DIGIMON STORY デジモンに成った人間の物語 作:紅卵 由己
というか八月になると、もうこの作品も一周年なんですねぇ……マジで何か面白いネタを出した方が良いのかと考え出してしまうんですが、はてさてナニをどうするか……。
話題を変更すると、書いていて思ったんですが、森の中でコカトリモンって物凄く戦闘が書きにくい。理由はコカトリモンの戦闘を書いてる人にしか分からないと思います(小並感)。
敵としての登場が主なデジモンですが、アドベンチャーでは人間に化けてたりしてましたよね。あれどうやってるんだろ。
最初の1000字近くは必要性があるかも分からない解説話ですが、始まります。
バジリスク、という名を持った
現実に存在『する』情報として古代に製造された時点では、頭部に冠状のトサカがあり、その目で見ただけで死をもたらす蛇の王様と呼ばれていたが、中世に時代が移るごとに、コカトリスという別の架空生物の伝承と合流し、姿に鶏の要素が取り入れられるようになった。
時が経つにつれ、蛇の王様という外見情報は頭に鶏冠を持った蛇だとか、八本足のトカゲなどに塗り替えられ、バジリスクの別称としてコカトリスが用いられるようにもなった。
更に時代が進むにつれて、バジリスクという生物の危険性はどんどん大袈裟に語られるようになった。
例えば、蛇なんて比にもならないレベルの大きな生き物とされたり、口から火を吹くようになったり、先に述べたように目を合わせた者が石に変えられたり、その声だけで生物を死に至らしめるなどとされたりした。
だが、そもそも、現実にそこまで危険な生物が居るのだとすれば、実際に見た者は何の情報も伝える事さえ出来ずに死んでいるはずであり、かえってその情報は信じられなくなっていった。
そして、現代に至る過程で、既にバジリスクは現実には存在『しない』生物として語られ、ファンタジーを舞台にする絵本や映画やゲームなどに強敵として登場するようになってしまった。
その殆どで使われている要素は『猛毒を持つ』事と『視線で石化する』という点であり、バジリスクという架空の生物を現す有名なステータスとして認識されるようにもなった。
そして、バジリスクとコカトリスという異なる名前を持った二つの生物の情報は混同されたまま、デジタルワールドへと反映された。
デジタルワールドに生息しているデジモンの種は、大半が人間の生きている『現実世界』から送られる
エレキモンが進化したデジモンであるコカトリモンは、言うまでも無く
そして、その能力も当然、伝説上の情報を元としている。
エネルギーの繭を破って現れたコカトリモンの最初の行動は、ただ単純。
その視線を真っ直ぐガルルモンへと向け、一度目を閉じて、それから大きく見開きながら『必殺技』の名を叫んだだけ。
「ぺトラファイアー!!」
名を言った瞬間、コカトリモンの目から水色の炎のような物が光線のように放たれ、放たれる前に前兆を察知していたガルルモンは素早く横に跳躍する事で避けるが、先ほどまでガルルモンが居た場所のすぐ後ろの方の木の一部分が、まるで焼け跡のように灰色に変色――石化していた。
技を放つ過程で視界が塞がるため、コカトリモンは回避後のガルルモンが襲ってくる方向を理解するのに時間が掛かり、気付いた時には既にガルルモンが真っ直ぐ飛び掛ってきていた。
だが、コカトリモンは防御手段を取る事も無かった。
次に行った行動も、ただ単純。
「ぅらあッ!!」
「ガ……ッ!?」
強靭な脚力を秘めた両脚、その内の右で、飛び掛ってきたガルルモンの顎を思いっきり蹴り上げたのだ。
ただ蹴っただけにも関わらず、ガルルモンの体が首ごと上向きになるほどに反り、その状態を狙ったコカトリモンの嘴がガルルモンの腹部に突き出される。
ドスッ!! と、一点に力が集中された攻撃がガルルモンの体を容易く吹き飛ばし、激痛を奔らせる。
「ぐっ……」
コカトリモンは間髪を入れずに再び『必殺技』を放とうと思ったが、突然体に疲労的な重みが圧し掛かり、集中を乱してしまう。
元々、進化する前から彼は消耗しており、その上にコカトリモンの巨体を維持するだけのエネルギーが明らかに不足しているため、進化を維持するどころか、単に体を動かすだけでも相当な負担が掛かっているのだ。
コカトリモンというデジモン自体がそもそも、エネルギーの消耗が激しい戦いを苦手としているため、ガルルモンとマトモに戦える時間もそう長くは無い。
それを分かっているからでこそ、コカトリモンは少しでも当たれば動きを封じられる『必殺技』を使う事を常に視野に入れていたのだが、ただの一発を放つだけでも相当な消耗を強いられてしまった。
だが、進化を解くだけにはいかない。
ここで彼が戦う事を止めたら、間違い無く後ろに居るベアモンが殺されてしまうだろうから。
自分一人でも、意地で守り抜いてみせる。
「ぺトラファイアー!!」
目で標準を合わせ、気合いでもう一発『必殺技』を放つが、コカトリモンが集中を乱した間にガルルモンが態勢を立て直していたらしく、今度は跳んで避けられる。
跳び掛ってきた所を『必殺技』で狙う事も、言葉で言うだけなら容易かもしれないが、技の予備動作の間に喉笛を嚙まれては元も子もない。
強力な技であるが故の欠点か、放つまでの『溜め』が少し長いのだ。
だからでこそ、ガルルモンに避けられるだけの隙を与えてしまう。
「ガルルスラスト!!」
跳んで回避したガルルモンは、そのまま体を回転させ肩口のブレードでコカトリモンを切り裂こうとする。
今度は蹴りによる返しは出来ない。
後ろにベアモンが居るため、回避も出来ない。
取れる手段は、退化している両翼を交差させる事による防御以外に無かった。
「ぐ…………ッ!!」
当然、両翼は切り刻まれ、激痛がコカトリモンを襲う事になるが、それでも切断はされない。
交差した両翼を強引に振り、ガルルモンを押し返す事に成功したコカトリモンは、三度目の『必殺技』を放つために一度目を閉じた。
着地地点は予想が付いている。
ガルルモンには空中で移動する、という回避手段が無いため、最も安定して狙えるタイミングは着地の寸前、地に脚が着く直前。
後は冷静に狙いを定め、放つだけ。
「ぺト…………ッ!?」
そう、思っていた。
ただ、盲点だった。
この状況で、この環境で使うわけが無いと思っていたからでこそ、その当たり前の反撃を予測する事が出来なかった。
技を放とうとしたコカトリモンと襲ったのは、ガルルモンの口から放たれる青い炎――ガルルモンの『必殺技』だった。
「フォックスファイアー!!」
そもそも使うわけが無い。
そう思っていただけに、突然使われたそれの防御策などあるわけも無く。
無防備なコカトリモンへ、青色の炎が牙を剥いて襲い掛かってきた。
「ぎっ、ああああああああああああああああああああ!!?」
「え、エレキモン……ッ!?」
なまじ体が大きい所為か、炎は一切他の物に焼け移る事も無くコカトリモンの体を焼く。
幸いなのは、コカトリモンの羽毛がそれなりに耐熱性を含んでいた事だろう。
それが無ければ、間違い無くこの時点で死んでいた。
体の大きさも、ベアモンを守るための盾代わりになってくれたと考えれば、そう悪い気もしなかった。
「ぐっ、くそっ……お構い無しかよ……ッ!!」
このような森の中でも遠慮無く炎の技を使った、という事は、既にガルルモンの理性は殆ど失われていると見ていいだろう。
『沸点』を超えさせてしまったのは、恐らくコカトリモンが顎に放った一発の蹴り。
こうなると、もうガルルモンはコカトリモンを仕留めるまで攻撃を中断する事も、茂みの中に隠れて隙を突こうともしないだろう。
だが同時に、冷静さを失ったガルルモンには、もう攻撃よりも回避を優先するほどの判断能力は残されていないだろう。
ならば、これは残り僅かなチャンスだ。
「ガルルルルルルルルルルルル――――ッ!!」
(……やべぇ、すげぇ怖い)
自分で怒らせといてなんだが、という話ではあるのだが、やはり剥き出しの殺意を向けられて怯まないほど彼の精神は強くない。
それでも、負けられない。
腹を括り、コカトリモンは次の行動に出る。
「ぺトラファイアー!!」
四度目となる『必殺技』を放ち、視線を向けた先にある樹木や葉っぱを石化させる。
ガルルモンはそれを上に跳んで避けると、口に再び炎を溜める。
コカトリモンはそこで視線を空中のガルルモンへと移し、しかし『必殺技』は使おうともせずに身構える。
ガルルモンは口から炎を吐き出した状態のまま回転し、文字通り火だるまのような姿のままコカトリモンを襲う。
それに対してコカトリモンが行ったのは、またも単純な事だった。
両肩口から伸びているブレード、高い切断能力を持ったそれが存在しない、中央の
まるで体当たりでもするかのように、跳躍すると共に自身の嘴を突き出したのだ。
接近した代償として両肩を切り刻まれ嘴に火傷を負うが、その一撃はガルルモンの体を打ち上げ、生じた衝撃の影響でガルルモンはバランスを崩し、ゆっくりとした回転で地面に落ちていく。
そしてコカトリモンは、地に脚を付けるまで一切の抵抗も出来なくなったガルルモンの落下ルートに横槍を入れるかのように、その高い脚力のままに跳び掛かり、ガルルモンの腹部を全体重を乗せた嘴で突いた。
「ビーク……スライドォ!!!」
その結果。
鈍い音と共に、ガルルモンの体は押されるような形でその背後にあった灰色――石化した樹木へ、コカトリモンの巨体とサンドイッチになる形で激突し、辺りへ石が砕けるパラパラ細かい音を響かせた。
数瞬後、コカトリモンの姿は輝き、羽根のような粒子が舞い散ると共に元の姿――エレキモンに戻る。
そして、衝撃と共に意識を消失させたガルルモンが石柱のような木に寄り添う形で崩れ落ちる。
「へ……へっ……ざ、まぁ……ねぇな……」
勝敗が決した事を確信したエレキモンの意識は、初となる『進化』を解除した事から来る凄まじい疲労感と虚脱感から薄らいでいき――――意識が途絶える瞬間感じたのは、親友の暖かい腕の感触だった。
◆ ◆ ◆ ◆
戦いは終わった。
周囲から『敵』の気配は感じられず、その場には静寂が訪れる。
途中から戦いを見ている事しか出来なかったベアモンは、戦う力を根こそぎ奪われたガルルモンのそぐ傍で気を失った親友を腕に抱いていた。
その瞳から、一粒一粒と涙が出てくる。
「……エレキモン……」
結果的に、ベアモンは助かった。
エレキモンの方だって、命には別状も無いはずだ。
だけど、それでも、結局。
ベアモンが、エレキモン守り抜けなかった事には変わりが無い。
もっと自分が強ければ、ここまで危険な状況に至らせる事なんて無かったはずだ。
そもそも、最初の時点で『敵』の奇襲にさえ気付けていれば、ここまで追い詰められる事だって無かったはずだ、と思ってしまう。
「……ごめん……」
言葉を発しても、意識を持たない親友は返してくれないだろう。
言い知れぬ不安を抱きながらその場で動かずにいると、坂道の方からニ体のデジモン――ガルルモンに襲われたベアモンとエレキモンを助けるために疾走していたミケモンと、それよりちょっと遅れてギルモンのユウキが、多少呼吸を(特に後者が)乱しながら近づいて来た。
彼等はそれぞれ、気を失って倒れているエレキモンの姿と、彼を抱き抱えているボロボロなベアモンの姿を見て言葉を述べる。
「おい、大丈夫か!? 怪我とか……はある、な……」
「あんな事があったのに命があるだけ十分だろ。ホントなら、死んでてもおかしくなかったぞ」
「……ユウキ、ミケモン……」
二人の顔を見て、ようやく安心を取り戻すベアモン。
涙が出てくるのを止められないまま、彼は言う。
「……エレキモン、怪我も疲労も僕より酷くて……僕もガルルモンと戦ったんだけど、何も出来なくて……」
「何も言わなくていい。遠くの方からでも、お前等二人のものと思われる『進化の光』は確認出来たから、どういう事があったのかは大体予想がついてる。というか、明らかにお前の方が酷い有様だろうが」
ミケモンはそう言うと、ベアモンの腕の中で気を失っているエレキモンを自分の腕で抱え上げる。
疑問を浮かべたベアモンが、涙を拭いながらミケモンに対して質問する。
「……どうするの……?」
「お前もエレキモンも、ついでにユウキも、怪我と疲労が明らかに酷いからな。これ以上は俺も見過ごす事は出来ねぇよ。単刀直入に言うが、今からお前等は俺が町まで連れ返す。食料に関しては仕方ねぇから、俺の方から分けてやるよ」
「……うん、分かったよ……」
ベアモンはそう言うと、エレキモンの事をミケモンに任せて立ち上がる。
ユウキもミケモンの意見に異論を唱える事は無く、同意したように頷いていた。
食料の問題はミケモンが援助してくれるだろうから、とりあえずは山の中で食料を求めて彷徨う必要が無くなったからだ。
ただ、ユウキから見てもベアモンのショックは大きいらしく、ユウキも表情を曇らせている。
そんな時、エレキモンを抱えたまま山を下り始めようとしたミケモンが、視線を行き先へ向けたまま、ベアモンに対して言葉を飛ばした。
「……気に病むな。こいつの怪我もお前の怪我も、どちらかと言えば保護者でもあるオイラに責任があんだから。それでも気にするんなら、せめてこの『経験』を次に活かす事を考えろ。自分だけに責任があると思ってんじゃねぇぞ」
ユウキには、その言葉がベアモンやミケモンだけでは無く、自分自身にも宛てられているものに感じられていた。
互いに言葉を交わしながらも、目的の無くなった彼等は山を下り、帰る場所へと戻る。
幸運というよりは不自然なほどに、帰る途中『敵』との遭遇は一切無かった。
◆ ◆ ◆ ◆
――――目を覚ました時、エレキモンの目が見たのは、よく見知った天井だった。
「……ん……」
自分達は助かったのか。
ベアモンやユウキはどうなった。
そういった疑問は、自分が自分の住んでいる家で眠っていた、という事実によって収束された。
眠っている間に何があったのかは知らないが、エレキモンの眠っている傍には明らかにリンゴとは違う食料――焼けた肉や、健康に良い果実として有名な超電磁レモンが皿代わりの葉っぱの上に置かれていて、いつの間にか空腹になっていたエレキモンは、食欲に身を任せるようにそれ等を口に運んでいた。
こういった様々な食料が山で手に入ったとは思えない。
間違い無く、ミケモン辺りの援助があったのだろう、とエレキモンは思っている。
眠っている間に意外と時間が経っていたのか、視線を家の外へ向けるとオレンジ色の空――夕焼けが広がっているのが見えた。
「……戻って、これたのか」
安心感の一方で、ベアモンやユウキが今どうしているのかが気になった。
体を起こそうとするが、食料でエネルギーを補給した上でも体は重く感じられた。
四つの脚で体を支える事さえ難しいのか、もしくは眠りから覚めたばかりで意識が覚醒しきっていないからか、エレキモンは寝床から起き上がる事も出来ずに横になる。
「……だりぃな……」
そんな事をぼやいていると、入り口の方から来客があった。
自分と同じくボロボロなはずのベアモンと、モノクロモンとの戦いの時には自分を守って背中に大火傷を負っているギルモンのユウキだ。
彼等はエレキモンが目を覚ましている事に気付くと、早速声を掛けてきた。
「エレキモン、大丈夫……? まだ『進化』した時の消耗が回復しきれてないんだね……」
「……そういうお前はどうなんだ。お前なんて山の中で二回も『進化』を発動した挙句ぶっ倒れてたじゃねぇか」
「僕は大丈夫だよ。ここに来る前、町に戻ってからミケモンがくれた食料を食べたり昼寝したりで回復に専念してたから、本調子とまでは言えないけどずっとよくなってるし」
「お前ってホントに頑丈なのな……昨日といい、今日といい……」
二日間の間に三回も成熟期のデジモンと戦っていながらもすぐに回復するベアモンに、呆れたような言葉を口にするユウキだが、ベアモン自身は自分の体の損傷よりも他人の体の損傷の方が心配の優先度が高いのか、気にせずにエレキモンに声を掛ける。
「大丈夫なようで何よりだよ……エレキモンがコカトリモンに進化した時は、本当に驚いたけど……やっぱりエレキモンは強いや。君がいなかったら、僕はあそこで死んでたよ」
「……へっ、何を言ってんだか。モノクロモンとの戦いの時、俺やユウキを助けてくれたのはお前だろうに」
「でも、僕一人じゃ無理だったという事実は変わらないよ。いつも一緒に居てくれてありがとう」
互いに微笑ましい会話を交わす中、話題を切り出すようにユウキが言葉を投げ掛ける。
「ベアモン。褒めあうのは良い事だと思うんだけどさ、忘れてないか?」
「……あっ、うん。分かってるよ」
「? 何かあったのか?」
どうやら、エレキモンが眠っている間に二人の方で何かがあったらしい。
エレキモンの無事を確認し、ようやくベアモンも切り出すべき話題を口にする。
「あのね、落ち着いて聞いてね?」
◆ ◆ ◆ ◆
エレキモンが目覚める、少し前。
周りを木造の壁に囲まれ、本棚や食料貯蓄庫といった設備が整った特別製を感じさせる部屋。
『ギルド』の拠点である建物の奥で、組織のリーダーであるレオモンと、受付員(と言う名の留守番係)なミケモン――レッサーは互いに言葉を交わしていた。
レッサーが山へ向かってから戻ってくるのに大分時間が掛かっていた事に疑問を浮かべていたレオモンだったが、遅れた事情とその後の言葉を聞いて、その表情を強張らせていた。
「……ふむ。狂暴化したデジモンによる二度の襲撃。それによって生じた負傷者の保護。まぁこういった事情があるのなら、戻ってくるのにここまでの時間が掛かったのも仕方無い、か……」
「そう思うだろ? ったく、あいつ等も不運なもんだよ。一日どころか、二日に三度も狂暴化したデジモンの襲撃を受けるなんてな」
「……全くだな。様々な野生のデジモンが生息しているにも関わらず、彼等だけが襲撃された。不運と例えるのも間違いでは無いだろう」
元々、最近様々な地域で見られる野生デジモンの『狂暴化』は、発生条件も犯人も分かっていない。
他と比べても比較的安全『だった』地域へミケモンを送ったつもりだったのだが、話を聞いた通り、見回りをさせた地域でも『狂暴化』の問題は発生している。
当然、これについては他の地域の『ギルド』でも調べられているのだが、芳しい情報は得られていないと聞く。
また、危険な可能性を秘めた地域が増えた。
だが、レオモンが顔を強張らせている理由はそこ『だけ』ではない。
彼はレッサーの目を真っ直ぐに見ながら、こう言ったのだ。
「……だが、正気か? 確かに成熟期のデジモン――それも狂暴化している個体を相手にして生存出来るほどの強さが本当ならば、『試験』で実力を確かめる必要も無いのは分かる。むしろ、この町の『ギルド』はメンバーも少ない方だからな。働き手は大抵歓迎する。だが……俺はまだ、その子達の事を知らない。『試験』も飛ばして『ギルド』に入団させるなど、すぐには決められん」
一方で、レッサーは適当とも真面目とも言えない調子で言った。
「いいんじゃねぇの? オイラは少なくとも、アイツ等には大物になる可能性があると見てるぜ」
「……はぁ……」
レオモンは思わず、溜め息を吐いた。
ミケモンが嘘を言っているわけでは無い事ぐらいは分かっているのだが、まだ素性も見た事が無いデジモンを含めた『チーム』の結成など、安易には決められない。
実力があるのは分かったが、それに見合う心構えはあるのか。
レオモンは考え、そして言った。
「……分かった。だが、後で……夜でも構わない。一度俺の前に顔を出すように伝えてくれ。これから先やっていけるのか、見定める必要があるからな」
大層な大義名分や大事な機密情報などを抱えているわけでも無いが、素性も何も知らないデジモンを無条件で受け入れるわけにはいかない。
ミケモンのレッサーの事を疑っているわけでも無いが、どの道これは必要となる過程なのだ。
そんな真面目くさい事を考えているレオモンに対して、レッサーは『へ~へ~、分かりましたよっと』なんていう面倒くさそうな言葉を漏らしながら、受付カウンターのある場所まで足を運ぶ。
レオモンもまた、自らの役割を遂行するために文献――自らが書き記した情報に目を通す。
昨日の時点で依頼を大分達成してきたからか、今日この『ギルド』に宛てられた依頼は比較的少なかったらしい。
レオモンにはそれが、平和と言うより――嵐の前の静けさのように思えた。
思わず、彼はこう呟いた。
「……
NG? あ、すいません後回しです←←
あと一話か二話でようやく第一章が終わりそうってか終わらせたいです。いやホント、予想よりも長引いて収拾どう付けようかと悩みに悩みましたが、ようやく落とし所に入れました。
何だか思いっきりカットしたなぁ、と思う方もいると思いますし、作者もそう思っていますが、ぶっちゃけこれ以上詰めに詰める必要が無かったというか発生するイベントも無かったんですよね。行動についても『山を降りた』と、町にいってからは『休んだ』と『食事をした』で説明出来るレベルで内容の薄い過程だったので、バッサリとカットさせていただきました。
必要な場面は全て書いているつもりなので、説明不足な点も少なく問題無いと思っています。
これでも問題などがあると感じられた場合は、感想やメッセージなどで指摘してもらえれば即座に修正いたします。
(まぁ、一番最後の台詞だけ違和感があったので帰宅後、四時四十五分ぐらいに修正したのですが)
とりあえず第二章をどうしようとか考えているのですが、まずは第一章を終わらせなくては……。
さて、次回は遂にユウキ以外の『個体名』が決定し、同時に『チーム』の名前も決定する予定です。
山に入ってから絶賛空気中の主人公の出番はいかに……ッ!!
では、次回をお楽しみに。