第6艦隊 〜チート艦隊のイレギュラーの物語〜 【投稿休止中】   作:ティルピッツ

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はつせが行動方針を伝達した翌日。各艦は移動の準備を行っていた。
"あかし"と"信濃"の2隻は他艦よりも作業に追われていた。


第36話

強襲揚陸艦級装甲空母 "信濃" 甲板

 

 

『これで何両目?』

『輸送車系は今ので最後です。』

『そう、次は戦車か、、、、』

『少々時間が掛かりますね。』

『"虎狼"も"白狐"も大きいし重いものね、、、』

 

 

 

 

現在、"信濃"と"あかし"は互いに艦を寄せ、搭載している車両の移動作業を行っていた。輸送系の車両の移動作業は終わったものの、まだ自走砲と戦車が残っている。

 

 

 

『重過ぎてクレーンは使えませんよ、艦長。』

『分かってる。』

『輸送車はクレーンでも充分運べますが、戦車ともなると、、、』

 

 

 

彼の言う通り、戦車は重すぎて"信濃"のクレーンでは運べない。

"信濃"に搭載されている戦車は2両ある。

96式重戦車改 "虎狼" と 97式重戦車 "白狐" である。どちらも陸上自衛軍用の新型戦車で、2両とも約64トンもある。とても、クレーンでは運べないのだ。

 

 

『サイド・エレベーターを使いましょう。あれなら運べる筈。』

『でも、それだと時間が掛かりますが、、』

『別に構わないわ。幸い、サイド・エレベーター分のスペースはあるから、使うのに支障はない。』

『分かりました。"あかし"にも連絡しておきます。』

『お願いね。』

『は。』

『これは予想よりも掛かりそうね、、、、、』

 

 

作業の様子を見ながら、信濃はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南雲機動部隊 旗艦 航空母艦 "赤城"

 

 

『事情は分かりました。ですが、秋月達の配属変更には同意しかねる。』

『南雲中将。』

『私も同意見ですな。』

『山口少将まで、、、』

『、、、どうやら他の者も同じ意見の様だな。』

 

 

三笠はそう言うと、他の者を見た。

現在、この部屋には 宇垣中将、三笠。第1航空艦隊司令官南雲中将、二航戦司令官山口少将、五航戦司令官原少将。そして、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴の各艦長6名。

 

 

 

 

『三笠様、私としてはその空母の詳細が知りたい。詳細不明の空母の護衛の為と言われても我々は納得出来ません。』

『原少将の言う通りです、三笠様。』

『ふむ、、、、、確かにその通りだな。』

 

 

 

 

二人の発言を聞いた三笠は、ある提案をした。

 

 

 

『ならば、この提案をして来た人物に聞くか?』

『三笠様!』

『人物?』

『その人物は現在連合艦隊の最高機密だ。私と宇垣、黒島、そして五十六と他数名しか知らぬ人物だ。』

『三笠様、その様な人物とは一体誰なのです?』

『お前達と同じ艦娘だ、赤城よ。』

『艦娘がこのような提案をして来たのですか?』

『そうだ。』

『それって、あの時の艦隊の、、、』

『おい、瑞鶴。』

『あの時?』

『どういう事?瑞鶴、説明しなさい。』

『あっ、いや、その、、、、』

『あれ程、言うなと言ったのに、、、』

『まぁ待て加賀よ、私から説明する。』

『分かりました。』

『瑞鶴、お前の言う通り、あの艦隊の司令官を務める艦娘だ。』

『艦娘が艦隊司令官を?』

『そうだ。それもこの時代最強の艦隊のな。』

『ほう、その様な者がおるとは、、是非会ってみたいな』

『私も会いたいです。』

『私も』

 

 

三笠の説明を聞いた赤城達は、山口少将の一言を皮切りに自分達も会ってみたいと言い始めた。

 

 

 

『落ち着け。この場に呼べば皆会える。』

『しかし、良いのですか?三笠様。』

『なぁに、彼女なら引き受けてくれる。』

『ですが、、、』

『私が直接呼びに行く。』

『三笠様直々にですか!』

『それほど重要な人物という事だ。そう理由だから、暫し待っておれ。』

 

 

 

そう言うと、三笠は部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『瑞鶴、お前口が軽すぎるぞ。』

『そうよ、瑞鶴。』

『ごめん、翔鶴姉。』

 

 

原少将と翔鶴は瑞鶴にその様に言った。

 

 

 

『しかし、3人のうちの誰か1人を配属変更するとは』

『秋月ちゃん達の対空火力は頼りになりますからね。』

『扱く艦が減るではないか。』

『そこなんですか、山口司令官。』

『相変わらず、鬼だね。』

『鬼で結構だ。』

 

 

 

 

 

 

 

『南雲中将、どうするおつもりですか?』

『正直、秋月達は手離したくない。現在の艦隊防空艦は彼女達だけなのだ。』

『代わりの防空艦がいませんので。』

『秋月ちゃん達の姉妹艦がまだ建造中ですからね。』

『私は、三笠様が直々に呼びに行かれた人物が気になります。』

『やはり、加賀さんもですか。』

『赤城さんもですか。』

『あの三笠様が直々に呼びに行くなど、初めてです。』

『確かに。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城達がその様な会話をしていた頃、三笠は駆逐艦白露に乗り込み、"はつせ"を訪ねていた。

だが、はつせは艦にはいなかった。作業の進展具合を見るために"信濃"にいたのだ。

が、副長からの連絡を受け、すぐに自艦に戻って来た。

 

 

 

 

 

 

『私をお呼びですか?』

『急に呼び立ててすまない。』

『構いませんよ。それで、なにか?』

『実は、、、、』

 

 

 

 

三笠は、はつせ に事情を説明し、共に赤城に行き、南雲中将達と話をして欲しいと頼んだ。

 

 

 

 

『私なんかが、話して納得しますかね?』

『それは私にも分からぬ。だが、私と宇垣だけでは無理なのでな。』

『つまり、私が説明すればいいんですね?』

『そうだ。』

『分かりました。少しだけ待っててください。準備する物があるので。』

『分かった。』

 

 

 

はつせ は同行を了承すると、一旦艦長室に戻り、ある物を持ってきた。彼女はそれを持って、三笠と共に"白露"に乗り込み、護衛艦隊を離れ、"赤城"に向かった。

 

 

 

 

 

 

三笠達は"白露"艦橋にいた。

と、三笠は何故か、はつせ の顔をじっと見つめていた。

 

 

 

 

 

『、、、、、、、、』

『何か顔に付いてますか?』

『いや、すまん。似てるなと、思ってな。』

『母、、いや、初瀬様にですか?』

『やはり、母は初瀬か。』

『厳密には少し違いますが。』

『違うとは?』

『私の母は しきしま型護衛艦"はつせ"艦長のはつせ海将補です。初瀬様は祖母に当たります。』

『ほう、母も護衛艦の艦長なのか。』

『艦長どころか、護衛艦隊の司令官ですよ。』

『母にはしごかれたか?』

『そりゃしごかれましたよ。まぁ、母のおかげで艦長としてやっていけてるんですけど。』

『装備の使い方もか?』

『いえ、装備の方はヴェリーから教えてもらいました。』

『ヴェリーって誰ですか?』

 

 

二人の会話を聞いていた白露も気になったのが、はつせにそう聞いてきた。

 

 

『ピョートル・ヴェリーキイ。私のベースになった"キーロフ級"の人だよ。元の名前はユーリイ・アンドローポフって言うんだけどね。』

『海外の方ですか?』

『オラーシャの人だよ。』

『友達なんですか?』

『友達と言えば、友達かな。よく一緒にご飯食べに行ったりしたしね。あ、役職は私なんかよりも上だけど。』

『艦隊司令官なのか?』

『オラーシャ 太平洋艦隊の旗艦 兼 副司令官 で、階級は准将だよ。』

『メチャメチャ偉い人じゃないですか!』

『前は北方艦隊の旗艦 兼 司令官代理だったよ。』

『何処でそんな人と知り合うんですか、、、、』

『オラーシャに立ち寄った時にね。』

『もう少し詳しくお願いします!』

『私も興味がある、頼む。』

『三笠様も興味津々ですね。分かりました、お話します。』

 

 

 

 

 

はつせが、ヴェリー、もとい、ピョートル・ヴェリーキイと初めて出会ったのは 2027年の1月8日 、オラーシャ帝国 太平洋艦隊の本拠地、ウラジオストク基地だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラーシャ帝国領 ウラジオストク基地

 

 

 

『うわー、辺り一面銀世界だ。』

『風景を見るのもいいけど、用事があるんだからね。』

『それは母さんだけでしょ。』

『あなたも関係あるのよ。』

『私も?』

 

 

 

当時まだ、艦長では無かった はつせ は三等海佐として、母で、海将補の'はつせ'と共にオラーシャ海軍 ウラジオストク基地を訪れていた。

 

 

 

『例の新型ミサイル艦の事よ。』

『確か、オラーシャ海軍の艦をベースにするんだっけ?』

『そうよ。今回はそのベースになる艦を見せてもらいに来たの。』

『ここ、ウラジオストクにいるの?』

『いるわよ。』

『ズトラーストヴィチェ(こんにちは)。お尋ねしますが、はつせ少将殿でありますか?』

 

 

 

基地の門の前で話していた二人に、基地から出てきた少女が話しかけてきた。オラーシャ語で挨拶してきたので、オラーシャ人のようだ。

 

 

 

 

『ズトラーストヴィチェ(こんにちは)、私がそうです。この子は、、』

『はつせ三等海佐です。』

『少佐です。挨拶くらいしなさい。』

『ズトラーストヴィチェ(こんちには)。』

『ズトラーストヴィチェ。はつせ少将、はつせ少佐。ご案内します。』

 

 

 

そう言うと、彼女は基地に向かって歩き出した。ふと、はつせは、彼女の名前を聞いてないことに気づき、名前を尋ねた。

 

 

 

『あの、あなたの名前は?』

『イズヴィニーチェ(ごめんなさい)。申し遅れました。ベルクート級ミサイル巡洋艦"アドミラル・ゾズーリャ"艦長、アドミラル・ゾズーリャです。階級は大佐です。よろしくお願いします』

 

 

名前を聞かれた少女、艦娘 アドミラル・ゾズーリャ は、はっきりとした声でそう、二人に自己紹介をした。

 

 

 

『こちらこそ、よろしくね。』

『ベルクート級、、、そんな艦あったかな、、、』

『ベルクート、オラーシャ語で"イヌワシ"って意味。ベルクート級は扶桑だと"クレスタⅠ型"巡洋艦って言われてるわよ。』

『ベルクートは計画名なんですよ。』

『そうなんだ、、、、』

『さ、付いてきてください。司令官室で司令官がお待ちです。』

 

 

 

 

それから二人は基地内の司令部に入り、艦隊司令官の待つ、司令官室に向かった。

 

 

 

『私はここまでです。中に入る事は許可されてないので。』

『バリショーェ スパスィーバ(どうも ありがとう)。じゃあ、ここで待っててね。』

『え?』

『言ってなかった?最初は私が司令官と話すからその間は待っておいてって。』

『あー、言われたような気がする、、、、』

『そういう事だから、話が終わるまで待ってて。』

 

 

 

司令官室前の廊下まで来ると、"はつせ"海将補はそう言うと、司令官室に入ってしまった。

 

 

 

『うーん、、、、どうしたものか、、、』

『基地内でも見てますか?』

『そうしよっかなぁ、、、、でも、勝手にうろうろするのは、、、、』

『私と一緒なら問題ないですよ、案内します。』

『いいの?』

『カニェーシナ(もちろん)。構いませんよ。』

『スパスィーバ(ありがとう)。』

『ニィエー ザ シタ (どういたしまして)。さ、行きましょう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『その後にヴェリーキイって人とあったんですか?』

『そうだよ、丁度ドックにいてね。』

『というか、はつせさん。オラーシャ語話せるんですね。』

『話せるよ。オラーシャ艦をベースにしてるんだから、オラーシャ語は読めるし、喋れるよ』

『あ、それもそうですね。』

『それはおいといて。ゾズーリャと一緒にドックに行ったんだよ。』

 

 

 

 

ウラジオストク基地 艦艇停泊ドック

 

 

『ここが、艦艇停泊ドックです。』

『うわぁ、、、、、、、』

『どうですか?』

『凄く広いし、、設備も充実してる、、、』

『ゾーリャ、どうかした?』

 

 

 

停泊ドックを見ていた時、二人は背後から声をかけられた。声のした方を振り向くと、白の軍用コートを着た背の高い女性が立っていた。

 

 

 

『ズトラーストヴィチェ、ヴェリー。』

『ズトラーストヴィチェ、ゾズーリャ。』

『定期点検ですか?ヴェリー。』

『そうよ、あなたは?』

『彼女に基地を案内してたんです。』

『ア ヴィ(あなたは)?』

『はつせと言います。扶桑皇国から来ました。階級は少佐です。』

『ズトラーストヴィチェ、はつせ。私はオルラン級重原子力ミサイル巡洋艦"ピョートル・ヴェリーキイ"艦長のピョートル・ヴェリーキイよ。よろしくね。』

『こちらこそ、よろしくお願いします。』

 

 

 

これがはつせと、ピョートル・ヴェリーキイの初めての出会いである。

 

 

 

 

 

『初めてあった時の印象はどんな感じでした?』

『印象?そうだなぁ、、、、、』

 

 

 

艦娘 ピョートル・ヴェリーキイとの出会いを聞いた 白露がそう聞いた。

 

 

 

 

『いかにもオラーシャ軍人って感じだなぁ、だったかな。』

『え、そんな印象なんですか?』

『だってさ、階級章が付いた軍用の白いコート着てて、グローブまでしてたし、何より、頬に大きな傷跡があったんだよ。』

『頬に大きな傷跡?』

『右頬にね。』

『そこから仲良くなったんですか?』

『そうだね、、、2年くらいオラーシャにいたんだけど、扶桑に戻る時はかなり親しくなってたね。手料理も食べさせてもらったしなぁ』

『2年で、かなり仲良くなってますね、、、』

『艦長、間もなく、水道入口に到着します。』

『分かった。』

『"赤城"の近くまで、この艦で行き、そこから内火艇で"赤城"に乗り込むぞ。』

『分かりました、三笠様。』




ほんの少しだけ、はつせの過去編でした。
二人だけですが、オラーシャ海軍の艦娘、アドミラル・ゾズーリャとピョートル・ヴェリーキイを登場させました。
それと、はつせ達の世界の戦史解説の回を設けるつもりです。
お楽しみに。
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