DIGIMON STORY デジモンに成った人間の物語   作:紅卵 由己

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相変わらず5000字の壁が厚い。何で最近は越えられなくなったんだろ。

そして何より、一つの話でのストーリー進行度が圧倒的に短いッ!! 

もう連載再始動から一ヶ月以上経って、未だにリメイク前よりストーリーが進んでいないってどういう事なの……。

出したいキャラクターとか書きたい話が大量にあるのに、それを実行出来ないのがホントに苦痛。


電子世界にて――『空腹は食欲に忠実?』

 此処は、発芽の町から十分ほどで到着する小さな森の中。

 

 前後左右に茶色い(みき)の木々が多く並び、風が吹くと心地よい音が耳にささやき、緑色の落ち葉が低空を舞う。

 

 ベアモンは一匹、視界に映る緑色のグラフィックを楽しみ、鼻歌を交えながら歩を進めていた。

 

 獣型のデジモンである自分に最も適した環境に居るからか、とてもご機嫌な様子だ。

 

「ん~……やっぱり森の中はいいなぁ。気分が落ち着くし、果実は美味しいし」

 

 彼の掌には、森の中で拾ったのであろう赤色に熟された林檎(りんご)が、一部|欠けた状態で存在していた。

 

 視界を左右に泳がせて、食料となる果実を探しながら、彼は林檎を一口かじる。

 

 瞬間、林檎特有の甘酸っぱさが舌を通して味覚へ伝わり、それによる発生する満足感に表情を柔らかくしながらも「むしゃむしゃ」と食べ進める。

 

(早起きしてたらよかったなぁ。そしたら、ユウキやエレキモンも一緒に来れたかもしれないのに)

 

 つくづく自分の睡眠時間の長さに心の中でため息を吐くベアモンだが、睡眠という生理現象に対する解決策など、あるとすれば早寝早起きか、この世界には存在するかも分からない目覚まし時計というアイテムを使うぐらいしか存在しないだろう。

 

 寝なければいいじゃん、などという回答は当然ながらノーサンキューである。

 

 そのような事をしてみれば、きっと今は純粋な青少年の心を持っているベアモンが、昼型から夜型に変わってグレてしまうかもしれない。

 

 もしくは「寝ない子だぁれだ」と何処からか不気味な声が聞こえて、そのまま幽霊の世界に招待されてしまうかもしれない。

 

 前者はともかくして後者はとても考えられないが、何しろ物理法則も常識もひったくれも無いのがこの世界(デジタルワールド)なのだから、もしかするともしかするのかもしれない。

 

 まぁ、それはどうでもいい事なのだが。

 

 ベアモンは自分の手に持つ林檎を芯ごと噛み砕いて飲み込み終えると、ふぅ、と一息を入れる。

 

(そういやあの二人、もう僕の家に残しといた『アレ』を見てくれたのかな?)

 

 心の中でひっそりとベアモンは呟くが、彼自身は既に町長との会話を終えたユウキとエレキモンが、家の中に残された暗号を目撃している事を知らなかったりする。

 

(まぁ、ユウキっていうギルモンにはエレキモンが一緒に居るんだろうし、危険な所には行ってないでしょ)

 

 自分で出した問いに、自分なりのプラス思考で答えを出して解決させると、ベアモンは一度周囲を見渡し始めた。

 

 周りには樹木が並んでいるが、その殆どには食料となる果実が成っていない。

 

 空は普段通りに蒼く果てしなくて、白い綿のような雲が気ままなほどにゆったり流れている。

 

 平和だなぁ、とベアモンは内心で呟いていた。

 

 きっと自分が今まで見てきた青色の先には未知の景色が存在しているんだろうなぁ、と夢を描きながら。

 

(……そういえば、ニンゲンの世界ってどんな世界なんだろうなぁ……)

 

 ベアモンは思う。

 

 先日出会ったギルモンが本当に人間だったのなら、デジタルワールドとは別の、人間が住んでいる世界は実在するのだろうと。

 

 想像のままに風景や状況を妄想するだけでも、デジモンである彼の好奇心は強く刺激される。

 

(くぅ~!! やっぱりニンゲン界っていうのはおとぎ話じゃなくて、実際にあるのかなぁ……!!)

 

 考えが甘すぎるが、その理由は彼がまだ子供だからとしか言いようが無い。

 

 ニンゲンだろうがデジモンだろうが、子供という枠に収まっている間は夢を見る生き物な事に変わり無いのだから。

 

(帰ったら、あのユウキって子に色々聞いてみよっと)

 

 彼はゴム風船のように想像を膨らませながら、緑と茶の色が広がる森の中を進んでいった。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 ベアモンが食料調達をしているその一方で、帰宅後に質問ラッシュと言う名のイベントが待ち受けている事を一切知らない、赤色の大飯喰らいトカゲのユウキはと言えば。

 

「ベアモンの奴……昨日、森が最近物騒だって言った矢先に森に向かうなんてな……」

 

「対面して一日の俺が言うのもなんだけどさ、アイツって頭が悪いタイプなのか?」

 

 ベアモンの家で目撃した暗号と、エレキモンの思い当たりを宛にして森へと向かっていた。

 

 少しでもデジタルワールドでの知識を確保しておくために、自分とは違って生まれつきデジモンであるエレキモンと会話をこなしながら。

 

 実際のところ、家の持ち主が居ないとユウキがベアモンの家に住む事になった話とか、食べる物が無い自分はどうすればいいだとか、他にも色々と話さなくてはならない事がそれなりに多いため、仕方なくベアモンを捜索しにエレキモンと共に村の外へ出たというわけだ。

 

 ちなみに現状の話題は聞いての通り、これから同じ家で寝る事になるベアモンについての話題だったりする。

 

「いや、頭が悪いっつーか……どうだろうなぁ。アイツの考えてる事は俺にも理解出来ない時があるし」

 

「まぁ確かに、初対面の相手を即自宅に受け入れるなんて思考は理解出来ないな」

 

 ユウキのベアモンに対する第一印象は、それほど良いものとは呼べなかった。

 

 まぁ、初対面でいきなり躊躇する事も無く自宅に連れ込んだ上で、無防備に不審者を至近距離に寄せて寝るなどという人間からすれば非常識としか思えない行動を取られれば、そう思うのも仕方ないのだが。

 

 もし仮に、現在の状況を人間の世界で照らし合わせるなら……それはそれで、お茶の間のお子様諸君等にはとても見せられない図が容易に想像出来る。

 

「だろ? まったく苦労させられるよ……って、今回の場合は原因の一端にお前も居るんだが」

 

「そんぐらい自覚できてる。でもさ、それならお前の家に住まわせてくれれば良かったんじゃ?」

 

「あのな、俺はアイツほどお前の事を信用してねぇんだ。信用出来ない奴を、自宅に入れたりしたくない」

 

「ふ~ん、まぁ予想出来てたけど」

 

「予想出来てたんなら、わざわざ聞くなや……」

 

 そんな会話を交わしていたが、そのうち話題の内容に飽きを感じてきたのか、二人とも無言になる。

 

『………………』

 

 あまり良いものを感じられない空気が流れる中、別の話題を出そうと先に口を開いたのはエレキモンの方だった。

 

「あのさぁ、お前は結局の所……これからどうすんの?」

 

「どうするって言われても、何の事を聞かれてるんだそれは」

 

「これからの事だ。俺の予想だけど、お前は多分……自分がデジモンに成った手がかりとかを探すつもりなんだろ?」

 

 エレキモンの問いにユウキは「当然だ」と即答する。

 

 その返事を聞いたエレキモンも「やっぱりか」と言うと、そのまま言葉を紡ぐ。

 

「でも、俺が言うのもなんだが……町長でも解決出来なかったんだし、少なくともあの町の中では手がかりを掴む事は出来ない」

 

「……だろうなぁ。でも、だからって他に行く宛も無いし……独り旅をするのは流石に無謀だし」

 

 まだろくに戦う術も持たないのに、一匹でこの世界を渡り歩いていたら命がいくつあっても足りないだろう。

 

 強くなれば話は別だが、生憎一日前まで平和な世界で過ごしてきたユウキに戦闘経験などあるわけも無いので、トレーニングやら何やらで体を鍛える以外に出来る事は少ない。

 

 更に言えば、そんな事を毎日繰り返しているだけだと、一匹で最低限の安全を確保しながら旅するには何日かかるか分かったものでは無い。

 

「まぁ、そうだろうな……俺が言うのも何だが、無謀な独り旅は無条件の死亡フラグに変わり無いと思うぞ」

 

 何より……仮にこの広大な世界を旅をしたとして、手がかりを掴むまで何ヶ月かかるのだろう。

 

 独りで手がかりを掴める確率など、アニメや漫画でライオン顔のイケメンキャラクターが生き残る確立に等しいのだから、わざわざバッドエンドが予想出来る未来を選択しようとは思えない。

 

 だが、それなら何をどうすればいいのだろうか。

 

 今のユウキには、現状の打開策を思いつく事が出来ない。

 

 

 

 

 

 

「だけど、手が無いわけじゃない」

 

「……何?」

 

 そんなユウキに、エレキモンの言葉は希望とすら思えた。

 

「これはアイツと一緒の方が話しやすいから、今は言わないが……少なくとも、独りで旅するよりは数倍マシな手段だと思う」

 

「………………」

 

 思わず押し黙るユウキ。

 

 彼が手がかりを掴むための小さな希望を手にするのは、そう遠くない未来の話だったりする。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 それから数刻が経ち、現在進行形で森の中を食料調達という目的のために進んでいるはずのベアモンはと言うと。

 

「……あれは、もしかして?」

 

 またもや道端で拾ったのであろう緑色のキノコをもぐもぐと食しながら、およそ数十メートル先に見える樹木を見て静かに声を漏らしていた。

 

 ベアモンはキノコを一気に口へと放り込みながら、いち早く確認するために進行速度を歩きから走りへと変える。

 

「やっぱり……これはデジブドウの木だ」

 

 その木の枝の先には、紫色の小さな実が一つの房に大量に集まっている果物が多く見られ、それの味を知るベアモンにとっては素直に喜べる出来事だったりするようだ。

 

 ベアモンはどうやって、木の枝に成っている果物を採ろうと考える。

 

 木を登って採るというのも一つの手だが、彼は木登りがそんなに得意ではない。

 

 そんでもって下手をした結果、頭から落ちてギャグ漫画のように頭にタンコブを作るのも嫌なので。

 

「……よぉし、一発強いのをブチかますかな!!」

 

 そう言ってベアモンは一度深呼吸した後に自身の右手に握り拳を作り、そのまま腰を深く落とす。

 

 そして、木を貫くイメージを頭に浮かべながら、拳を前へと突き出した。

 

「子熊……正拳突きぃ!!」

 

 ドスッ!! と鈍い音が周辺に響き、正拳突きの威力で樹木が揺れる。

 

 それによって木に成っている果物の一部が根元近くに落ち、ベアモンはそれを一本回収……しようとした時だった。

 

「キィィィ!?」

 

「ん?」

 

 ベアモンの近くに、果物とは違う何かが悲鳴と共に落ちてきた。

 

 それは全身に稲妻の模様が刻まれた、幼虫のようなデジモンだった。

 

 どうやら枝の上に居たらしく、果実を取ろうとしたベアモンの行動のとばっちりを受けたようだ。

 

「………………」

 

 昆虫型デジモンの視線が、ベアモンを視界に捉えた。

 

 よく見ると、顔の部分にある稲妻の模様の形が少しずつ変化している。

 

「え、え~っと……」

 

 明らかにマズイ事をしたなぁ、と状況を察したベアモンが考え付いた謝罪の言葉は。

 

「……キィィィィィィィ!!」

 

 次の瞬間に響いた、昆虫型デジモンの悲鳴とも呼べる奇声によって掻き消されていた。

 

 そして、その奇声に反応したのだろう。

 

 周りの茂みや木から、まるで不法侵入者を見るような視線を一斉に感じる。

 

「……マジで?」

 

 周りの木から多くの視線を感じたベアモンは、自分自身に起きている危機的状況に冷や汗を流していた。

 




 本日のNG。

 ベアモンの周囲に、何十匹もの昆虫型デジモン(殆ど成長期)があらわれた!!

 この状況で、ベアモンが行える三つの選択肢はッ!!


 ①良い子のベアモンは起死回生のアイデアを思いつく。

 ②逃げる(しかし、まわりこまれた!!)

 ③ふるぼっこにされる。げんじつとはひじょうである。


「……あれ、詰んでる?」


 ベアモンは、めのまえがまっしろになった!! 

 NGその3「もんすたーはうす」
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