DIGIMON STORY デジモンに成った人間の物語   作:紅卵 由己

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コラボ回はこんなに書きやすいのに本編ときたら……というか、本編の話とこのコラボ回を書いた時のUAがおかしすぎる。たった数日で1000超えとか普段の物を見ていると絶対おかしいよレベルですよ。お気に入り登録数とかエラい増えっぷりになってますし。

これがデジモン原作アニメの効果ってやつですか……たまげましたなぁ。

……本編の話の大抵のUA『300~400』 コラボ回『1000~1700』。

何でしょう、この複雑な気分。見てくれるのは嬉しいんですが、その原因が自分の作品の面白さにあるように思えないこの感じ。むぐぐ。


異世界にて――『一方通行な理解と知識』

「えっとまずは……助けてくれてありがとう、かな」

 

 少々の時間が過ぎてようやく冷静さを取り戻したのか、落ちてきた『人間』はバンピーなリアクションから一転して普通に礼を言ってきた。

 

 ようやく普通に接する事が出来そうだ、と認識したベアモンとエレキモンが『人間』の近くまで寄って座り、調達してきた食料を近くに置いた。

 

 魚に果実に、人間ならば前者の素材を焼いたりして食べる場面だろう。

 

「どういたしまして。君が空から落ちてきた時には驚いたけどね」

 

 実際は怪獣(ユウキ)が進撃し、辺りの環境に明確なダメージを与えながら助けたのだが、きっと知らない方が良いだろうと思ったので、ベアモンは詳しい状況を伝えたりはしなかった。

 

 代わりに、顔をずいっと『人間』に近づけながら、言った。

 

「ところで、君って『人間』だよね?」

 

「さっきも聞かれたけど、そうだ」

 

 事実を述べるように返って来た答えに、ベアモンは好奇心を揺さぶられたように笑顔を浮かべながら、言葉を紡ぐ。

 

「そっかぁ。やっぱりそうなんだぁ」

 

「……何だ?」

 

 その反応には『人間』だけではなく、ユウキの方も疑問を抱く。

 

 そんな彼等の疑問に対して答えを出すように、ベアモンは二人の異なる存在を見比べてから、あっさりと言った。

 

「ユウキも『人間』だった時は、こんなにかわいかったんだな~って」

 

 明らかにトップシークレットに近い、個人情報を。

 

 当然、『人間』と『元人間』なギルモンのユウキは声を上げる。

 

 だが、ユウキの気にした点は個人情報を漏洩した、という行いに対してでは無く。

 

「俺をどうしたら『可愛い』になるんだっ!?」

 

「今さらっと重要な事を言ったな!?」

 

 偶然にも声が重なったが、この場合正しい反応を残してくれているのは『人間』の方だろう。

 

 まぁ、人間だった頃の記憶が有るユウキからすれば、一人の男としてそのレッテルが受け入れ難い物だったのしれないが、この赤色爬虫類には自身のイレギュラーっぷりに関する自覚が足らないのだろうか。

 

 相手が『人間』とは言え、そもそも『デジモンに成った人間』なんて存在は異常として見られてもおかしくないのに。

 

 というか、このリアクションの発端であるベアモン自身は二人の反応を楽しんでいるようで、さっきから質問に対する返答を行おうとしない。

 

 そんなやり取りを横から見ていたエレキモンが、やれやれと言わんばかりにため息を吐きながら言う。

 

「お前らなぁ。コントより先にやる事があるだろ。自己紹介とか、情報交換とか」

 

 言っている事は真っ当なのに、前後の文脈を考えると責務を果たしていないと言えなくも無いような。

 

 もしくは、エレキモン自身もこの状況を楽しんでいたのだろうか。

 

 深刻なツッコミ不足の一例である。

 

 エレキモンの言葉を聞いて、真っ先にベアモンが手を上げた。

 

「じゃあ、僕から自己紹介をするよ。種族名はベアモン。見ての通り、ごく普通のベアモンだよ」

 

 ちなみに、そう言う自称『普通』のベアモンは、大怪我をした後でもその日が過ぎれば完治する、なんていうインチキ染みた自己再生能力を持っていたりする。

 

「ごく普通か……? 俺の種族名はエレキモン。正真正銘のごく普通のエレキモンだ」

 

 やけに『普通』を強調して言うエレキモンも、名付けられた『個体名(コードネーム)』がトンでもない存在をモチーフにされていたりしている。

 

「俺の種族名はギルモン。元は人間だったんだが、何故か今はギルモンになってる。人間としての名前は紅炎勇輝(こうえんゆうき)だ」

 

「ふ~ん、そうか。よろしくな」

 

 もはや説明不要なレベルで『普通』では無いギルモンの自己紹介に対しての『人間』の反応は、やけにあっさりとしていた。

 

 流石にそこにはユウキも拍子抜けしたらしく、ようやく自分のイレギュラーっぷりを再認識していた。

 

「俺が元人間って言っても、驚かないのか?」

 

 ベアモンもエレキモンも、その疑問は抱いている。

 

 ひょっとしたら、ユウキの同じ『元人間のデジモン』を知っているのだろうか。

 

 そんな事を予想していたのだが、答えは予想を九十度ほど急上昇して返って来た。

 

「ああ。人間がデジモンになるってよくあることだし」

 

 思わず。

 

 三人の目が点になり、一斉に『人間』の顔を凝視していた。

 

 何故なのだ? 何をどう考えれば、どんな経験をすれば、そんな風に『人間がデジモンに成る』事を『よくある事』と言ってのける事が出来るのだ? と、生まれつきデジモンなベアモンとエレキモンでも、予想だにしていなかった回答に目を丸くする事しか出来ない。

 

 同じく疑問を抱いていたユウキだが、二人と違って彼には『ある可能性』を脳裏に浮かべる事が出来ていた。

 

 そう、思えばこの『人間』は、見間違いではなく実際にデジモンに成っていたではないか。

 

 ユウキからすれば、そのデジモンの名も覚えているし、そのデジモンの最大の特徴も知っている。

 

 そして偶然にも、その予想を裏付けるかのように『人間』が自己紹介のために口を開いた。

 

「俺の名前は神原信也(かんばらしんや)。見ての通りの人間だ」

 

 ユウキの口は、思わず『か・ん・ば・ら?』と動いていた。

 

 とても聞き覚えがある名だ。

 

 だが、それはユウキの知る限り。

 

 アニメの中にしか居ないはずの『主人公』の苗字では無かったか。

 

 そして、この人間――神原信也の成っていたデジモンは……『彼』が本来ならば成っていたはずではないか。

 

 何より、()()()()とは。

 

「ひょっとして、お前、神原拓也の弟なのか?」

 

 そう呼ばれた彼はその質問を意外と思ったらしく、質問に質問で返してきた。

 

「ユウキは()()の知り合いか? ユウキの世界にも『神原拓也』がいるとか?」

 

 その返答だけで、証明は十分だった。

 

 彼は、ユウキも知る『デジモンフロンティア』と呼ばれる映像上の物語に出てくる主人公。

 

 神原拓也の弟――――神原信也なのだ。

 

 よく見れば、服装の色合いなど違いがあれど、そのゴーグルは確かに『主人公』の付けていた物とそっくりだった。

 

 アニメで知った、なんて事を言うのは失礼極まりないだろう。

 

 自分の生きている世界が『現実』と認識している者にとって、それを他者から『架空』の存在として認識されるのは我慢ならないだろう事ぐらい、ユウキにも分かっていたから。

 

 だから、彼はこう表現した。

 

「知り合いというか……俺が一方的に知ってるだけだ」

 

 嘘は言っていない。

 

 その名と姿を知っていても、現実に言葉を交わした経験など無いのだから。

 

 ごまかすために言った言葉とは言え、やはり感に障る所があったのか、彼――神原信也はその発言に対して質問をせず、簡潔に話題を切り出した。

 

「さて、情報交換だけど。ここはユウキ達のいた世界(デジタルワールド)とは別の世界(デジタルワールド)だ。最近まで俺()と敵が戦ってて、その影響で時空のゆがみができてた。ユウキ達はその一つに吸い込まれたってわけだ」

 

「ずいぶん詳しいんだな」

 

 エレキモンが林檎(りんご)(かじ)りながら言う。

 

 信也は軽く肩をすくめると、事実を述べるような調子で続けた。

 

「何度もあったからな。こうやって異世界のデジモンが迷い込んでくるの」

 

 どうやら、ユウキ達以外にも『黒い渦』のような物によってこの世界にやってきた者が居るらしい。

 

 言葉から察するに、その度に信也やその仲間は共に『敵』とやらと戦い、無事に帰っていったのだろう。

 

「一つだけ違うのは」

 

 だが、その過程から生じる希望を否定するように、信也はこう言った。

 

 

 

 

 

「お前達の帰る手段がないって事だっ!!」

 

 沈黙が走る。

 

 言った本人からしても大問題な事だったのだろう、彼も言う事を躊躇(ためら)っていた。

 

 だが、三人の返事は信也の予想を、スキー場のジャンプ台からK点を越えるレベルで超えてきた。

 

「そうか~。それは困ったねぇ」

 

 その1、ベアモンはのんきに魚を咥えていた。

 

「すぐに帰れないとなると、本格的に寝床を確保しないとだな。昨日みたいに野宿を続けるわけにもいかないし」

 

 その2、エレキモンは即座にこの世界での行動の方針を考えていた。

 

 どうやら、三人が『そんな……』とか言いながら崩れ落ちるとでも思ったいたらしい信也は、同じくあんまり驚いていないらしいユウキに顔を向ける。

 

 そして、問う。

 

「いつもこんな調子なのか? ユウキもあんまり驚いていないみたいだけど」

 

 その問いを聞いたユウキは、痒みでも生じた時のように頭を前足で掻きながら言った。

 

「う~ん、元居た世界でも、俺が人間世界に帰る方法は分かっていなかったし……正直、今までと変わった気がしない」

 

「そ、そうか」

 

 その3、実は一番絶望していそうな人物が平然としていた。

 

 と、まぁ、これはこれは『普通』とはかけ離れている三人の返事を聞いて。

 

 自分の心配が杞憂だった事を悟った信也は、肩の力を抜いた。

 

 そして、エレキモンの『寝床を確保しないと』という発言に対して、早速解決案を提示した。

 

「何か予想外な反応だったけど……とりあえず、俺の仲間達もいる『城』に向かわないか? 寝床もあるし、食事だって用意してくれると思うぞ」

 

 三人は断る理由なんて一つも無かったので、遠慮せずにその言葉に甘える事にした。

 

 目的地も決定し、向かう途中で信也はこっちの世界(デジタルワールド)の説明をしてくれた。

 

 

 

 

 

 途中、信也が勢いよく後ろの森へ振り返った。

 

「どうしたんだ?」

 

「……何でも無い」

 

 首を横に振って誤魔化す信也だが、他人の感情を読み取る事が得意でないユウキでも、それが嘘である事は理解出来ていた。

 

 むしろ、ユウキ自身も『それ』の視線を受けている事には、信也との自己紹介を終えた後から気付いていたからだ。

 

 だが、城というキーワードを聞いてワクワク状態なベアモンと、同じく期待を抱きながら歩いているエレキモンを見て。

 

 心配をさせないために、ユウキは抱いている物を表に出そうとしないようにした。

 

 信也と何気ない話を続けながら、三人は城へと続く森の道を進んでいく。

 




今回の話はコラボ元の話の関係から短くなりました。後4話ぐらいで星流さんとのコラボ回のこちら側の視点が終わるかと。

前の話と比べるとあんまり派手な部分とか書けなかったのが悔い残りですかね……展開上仕方無いとは言え、早く戦闘かギャグ展開を書きたいという欲求が増し増しです。

ちなみに作者がデジモンフロンティアで一番好きな進化バンクはヴリトラモンです。一度でいいから進化してみたい←←

星流さんのアメーバブログにて連載中『デジモンフロンティア02―神話へのキセキ―』は絶賛連載中。見るとかなり面白い設定が練りこまれてたり、星流さん自身のデジモンフロンティアという作品に対する愛情的なものが感じられてて面白いです。

では、次回もお楽しみに。
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