第6艦隊 〜チート艦隊のイレギュラーの物語〜 【投稿休止中】   作:ティルピッツ

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第2話

原子力航空母艦『信濃』 艦橋

 

 

司令官は、各艦の艦長達を招集していた。招集と言っても、直線艦に来ている訳では無く、通信画面越しである。画面越しであっても全身が映るほどの大きな画面である。

実は、これは艦娘運用の艦艇のみで可能な物である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『全員まず状況確認だが、昨日からの状況を鑑みても分かると思うが、艦隊は現在どことも通信が出来ない。正確に言えば通信相手が居ないという方が正しい。信濃の司令部で色々と状況を整理しているが、受信した電波などからほぼ1942年当時、約80年も前にタイムスリップしたと考えられる』

 

 

 

意外とあっさり司令官は言った。

と言うより、司令官は昔から冷静な人物であり、少々の事では動じなかった。とはいえ、今回の出来事には僅かに動揺したのは確かである(表情には出していなかったが、付き合いの長く常に傍にいる信濃は分かっていた)。

 

 

 

 

 

『状況確認の為、午前中にパラオ、出来ればチューク諸島、当時のトラック泊地まで偵察機を飛ばす。艦隊は微速で航行を再開する。』

『"司令官、仮に1942年だとして、我々のとるべき行動は?"』

『今のところはなるべく息を潜める。下手に動いて、国籍不明艦隊として攻撃されたくはない。昨晩 信濃と話したが、この世界が我々と同じ次元であるとは限らないしね。』

『"時代では無く、次元ですか?"』

 

 

そう聞き返したのは、あさぎり型汎用駆逐艦『せとぎり』艦長 せとぎりである。

 

 

すると 信濃が、

 

『そうです、せとぎりさん。て非なる全く異なる歩みを進む時代かもしれません』

『"はぁ…。よく分かりませんが…"』

『この時代の日本は、我々の日本では無いという事よ。ともかく私から指示は以上。何かに質問は?』

 

 

質問がある者は居なかった。それを確認した司令官は、『各自のやるべきをやるように。』と言うと、艦橋を後にした。各艦の艦長は、画面越しに敬礼してから通信を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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第6艦隊は、イージス艦『九頭龍』『綾瀬』の2隻と、原子力ミサイル重重巡洋艦『土佐』を浮上させ周辺の警戒に当たっていた。もし、何かを探知すれば必要に応じて哨戒ヘリを飛ばす事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

第6艦隊 イージス艦『九頭龍』 CIC

 

 

 

 

 

『ん?これは……………』

『どうした?』

『レーダーコンタクト!、水上目標探知!』

『距離と数は?』

『数は5。距離は約100マイル(161km)です。』

 

 

 

イージス艦である『九頭龍』CICの電測員妖精が、水上目標をレーダーで捉えた。

 

 

 

『艦種は分かるか?』

『大型艦…1、中型艦1…ですね。』

『大型は戦艦が空母、中型は巡洋艦か。*IFFに応答は?』

『ありません。』

『ひとまず、艦長に報告だな。』

 

 

 

 

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数分後、報告を受けた艦長 九頭龍は、CICで詳細を聞くと直ぐに『土佐』に報告。『土佐』から艦隊総旗艦『信濃』へと伝えられた。

既に、『信濃』を含め第6艦隊の全艦が浮上していた。

 

 

 

 

 

 

 

『100マイル先に水上艦艇か…………………。』

『"編成は、戦艦ないし空母1、巡洋艦1です。"』

『艦名は分からないか?』

『"流石に艦名は分かりません。レーダーで発見しただけですから。"』

『うむ……………。』

『"艦名まではもっと接近しないと分かりません。ヘリか哨戒機を飛ばせば分かるかも知れませんが。"』

『レーダーだけでは、確認も出来ない。目標との距離を縮める。もう少し近付いてから、哨戒ヘリによる目視確認を行う。』

『了解しました。艦隊、不明艦へ向け転進。第3戦速。』

『よーそろ、面舵、第3せんそ~く!!』

 

 

 

 

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それから約30分後、第6艦隊は目標後方22マイル(35km)まで接近していた。目標は依然IFFに応答が無かった。

 

 

 

 

『司令、22マイル(35km)まで接近しましたが、対象はIFFに応答なし。通信もありません。』

『予定通り、哨戒ヘリによる確認を行う。『土佐』に哨戒ヘリの発艦要請を。』

『はっ!』

 

 

 

 

 

 

 

第6艦隊 原子力ミサイル重巡洋艦『土佐』艦橋

 

 

 

『艦長、『信濃』より哨戒ヘリの発艦要請です。』

『うむ………準備出来次第発艦だ。』

『了解。…航空機、即時待機。準備出来次第発艦!』

 

 

 

 

 

 

それから1分後、『土佐』後部ヘリコプター離着艦用甲板では1機のヘリコプターが格納庫から出され、発艦準備を行なっていた。『土佐型』には4機のヘリコプターが搭載されている。

今甲板に出されているのはKa-27 という機体だ。これは国防海軍では、『土佐型』以外には運用されていない機体で、ロシアン・ヘリコプターズ製の哨戒ヘリコプターだ。

 

 

 

 

 

 

作業を始めてから暫くして、3人の航空機要員がヘリックスに乗り込んだ。乗り込んだ3人は機内の機器をチェックし、異常が無いことを確認する。 機外では、点検していた整備士妖精が機付長に報告する。

 

 

 

 

 

 

 

『機付長、点検完了しました!』

『各部異常はないか?』

『各部異状なし!燃料も給油済みです!』

『了解!誘導員以外は退避しろ!!』

 

 

 

 

 

機付長は矢継ぎ早に指示をだすと、ハンドサインで“エンジン始動”の合図を機長に送った。

 

 

 

 

 

 

 

ハンドサインを確認した機長は、副操縦士と連携してエンジンスタートに入る。

 

 

 

 

 

 

 

『各部計器異状なし。』

『よし、メインローター展開。』

『メインローター、展開。』

『展開完了。メインローター、結合良し。』

『エンジン始動。』

『エンジン、始動。』

 

 

 

 

 

 

 

折り畳まれていたメインローターが展開され、エンジンが始動し、ゆっくりと回転を始める。やがて、エンジン出力が上がる。充分に暖機運転を行い、発艦が可能な状態になった。それを確認した、機長妖精は航空管制担当の妖精に報告する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちら、"ヴォルク1" 発艦準備完了。』

『"ヴォルク1"、発艦を許可します。』

『了解、"ヴォルク1" 発艦。』

 

 

 

 

 

機体を固定してきた拘束装置が外され、"ヴォルク1"が発艦した。

 

 

 

 

 

 

 

『"ヴォルク1"、対象艦までの飛行コースを指示する。』

『"ヴォルク1"、 了解。』

 

 

 

 

 

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『土佐』から発艦した哨戒ヘリコプター ……コールサイン『 ヴォルク1』は、管制官からの誘導に従い、目標海域に到達しようとしていた。

 

 

 

 

『こちらヴォルク1。間もなく、目標海域に到達。』

『"了解。対象に接近し、確認を行って下さい。"』

『了解。』

 

 

 

管制官妖精からの通信を終えた機長妖精は、隣に座る副操縦士妖精に話しかけてきた。

 

 

 

『報告だとそろそろだが…………何か見えるか?』

『まだ何も……………いや……………正面に艦影!』

『正面か。間違いないか?』

『………………はい、間違いないです。』

『ここからじゃまだ遠いな。もう少し近付くぞ。』

『了解!』

 

 

機長が機体を操作し、艦影が見えた2時の方向に転進する。

今度は、搭乗員妖精が双眼鏡を覗き込む。

 

『1…2…………報告通りですね。』

『艦名は分かるか?』

『識別表で確認します。』

 

 

搭乗員妖精は、識別表を使って艦名の割り出しに掛かった。程なく、艦名が分かった。

 

 

 

『先頭の大型艦は、金剛型高速戦艦…中型艦は、長良型軽巡ですね。』

『艦名は分かるか?』

『金剛型は、『比叡』……長良型は、『阿武隈』ですね。』

『よし、そのまま『土佐』に報告だ。』

『了解!』

 

 

 

 

 

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原子力ミサイル重巡洋艦『土佐』 CIC

 

 

 

 

『ほう、旧日本海軍の艦艇か。』

『こちらでも照合を行いました。間違いなく、旧日本海軍の艦艇でした。』

『旗艦は恐らく金剛型だな………艦名も分かっているのだな?』

『はっ。金剛型2番艦『比叡』です。』

『データは全て『信濃』に送っているな?』

『はい。』

『ならば、司令官の判断を待とうではないか。』

 

 

 

 

 

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第6艦隊 旗艦 原子力航空母艦『信濃』

 

 

 

 

『『比叡』…………………か。』

『金剛型高速戦艦の2番艦ですね。』

『もしかして………この艦隊はパラオに向かう艦隊か?』

『その可能性はあります。』

『……出来れば、接触を試みたいが………………。』

『接触ですか?何かお考えが?』

『少しね。でも、護衛の駆逐艦がいない。』

『そうですね……軽巡が1隻付いてるだけの様です。』

『護衛が軽巡1隻だけでは、はぼ丸裸の状態だ。潜水艦に襲われたら一溜りもないぞ。』

『しかし、何故駆逐艦がいないのでしょうか?』

 

 

 

 

信濃が、司令官にそう問い掛けた時。半ば通信に割り込む形で『土佐』から通信が入った。

 

 

『"割り込む形になって申し訳ない。司令官、ヴォルク1より報告だ。『比叡』が敵潜水艦による雷撃を受け、損傷。被害は軽微ではない………との事だ。"』

 

 

 

その瞬間、その場にいた全員が沈黙した。

 

 

 

 

 

 

 

*IFF……『Identification Friend or Foe』。敵味方識別装置。戦闘時に同士討ちを防ぐ為、電波を用いて敵と味方を識別する装置。

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