてその『弱み』を読み上げた。
「俺は・・・“超高校級の死の商人”、だ・・・!!」
「・・・へ?」
「“超高校級の死の商人”・・・!!星砂たちが言っていた、正体が俺だ・・・!!」
「え・・・えっ?でも・・・!」
「ま、待ってくれ!俺は別に、お前たちに危害を加えるようなことはしない・・・つもりだ。少なくとも俺はここに来てから、そんなことは一切していないし・・・!」
「ちょっと待ってよ!ど、どうして・・・?どうして鉄くんが・・・“超高校級の死の商人”なんて・・・!それに、じゃあ“超高校級のジュエリーデザイナー”っていうのは・・・!?」
「・・・説明させてくれ」
思わず立ち上がって鉄くんから離れる。その途端に、鉄くんの顔色が変わったのが分かった。『弱み』を知られた焦り、不安、驚いた私の挙動への驚き、それに・・・すごく寂しそうだった。さっきの決心したときの態度はすっかり萎びて、いつもの静かで大人しい鉄くんに戻ってた。
「ジュエリーデザイナーの“才能”は・・・死の商人の“才能”を応用させたに過ぎない。物を造るという点は共通していたからすんなり飲み込めただけで・・・それに、もともとは俺の“才能”じゃない」
「・・・鉄くんの“才能”じゃない・・・ってどういうこと?」
「本当に“超高校級のジュエリーデザイナー”と呼ばれるべきなのは・・・
「お、お姉さん・・・って、前に言ってた・・・?鉄くんのお姉さんも“超高校級”だったの・・・!?え?でも、鉄くんはジュエリーデザイナーで有名になってたじゃない!」
「・・・」
どういうことなのか分からなかった私は、鉄くんに矢継ぎ早に質問をしていた。鉄くんは、息苦しそうにお姉さんの名前を口にした。鉄くんのお姉さんが“超高校級のジュエリーデザイナー”って・・・どういうこと?どうして鉄くんは自分の“才能”を隠してたの?
「俺の家が刀匠だという話は前にしたと思うが」
「あ、ああそうね。お父さんが刀匠で、美術品として刀を打ってるって」
「そうだ。俺は父から、美術品としての刀を造る術を学んだ。美しく、見る者の心に残る名刀を造りたかった。だが美術品として美しく仕上げようとすればするほど、それは刀としての完成度を上げることになる。つまり・・・武器として完成されていった」
「・・・ま、まあそれは仕方ないんじゃないかしら?」
「人を傷付けるために造らないとは言いながら、その矛盾に前から俺は違和感を覚えていたんだ。そんなときに、姉が家を飛び出した。姉にはもともとジュエリーデザイナーの“才能”があって、その仕事をすることに父が反対したからだ」
「・・・」
「その後、姉は自分の“才能”を利用して起業をしていた。“超高校級”という程ではなかったが商才もあったし、要領がよかったからそれには特に驚かなかった。だが・・・その数年後、俺も父と仲違いをした。俺は人を傷付けるような刀ではなく、美術品なら他にも造れるのではないかと考えたからだ」
「それが、前に言ってた鉄くんが家出をするきっかけ?」
「きっかけと言えば、そうだ。だが直接の原因は・・・そうして父との仲が険悪になっているときに、家に姉が戻ってきた。だがそれは父と和解するためじゃない。俺を引き込むためだった。俺がいずれ父に反発することを、姉は分かっていたんだ・・・だから、俺はつい姉の世話になる代わりに、仕事を手伝うことにした」
「ああ・・・そこでジュエリーデザイナーの勉強をしたのね・・・」
私は一人で勝手に納得した。鉄くんもそのお姉さんも、お父さんとケンカして家を出ちゃうなんて、そのお父さんに問題があるのかしら。それともお姉さんの行動力がすごいのかしら。起業までしちゃうなんて。でも、ここまでの話じゃまだ鉄くんが“超高校級の死の商人”になった理由と、どうしてジュエリーデザイナーを名乗ってたかが分からない。
「俺ははじめ、姉は普通に飾り物を造っているのだと思ってた。だから俺の技術じゃあまり役に立たないかもしれないと思ってた。だが・・・姉の会社は俺の想像していたようなものとは違った。いや、俺が手を貸したことで・・・変わってしまった」
「・・・まさかだけど・・・それが“超高校級の死の商人”になった理由・・・?」
「装飾品を製造・販売する商売をしている裏で、姉は父の技術を流用して武器を造り売っていた。一見すると装飾品と区別の付かない特殊な武器を。姉は、俺にその武器を造るように指示した。父の技術の受け継いだ俺の武器を造る技術と、その武器に装飾具の覆いをする姉の技術。そうして姉の会社は、表向きにはジュエリーショップを運営する一企業、裏では装飾具にカムフラージュした暗器を売る、死の商人となった」
鉄くんの話を、私はじっと聞いてた。鉄くんにお姉さんがいて、頭が上がらないっていうことは知ってた。お父さんとケンカして家を出たっていうことも、話からなんとなく察してた。だけど、まさかそのお姉さんと鉄くんが一緒になって、武器の売買をしてるなんて・・・。
「お姉さんは最初からそれが目的で・・・?」
「たぶん・・・そういう人なんだ」
「じゃ、じゃあつまり、鉄くんは“超高校級の死の商人”で、お姉さんは“超高校級のジュエリーデザイナー”なのよね?どうして鉄くんがジュエリーデザイナーとして希望ヶ峰に入学してるのよ?」
「それも姉の意向だ。姉は武器の売買をするとき、俺をジュエリーデザイナーに仕立て上げて、自らが死の商人と名乗っていた。稼業が稼業だから、カムフラージュのつもりだったのか・・・ただの気紛れだと思うが。希望ヶ峰学園からの入学通知は、既に俺と姉の“才能”が入れ替わっていた。姉が徹底して根回ししたせいで、学園も俺たちの“才能”を取り違えたんだと思う」
「き、希望ヶ峰学園よ・・・?探偵とか調査員みたいな“才能”持ってる人だっているはずだし、そんな人たちも騙せちゃうって・・・普通にそれだけで一個の“才能”な気がするんだけど・・・」
「分からないが・・・姉は堅気じゃない世界ではそこそこ顔が広いらしいから、それも関係あるのかも知れない」
鉄くんの家ってどういう家なの?お父さんは今時珍しい刀匠で、お姉さんは裏の世界で死の商人をしてて、鉄くんはジュエリーデザイナーで死の商人で・・・今すぐには理解できなさそうだわ。だけどそれでも分かることはある。それは、鉄くんがずっと自分を責め続けてたっていうこと。
「お姉さんって、怖い人なの?」
「怖い・・・のとは少し違うんだが・・・俺は小さい頃から逆らえなかった。なんというか、有無を言わさないんだ」
「そうなの・・・。分かったわ。取りあえず、鉄くんがどうして“超高校級の死の商人”になったのか、どうしてそれを隠してたのかも。だけど、どうして私に話してくれたの?」
「どうしてって・・・『弱み』を言わないと明日には処刑されるから・・・」
「そうじゃなくて、どうして打ち明ける相手が私なの?」
「そ、そこか・・・」
それは、純粋に気になる。こういう裏の世界の話だったら、私よりも極さんの方が詳しそうだし、私みたいな一般人よりもずっと優しい言葉をかけてあげられるんじゃないかしら?研前さんだったら明るく優しく受け止めてくれるだろうし、雷堂くんだったら責任持って一緒に問題を解決してくれそう。それなのに、どうしてマッサージしか取り柄のない私なのかしら。
「正地にだったら・・・言っても大丈夫だと思ったんだ。正地は、見た目とか、肩書きとか、そういうので人を判断する奴じゃないと、思った。勝手かも知れないが、俺は自分が死の商人だってことを・・・今はまだ隠しておきたい。それも、正地なら約束できると思ったから・・・すまない。俺の勝手な判断だ」
「か、勝手な判断だなんて・・・!私を信じてくれたんでしょ?だったら私は・・・嬉しいわ。それに、鉄くんが“超高校級の死の商人”でも、信じられるって分かったもの。私だって肩書きだけで勝手に判断してたわ」
「・・・?俺の何が信じられるっていうんだ?“超高校級の死の商人”だってことをみんなに黙ってて・・・この期に及んでようやく打ち明けたような・・・血で穢れきった手で尚も武器を作る俺の何が信じられるって・・・?」
「もう!どうして鉄くんはそんなにネガティブなの!もっとしっかりしなさい!」
「んぅっ!?」
おっきくてがっしりした身体をして、せっかく黒々として立派な
「お姉さんに手を貸したことを後悔したって過去は変わらないでしょ!それに鉄くんの手は穢れてなんかいないわ!こんなに逞しくて温かいじゃない!」
「えっ・・・お、おい・・・!」
「私、知ってるのよ。鉄くんが造ったアクセサリーを、色んな女の子が付けてるの。お客さんも付けてる人いたし、私の友達にだっているの。それがどういうつもりで造られてて、どんな使い方があるかは知らなかった。だけど、実際に喜んでる人がいるのよ!それは自信を持って良い・・・いえ、自信を持つべきじゃないの!?」
「い、いや・・・俺はそんなつもりじゃ・・・」
「後悔ばっかりしたってしょうがないの。次に何をするかでしょ。鉄くんには、それがたとえ不本意なものでも、すごいものを造る技術があるんじゃない。だったらそれを活かして、今度は自分が造りたいものを造ればいいじゃない!せめて今からでも、自分に正直になったらいいじゃない!」
「うあ・・・」
「はっきりしなさい!鉄くんはどうなりたいの!?“超高校級の死の商人”なの!?ジュエリーデザイナーなの!?刀匠なの!?」
「・・・!」
ベンチに膝立ちになって、いつの間にか鉄くんの両手を握って、お互いの目にお互いの顔が映るくらい近くに寄ってた。途中からそれに気付いて顔が熱くなるのが分かったけど、勢いそのままにお説教なんかして・・・こういうときに鉄くんは、勢いに押されて茫然としちゃうから変われないのに。
「お、俺は・・・俺は・・・!」
茫然としたまま、鉄くんは言葉を捻り出す。小さく震えて、鉄くんの身体の中で迷いがぶつかりあってるのが目に見て分かる。だけどその迷いはすぐにかき消えて、鉄くんの目の色がすっと澄んでいくのが分かった。
「俺は・・・また、刀が打ちたい・・・!ただ素直に打ってただけのあの頃に・・・もう一度、戻りたい・・・!」
絞り出すように言ったのは、間違いなく鉄くんだった。手の震えはなくなって、顔つきもさっきまでとは全然違う。後悔と自責の念で凝り固まってた心が、自分の素直な想いを受け入れられるくらいには解れた。きっとまだ鉄くんは、過去をひきずっていくんだと思う。だけど、顔をあげられるようになったことは、間違いなく大きな変化のはずだわ。
「うん、それが鉄くんの気持ちなんだったら、きっとそれが正しいのよ。マッサージしてあげるくらいしかできないけど・・・疲れたらいつでも私のところに来てちょうだい。『自分』を取り戻そうとしてる鉄くんを、私は全力で応援するから!」
「・・・あ、ありがとう・・・。その、もう、大丈夫だ。手は、握らなくても、いいから・・・」
「へあっ!!?あっ、あっ、ご、ごめんなさい!つ、つい興奮しちゃってっていうか・・・そういうんじゃないんだけど・・・!」
「あっ、いや・・・別に俺はいいんだが・・・」
鉄くんに指摘されてようやく、がっしり手を握ってることの恥ずかしさを自覚した。巨大宇宙戦士みたいな声を出してベンチから転げ落ちて尻餅までついちゃって・・・。とっさに床に付いた手から、タイル張りの床の冷たくて堅い感触が伝わってくる。
なんだか鉄くんも少しだけ顔を赤くしながら、転んだ私に手を差し伸べてくれた。こんな発達した筋肉の人に引き起こされるなんて、こんな状況でもなければ垂涎ものなのに、今はとてもそんな風には感じられない。そんな風にふざけてられない。
「ありがとう、やっぱり正地に話してよかった」
「ど、どういたしまして・・・」
「ところで、俺の『弱み』はこれでクリアだと思うんだが、正地はもう『弱み』を誰かに打ち明けたのか?」
「え・・・ま、まだだけど・・・」
「俺でよければ聞くが。俺の『弱み』を聞いてくれた礼にと思うんだが、迷惑か?」
「め、迷惑なんかじゃないわ!私だって誰に打ち明けようか困ってたくらいだし・・・」
「っていう風に・・・私たちは『弱み』を打ち明けあったの」
「いや話切るところおかしいだろ!正地はどこで打ち明けたんだよ!?」
「その・・・そこから先はちょっと・・・」
「テルジさん、セーラさんはじぶんの『
「女心、って言いたいの?」
「それでした!」
正地が話し終える。三つ目の動機が発表されてから互いが疑心暗鬼になる原因となっていた“超高校級の死の商人”の正体は、鉄祭九郎だった。なぜ鉄が死の商人を名乗っていたのか、なぜその事実を隠していたのか、一応の答えは正地の口から語られたものの、何が真実であるかは、当事者の鉄が死亡したことで闇の中となってしまった。
「あれ?でも、私、極さんから“超高校級の死の商人”について聞いたけど、小さい女の子って聞いたよ?鉄君のお姉さんなんだったら・・・そんな感じしないけど?」
「え、そ、そうなの?私は・・・それより鉄くんのことしか考えてなかったから、お姉さんのことはそんなに聞いてなかったんだけど・・・」
「まあ、別にいいんじゃないか?正地のモノモノウォッチのカウントが上がってるんなら、少なくともあいつの話は本当だってことなんだ」
「話を聞くに、相当慎重な性格のようだからな、鉄幣葉とやらは。フフフ・・・自分の弟以外にスケープゴートを立てていたとしても何ら不自然ではない。真実は闇の中・・・私好みだな」
「悪いけどオレはもう何がなんだかさっぱりだ!」
ふと思い出した研前の疑問に、極は申し訳なさそうにため息を吐くだけだった。もともとが根拠の不確かな噂だった、という弁明もせず、不用意に裁判を掻き回すことを避けた。代わりに雷堂や荒川がフォローを入れて、下越はその点に関する議論を完全に放棄した。
「やはり俺様の睨んだ通りだったか。あのガタイでただのジュエリーデザイナーなどやはり不自然だ。奴の家柄についても多少調べたが、刀匠であれば死の商人との関連性も容易に想像できる。何より、奴の部屋にはその手の本が並んでいたからな」
「へ、部屋?鉄氏の部屋に入ったのかい?」
「前回の裁判の後、貴様らがもたもたしている間にな。あの
「じゃ、じゃああのとき確証を得たっていうのは・・・!」
「たとえあの本の中の一冊を持ってきたとて、何とでも言い逃れはできよう。あくまで俺様の推理における確証に過ぎない」
「・・・?ちょっと待て。どういうことだ?」
「どしたの極さん?」
自分の推理が見事に的中していたことに胸を張る星砂の雄弁を、極が止める。“超高校級の死の商人”の正体が鉄であることと、それを星砂が知っていたということを前提とすると、先の議論が非常に不自然となる。
「星砂、貴様、先程この事件は鉄と野干玉が差し違えたのではなく、“超高校級の死の商人”なる人物による連続殺人だと主張したな」
「人の発言を歪曲させるな
「細かいなあもう〜♣」
「しかし、貴様は“超高校級の死の商人”の正体が鉄であることを知っていた。もちろん、鉄が今回の事件の被害者であることもだ。これは一体どういうことか、説明がないとは言わせんぞ」
「そ、そうだ・・・!元はと言えば星砂がそんなこと言いだしたからこんな話になったんだった!どういうことだよ!」
「そうよ!私にあんな話までさせて・・・!」
「私には、楽しそうに話していたように見えたが」
「凡俗共が・・・キイキイと騒ぐな。確かに遠回りな議論に誘導したことは認めよう。だが、貴様ら凡俗は自らが出した結論でなければ簡単には受け入れんだろう。もし俺様が、
「それは一理あるね。っていうか、自業自得だと思うんだけど」
「そしてもちろん、この奇妙なる状況の説明も、この俺様が自らしてくれよう。心して聞くが良い」
“超高校級の死の商人”の正体が明らかになったことにより、星砂の一見無意味に思える議論の誘導に疑惑が集まる。しかしそれは、星砂自身の信用の無さを逆手に取った反論で容易く納得させられてしまう。そして、再び星砂は裁判の中心となって語り出す。
「さて、
「野干玉?」
「奴の死因は、
「要するに、一人であそこを通っちゃいけないってことだったな」
「しかし、モノクマ城についてのルール自体は全員が知っていた。だとすれば・・・
「ハイドなーに言ってんの??」
「それって・・・だれかが
「フンッ、20点の回答だな
「
モノクマ城のルールの正しい意味を全員が知ったのは、先程の議論の中、事件の後、学級裁判が始まってからだ。すなわち、事件より前にその真の意味に気付いていた者は、少なくとも現在生存しているこの中にはいない。しかし、既に死亡した者ならば、知っていた可能性はまだある。
「奴がモノクマ城の真のルールを知っていたとすれば・・・二人で入り、一人で出て行かせることで、直接手を下さずほぼ確実に殺害することができる。たとえ自らが死んでいたとしても、この仕掛けを利用すれば、共に入った者はどう足掻こうとその罠にハマらざるを得ない」
「・・・フフフ、少し、口を挟ませてもらうぞ星砂。今お前が話している推理は、確かに前提さえクリアすれば現実的なトリックではある。だからこそ、その前提を疑うべきだ」
「前提、てどの部分?」
「モノクマ城のルールは、言葉足らずな上に実際に入城してみなければほぼ気付けない、詐欺紛いなルールだと言える。正しいルールを推測することはできたとしても、それを殺人トリックに組み込むほどの確信を、鉄は一体どこで得たというのだ?まさか、モノクマに聞いたわけでもあるまい」
「モノクマに聞いたのだろう」
「はっ!?なんでそうなるんだよ!?」
「確信を得るにはそれしかないだろう。それとも、
「じゃあいるわけねえな!誰も言わねーんならな!」
「お前はもう少し人を疑うことを覚えた方がいいと思うがな」
星砂の論はただ筋が通っているだけでなく、それに対する反論の綻びさえも先んじて指摘している。故に誰も反論すら許されない。完全に星砂の独壇場で裁判は進行する。
「なぜモノクマは最初の裁判の後に“超高校級の死の商人”の存在を明らかにした?なぜ“超高校級の死の商人”はその存在が明らかにされているにも関わらず二度目の殺人に一切関与せずにいた?なぜモノクマは三度目の“超高校級の死の商人”を狙い澄まして追い詰めるような動機にした?すべて、モノクマと“超高校級の死の商人”が裏で繋がっていたことで説明がつく」
「裏で繋がっていた・・・つながって、いた・・・!?ハアハア、ドキドキ!」
「くたばれ貴様」
「う、うそよ・・・!鉄くんがモノクマと・・・!?そんな・・・!」
「どういう理由で手を組んでいたかは知らんが、死の商人の存在を仄めかせば凡俗共が疑心暗鬼になりコロシアイが加速することは予測できる。モノクマ以外の明確な敵が存在するだけで、効果は十分にある。だから
「そんな・・・いや、でも・・・」
「そして自らの正体が明らかになったことで、奴は自らの正体を含め、全てを闇に葬るつもりでモノクマ城のルールを利用したトリックを実行した。そう考えれば、奴はモノクマに従わされていたと考えるのが妥当かも知れんな」
「く、鉄くんはモノクマに手を貸したりなんか・・・!」
「奴は自分の肉親とはいえ腹黒い密売人に手を貸し、その手を血で染めきったのだ。今更、猟奇殺人趣味の異常者に手を組んだとしても何の不思議もあるまい。所詮、人を殺す方法でしか己の価値を見出せん哀れな男に過ぎんということだ」
「ぜ、絶対に・・・違うッ!!!」
実際にモノクマと鉄が手を組んでいたのかは、今はまだ断定することはできない。しかし星砂は既に確定したような前提で、鉄の名誉を汚す。モノクマに与していた裏切り者とばかりに、徹底的に鉄を貶す。
その言葉をムリヤリ止めたのは、大声を出すことに不慣れな正地だった。顔を真っ赤にして、目には涙を湛えた正地の表情は、悪意に満ちた笑みを浮かべる星砂とは対照的に真剣だった。
【反論ショーダウン】
「やめて・・・やめなさいよ・・・!!なんにも分かってないくせに・・・鉄くんのことを何も知らないくせに・・・どうしてそんな風に鉄くんを悪く言えるの!?どうしてあの人の気持ちを無視できるの!?あなたに何が分かるのよ!!鉄くんはそんなひどい人じゃない!!」
「ククッ・・・そうか?ずいぶんな自信だが、証拠があって言っているのだろうな?」
「鉄くんは自分から望んで死の商人になったんじゃない!!人を傷付ける武器を造ることにも悩んでたし、それをやめたらお姉さんを裏切ることになることにも悩んでた!!ずっと誰かのことを想いながら、自分を責めながら生きてきたのよ!?どうしてモノクマなんかと手を組む理由があるのよ!!どうして全てから逃げ出す必要があるのよ!!あなたなんかには鉄くんの気持ちが分からないんだわ!!」
「貴様の言葉には一切の論理性も何もない!悩んでいただの責めていただのと、そんなもの演技すればどうにでもなることだろう!貴様の言うことは論理にすらなっていなただの疾呼に過ぎん!反論するにも値しない!貴様のヒステリーに付き合うほど俺様は気は長くないわ!」
「だったらあなたこそ証拠を出してみなさいよ!鉄くんがモノクマ城のルールの本当の意味を知ってたなんて証拠がどこにあるのよ!!モノクマと手を組んでたなんて証拠がどこにあるのよ!!」
「くどい!!」
徐々に加熱する正地の声と、それに呼応して声が大きくなる星砂。そして短く切った星砂の言葉で、裁判場が一瞬静まり返った。顔を真っ赤にして声を張り上げた正地は、抑え込んでいた感情を吐きだし切って言葉を失い、荒く肩で息をしていた。そして星砂は、小さく舌打ちをして胸ポケットを弄る。
「うるさい女だ。どうせ見せてやろうと思っていた証拠だ、これで黙れ」
「あっ・・・」
「な、なんだいそりゃあ?」
「
「ふーん・・・あれ?あれれれ?モノモノウォッチがなんでポケットから出てくるの?みんな自分のが腕に付いてるじゃん♣しかも血だらけだねーうえー▼」
「奴の懐から出てきたものだ。血は
「誰って、鉄氏の懐から出てきたんなら鉄氏のものなんじゃ・・・あり?いやあ、でもモノクマファイルの写真じゃあ、しっかり腕にモノモノウォッチがあるけどねえ」
星砂の手の中には、すっかり乾いてこびり付いた赤黒い血に染まったモノモノウォッチが握られていた。このモノモノウォッチの存在が、この事件の解決の糸口になると、星砂は確信を持った目で語る。モノモノウォッチが起動して、その持ち主を画面に表示する。
「このモノモノウォッチは、ヌバタマのものだ。しかし奴の死体にももちろん、モノモノウォッチはあった」
「ど・・・どういうことよ・・・!どうして?だってモノモノウォッチは取り外せないんじゃ・・・!」
「そうだ。各々の腕に取り付けられたモノモノウォッチは取り外せない。ならばこのモノモノウォッチを、
「え?鉄がたまちゃんのモノモノウォッチ持ってたのって、そういうことなの?」
「他に何がある?モノモノウォッチはモノヴィークルの起動やモノクマネーの管理など、このコロシアイを行う上で欠かせん道具だ。その複製など、ゲームバランスを直接変動させるほどのことだ。こんなものを持っていたことが、奴がモノクマと通じていた何よりの証拠だ」
「でもでもさ〜あ?それをモノクマからもらったのがサイクローだってどーして分かるの♣」
「ん?」
血の付いたモノモノウォッチを見せつけて、星砂がそう断言する。正地は音もなく口を開閉するだけで、力なくモノヴィークルの柵に手をついた。もはや鉄がモノクマと通じていたことは疑いようのない事実であるかに思えた。しかし、丸い目をさらに丸め、小さい口をつんと尖らせた虚戈が星砂に待ったをかける。
「そのモノモノウォッチはたまちゃんの名前が出てくるんでしょ♢だったらフツーに考えてそれってたまちゃんのなんじゃないのかな♬ってことは、モノクマから新しいモノモノウォッチを受け取ったのもサイクローじゃなくてたまちゃんってことになるんじゃないのかな♡あはっ☆マイムあったまいー☆」
「そんな可能性などとうに検討したわ。しかし自分のモノモノウォッチを二台も手にして一体何になる?」
「一台でなんでもできる機械を二台も持つとは・・・非合理的だな。携帯電話のように使い分けができるわけでもあるまい」
「でも、それだったらサイクローさんがたまちゃんさんのモノモノウォッチもつのも
「いやあ、モノモノウォッチの機能を考えたら、人の車のキーや財布を持つようなものだからねえ。割と意味があるというか、なかなか深刻だと思うよお」
「さすが凡俗、小さいな」
「なんだとお!?」
「他人のモノヴィークルやモノクマネーを奪えたからなんだというのだ。それより大きな機能が、この機械にはあるだろう。それが、
「もっと大きな機能・・・?」
多機能であるが、モノクマランドの中だけでコロシアイを行っている以上、乗り物を奪うことやモノクマネーを奪うことにそれほど意味があるとは思えない。しかしその中のある機能だけが、コロシアイの中で大きな意味を持つものとなる。
「それは・・・」
動 機 の 確 認
「モノクマからの
「ど、動機?・・・あっ!」
「そうか。一度目の動機も二度目の動機も、そして今回の動機も・・・いずれも私たち全員がそれぞれに与えられていたものだった。特に今回の場合は『他人に知られてはならない弱み』だ。それを他人が勝手に盗み見ることができるようになってしまっては・・・」
「ん?いいんじゃねえか?それで動機はクリアになるんだからよ」
「いやあ、自分で気持ちの整理つけて言うのとお、他人に勝手に盗み見られるのは結果は同じだけど全然違うよお」
「上手くやれば動機だけクリアにして肝心の『弱み』が何なのかはぼかしたままにもできたりするしねー♡」
「・・・!」
あっけらかんと言う虚戈の何気ない言葉に、雷堂の肩が跳ねる。それに気付いたのは、同じく雷堂に『弱み』を打ち明けられた極だけだった。それ以外の全員は、自分の『弱み』を他人に勝手に知られることがどういうことかを考えていた。
「かってにしられるのはちょっと・・・Umm・・・イヤです。こまります」
「『弱み』を知られても
「野干玉が死の商人に怯えていたのは・・・まさにその死の商人に弱みを握られて脅されていたから、とでも言うのか?」
「言ったとして、おかしなことがあるか?」
「でもハイドさん、そこまでしてサイクローさんの
「さっきも言っただろう。
「んん・・・納得できないけど納得してしまえるのが無性に腹立たしいねえ。鉄氏ならそういう責任の取り方をするかも知れないとお、おれは思ってしまうよお」
「そんな・・・!」
納見だけでなく、裁判場を囲うほとんどの者が星砂の論に納得せざるを得なかった。しかしそれでも疑問は残る。クロのいない学級裁判を起こすだけなら、鉄が自殺すればそれで事足りた。わざわざ野干玉を巻き込む理由がない。敢えて殺されることで事件性を強調したかったのかも知れない。だとすれば、なぜ野干玉でなければならなかったのか。
そんな疑問を抱きながらも反論できずにいる全員を尻目に、星砂は満足げに推理をまとめる。
「反論はないようだな。ではこれで決定だ。最後に俺様が、この事件の全容を改めて貴様ら凡俗共に説明してやろう」
【クライマックス推理】
Act.1
この事件の犯人の正体から始めよう。まず、全てを企てた諸悪の根源は、“超高校級のジュエリーデザイナー”改め、“超高校級の死の商人”である鉄祭九郎だ。奴は自らの本当の“才能”を隠して俺様たちと共にコロシアイに臨んだ。それだけでなく、奴にはもう一つの秘密があった。それは、このコロシアイの黒幕であるモノクマと内通していたということだ。協力だったのか服従だったのか、細かな関係性までは知ったことではないが、とにかく奴はモノクマと特別に関わりを持っていた。
Act.2
昨日の昼過ぎ、モノクマから俺様たちに第三の動機が配られる。それは、人に知られたくない『弱み』を打ち明けなければ処刑されるというものだった。これによって
Act.3
奴は黒幕と通じていた特権を利用し、モノクマから二つ目のモノモノウォッチを手に入れる。そしてある人物の『弱み』を盗み見た。それが“超高校級のハスラー”、野干玉蓪だ。奴はその『弱み』をネタにヌバタマを脅し、デートチケットを使ってモノクマ城で二人きりになることに成功した。その時点で、奴の計画はほぼ成功したようなものだった。新たに解放されたモノクマ城には幾つかのルールが設定されていたが、その中の一つを俺様たちは勘違いしていた。その真の意味も、モノクマと通じていた
Act.4
城に入った
自分以外の他人の行動を強制できる程の力を持つことも、モノクマ城のルールの真の意味を早くに知ることも、モノクマと内通していた者でなければ容易にはできん。それをトリックに応用するとなれば尚更だ。それができたのはこの中で唯一、“超高校級の死の商人”であった鉄祭九郎をおいて、他にいない!!これが事件の真相だ!!
眉一つ動かさない鉄の遺影に向かって、星砂は高らかに宣言した。これが事件の真相だと、胸を張る。水を打ったように静まり返る裁判場では、モノヴィークルの駆動音だけが聞こえた。
「おや、反論はないようですね。それじゃあ投票タイムに移っちゃいましょうか?ボクとしちゃあ既に死んでる人がクロなんてオチはつまんねーことこの上ないんですけどね。おしおきできないし?」
「質問だ。死者に投票することはできるのか?」
「もっちろーん!星砂クンが推理したような場合や、自殺というパターンも考えられるからね!多数決で決まった人が『直接手を下したクロ』であるなら、生死は問わないよ!」
「だ、そうだ。安心してスイッチを押すがいい。凡俗共」
誰も答えない。星砂とモノクマの会話だけが簡単に交わされる。全員のモノヴィークルの画面に、投票用スイッチが現れた。本当に鉄はモノクマと内通していたのか。野干玉はどうやって鉄を殺したのか。なぜ鉄は野干玉を選んだのか。疑問は次から次へ湧いてくる。しかしそのどれも、星砂の論への反論たり得る根拠を持たない。根拠となるものを、誰も持ち合わせていない。
その論は決して強固ではなく、完璧でもない。しかし反論できないという一点において、納得せざるを得ないような気にさせられる。
「それは・・・違くないか?」
「・・・!」
投票ボタンを押す音がするより先に、誰かが口を開いた。ひどく自信のない言い方だった。星砂は聞こえないふりをしていたが、目だけはその声のする方を睨み付けていた。声の主は、顎に手を当てて考えながら、額に冷や汗を浮かべていた。
「うん・・・違う。星砂、それは・・・違うぞ・・・!あいつは、鉄は内通者なんかじゃない・・・!」
「・・・雷堂、君?」
「フンッ、何を言い出すかと思えば。奴が内通者でないという証拠でもあるのか?ならばそれを見せてもらおうではないか」
「いや、内通者じゃないって証拠はないけど・・・」
「ならば貴様の論は根拠不明瞭だ!明確な根拠と論理性がなければただの妄想と違いはない!」
「でも、鉄が野干玉の『弱み』を見たんじゃないっていう証拠は・・・ある」
「へ?」
弱々しく、しかし確固たる意思を感じさせる雷堂の言葉を、星砂は鼻で笑う。星砂に傾けられていた全員の耳が、今度は雷堂の言葉に傾けられる。そのプレッシャーの中、雷堂は訥々と語る。
「正地、確認だけど、お前と鉄は、お互いに『弱み』を打ち明けあったんだよな?」
「え・・・う、うん。鉄くんの『弱み』を聞いた後に、私の『弱み』を言ったわ」
「じゃあそれと、あれで・・・やっぱりそうだ。数が合わない」
「数?なんの数が合わないんだ」
「打ち明けられた『弱み』の数だよ。『姫の部屋』で鉄の検死をした時に、あいつのモノモノウォッチを確認したんだ。何かの手掛かりになるかも知れないと思って」
「手掛かりになるかも知れないとは言うがな雷堂・・・フフフ、お前は鉄のモノモノウォッチが事件の真相を暴く手掛かりになると、なぜ予測できていた?あまりに都合が良すぎると、そう思えるぞ」
「え・・・いや、それは・・・!」
「
「んなっ!?ス、スニフお前・・・気付いてたのか!?」
「
「“ピン”ときたんだね」
「それでした!」
『姫の部屋』で見せた雷堂の不審な挙動の理由が、スニフの中でついた。事件が起きる前から鉄が“超高校級の死の商人”だと知っていた雷堂なら、検死のときにそれが事実かを確認するはずだ。
「ま、まあそれはそうなんだけど・・・それは一旦置いとこう。で、あいつのモノモノウォッチを確認したんだけど、確かにあいつは動機をクリアしてたし、誰かの『弱み』も聞いてた」
「それがなんだと言うのだ」
「あいつのモノモノウォッチのカウントは、2だったんだよ。つまり、あいつが聞いた他人の『弱み』は、2つだけなんだ」
「2つ・・・セーラさんのがいっこで、もういっこは・・・」
「それがたまちゃん氏のなんじゃあないのかい?」
「それじゃあ計算が合わないんだ。だって、鉄が『弱み』を聞いたもう一人は・・・」
そいつ以外にいるはずがない、そう続いた言葉に、裁判場中の視線が一人に集まった。その中心で、視線を浴びた者は目を丸くしていた。
『鉄が【弱み】を聞いたもう一人は?』
【人物指名】
スニフ・L・マクドナルド
研前こなた
須磨倉陽人
納見康市
相模いよ
皆桐亜駆斗
正地聖羅
野干玉蓪
星砂這渡
雷堂航
鉄祭九郎
荒川絵留莉
下越輝司
城之内大輔
極麗華
虚戈舞夢
茅ヶ崎真波
「し、下越くん・・・よね。それって」
「んなにぃ!?オ、オレかあ!?いやちょっと待て!オレぁあいつと『弱み』を打ち明け合ったりなんかしてねえぞ!?」
「まだそれ言ってるの・・・いい加減に気付こうよ」
「何がだよ!?」
「あのねえ下越氏。君は動機が配られたときに、自分の『弱み』を大声で言っちゃってたんだよお。独り言のつもりだったのかも知れないけどさあ」
「マジで!?」
「その時に、下越以外の俺たち全員のモノモノウォッチのカウントが増えたんだ。だから、鉄が打ち明けられた『弱み』は、下越と正地の二人だけのはずなんだ」
「・・・」
「そうなると、星砂の推理は変わってくるな。鉄がモノモノウォッチを手に入れたとしても、野干玉の『弱み』を見てはいない。そうなれば、『弱み』をネタに野干玉を脅すことができなくなる」
「いつでも『弱み』がバレてしまう状況をネタにしたのではないか?」
「そこまでいったらいっそ見てしまった方が強制力がある。ウォッチを奪われるなどすれば意味がなくなるからな。野干玉への強制力がなくなってしまえば、あの城に誘うというのも現実味がなくなるな」
「ぐっ・・・!く、勲章・・・!貴様、凡俗の分際で俺様の推理を否定するというのか・・・!!」
「俺だって、それさえなければお前の推理はほぼ完璧だと思ったよ。でも、鉄のカウントが2である以上、その推理は絶対に間違いなんだ」
冷や汗の引いた強い眼差しで、雷堂は星砂に応える。ほぼ全員が納得しかけていた推理は、たった一つの手掛かりによっていとも簡単に砕け散った。
「う〜ん・・・だったら、モノモノウォッチは普通にたまちゃんが手に入れたのかな?」
「手に入れたって、どうやってだよ?」
「それはよくわかんない」
「なんだいそりゃあ」
「その通りだ研前。お前の疑問は正しい。今の星砂の推理は一見論理的に矛盾がないように見える。しかし、どうしても見逃せない綻びがあるのだ」
「見逃せない綻び?なんなのそれ?」
単純な論理から出てきた研前の疑問に、荒川が便乗した。そして先程の雷堂とは違う角度から、星砂の推理を否定し、新たな疑問を提示する。
「野干玉蓪は、溺死したのではない。そして奴の死因は未だ不明なままだ。私たちはまだ、野干玉の死の状況について、何一つ明らかにできていないのだ」
「なんだと・・・?」
「・・・!」
手掛かりの少ない中で僅かずつ明らかになる事実と、新たに噴き出す疑問。そして未解決のまま放置されていた謎。それらが綯い交ぜになり裁判は最終局面へと一気に様相を変える。モノヴィークルの駆動音が、一層けたたましく鳴り始めた。
コロシアイ・エンターテインメント
生き残り:10人
なんかしばらく見ないうちに色んな特殊タグ増えてるーーー!!
ということで場当たり的に色々試してみました。面白いなーこれ。ネット小説ならではの手法ですよね。
一方の裁判は、あんまり進展がなかったりします。まあ掘り下げ編として見てやってくださいな