第6艦隊 〜チート艦隊のイレギュラーの物語〜 【投稿休止中】   作:ティルピッツ

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第1話 異常事態発生

第6艦隊 原子力ミサイル重巡洋艦『土佐』

 

 

 

 

 

 

『………………うっ…………………………うーん……………』

 

 

 

 

『土佐』の艦橋で最初に意識を取り戻したのは、艦長である土佐であった。彼女は、痛みが残る身体を無理やり起こすと、まずは艦橋要員に声を掛けた。

 

 

 

『………艦橋……要員………全員……無事か?』

 

 

最初の呼び掛けには誰も応答しなかったが、数度呼びかけると反応があった。最初に反応したのは航海長、次に副長である。それから約1分ほどで艦橋要員全員の確認がとれた。 航海長だけは踏みとどまり、負傷なしであった。

 

 

 

 

 

 

『艦長、お怪我は?』

『身体を打ったらしいが、問題ない。負傷者はいるか?』

『艦橋要員は2名が打撲です。それ以外はいません。』

『他の部署はどうか?』

『現在、確認中です。』

 

 

 

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『艦長、報告します。負傷者は全部署合計で8名。重傷者は無く、軽傷者のみです。機関については、点検を行いましたが異常はありませんでした。各種兵装も同様です。』

 

 

土佐は報告を聞き、一安心した。『土佐』は原子炉を搭載する原子力推進艦である。機関にもし何かあれば、最優先でそれに当たらなければならないが、幸いにも機関には損傷も異常も無かった。

負傷者も重傷者は居らず、軽傷者のみであるからそれ程深刻ではない。

 

 

 

 

『ふむ……………副長、本艦の現在位置は分かるか?』

『現在航海班で、天測中ですがまだ分かっておりません。』

『そうか…………………僚艦の位置は?『信濃』は近くにいるか?』

『先程『信濃』と連絡を取り、命令を受託しました。『全艦集結セヨ』です。』

『『信濃』の位置は分かっているのだな?』

『はい。』

『よろしい、今は『信濃』と合流するのが最優先だ。』

『はっ!了解しました!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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第6艦隊 旗艦 原子力航空母艦『信濃』

 

 

 

 

『艦長。全艦集結したか?』

『はい、司令。ミサイル駆逐艦『神無月』『師走』。汎用駆逐艦『せとぎり』『ゆうぎり』。イージス艦『九頭龍』『綾瀬』。原子力ミサイル重巡洋艦『土佐』。工作補給艦『明石』。強襲揚陸艦『大湊』………計9隻、全艦集結完了しました。』

 

 

 

信濃の言う通り、第6艦隊は『信濃』を中心に輪形陣を形成しつつあった。と、言っても現在潜航モードである為陣形の構築には時間が掛かった。いや、潜航している状態で陣形を組めているだけマシであろう。

 

 

 

 

 

 

『各艦の被害は?』

『各艦大きな損害はありません。軽傷者が出ていますが、打撲程度との事です。』

 

 

 

艦隊司令官は、全艦の被害が特になく軽傷者が出ただけという報告に安堵した。それと同時に何か違和感を覚えた。意識が途絶える前、30メートル以上はあったであろう高波に襲われたのに被害を受けた艦はゼロ。急速潜航したとはいえ、被害は無いのは少し気になる……あれ程の大波だったのにだ。

 

一方、信濃は現在位置の確認を行っていた。だが…………

 

 

 

『現在位置が分からない?どういう事?』

『"そ、それが*GPSで現在位置を確認しようとしたのですが、GPS衛星その物の反応がありません…………"』

『GPS衛星の反応が無い?!』

『"勿論、何度も確認しました!ですが、何度やっても反応が無いんです…………"』

『………………………………。』

『"他艦にも問い合わせましたが、本艦と同じく衛星その物を発見出来ないと……………。"』

『そんな……………』

 

 

 

唖然とする信濃を他所に、艦隊司令官は落ち着いて、

『信濃、今は何時?』と質問した。

 

 

司令官の意外な質問に驚きつつも、艦長席にある戦術情報ディスプレイを画面を見て

『えっと………午前10時半ですね……………えっ?午前10時半?』

 

 

時刻を確認した信濃は目を疑った。自分達が台風に突入したのは午後1時半。余りにも時間が経ちすぎている。

 

 

司令官は、続けて

『何年の何月何日になってる?』

 

 

『えっと……1942年2月3日?システムタイマーの故障??』

 

 

信濃は直ぐに横にいる副長に他のシステムの時刻を確認させた。

艦橋要員は自分達が担当するシステムの確認を行った。そして、副長を含む皆青ざめた。

 

 

『艦長!間違いありません!どのシステムも1942年2月3日です!』

 

 

 

 

 

 

 

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『まず、これだけは言っておくわ。量子理論を採用したシステムタイマーが狂ったと言う可能性は極めて低い。なにより、『信濃』を含む全艦のシステムタイマーが同じ時刻…………1942年2月3日を示している。』

『"そんな馬鹿な………………"』

『"ハワイの米軍司令部には連絡出来ないのですか?"』

 

 

ミサイル駆逐艦『神無月』艦長の神無月が、そう問いただしたが、

 

 

 

 

『先程から試しているけど、反応が無いわ。』

『うんともすんとも言わない状態だ。』

『"………司令官、どうするんだ?GPSが使えないのでは、現在位置の把握のしようがない。"』

 

 

 

若干困った様な表情で意見を述べたのは、土佐である。いや、彼女だけではない。艦隊全員が同様だった。

 

 

『何も把握出来ない状況で不用意に動くは危険だ。』

『では?』

『暫くこの場で待機。空中・海中・水上警戒を厳にせよ。』

 

 

艦隊司令官はそう命令を下すと、後の指揮を信濃に任せると司令官室に戻った。

指揮権を引き継いだ、信濃は艦隊をそれまでの陣形から変更し、『信濃』『明石』『大湊』を中央に配し、周りをミサイル重巡洋艦、ミサイル駆逐艦、汎用駆逐艦、イージス艦で固めた。同時に、流木に偽装した偵察ブイ・通信ブイを上げさせた。潜航した状態でも、海上の確認を行う為である。元々、潜航を想定していなかったのだから潜望鏡などあるわけが無いのだ。

 

 

 

日付が変わった頃、信濃は司令官に許可を貰った上で艦隊を浮上させ再度各艦の点検を行わせた。各艦に以上がない事を確認すると艦内の換気を済ませ、再び潜航した。

 

 

世界最強と呼ばれた第7艦隊に並ぶ空母打撃艦隊であるが、状況がよく分からない状態でうろつけば、最悪『国籍所属不明の不審艦隊』として攻撃される恐れがあるからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*GPS………『Global Positioning System』。グローバル・ポジショニング・システムの事。地球上の現在位置を人工衛星からの電波で測り知る装置。全地球測位システム。




さて、この後どうなるのでしょうか?続きをお楽しみに。
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