DIGIMON STORY デジモンに成った人間の物語 作:紅卵 由己
もうすぐ連載一周年という所で、遂に『第一章』も完結です!! 正直不安でしたが、やろうと頑張れば案外出来るもんですね。ずっと単調な話を見ていて退屈なお方もいると思いますが、それでも読んでくれている事には本当に感謝です。
ようやくここまで来たかぁ……という所で、遂にずっと名無しだった彼等にも個体としての名前が付き、三人のチームとしての名前も!! いやぁ本当に書きたい話を書いた時って、気持ちが良くなりますね!! 何か色々と路線がズレた気がしますけど!!
ぶっちゃけた話、ずっとシリアス続きだったので一気にギャグい空気を引き込んでます。アレですよ、発作的なアレですよ。シリアスなんて必要だと思った時だけに集中させて、他はギャグで纏めればいいんだと思っているんですよ!! 実際はそう上手くいくわけないですけど!!
……では、前置きはこのぐらいにして。
『第一章』の最後を飾る話、始まります。
と、いうわけで。
要するに、とユウキの隣でベアモンが言葉を紡ぐ。
「ミケモン曰く、レオモンを信用させられるだけの言葉と、僕達の『
「これまた唐突だな……。そりゃあ俺からしても『ギルド』に入団出来る事に越した事は無いけど、まさか『試験』を飛ばすなんてよ。そういう『特別』な事例って今まであったっけ?」
「あるんじゃない? そもそも『試験』の内容と実績が被っているんなら、そもそもそれまでの『経験』が『試験』の達成条件と混同したっておかしくないし。とは言ってもあくまで『実力』の面での『試験』が終わっただけで、多分リーダーであるレオモン――――『
ベアモンはそう言ってから視線を隣で立っていたユウキの方へと向け、それからエレキモンの方へ振り向き直すと、こう言った。
「……思わぬ出来事で入る事になったから、これから早速色々と決めておきたいんだ。僕等の『
「……レオモンに俺達の事を承諾させられるだけの言葉の方は?」
「ぶっちゃけ考えるだけ無駄でしょ。僕等の『そのまま』をぶつける事でしか承諾しそうに無いし、こういう事は考えるよりも包み隠さずに言った方がいいと思うよ。ユウキもそう思うよね?」
「俺も、流石に考えぐらいはするけど、一言で納得を得られる都合の良い理由を出しても駄目だと思う。そういうのは下心を読まれただけで簡単に崩れ去る。そもそもの『ギルド』って組織に入りたい理由を、ベアモンの言う通り『そのまま』喋った方がいいんだと思う」
実際の所、どんなに都合の良い理論武装をしても、簡単にあのレオモンを納得させる事は出来ないだろう。
レオモンという種族名を聞いただけでも、その性格がどのような物であるかを大体予想出来たユウキからしても、ちゃんと芯の通った言葉をぶつけない限り納得を得るのは難しいと思っている。
ならばベアモンの言う通り、自分達の思いをそのまま告げた方がいい。
明確な『理由』が無いのなら、そもそも『ギルド』という組織に入ろうと思わないからだ。
「はぁ。ま、あのリーダーに包み隠された部分のある言葉が通用するとも思えないしな。優先すべきなのは、そっちの方か」
「そう思うよ? と、いうわけでカッコいい名前を決めちゃお~!!」
「結構大事なことだと思うのに軽いなオイ!!」
この世界において大抵は仕事に使う二つ名だったり、それぞれの『個』を確立させるための物として使われる物が『
ちなみにエレキモンも決まっておらず、とりあえずしっくり来そうな名前を(ベアモンが自分の家から持ってきた)絵本から摘出する事になったのだが、あまり進展はしていない。
「ユウキも手伝ってよ。元人間だったんだし、カッコいい名前ぐらい付けられるでしょ?」
「そんな無責任な」
ベアモンにそう言われたユウキ自身も、テレビゲームの登場人物に付ける名前にどうしても時間を掛けてしまうタイプだったりして、ベアモンとエレキモンの名前を決め兼ねている。
そうこうしている間に時間は過ぎていく。
「ん~、じゃあベアモン。『ブラオ』とかどうだ?」
「ちょっとそれは……う~ん、三文字なのはいい良いけど……しっくり来ないなぁ」
「俺も考えてみたんだが『ナックル』とかどうだ……?」
「流石にそれは……やだなぁ」
「直球すぎるだろ……。まんま『拳』って意味じゃねぇか」
一応こんな形で案が出てくる事もあるのだが、どうも納得のいきそうなキーワードは出てこない。
空の色も、どんどんオレンジ色から夜の闇色に染まり出していく。
犬や猫といった獣の名前でも付けるのなら、適当にポチだとかなんだとか決められたかもしれないが、これから互いに協力し合う仲間の名前をこうして付けるとなると簡単には決められない。
そうして、決めきれずに時間だけが過ぎていった。
「……駄目だ。というか、お前等……流石に何処かで妥協しろよ!?」
「って言われても……『グレイ』とか『ガーディン』とか、ユウキが変な名前を付けようとするんだから困惑するに決まってるじゃん」
「俺の方も『トニトゥルス』とか『ルベライト』とか、よく分からない名前だったしな。そっちからすれば理解出来るかもしれんが、俺たちがお前の言葉を全部理解出来るとは思うなよ」
「これでも色々頑張って考えたんだぞ!? 名前に使えそうな個性の少ないベアモンはともかく、エレキモンの方には色々と反映させてみたし!!」
ただのデジモンであり、人間世界の言語に詳しくないエレキモンに知る由は無いが、どちらもエレキモンの特徴に関連した語句だったりする。
「それが分かりにくいんだって言ってんだ。ってか三文字ぐらいでいいだろ無駄に長いんだよ!!」
「唐突な三文字縛り!? お前いい加減にしてると一文字ネームにすんぞこの野郎!!」
「君らさ、意味も無く喧嘩しないでほしいんだけど……まぁ、語呂の良さってのもあるし、僕も二文字から四文字ぐらいで十分っていうか、要するに三文字で呼びやすい名前でお願い」
「……三文字だな? 確認するけど、本当にそれでいいんだな?」
「ユウキだって三文字だし、ね。ただ『グレイ』はやめてね。モンって付けただけで実在するデジモンの種族名になっちゃうから」
「何その下らない理由!? 意味も全く違うのに!!」
そんなこんなで、夜になるまで名前の厳選は続いていた。
◆ ◆ ◆ ◆
この三日間の間、色々な出来事があった。
元人間を自称するデジモンと、偶然遭遇した。
現実として存在するはずの無い生き物と対面した。
互いに素性も知らぬまま、元居た場所に一緒に帰った。
地や木を這う大量の芋虫に襲われ、不本意ながらも戦った。
低空を舞う巨大なる羽虫の怪物に奇襲され、生死の境を彷徨った。
出会ったばかりの『友達』を守るため、狂暴な怪物のように戦い駆けた。
条件を付けた上で、出会ってそう時間も経ってない者同士が、その手を繋いだ。
その他にも色々な危機が襲って来たし、様々な『感情』が三人の役者を強くしている。
この三日間の間、三人の思考には様々な思いが生まれていた。
ある者は、自分の存在が別の何かに成り変わっていた事に困惑して。
ある者は、『友達』の事を『被害者』にする『加害者』に対して怒りを覚え。
ある者は、心を寄せる相手とさえ居られるのならどんな無茶をも厭わないと思った。
前に進む事しか知らない子供達は順当に『成長』し、一歩一歩の感触を認識しながら進んでいる。
先も見えないまま、ただ自分の目的の指す方だけを見つめ、それを当たり前のように思いながら。
◆ ◆ ◆ ◆
夜中になり、ユウキとベアモンと(何とか起き上がって歩けるようにはなった)エレキモンの三人は、『ギルド』の拠点である建物に訪問した。
暗がりでも周囲をよく見えるようにするためなのか、内部の所処には小さな炎が付いているカンテラが設置されていて、それが不思議と夜風の冷たさを和らげているようにも見える。
三人の事を待っていたのか、内装の一つである受付用カウンターの上には、ミケモンの『レッサー』が退屈そうに寝転がって待機していた。
「待ってたぞ。リーダーが裏の方で待ってる」
「「「………………」」」
三人は、緊張の所為か無言になってしまいながらも歩いて、受付用カウンターの先にあるのだろう部屋を隠しているカーテンを手で退けて、その先へと足を踏み入れる。
入った部屋の方もカンテラの明るさで視界が確保されており、部屋の奥ではミケモンと同じように三人が来るのを待っていたのだろう、この『ギルド』で最も位の高い存在が
「来たか」
そのデジモン――レオモンの姿を見た一同は、会話が出来る距離まで固い動きのまま近づく。
彼が何らかの『気』を振りまいているわけでは無いのだが、それでもこの町の『ギルド』という一つの組織の長という事前情報と、彼そのものが纏っている風格から、なかなか緊張感を解く事が出来ない。
そんな彼等を見て、軽く笑い微笑みながら、レオモンは言った。
「そう緊張しなくてもいい。せっかく座って話せる場を設けたのだからな。こちらとしても特別な扱いを受けるのは好ましくないからな」
「は、はい……」
ベアモンとエレキモンは柔らかい言葉を告げられて緊張の糸を解き始めるが、ユウキだけは面接に
一度深く呼吸をするのを見て、二人だけでも冷静になったのを確認してから、レオモンの方から話題を切り出す。
「さて。ミケモンから君達の事は聞いているし、ミケモンから君達も、俺が聞きたい事ぐらいは聞いているだろうが……まずは自己紹介といこう。俺の種族名は見ての通りレオモンで、『
「ベアモンです。多分、僕とは何度か会ってると思います」
「エレキモン。右に同じくって感じです」
「……ギルモン。個体名は『コウエン・ユウキ』。色々あってベアモンの家に居候させてもらってます」
「…………ふむ…………」
自己紹介を終えると、ほんの数秒だが、レオモンはユウキの目を見つめながら思考していた。
レオモンからすれば、ベアモンとエレキモンは多少の面識があっても、ユウキに限ってはこの辺りの地域ではあまり目にしない種族である上に、既に『
見つめられて、思わずユウキは息を呑む。
そして思考が終わると、レオモンは次の話題を切り出した。
「では単刀直入に聞かせてもらうのだが。君達は『ギルド』に入るつもりなのだな?」
「はい。前々からこの組織で働いて、『外の世界』っていうのを見てみたかったので」
「俺もベアモンの理由とは別件だけど、同じように『ギルド』には入るつもりだったっす」
「……俺はベアモンに協力したいってのと、同じく別件の理由で入るつもりです」
それぞれの回答を聞いて、レオモンは自己紹介の時と同じリアクションを起こす。
小説とかで台詞の意味をそれなりに深く考えるタイプなのだろうか? なんて事を思うユウキだったが、思えばこれは自分達の事を試すための会話だった事と、この町における自分自身のイレギュラーっぷりを思い出し、即座にその思考を消し去る事にした。
会話に
「……分かった。前提となる情報の確認は、もういいだろう」
そう言って、続けて言葉を紡ぐ。
「では、次の質問だ」
どういう質問が来ても良いように、三人は心構えをする。
ここからの質問に対する対応で、この会話から決定する事項が変わるかもしれないから。
そして、来た。
「――――君達には、危険を
そもそもの前提に、答えを出すための質問が。
◆ ◆ ◆ ◆
様々なケースで戦いが頻繁に起きるこの
生き残るために。
求めているために。
欲望を満たすために。
信念を貫き通すために。
衝動とも言える物のままに。
守りたいものを守るがために。
きっと、それを下らない事だとか、つまらない事だとか、罵る者だって居るかもしれない。
だけど、例え否定されても進みたくて、それでも壁として立ちふさがる物があるのなら。
一匹は知らぬ真実を求めるがために。
一匹は手を伸ばして届かせたいがために。
一匹は支え合いながら目指したい物のために。
時に打ち壊してでも、回り道をしてでも、進みたい道があったっていいはずだ。
◆ ◆ ◆ ◆
最初に問いに答えたのは、ベアモンだった。
「確かに危険を冒してまでやるほどの物として、僕の『理由』っていうのはちっぽけかもしれない」
まず、危険と願望を天秤に乗せてから。
「だけど、それでも僕は手を伸ばしたいんです。この『
ベアモンの『理由』は。
子供でも抱く、ただの好奇心。
だけど今は、それだけでは無かった。
「……最近は色々な問題が発生してて、のどかな風景がどんどん崩れてる。罪も無いはずのデジモンが被害に遭って悲しんで、それを分かっていながら何もしないのは嫌なんです。そして何より、そんな風に一方的に他者の幸せを奪っているような奴を放っておけない」
その言葉に秘められた物は。
間違い無く、ユウキが巻き込まれている問題も入っている。
「これが、僕の『理由』です」
「………………」
次に、エレキモンが口を開いた。
「まぁ、俺はベアモンほど立派な『理由』を持ってるわけじゃないっすけど、あえて言うなら」
別に重々しいわけでも無い、とても軽い口調で。
「コイツと一緒に……いやそうでも無いかもしれないけど、目指したい夢がある。その過程で危険が付き纏うんだとしても、それを諦めて何の感慨も無い生を過ごすのはゴメンってヤツですよ」
「………………」
多くを語るのは苦手なのか、エレキモンはそれ以上『理由』を言う事が無かった。
そして、ユウキの番がやってきた。
「……俺は……」
頭の中で決めていた言葉を、ただ告げる。
「俺は、ベアモンやエレキモンの物とは違うんですけど……ただ、知りたい事があるんです」
「……知りたい事?」
「別にこの世の真実だとか、学者さんが求めそうな物じゃないですよ。ただ、自分が知らない真実っていうのを知りたい。それだけです」
「……本当に、それだけなのか?」
最も不明な点が多い人物を相手にしているからか、途中途中にレオモンも問いを入れる。
「君の『理由』を否定するわけではないが、知らない方が幸せと言えるような真実も世の中には存在するだろう。何も知らないままで、平和に過ごしているだけという道もある。それを分かった上での選択なのか?」
「……正直、怖い所はありますよ」
見えない恐怖に真っ向から立ち向かうように、言い放つ。
「だけど俺は、知らないといけない……そう思うんです。そりゃあもしかしたら辛い現実そのものが真実かもしれませんし、知ろうとした結果、命を落とすほどの危険に見舞われる事だってあるかもしれない……」
自分自身が人間からデジモンに成った理由。
この『
何より、まだ人間だった頃の最後に会った青いコートの人物の目的。
「けど、覚悟ならもう決めました」
それを知るまで、絶対に進む事を止める事は出来ない。
力強く、挑むように宣言する。
「どんなに過酷な道でも進んで、真実を見つけ出す。その過程で戦う事になるとしても、仲間と一緒なら乗り切れると思えたから怖くない」
それは、自分がまだ弱い事を知っているからでこそ、それを実感しているからでこそ、出せた答えだった。
「…………なるほどな」
他者から聞いたら、他人任せな弱者の言葉とも受け取れるような言葉を聞いて。
「……まったく。ここまで堂々と返してくるとはな……ミケモンは言っていたが、君は本当に記憶喪失なのか?」
「事実としては間違ってないですよ。間違い無く俺の記憶には『知らない事』が合間に挟まってる。だから、それを探すために頑張りたい」
そして、三人の『理由』を頭に入れた上で、レオモンはこう返答する。
「……合格だ。認めよう」
短く告げられ、三人は率直に歓喜した。
◆ ◆ ◆ ◆
さて。
『ギルド』への加入が認められたのは良いのだが、まだやり残している事がある。
「ではまず、君達の『
「そうだった。まぁ大丈夫なんだけどね~」
「そだな。さてユウキ君、決定した俺達の『
「お前ら結局俺にだけ名前の案を任せてたのかよ!! てかエレキモン、お前そんなキャラだったっけ?」
「やだなぁ。これから一緒に活動するんだから仲良くやるのは基本だろって事だからとっととしろ」
「そうだよ。もう決めてあるんでしょ?」
「早速この二人に信頼が持てなくなって来たけど、なんか後戻りが出来ないから言いますね」
「うむ。変なもので無い限りは大丈夫だ」
……三人が歓喜した瞬間、同時にシリアスな空気でも換気されたのだろうか?
明らかに扱いがおかしいのにも関わらずレオモンは味方してくれないし、それどころかベアモンやエレキモンの言葉を止めてくれたりしない。
もう何と言うか、この流れから脱する事の方が難しく思えたらしく、ユウキは言われるがままに言った。
「……ベアモンは『アルス』……帽子に書いてあるアルファベットの『BEARS』から後半の三文字――『A』と『R』と『S』を取った物。エレキモンは『トール』……まぁ、こっちは適当だけど」
「おい待て、適当ってどういう事だ電撃ぶつけんぞ」
ユウキが(人間が書いた神話の事なんて言っても分からないだろうからという理由で)適当と述べたため、人間世界の文献までは知らないエレキモンには知る由も無いが、エレキモンに名付けられた名前の元となった対象はトンでも無い存在だったりする。
何とか両方とも三文字で収められた辺りは、ユウキもそれなりに頭を使ったのかもしれない。
ちなみにベアモンは、掴みが悪くないと感じたのか、特に苦情も無かった。
三人分の『
「では最後に『チーム』の名前を決めてもらおう。案は用意しているか?」
「あ、はぁい!! そっちは僕が考えてま~す!!」
「そっちは考えられたのに何で自分の方は決められて無かったんだ……」
ユウキが何かを言っていたが、ベアモンはそっちの方に意識を向ける事は無く、エレキモンも特に反論を残そうとしなかった。
ベアモンが、何処か誇らしげに宣言する。
「僕達の『チーム』の名前は……『
どんな困難にも立ち向かい、道を切り開く。
ベアモンの付けた名の意味は、単にそういう物だった。
そしてレオモンは、その名の意味を理解した上で、最後にこう告げた。
「……では、改めて歓迎しよう……『
その言葉を区切りに、会話は終了した。
三人は疲れを癒すために、それぞれの居場所に戻っていく。
場に残ったレオモンが思考していると、部屋の中にミケモンが入ってきた。
そして彼が、ニヤニヤとした笑顔でこう言ってきた。
「うっす。あいつ等、面白かっただろ?」
「…………さてな。ひとまず、信用に足り覚悟も備わった者達、という事は分かったさ」
◆ ◆ ◆ ◆
ユウキ達が『チーム』を結成し、そして『ギルド』に入団した頃。
変わらぬ清らかな水の音と、夜風が木の葉を揺らすような音が散らばる山にて。
夜の闇に紛れるような形で、その環境からすると場違いな姿をした何者かが、独りで。
「…………はい」
誰かと、話をしていた。
その耳と思われる部分には、何らかの電波を発生させる事で会話を可能にする、夜の闇と色が同化した機械が押し付けられている。
多少でも電子機械の事を理解している者ならば、携帯電話と言われているであろう物が。
目に見えてさえ居れば誰もが違和感を抱くであろう光景だが、誰もその光景を視界に入れる事は出来ていない。
迷彩のような何かによって視えていないのだから、当たり前ではあるのだが。
何者かが、言葉を紡ぐ。
「
その言葉の意味を理解出来る者は、この場には居ない。
ただ、ただ、情の感じられない言葉だけが続く。
「……では、交信を終了します。次の交信は……そうですか。はい」
この場に居ない相手との会話が終わったのか、彼は手に持っている機械の電源を切る。
「………………」
ユウキにもベアモンにもエレキモンにも。
戦うだけの
だが。
何も、
命を賭けて戦えるだけの理由を持っている者は、余程の事が無い限りは揺らぐ事も無いし、どんなに綺麗事を述べようが、それぞれはそれぞれの事情を抱いて戦いに赴き、いつかは潰し合う。
これは、戦えるだけの『理由』を持っている者たちによる物語なのだから。
◆ ◆ ◆ ◆
終わったッ!! 『第一章』完ッ!!
と、いうわけで終わった『第一章』ですが、いかがだったでしょうか?
一年足らずぐらいでようやくここまで書けましたが、ぶっちゃけ怠慢さえしなければもっと早く走り抜けた事を考えると、何と言うか不甲斐無く思えなくも無いですね。だって、同じぐらいの話数で、話の構成次第では完全体まで主人公を進化させられそうですし。その上、予定では九章ぐらい書きそうだから心が既に折れそうなんだぜ←← だって書きたい話が山ほどあって妥協出来ないものばっかりなんですもん!!←←
というか、主人公よりも当初では脇役予定だったエレキモンが凄い人気なのはどういう事なんや……そりゃあ主人公が台詞量少ない期間が長かったですし、どっちかと言えばベアモンの方が主人公的な事やってそうでしたし、台詞の量ではエレキモンの方が上かもしれませんけど、内心すごい複雑です。主人公の事をもっと見てあげて!!←←
ベアモンとエレキモンの『個体名』についてですが、ベアモンについてはリメイク前の物をそのまま使う過程で、その由来を簡単に説明させていただきました。
アルスって名前の勇者、何だか別のゲームでも居たような気がしますし、語呂が良いので扱い安いと思ったんですよね。ゲーム等では正当進化系であるマルスモンにも似せる事が出来ますし。まぁ、仮に究極体進化させるとしてもマルスモンにする事は絶対に無いでしょうけど(確定)。
一方でエレキモンは、何と『北欧神話』にも登場している『雷を司る神』こと『トール』という名前に。関係無いけど別の作品のトール君って凄い良いキャラしてますよね。
作中でユウキが案として出していた『トニトゥルス』と『ルベライト』の意味は、前者がどっかの語群で『雷』という意味で、後者が『紅電気石』と、実はちゃんとエレキモンの特徴を生かした名前だったりするんですよね。本人には意味が難しすぎてバッサリされましたが。
ちなみにベアモンの方の『ブラオ』と『グレイ』は両方とも色の関連で、『ガーディン』は『守護者』の意味を成す『ガーディアン』から取りました。『オーディン』の方は関係ありません。やっぱりベアモンにとってはしっくり来なかったのですが。
最後にチーム名である『挑戦者たち(チャレンジャーズ)』は、ぶっちゃけリメイク前と同じように『ブレイズハート』だとか何とかだとらしくないなぁと思い、現時点での彼等を示す名を付けました。
……先に出したチーム『フリーウォーク』にもルビ用の名前を付けた方が良いんだろうか……
さて。このまま『第二章』に進みたいとも思えるのですが、その前に。
『第一章外伝』として、あるお方とのコラボ回のこちら側での視点の話を書きたい思いもあるので、遅れる可能性が高いです。
・・・
何より『第二章』の舞台を、人間界にするかデジタルワールドにするか、迷っているので……。
『第一章』でようやくデジタルワールド側の土台が積み上げられたので、これから面白く出来たらなぁ。書きたい話がめっちゃ先の方にありすぎてブラストレーションがマッハだぜぇ……。
それでは、次の章にて。
感想・指摘・評価など、いつでもお待ちしております。