第6艦隊 〜チート艦隊のイレギュラーの物語〜 【投稿休止中】 作:ティルピッツ
"あかし"と"信濃"の2隻は他艦よりも作業に追われていた。
強襲揚陸艦級装甲空母 "信濃" 甲板
『これで何両目?』
『輸送車系は今ので最後です。』
『そう、次は戦車か、、、、』
『少々時間が掛かりますね。』
『"虎狼"も"白狐"も大きいし重いものね、、、』
現在、"信濃"と"あかし"は互いに艦を寄せ、搭載している車両の移動作業を行っていた。輸送系の車両の移動作業は終わったものの、まだ自走砲と戦車が残っている。
『重過ぎてクレーンは使えませんよ、艦長。』
『分かってる。』
『輸送車はクレーンでも充分運べますが、戦車ともなると、、、』
彼の言う通り、戦車は重すぎて"信濃"のクレーンでは運べない。
"信濃"に搭載されている戦車は2両ある。
96式重戦車改 "虎狼" と 97式重戦車 "白狐" である。どちらも陸上自衛軍用の新型戦車で、2両とも約64トンもある。とても、クレーンでは運べないのだ。
『サイド・エレベーターを使いましょう。あれなら運べる筈。』
『でも、それだと時間が掛かりますが、、』
『別に構わないわ。幸い、サイド・エレベーター分のスペースはあるから、使うのに支障はない。』
『分かりました。"あかし"にも連絡しておきます。』
『お願いね。』
『は。』
『これは予想よりも掛かりそうね、、、、、』
作業の様子を見ながら、信濃はそう呟いた。
南雲機動部隊 旗艦 航空母艦 "赤城"
『事情は分かりました。ですが、秋月達の配属変更には同意しかねる。』
『南雲中将。』
『私も同意見ですな。』
『山口少将まで、、、』
『、、、どうやら他の者も同じ意見の様だな。』
三笠はそう言うと、他の者を見た。
現在、この部屋には 宇垣中将、三笠。第1航空艦隊司令官南雲中将、二航戦司令官山口少将、五航戦司令官原少将。そして、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴の各艦長6名。
『三笠様、私としてはその空母の詳細が知りたい。詳細不明の空母の護衛の為と言われても我々は納得出来ません。』
『原少将の言う通りです、三笠様。』
『ふむ、、、、、確かにその通りだな。』
二人の発言を聞いた三笠は、ある提案をした。
『ならば、この提案をして来た人物に聞くか?』
『三笠様!』
『人物?』
『その人物は現在連合艦隊の最高機密だ。私と宇垣、黒島、そして五十六と他数名しか知らぬ人物だ。』
『三笠様、その様な人物とは一体誰なのです?』
『お前達と同じ艦娘だ、赤城よ。』
『艦娘がこのような提案をして来たのですか?』
『そうだ。』
『それって、あの時の艦隊の、、、』
『おい、瑞鶴。』
『あの時?』
『どういう事?瑞鶴、説明しなさい。』
『あっ、いや、その、、、、』
『あれ程、言うなと言ったのに、、、』
『まぁ待て加賀よ、私から説明する。』
『分かりました。』
『瑞鶴、お前の言う通り、あの艦隊の司令官を務める艦娘だ。』
『艦娘が艦隊司令官を?』
『そうだ。それもこの時代最強の艦隊のな。』
『ほう、その様な者がおるとは、、是非会ってみたいな』
『私も会いたいです。』
『私も』
三笠の説明を聞いた赤城達は、山口少将の一言を皮切りに自分達も会ってみたいと言い始めた。
『落ち着け。この場に呼べば皆会える。』
『しかし、良いのですか?三笠様。』
『なぁに、彼女なら引き受けてくれる。』
『ですが、、、』
『私が直接呼びに行く。』
『三笠様直々にですか!』
『それほど重要な人物という事だ。そう理由だから、暫し待っておれ。』
そう言うと、三笠は部屋を出ていった。
『瑞鶴、お前口が軽すぎるぞ。』
『そうよ、瑞鶴。』
『ごめん、翔鶴姉。』
原少将と翔鶴は瑞鶴にその様に言った。
『しかし、3人のうちの誰か1人を配属変更するとは』
『秋月ちゃん達の対空火力は頼りになりますからね。』
『扱く艦が減るではないか。』
『そこなんですか、山口司令官。』
『相変わらず、鬼だね。』
『鬼で結構だ。』
『南雲中将、どうするおつもりですか?』
『正直、秋月達は手離したくない。現在の艦隊防空艦は彼女達だけなのだ。』
『代わりの防空艦がいませんので。』
『秋月ちゃん達の姉妹艦がまだ建造中ですからね。』
『私は、三笠様が直々に呼びに行かれた人物が気になります。』
『やはり、加賀さんもですか。』
『赤城さんもですか。』
『あの三笠様が直々に呼びに行くなど、初めてです。』
『確かに。』
赤城達がその様な会話をしていた頃、三笠は駆逐艦白露に乗り込み、"はつせ"を訪ねていた。
だが、はつせは艦にはいなかった。作業の進展具合を見るために"信濃"にいたのだ。
が、副長からの連絡を受け、すぐに自艦に戻って来た。
『私をお呼びですか?』
『急に呼び立ててすまない。』
『構いませんよ。それで、なにか?』
『実は、、、、』
三笠は、はつせ に事情を説明し、共に赤城に行き、南雲中将達と話をして欲しいと頼んだ。
『私なんかが、話して納得しますかね?』
『それは私にも分からぬ。だが、私と宇垣だけでは無理なのでな。』
『つまり、私が説明すればいいんですね?』
『そうだ。』
『分かりました。少しだけ待っててください。準備する物があるので。』
『分かった。』
はつせ は同行を了承すると、一旦艦長室に戻り、ある物を持ってきた。彼女はそれを持って、三笠と共に"白露"に乗り込み、護衛艦隊を離れ、"赤城"に向かった。
三笠達は"白露"艦橋にいた。
と、三笠は何故か、はつせ の顔をじっと見つめていた。
『、、、、、、、、』
『何か顔に付いてますか?』
『いや、すまん。似てるなと、思ってな。』
『母、、いや、初瀬様にですか?』
『やはり、母は初瀬か。』
『厳密には少し違いますが。』
『違うとは?』
『私の母は しきしま型護衛艦"はつせ"艦長のはつせ海将補です。初瀬様は祖母に当たります。』
『ほう、母も護衛艦の艦長なのか。』
『艦長どころか、護衛艦隊の司令官ですよ。』
『母にはしごかれたか?』
『そりゃしごかれましたよ。まぁ、母のおかげで艦長としてやっていけてるんですけど。』
『装備の使い方もか?』
『いえ、装備の方はヴェリーから教えてもらいました。』
『ヴェリーって誰ですか?』
二人の会話を聞いていた白露も気になったのが、はつせにそう聞いてきた。
『ピョートル・ヴェリーキイ。私のベースになった"キーロフ級"の人だよ。元の名前はユーリイ・アンドローポフって言うんだけどね。』
『海外の方ですか?』
『オラーシャの人だよ。』
『友達なんですか?』
『友達と言えば、友達かな。よく一緒にご飯食べに行ったりしたしね。あ、役職は私なんかよりも上だけど。』
『艦隊司令官なのか?』
『オラーシャ 太平洋艦隊の旗艦 兼 副司令官 で、階級は准将だよ。』
『メチャメチャ偉い人じゃないですか!』
『前は北方艦隊の旗艦 兼 司令官代理だったよ。』
『何処でそんな人と知り合うんですか、、、、』
『オラーシャに立ち寄った時にね。』
『もう少し詳しくお願いします!』
『私も興味がある、頼む。』
『三笠様も興味津々ですね。分かりました、お話します。』
はつせが、ヴェリー、もとい、ピョートル・ヴェリーキイと初めて出会ったのは 2027年の1月8日 、オラーシャ帝国 太平洋艦隊の本拠地、ウラジオストク基地だった。
オラーシャ帝国領 ウラジオストク基地
『うわー、辺り一面銀世界だ。』
『風景を見るのもいいけど、用事があるんだからね。』
『それは母さんだけでしょ。』
『あなたも関係あるのよ。』
『私も?』
当時まだ、艦長では無かった はつせ は三等海佐として、母で、海将補の'はつせ'と共にオラーシャ海軍 ウラジオストク基地を訪れていた。
『例の新型ミサイル艦の事よ。』
『確か、オラーシャ海軍の艦をベースにするんだっけ?』
『そうよ。今回はそのベースになる艦を見せてもらいに来たの。』
『ここ、ウラジオストクにいるの?』
『いるわよ。』
『ズトラーストヴィチェ(こんにちは)。お尋ねしますが、はつせ少将殿でありますか?』
基地の門の前で話していた二人に、基地から出てきた少女が話しかけてきた。オラーシャ語で挨拶してきたので、オラーシャ人のようだ。
『ズトラーストヴィチェ(こんにちは)、私がそうです。この子は、、』
『はつせ三等海佐です。』
『少佐です。挨拶くらいしなさい。』
『ズトラーストヴィチェ(こんちには)。』
『ズトラーストヴィチェ。はつせ少将、はつせ少佐。ご案内します。』
そう言うと、彼女は基地に向かって歩き出した。ふと、はつせは、彼女の名前を聞いてないことに気づき、名前を尋ねた。
『あの、あなたの名前は?』
『イズヴィニーチェ(ごめんなさい)。申し遅れました。ベルクート級ミサイル巡洋艦"アドミラル・ゾズーリャ"艦長、アドミラル・ゾズーリャです。階級は大佐です。よろしくお願いします』
名前を聞かれた少女、艦娘 アドミラル・ゾズーリャ は、はっきりとした声でそう、二人に自己紹介をした。
『こちらこそ、よろしくね。』
『ベルクート級、、、そんな艦あったかな、、、』
『ベルクート、オラーシャ語で"イヌワシ"って意味。ベルクート級は扶桑だと"クレスタⅠ型"巡洋艦って言われてるわよ。』
『ベルクートは計画名なんですよ。』
『そうなんだ、、、、』
『さ、付いてきてください。司令官室で司令官がお待ちです。』
それから二人は基地内の司令部に入り、艦隊司令官の待つ、司令官室に向かった。
『私はここまでです。中に入る事は許可されてないので。』
『バリショーェ スパスィーバ(どうも ありがとう)。じゃあ、ここで待っててね。』
『え?』
『言ってなかった?最初は私が司令官と話すからその間は待っておいてって。』
『あー、言われたような気がする、、、、』
『そういう事だから、話が終わるまで待ってて。』
司令官室前の廊下まで来ると、"はつせ"海将補はそう言うと、司令官室に入ってしまった。
『うーん、、、、どうしたものか、、、』
『基地内でも見てますか?』
『そうしよっかなぁ、、、、でも、勝手にうろうろするのは、、、、』
『私と一緒なら問題ないですよ、案内します。』
『いいの?』
『カニェーシナ(もちろん)。構いませんよ。』
『スパスィーバ(ありがとう)。』
『ニィエー ザ シタ (どういたしまして)。さ、行きましょう。』
『その後にヴェリーキイって人とあったんですか?』
『そうだよ、丁度ドックにいてね。』
『というか、はつせさん。オラーシャ語話せるんですね。』
『話せるよ。オラーシャ艦をベースにしてるんだから、オラーシャ語は読めるし、喋れるよ』
『あ、それもそうですね。』
『それはおいといて。ゾズーリャと一緒にドックに行ったんだよ。』
ウラジオストク基地 艦艇停泊ドック
『ここが、艦艇停泊ドックです。』
『うわぁ、、、、、、、』
『どうですか?』
『凄く広いし、、設備も充実してる、、、』
『ゾーリャ、どうかした?』
停泊ドックを見ていた時、二人は背後から声をかけられた。声のした方を振り向くと、白の軍用コートを着た背の高い女性が立っていた。
『ズトラーストヴィチェ、ヴェリー。』
『ズトラーストヴィチェ、ゾズーリャ。』
『定期点検ですか?ヴェリー。』
『そうよ、あなたは?』
『彼女に基地を案内してたんです。』
『ア ヴィ(あなたは)?』
『はつせと言います。扶桑皇国から来ました。階級は少佐です。』
『ズトラーストヴィチェ、はつせ。私はオルラン級重原子力ミサイル巡洋艦"ピョートル・ヴェリーキイ"艦長のピョートル・ヴェリーキイよ。よろしくね。』
『こちらこそ、よろしくお願いします。』
これがはつせと、ピョートル・ヴェリーキイの初めての出会いである。
『初めてあった時の印象はどんな感じでした?』
『印象?そうだなぁ、、、、、』
艦娘 ピョートル・ヴェリーキイとの出会いを聞いた 白露がそう聞いた。
『いかにもオラーシャ軍人って感じだなぁ、だったかな。』
『え、そんな印象なんですか?』
『だってさ、階級章が付いた軍用の白いコート着てて、グローブまでしてたし、何より、頬に大きな傷跡があったんだよ。』
『頬に大きな傷跡?』
『右頬にね。』
『そこから仲良くなったんですか?』
『そうだね、、、2年くらいオラーシャにいたんだけど、扶桑に戻る時はかなり親しくなってたね。手料理も食べさせてもらったしなぁ』
『2年で、かなり仲良くなってますね、、、』
『艦長、間もなく、水道入口に到着します。』
『分かった。』
『"赤城"の近くまで、この艦で行き、そこから内火艇で"赤城"に乗り込むぞ。』
『分かりました、三笠様。』
ほんの少しだけ、はつせの過去編でした。
二人だけですが、オラーシャ海軍の艦娘、アドミラル・ゾズーリャとピョートル・ヴェリーキイを登場させました。
それと、はつせ達の世界の戦史解説の回を設けるつもりです。
お楽しみに。