DIGIMON STORY デジモンに成った人間の物語   作:紅卵 由己

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現在コラボってるお方とは別のお方が待機してるから急ぐつもりでいたけれど現実では思いっきりサボってました←←

 だって……Pixivの『企画』の進行だけならまだしもスマブラ3DSの発売日まであったんですよ。そんなの逆らえるわけが無いじゃないですか!!←←

 そんなこんなで大分遅れてしまいましたが、ようやくユノモン戦が終了となります。

 9時頃、違和感を感じた点を修正いたしました。


異世界にて――『ぶつかり合う本物の炎と偽者の炎』

◆ ◆ ◆ ◆

 

「進化、なのか?」

 

 ――――エレキモン、進化…………。

 

 目の前で行われる『進化』の様子に、互いに違う世界の住人である信也が呟くと同時に、オレンジ色の電子によって形成されていた繭は破られた。

 

 内部から現れるのは白い羽毛に包まれ、頭部に薄黒いトサカを生やし、上顎が黄色を伴いながら硬化していき嘴となった、赤色の瞳を持つ巨鳥型のデジモン。

 

 彼はその四つの爪が生えた足で地面を踏み締め、頭を持ち上げ新たな自身の存在を肯定する。

 

「コカトリモン!!」

 

 その姿はユウキと信也の姿を覆い隠すほどに大きく、目の前に存在するアルダモンの幻に匹敵する三メートル近くはあるだろう大きさを誇っていた。

 

 ユウキと、当然ながら信也はエレキモンが進化する光景を見るのが初めてだったりしたので、思わず驚愕をそのまま顔に出した。

 

 そして、ユウキと信也はそれぞれ率直な感想を述べた。

 

「エレキモンが進化した!?」

 

「すげえ……でっかいニワトリ……」

 

 二人が目の前の出来事に驚いている一方で、アルダモンの幻は突然の変化にも一切焦る事も無いまま距離を取り、両腕に装着されている兵器――ルードリー・タルパナを展開し、そこから超が付くほどに高熱の球を高速で放とうとする。

 

 一方でコカトリモンは、近くに生えていた樹木の枝に噛み付き、そこから緑の葉を根こそぎ取った。

 

 それに構わず、アルダモンは技を放つ。

 

「ブラフマストラ」

 

 まるで、炎そのものを機関銃で連射しているような攻撃だった。

 

 対してコカトリモンは一度目を閉じ、開けると共にその赤い瞳を妖しい緑色に変え、同じく技を放つ。

 

「ペトラファイアー!!」

 

 光線、と言ってもいいような形で熱気が緑の色を伴って放たれる。

 

 射線上に存在していた緑は全て石のような灰色に変貌し、炎の弾丸は熱気と衝突した結果、コカトリモン達の所へ辿り着く前に霧散した。

 

 そして残った炎も、石と同等の性質に成った灰色の葉に遮られ、共に蒸発した。

 

 その結果に、アルダモンの幻は不機嫌そうに目を細める。

 

 ……本来のアルダモンが放つ熱量ならば、コカトリモンの使った手は通用する事も無かっただろう。

 

 しかし、所詮このアルダモンは『そのもの』では無く情報から再現したのみの幻に過ぎない。

 

 本来の力をそのまま再現出来ているわけが無いのだ。

 

 つまり。

 

(……俺達にも勝機はある!!)

 

 恐れを振り切るように内心でプラス思考へと切り替え、ユウキは戦う意思を取り戻す。

 

 この絶望的な状況において、アルダモンの幻に対抗し得るコカトリモンの存在は、勝機と言う名の希望を生み出してくれている。

 

 そして、生まれた希望は連鎖反応を引き起こす。

 

「いけるか?」

 

「ああ!!」

 

 ユウキの差し伸べた前足を掴み、離れ落ちていたデジヴァイスを拾った信也が立ち上がる。

 

 その瞳には燃えるような闘士が再び宿り、その手には三重のバーコード状のデータが浮かび上がる。

 

 アグニモンへと『進化』した時と同じように、彼はそれをデジヴァイスへと擦り合わせ、再び宣言する。

 

「スピリット・エボリューション!!」

 

 信也の全身を大量のバーコードが覆い隠し、その内部で『人間』という存在の表面に『デジモン』としての情報が新たに貼り付けられていく。

 

 進化しようとしているデジモンの力が凄まじいのか、獣の唸り声のような物が聞こえると、ガス抜きのように炎が排出されると共に内部から信也という『人間』だった『デジモン』が現れた。

 

 その全身各部には赤と金の色彩が目立つ鎧が装着されて有り、頭部には恐竜型を想起させる銀色の兜が装備されていて、両腕には目前に見えるアルダモンの両腕の武装と同じ物が存在しており、腰からは太く鈍器にもなり得る尻尾が生えている。

 

 それは、神話に登場する雷神の仇敵とされる火竜の名を継いだ存在だった。

 

「ヴリトラモン!!」

 

 全身から溢れ出るほどの熱気を放ちながら現れた信也だったデジモン――ヴリトラモンは、姿を現すと共に両腕の『ルードリー・タルパナ』を半回転、槍状に展開しながらアルダモンへ突撃。

 

 同じ形の、それでありながらデータ量は大きく異なる互いの武器がぶつかり合い、金属音を周囲に撒き散らす。

 

 火竜(ヴリトラモン)半人火竜(アルダモン)の幻が、力任せに鍔競り合いながらも視線を向け合う。

 

「同じ武器を使っていても、ビーストスピリットとダブルスピリットではエネルギー量が違う。単純な力攻めでは勝てるわけがない」

 

 そう言うアルダモンの力が増し、歴然たる差を現すようにヴリトラモンの体を押そうとする。

 

 確かにアルダモン――否、アルダモンの幻を創り出したユノモンの言う事は理に適った言葉ではある。

 

 ただし。

 

「それは、お前が()()()兄貴だったらの話だ!! 俺は、偽物(おまえなんか)に負けるほど弱くない!!」

 

 ヴリトラモンが歯を食いしばり、後方に押し出されていた足を屈せぬ意思で踏ん張る。

 

 すると、特別な理屈など何も無いにも関わらず、単なる馬力が徐々にアルダモンを押し返し始めた。

 

「そんな――スピリット単体でここまで戦えるはずは」

 

 これには流石に驚愕を露にしたのか、初めてアルダモンの幻が目を見開いた。

 

 その動揺を突き崩すように、ヴリトラモンが更に力を込める。

 

「うりゃああ!!」

 

 気合いの入った声と共に、ヴリトラモンの体重が乗った一撃がアルダモンを弾き飛ばす。

 

 アルダモンは冷静に着地したが、よほど効いたのか体勢が崩れている。

 

 即座にヴリトラモンは飛び退き、後方の頼れる仲間へ叫んだ。

 

「コカトリモン!!」

 

 名を呼ばれる前から、コカトリモンは既に必殺技の体勢に入っていた。

 

 その理由は単純で、アルダモンに打ち勝ったヴリトラモンと同じく何の複雑な理屈も無い。

 

 彼はただ、ヴリトラモンがアルダモンに明確な『隙』を作り出してくれる事を信じていただけなのだ。

 

「ペトラファイアー!!」

 

 再び赤から緑へ転じたその瞳から妖しい熱線が放たれ、射線上に存在していたアルダモンの体が灰色の石に変わる。

 

 だが、石と化した体表がどんどん赤い熱を帯びていくのを見て、コカトリモンは自身の技だけでは倒しきれない事を悟った。

 

 ……そう、自分の技だけなら。

 

「させるか!!」

 

 言ってコカトリモンの背から飛び出すのは、これまで攻勢に出る事も出来なかった赤色の竜。

 

 彼はその右前爪を大きく振りかぶり、瓦割りのように上方からアルダモンの形をした岩へと振り下ろす。

 

 皮肉にも、その状況に合致した技の名を叫びながら。

 

「ロックブレイカー!!」

 

 渾身の一撃は炸裂し、石像へ頭上から大きなヒビを入れた。

 

 ヒビは衝撃と共に全身へと行き渡り、アルダモンの形を成していた石像はその場に崩れ落ちる。

 

 技を繰り出したユウキが着地した頃には、石像はそのままデータの粒子へ還元されて消失していた。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「やったな」

 

 ヴリトラモンがそう言いながら親指を立てる。

 

 紛れも無い功労者なコカトリモンとユウキは、それぞれ肩を竦めたり顔を綻ばせたりした。

 

 だが、まだ問題は解決していない。

 

 幻の作成者であるユノモンを撃破しない限り、まだ安心は出来ない。

 

「……ん?」

 

 そんな事を考えていた時、ふとユウキの視線が地面に落ちた。

 

 そこには、灰色を帯びてはいるものの、紛れも無い孔雀の羽が砕けずに落ちていた。

 

「これ、ユノモンのだよな」

 

 若干の熱を有していたそれを拾い上げながらユウキは言い、ヴリトラモンに手渡す。

 

 ヴリトラモンは渡された孔雀の羽を手のひらで受け取ると、顕微鏡で微生物を観察するような形で覗き込んだ。

 

 数秒経ってから、口を開く。

 

「多分、俺や兄貴から入手した記憶を保存してあるんだ。これを核にして幻を作っていたんだろう」

 

 なるほど、とユウキは納得出来た。

 

 現実世界にも、そういった『情報を保存する』ための小さな道具は存在しているからだ。

 

 例えば、デジタルカメラに写し取った情報を保存するSDカードや、パソコンの情報保存容量を別途で拡張してくれるUSBメモリだったり、テレビゲームで遊んだ際の情報を記録するメモリーカードとか。

 

 情報によって形成される世界(デジタルワールド)だからでこそ、そういった技術は特別不思議だと思わなかった。

 

 ヴリトラモンが握り締めると、容易く灰色の羽は手の中で粉々になる。

 

 と、突然コカトリモンの体が輝き光を帯びると、風船から空気が抜けるように小さく成っていき、数秒するとコカトリモンの姿から元のエレキモンの姿に戻った。

 

 やはり『進化』を維持するだけでも疲労が激しかったのか、彼は地面にへたり込む。

 

「やっぱり『進化』はキツいな……限界だ」

 

「十分だ。分かれて動くのは危険だし、ベアモン達に合流しよう」

 

 そう言ってヴリトラモンはユウキとエレキモンを手に抱えると、夕日のようなオレンジ色の翼を広げて飛翔した。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 数分もしない内に、ヴリトラモンとそれに抱えられて来たユウキとエレキモンは、ユノモンと最初に遭遇した森の外れに到着した。

 

 しかし、何故か誰も居なかった。

 

 ユノモンどころか、ベアモンもフェアリモンに進化している泉も。

 

(…………まさか、ユノモンにやられたのか……?)

 

「ユウキ!!」

 

 思わず危惧するユウキの不安を砕くように、彼等から見て左側の茂みからベアモンが姿を現した。

 

 安堵し、ヴリトラモンの手の中から滑り降りてユウキはベアモンに声を掛ける。

 

 が、そんな時。

 

「ダメ!! それは幻よ!!」

 

 今度は彼等から見て右側から、フェアリモンでは無く人間としての泉が走ってきた。

 

 その言葉にユウキは思わず動きを止め、ベアモン(と思われる者)は泉に向かって身構えた。

 

 それぞれ現れた二人は、言葉をぶつけ合う。

 

「僕はさっき泉に動かないでって言って戻ってきたんだ。だからここにいる泉の方が偽物だよ!!」

 

「私だって、ベアモンと二手に分かれて信也達を探そうって言ったばかりよ!!」

 

 三人の視線がベアモンと泉の姿を行き来する。

 

 どちらかは確実に偽者だと分かっていても、声と見た目は現実感を帯びていたからだ。

 

 それどころか、気配すらも。

 

 故にユウキにもエレキモンにも、どちらが偽者かなんて直ぐに判別する事は出来なかった。

 

 ただ一人、ヴリトラモン――『火』の闘士だけは、二人と違って深呼吸をした後に目を閉じていた。

 

 まるで、何かを感じ取ろうとしているように。

 

 そして。

 

「本物はそこだ!!」

 

 その目がカッと開かれると共に、ヴリトラモンは両腕の『ルードリー・タルパナ』から熱線を放った。

 

 放たれた熱線は真っ直ぐな軌道を通りながら、ベアモンと泉の間を通り抜け――――何も無いはずの虚空に着弾した。

 

 同時、女性の呻き声のような物が聞こえると、辺りの景色が丸ごと一変した。

 

 ベアモンと泉の姿は霧が掃われるように消え失せ、居た場所にはそれぞれ一つの羽が舞い落ちる。

 

 ヴリトラモンの放った熱線の着弾した地点には、激痛の走る鳩尾を手で押さえるユノモンの姿が現れた。

 

 根本的な部分が露見し、思わずユウキは吐き捨てるように言った。

 

「……ベアモンも泉も、両方幻だったわけか」

 

 言葉に、唯一ユノモンの居場所を見破ったヴリトラモンは頷く。

 

「二人には体温を感じなかった。その代わり、誰もいない場所に熱を感じた」

 

 それは、間違い無く『火』の闘士である彼にしか出来なかった事だろう。

 

 科学的に熱源を『色』で視ているわけでも無く、ただ純粋に周囲に存在する熱の源の位置を正確に感じ取る事など。

 

 ユノモンは痛みに耐えながら、それでも微笑んだ。

 

「私の『リリウム・カンディディウム』を破るとは、流石です。神原信也……あなたは私の予想を超える成長ぶりを見せている……」

 

 その言葉と共に、ユノモンのすぐ横側の空間が歪む。

 

(アイツ……ッ!! 逃げる気か!?)

 

 気付いたユウキが駆け出そうとするが、距離から見てもユノモンが歪みの中へ入る方が早い。

 

 その時、一陣の風が吹いた。

 

「子熊正拳突き!!」

 

 明らかに自然の物とは違う『何か』の力が働いた風に乗って来たのは、灰色の体毛を持つ子熊――ベアモン。

 

 彼は追い風に吹かれた勢いのままに、右拳の一撃をユノモンに対して見舞い、その体を傾かせる事で歪みへの侵入を阻止する。

 

 そんなベアモンの後から続くように、今度は紫色の防具がある妖精――フェアリモンが飛んでくる。

 

「おまたせ」

 

 彼女はユノモンに対して渾身の一撃を放ったベアモンの腕を掴むと、即座に飛んで離れる。

 

 逃げるというより、巻き込まれないように退いた事を理解したヴリトラモンはフェアリモンに向けて一度だけ笑顔を見せると、全身を燃焼させる事で鎧の隙間から炎を放出しながら跳躍した。

 

 そして、彼は自身の『必殺技』の名を強く言う。

 

「フレイムストーム!!」

 

 翼の羽ばたきと共に、その名が意味を指すような炎の竜巻がユノモンに喰らい付く。

 

 熱風が吹き荒れ、夜の森をざわめかせた。

 

 竜巻が収まると、そこには一同の目の前で一本のバーコード状のデータを円の形で浮かび上がらせるユノモンの姿があった。

 

 こちらの世界(デジタルワールド)において、それは死の直前と同義としても過言では無い現象だった。

 

 まるで、遺言のようにユノモンは口を開く。

 

 予想も出来ない力に対する負け惜しみか、はたまた命請いでもするのかとユウキは思ったが、その予想は大きく外れていた。

 

 

「……やはり私は、あなたの成長を最後まで見る事ができない。情報から導き出された予想通りです」

 

 

 予想通り。

 

 その四文字の言葉が指す意味に、少しの間ユウキにもベアモンにも、当然エレキモンにも疑問を抱く事しか出来なかった。

 

 名指しの言葉だったからか、いち早くそれに気付いたヴリトラモン――信也が信じられないように言った。

 

「お前、最初から倒されることが分かってて来たって言うのか!?」

 

 その事実には、当のユノモン以外の全員が驚きを隠せず。

 

 特に、ベアモンの動揺は最も大きかった。

 

「あなたの力を伸ばし、その情報を収集するのが私の役目……」

 

 言いながらユノモンは、自身の周りに存在していたバーコード状のデータに手をかけた。

 

 悲鳴のような高い声を張り上げるその光景には、まるで自分の心臓を『何か』に捧げているような印象を受ける。

 

「我が伴侶ユピテルモンよ!! この(からだ)情報(データ)に代え、あなたの元に送ります!!」

 

 まるで、一匹の蛇のようにバーコード状のデータが勝手に動き出し、空間の歪みへと吸い込まれていく。

 

 同時に、情報の抜け殻となったユノモンの肉体が足元から消失していく。

 

 目の前の『死』の光景に、ユウキもベアモンもエレキモンも何も口に出す事が出来ない。

 

「待て!!」

 

 単純な『死』だけしか残させないために、動いたのは信也だった。

 

 彼の持つ情報端末こと『デジヴァイス』には、一定以上のダメージを負ったデジモンから生じるバーコード状のデータを読み取り『浄化』する機能が備わっている。

 

 今すぐ使えば、まだ悲しいだけの結末は回避出来るはずだ。

 

 使うためには、現在成っている『(ヴリトラモン)』の姿から『人型(アグニモン)』の姿へ切り替える必要があるのだが、まだ間に合える。

 

 そう、ユウキが思った時だった。

 

 

 

 ――――!!!!!

 

 

 

 ノイズのような悲鳴のような何かが、ユウキの頭の中に響いた。

 

「…………ぇ…………」

 

 疑問を覚えるよりも先に、唐突な変化があった。

 

 ヴリトラモンの体が、前方に向けて力無く倒れ込みだした。

 

「ッ……!! 信也ぁっ!!」

 

「信也!?」

 

 いち早く気付いたユウキがヴリトラモンの体を受け止めたが、その表情は明らかに苦痛を帯びた物だった。

 

 その体に外見上の損傷が見えないのに、それはまるで、刃物で肌を深く切ってしまった時の鋭い痛みに耐えてでもいるように見えた。

 

 その痛みを最も味わっているのであろうヴリトラモンの体を構成するバーコード状のデータが、あたかも剥がれると、ヴリトラモンの居た場所には人間の姿に戻った信也の姿があった。

 

「……今のは……」

 

 自分でも原因が分かっていないのか、疑問そのものな声調で呟く信也。

 

 彼がどうにか立ち上がると、もう既に肉体を下から半分以上も失ったユノモンが語りかける。

 

「神原信也、あなたは先天的な才能に恵まれている。しかし、じきにそれがあなたの心を切り裂くのです」

 

「どういう意味だ!!」

 

 言葉の中に含まれた意味が理解出来ない。

 

 信也にも、当然ユウキやベアモン達にも。

 

 ユノモンはその言葉に答える事も無いまま、笑みだけを深くする。

 

「これは予想や予言ではありません。情報から導かれた、100パーセント起こる事実――」

 

 自分以外にまだ理解の追い着く事の無いその言葉を最後に。

 

 常に微笑みを絶やす事の無かった顔の全てが消え、この世界からユノモンは消失する。

 

 そして、ユノモン自身から浮かび上がっていたバーコード状のデータは、その場から痕跡一つも残さず空間の歪みと共に綺麗さっぱり無くなっていた。

 

 ユノモンの最後に遺した言葉に、信也は呆然とする事しか出来ない。

 

(……さっきのは……いや、今はそんな分からない事を考えるよりも……)

 

 そしてユウキも、別の理由で想う事があったが、すぐに思考を切り替えた。

 

「……とにかく、今は城に戻らないか?」

 

 言葉に賛成するように、重い雰囲気を振り払ってベアモンも明るい声を張り上げる。

 

「そうだね!! 僕の知らない間に色々あったみたいだし?」

 

「おい、事情聴取は明日にしてくれよ? 無茶苦茶疲れてるんだから……」

 

 ベアモンの興味津々な視線にエレキモンはぐったりとした声だけを漏らし、地面にのびる。

 

「さ、みんなも心配してるだろうし戻りましょう!!」

 

 泉が笑顔を見せながら信也の肩を叩く。

 

 それを合図に一同はこの場所に来るまでの道を戻り、水晶で構築された城へと歩き出す。

 

 誰も、ユノモンの言葉に触れたりはしないまま。

 

 夜中の風は、涼しいというより何処か寒気を感じさせていて。

 

 ユウキには、どうしても不吉な予感を拭えずにいた。

 

 

 

 




 ◆ ◆ ◆ ◆


  自分で書いていると結構加筆出来る所が多かったりして、色々と試してみたら予想以上の文字数になったでござるの巻。今回はオリジナルシーンとか全然無いに等しい回でしたが、いかがだったでしょうか?

 色々とツッコミたい所もあるのだとは想うのですが、ちゃんとした理屈が入っているのでご安心を。説明はネタバレ防止の事も考えてアメーバブログの方で描写するつもりなのですが……ん~、どうするべきか。

 というか今回の話でベアモンとフェアリモンがグラウモンの幻を倒すシーンを入れようかなとかも思いましたが。

 幻を撃破する→次の幻が襲ってくる!!→それも撃破する→ヴリトラモンがユノモンに攻撃当てるまで同じ戦いのループ。

 なので、書こうにも蛇足と思い(というか何故か思いつかなかった)、その加筆予定だったシーンはバッサリカットさせていただきました。というか『風に乗ってベアモンが飛んできた』の前の展開で『どうやってユノモンを見つけたのか』って疑問が残るかもしれませんが、これはそもそもユノモンの声とヴリトラモンの攻撃の直撃音があれば、十分に位置を特定出来ると思いますし(攻撃が当たると同時に幻全解除してる時点で目晦ましが無い)。

 まぁ、今になって思えば女性の姿をしたデジモンの腹部に容赦無く拳をブチ込むベアモンが結構サドい気もしたのですが、まぁデジモンには性別の概念が無いので男女平等どころか全部平等パンチなんですぜ←←

 後、風に乗った状態でどうやって『子熊正拳突き』を放ったかと聞かれると、描写から分かる人もいると思うのですがベアモンが放ったのは『ただのパンチ』だったりするのです。技の名を叫ぶことで気合いの入った一撃を誘発させるっていうか、どっかのカードゲームでどっかのキャラが『城■内ファイヤー!!』とか叫ぶのと同じ理屈です。多分。

 さて、『向こう側』のコラボ回だとこの次の話で終わるのですが……、













 まだコラボ編は終わらないぜェ!! 次の話はお城に戻ってからの男同士の風呂談話か寝起き出落ちな話――要するに『帰還』するまでに描かれなかった『異世界二日目』のお話じゃァ!! こっから先はシリアス塗れの星流さんの作品の世界からギャグ塗れのこちらの世界の流れに持ち込んでいくつもりでいくます!! とりあえず二話か三話は使いそうなので、もうちょっと『次のお方』には待ってもらう事になりますが、ご了承ください……。

 さて、本編ではずっとシリアスばっかりだったんではっちゃけるぞォ!!←←

「星流さんごめんなさい。マジでごめんなさい」

 では、次回もお楽しみに。万が一書けなかった場合はこのまま星流さんとのコラボ回の最終話までぶっ飛びます。
 
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