DIGIMON STORY デジモンに成った人間の物語 作:紅卵 由己
ええ、はい。まさか自分でも次の話の更新までここまで時間を掛けてしまうとは思ってなかったですよ。怠けとかそういうレベルで済まされるのかというか、話自体は数ヶ月前の時点で一段落分は既に書き上げられていたはずなのに、気付けばこの有様ですよはい。
もう少しで自分の誕生日になるのですが、この章で最も書き上げたい話にはもうあと一話だけ『間』を挟む必要がありそうでつらい。
っつーか今回の話は割りと真面目に分割するべきだったのかも……?
ガチで長い話になりますが、それでは前書きはここまでにしてどうぞご拝読を。
正直に言って。
縁芽好夢は、状況というものを詳しく把握出来てはいなかった。
元々、現在の少女の目的は以前見かけたイカ人間や侍の鳥人が持っている『異能』の力に自分自身も覚醒する事であり、そのために危険だと察してながらも普段は通わない道や場所を歩き続けて、その中で『異能』の持ち主との対面を望んでいた。
この場にやって来た理由も、何か絶叫染みた『声』が聞こえて、どうしても気になったからその方向を基準に走っていたら、偶然見つけた廃ビルの内部から似たようなものに覚えのある違和感を感じたのが、切っ掛けだったからに過ぎない。
そして今、好夢の目前にはお目当ての『異能』の持ち主が二人――いや、まだ『異能』を行使していないだけで、恐らくは『異能』の持ち主であろうと思われる人物が合計四人居る。
目的だけで語るのなら、まさしく好ましい展開だと言えたかもしれない。
しかし、右腕が丸ごと蛇と化している鱗肌の半魚人の惨状を見た時、喜び以上に不快感の方があった。
明らかにもう一人の『異能』を行使している何者か――鉄仮面に鎖に青く燃えている体が特徴な怪人――の手によって痛め付けられ、弱らせられている。
そして、そんな惨状を傍観していながら、それを止めさせようともせず完全に他人事の視線を向けている男と、感情と言えるものがひたすらに枯渇しているような表情の女の姿を視界に捉えた時、もう好夢には我慢が出来なかった。
不意討ちのメリットさえ無視してその場に躍り出たのも、結局のところ感情に従った結果に過ぎない。
(……苦郎にぃが見れば、感情的になってチャンスを逃すなんて馬鹿らしいとか言うだろうけど)
自分が馬鹿な事をしているという事については、好夢自身自覚している事だ。
行動の後になって、後悔の念が決して無いと言えば嘘にもなる。
「あんた達が何者かは知らない。その人が何でそんな目に遭わされてるのかも知らない」
「なら、どうして関わろうとする? 身の程ってのを理解してないタイプか」
だけど、行動に対する答えはあった。
だから、思ったことを口にすることに躊躇は無かった。
「身の程知らずだろうが何だろうが、ここで見捨てたら後悔しそうだったから」
「なら、今から後悔する事になるな」
「やってみろ」
とはいえ。
いくら度胸があろうと、現実的に考えて人間一人の力でこの状況を打破するのは難しい。
鈍器や拳銃といった武器らしきものを持っていない事についても、人数の差と例の人外の力を考慮すると大して安心出来る要素でもない。
当然ただ真正面から挑むだけではまず勝てない。
いやそもそも、勝ち目なんて元から存在しないのだろう。
(……助けるんだ)
その時、縁芽好夢の胸の内には一つの決心があった。
状況は圧倒的に不利。助けなどが来る可能性には期待出来ない。
そもそも何も解っていない。自分の行動が間違っている可能性すらある。
(あの半魚人が善い人なのかはわからない。だけど、それでも助けてみせる……絶対に……!!)
だけど、それでも彼女は決めた。
人間としての顔も名前も知らない――そんな相手だとしても、助けてみせると。
決意が、少女に宿っていた『力』を目覚めさせる。
その脳裏に、
――纏う制服の色が黄の色へと変じ、胸元の布地には『武闘』の二文字が刻まれる。
――耳の先端と口元には薄く白の、それ以外の全身各部には紫色の獣毛が生じ、額からは三本の短く尖った角が生える。
――極め付けに両耳が頭髪を巻き込みながら伸び、まるで鉢巻の帯のように靡く兎の耳へと変じた。
黄色い制服を着た、紫色の兎の獣人。
それが、縁芽好夢の変化した姿だった。
そして変化が終わったと同時、駆け出す速度は一気に増す。
「おおおおおおおおおおおおおっ!!」
「!! チッ!!」
これには暴漢の一人も思わず驚きの表情を浮かべ舌打ちし、咄嗟に眉間へ力を込めたかと思えば、その身を暗い黒色の光と共に異形へと変化させようとした。
だがその直前、好夢は躊躇もせずに右の拳を男の顔面目掛けて突き出す。
鈍い音が炸裂し、男の体が弧を描いて仰向けに転がる。
その際に頭を強く打ってしまったのか、あるいは拳が脳を強く揺さ振ったからか、男はそのまま起き上がる様子も無いまま沈黙した。
そこまでやってから、好夢は自分の体に起きた変化を実感する。
紛れもない化け物の力を、突発的な出来事とはいえ発現出来た事を自覚する。
「……チッ、馬鹿が油断しやがって」
呆気なく気絶させられてしまった男に対し、炎の魔人は容赦の無い悪態を吐く。
彼等の間に仲間意識と呼べるものがあるのかは知らないが、どうやら助けようと動くつもりは無いらしい。
事実上の戦闘不能となった男から視線を外し、好夢は炎の魔人へその視線を移す。
が、炎の魔人はその視線を意に介さず、その視線をこの場に存在するもう一人の女の子へと向けた。
まるで突き刺すかのように、言葉を発する。
「お前、こいつを見張ってロ。そこの
「…………」
少女は特に返事を返さなかったが、魔人の指示には従う事にしたらしい。
魔人は蒼鱗の爬虫類染みた容姿の怪人を押さえ付けていた足を退かし、少しずつ好夢の方へと歩み寄る。
少女はそれと入れ替わる形で、怪人の隣に棒立ちする。
(……こいつは、強い)
好夢は、素直に目の前の魔人の危険度をそう判断した。
自分自身、明確に『力』を手に入れたからだろうか――あるいは、俗に言う防衛本能からか。
自らに宿る『力』がどのような物なのかはまだ解らないが、少なくとも炎の魔人に対して優位に立ち回れるような部類の『力』ではない事は何となく理解出来ていた。
(……でも、やるしかない)
自分に宿っている『力』がどのような方向で自分を強くしているのか、正確には解らない。
だが、少なくとも脚力に腕力といった運動能力が飛躍的に上昇している、という事が解ったのは幸いだった。
もしも自身に宿っている怪物が防犯オリエンテーションの時に遭遇したイカ人間や鳥人間のように『四肢以外にも動かせる部位がある』部類の怪物であれば、自分の体の動かし方すら理解出来ないまま嬲られてもおかしくはなかったが――人間と体の動かし方が大差無いのであれば、
手札は揃っている。
後は、それが何処まで通用するかどうか。
好夢は、力で劣る事を察した上で、炎の魔人目掛けて真正面から突撃した。
◆ ◆ ◆ ◆
率直に言って。
勝負にならないであろう事は、雑賀自身理解していた。
そもそもの話として、牙絡雑賀が自身の脳に宿っている『力』として扱っている『ガルルモン』というデジモンは、進化の段階にして最上には程遠い成熟期に該当されるもの。
対する縁芽苦郎の脳に宿っているのであろう『ベルフェモン』というデジモンは、デジモンの進化の到達点とも言える究極体――そして、その中で尚上位に該当される『七大魔王』と呼ばれる存在。
魔王にとって、有象無象の獣などは『敵』という区分にさえ入らない。
それほどまでに、成熟期と究極体の違いから生じる差は大きいのだ。
獣が襲い掛かろうが尻尾を巻いて逃げようが、魔王はその生死を容易く選択出来る。
そして、他ならぬ雑賀自身が明確に対峙する意志を示し、苦郎もまた出来る出来ないの問題を無視して雑賀のことを事態の解決を妨げる要因として認識した以上、排除しに掛かって来るのは解り切っていた事だ。
だが、それにしたって苦郎の初動はあまりにもシンプルなものだった。
ドン!! と。
凄まじい足音と共に
初手から、小手調べも様子見も何も無い一撃必殺の勢いだった。
警戒していたはずなのに、動きに対応しようと身構えていたはずなのに――そんな考え自体を力技で踏み砕くかのような。
刺された――そう遅れて認識した時には、雑賀の体を猛烈な倦怠感と痺れが蝕み始めていた。
「があ……っ!?」
(……これ、は……あの、病院で目を、覚まし、た時と同じ痺れ、か……っ!?)
爪で刺されたのであれば、体を駆け巡るのは鋭い痛みであるのが当然なはずなのに、違和感しか感じられないその感覚に『毒』という単語が脳裏に過ぎる。
すぐさま
釘を打ち付けるような一撃が、
毒素に麻酔のような効果でも含まれていたのか、僅かながら痛みは緩和されていたが、むしろそれが自分の受けたダメージに対する理解を妨げてしまっていた。
そして、人間とは危機的な状況において情報が不足していると、思わず情報を求めてしまう生き物である。
よって、
だが、それは至近距離の相手に対し、致命的な死角と隙を生む行為。
ガゴッッッ!! と。
頭蓋を通して伝わる衝撃と激突音に、
「……っ……ぁ……」
足から力が抜け、立っている事すら難しくなり、崩れ落ちる。
苦悶の声を漏らす
「お前は
「……ったり前だ……そんな仮説のために、とりあえずの感覚で……人が殺されるのを見過ごせるか……っ!!」
「可否の問題は別として、それがどのような意味を持つのか考えた事はあるのか」
声色は冷たく、言葉に含まれた感情は重い。
住んでいる場所が違うというのは、正しくこのような人物を指す言葉なのだろうか。
胃袋の底に掛かる重圧に耐えながらも、
「……考えても、納得なんて出来るわけが無いだろ……!! アイツ自身に罪なんて無い
「ああ、この行動は決して『正しい』行動では無いのだろう。どんなに理由を掲げようが、やる事はただの人殺し。人としては明確に正道を外れる行為だ」
意外にも、
自身の行動は最も確実に危険な可能性を取り除けるが、一方で人間としては間違った解決手段であると。
だが、それを肯定した上で
「だが、それでも
「なんで……」
「解らんとは言わせぬぞ。お前は既にフレースヴェルグと対面し、究極体クラスのデジモンの力を扱う
「…………」
「リヴァイアモンは『七大魔王』という枠組みの中で最も解りやすい危険を秘めた存在だ。始末する以外に『確実に』危険な可能性を排除出来る方法は無い。まして、今回の案件に
言葉の一つ一つが、病室で会話をした時以上に
日常の中に居たはずの怠け癖が目立つ知り合いの姿が、口を開く度に崩れていくのがわかる。
あるいは、これが本来の顔なのか。
友達が事件に巻き込まれ、結果としてデジモンの力を手に入れるまで――ずっと偽りの顔で回りの人間と接してきたのか。
知り合いならまだしも、自身の家族にすらも。
「……どれだけ非情に見えようとも、そうする事で問題を解決に導けるのであれば。確実に、絶対に、安定して、安全というものを確保出来るのであれば。
その言葉を受けて。
結局のところ、
つい一日前まで、非日常とは縁の無い普通の人間として当たり前の日々を過ごして来た
自分にとって大切なものを、当たり前でなくては困るものを、守り抜くために。
……病院の中でも、
(……あぁ)
その選択に対する憤りは覚えるが、それでも狼男は目の前の魔王を恨めない。
単に家族を含めた親しい誰かの安全を理由にされているからでも、自分よりも物事に対する危険性を認識しているから……といった理由だけではない。
仮に、万が一にでも、司弩蒼矢に宿る魔王の力が悪い方向に流された場合、その矛先が
ゲームやアニメ等の
何より、この行動をただの人殺しだと自ら認めている辺り、ただ納得が出来ないという理由だけで首を突っ込んだ
「それでも助けるつもりか? 司弩蒼矢を。たかだか一日前に対面した程度の縁だろう。それも敵としてだ。危険を承知の上で助けに向かう理由になるとはとても思えぬ。ここまで聞いてまだ瞳に意思を宿し抵抗を続けるつもりなら、
「……確かに……」
まず、最初に
目の前の魔王の行動が、正道ではなくとも間違いと言えない事を。
「……確かに、理由としては弱く見えるんだろうさ。一度だけ会って、殺されかけて、少し言葉をぶつけ合った程度のヤツを助けようなんて。思わず小便ちびってしまいそうなぐらい恐ろしい『魔王』が宿っているかもしれなくて、助けたとしても何かの切っ掛けで暴走して、結果として色んな人間を殺してしまうかもしれないって可能性だって『無い』とは決め付けられない。助けず殺してしまった方が合理的で、とりあえずは安全ってやつを守れるかもしれない。でも、だけど!!」
認めた上で。
毒に体と意識の両方を蝕まれながら、
「もし本当に魔王を宿しているのだとしても、殺して安直に終わらせるより、友達になって輪の中に入れてしまった方が絶対に面白くなる!! とりあえずの感覚で輪から弾き飛ばしてしまうよりは毎日が楽しくなるに決まってる!! 合理的でなくても、危険な選択かもしれなくても、その方がみんな嫌な気分にはならないに決まってる!! それが俺の『理由』だ!!」
その言葉に、魔王は思わずといった様子で目を丸くしていた。
そして直後に、困惑の色を滲ませてこう言った。
「……『それ』で止めろと言うのは、流石に良心というものを信じすぎていないか?」
「信じてるから、言ったんだ」
「言葉の意味を理解しているのか。お前が言っている事は、あまりにも楽観視が過ぎる。友達になる? なれると思っているのか? 確かに宿主である人間の方にはそれだけの良心が存在するかもしれん。だが、宿っているデジモンは違うだろう。大罪となるほどの嫉妬を宿し、明確な悪意を持つ魔王だ。
「だったら」
実際、雑賀自身も自分の心がデジモンの影響を受けているのか、そうでないのかなど判ってはいない。
今でこそ『影響』が表に出ていないだけで、宿っているデジモンが本当は『悪い』デジモンであるという可能性だって否定は出来ない。
だけど、
「お前は、どうなんだ。口調こそ確かに魔王っぽいし、態度だって目的の遂行を何より優先する機械みたいなものに見えるけど、本当に目的を遂行する事を優先するのならこうして俺と会話なんてする必要は無いはずだ……!!」
「…………」
「……本当はお前だって、殺したくなんてないんじゃないのか。接点なんて無くても、人殺しって行為には俺なんかには想像も出来ないぐらいに辛いものが絡んで来るはずだ。それを心から愉しむ悪党でもない限り、気乗りなんてするわけがない」
「……黙れ」
「だから、本当なら脅威になんて成り得ないと理解していながらも
「黙れと言っている」
気付けば、
呼吸が滞り、更には時間の経過も重なり毒の効果が更に意識を蝕んでくる。
両手を拳の形に変えようとしても、その感覚だって曖昧なものになりつつある。
「たかが気紛れの行動一つでつけ上がるな。
その手に加えられる力が一定のラインを超せば、首の骨は一息に圧し折られるだろう。
だが、そんな確実に命を奪われかねない状況でありながら、
「……あいつもそんな感じだったよ。随分重たい事情を抱えていたけど、それを理由に人殺しを許容する事は出来ていなかった。そっくりなんだよ。今のお前は……あの馬鹿野郎と大して変わらない……!! 強がってんじゃねぇよ。正直に言いやがれ。お前は本当はどうしたいんだ!!」
「…………」
その言葉には、
例えその表情が氷のように固められていて、発する声に一切の震えが混じっていなくとも、その沈黙には大きな意味がある。
事実として、
そうすれば、邪魔者はいなくなり目的を確実に達成し、身内の安全を獲得する事がとりあえずは出来る。
なのに、やらない。
出来ないのではなく、やらない。
あるいは、それが『怠惰』の大罪を司る魔王の性格による影響なのか。
束の間の沈黙は、溜め息と共に破られた。
「……予想を遥かに越える馬鹿野郎だなお前」
突然のことだった上に毒の影響で四肢がマトモに機能しなくなっていたため、吊り上げられた状態から着地した
起き上がろうとしてみるが失敗し、意識を保つだけでも精一杯の状態だった。
気にも留めずに
「……確かにお前の言う通りだ。随分と無駄な時間を過ごしてしまったな」
「苦……郎……ッ!!」
結局、言葉を尽くしてみても心は揺らがなかったのか。
そう思い表情を険しくさせる
「確かに、会話などするべきではなかった……
言葉の意味を、
ドドドドドドドドドドドッ!! と、至近距離で多数の
音の発生源かと思わしき『何か』を、
「なっ……」
眠気を飛ばされ、首だけを何とか持ち上げて状況を確認する
気付けば、
視線を追ってみると、遠方に何か異質な
だが、その一方でニオイは感じ取れない。
辛うじて姿を視認出来る程度の距離にいるにも関わらず、この瞬間になるまでその存在に
この状況で『攻撃』してくる以上、司弩蒼矢に宿る(と思われている)魔王の力を狙った企みに加担している何者か――と考えるのが自然だといえる。
明確な危機感を抱く
「……な、何だよ今の……」
「見ての通り
ミサイル――現代においてはとても聞き慣れた、狙いを定めた『目標』に向かって自らの推進装置によって飛翔していく
そう、兵器。
少なくとも国家の許諾抜きでは放たれる事の無い、武器というカテゴリからも逸脱した、主に人を殺すために造られた代物。
(……
普通の人間には認識されなくなる
そして、その
現実の
遠方から確認出来る
「あの体……『メガドラモン』をベースにしてやがるのか……!?」
「……まったく面倒な」
本当に面倒臭そうな声を漏らす
メガドラモン――進化の段階としては
背に存在する翼による飛翔も可能で、主な攻撃手段は、機械の両腕の中心に空いた発射口から放たれる
飛翔能力を持たず攻撃の射程も決して長くはなく
「大方『見張り』か『足止め』の役を担っているのだろう。司弩蒼矢を捕らえた後、こうして目的の達成を邪魔しようとする者を処理するための」
事実を改めて説明され危機感を覚える一方で、雑賀は疑問を覚えた。
苦郎は視線の先のメガドラモンの
倒さずに平和的に解決――などと考える連中ならば、そもそも拉致の計画など企てない。
仮に、本当にその推理が正しかった場合、苦郎が危険視している組織は完全体クラスのデジモンの力を用いても進行を阻止出来ないかもしれない相手を想定して今回の件を企てたはずだ。
「……おい待て。足止め、だと……?」
「ああ」
そして、つい先日まで現実の日常しか知らなかった狼男より遥かに非現実の日常を知る魔王は、嫌な予感を的中させるようにこう付け加えた。
「格上の相手を想定しているのならば、たった一人で済むとは思えない」
ふと周囲を見渡してみれば、視線を向けているのはメガドラモンの
右手に三つ又の赤い槍を携え、高貴な黒い礼装に身を包んだ赤い顔の悪魔。
そして、その背から鴉にも似た黒い羽を生やし、露出度が高く水着のように薄い黒の衣装を纏う女が、それぞれ別の角度から敵意ある視線を向けている。
攻撃をして来ないのは、
だが、
「…………」
麻酔で体の自由が利かず、そもそも能力の優劣の時点で勝ち目など無いに等しい
それでも、
自分一人にのみ戦力を向けられる状況であれば、
だが、そう出来ない理由は……。
(……く……そ……)
思わず歯噛みする
ここに来て、事の重大性を認識しながら、
敵対する三人の
(……俺、ただの足枷にしかなってねぇ……っ)
この状況で敵対者を無視して進行した場合、彼自身が動けなくさせた相手を見捨てるという構図になる。
守りたい人間の優先順位で言えば雑賀は間違い無く家族より下に該当されるはずだが、それでも苦郎はこの場で見捨てるという選択を躊躇っている。
そこに、どのような心境の動きがあったのか。
ただ後味の悪い選択をしたくないだけなのか、あるいはもっと別の理由からか――何にしても、自分が足を引っ張ってしまっているという状況である事は、嫌でも理解出来てしまった。
その無力が悔しいのに、体の自由は利かない。
食い縛っていた歯からも感覚が途切れ、辛うじて繋ぎ止めていた思考の糸が限界を迎えて、
(――――)
そうして、
脳に宿るデジモンの力なんて、青年の抱く願いなんて。
何の役にも、立たなかった。
◆ ◆ ◆ ◆
相性が悪すぎる――それが体の各部が当然のように燃焼している炎の魔人と、ウサギのように長い耳を生やした少女の戦いを倒れたまま眺めている司弩蒼矢の感想だった。
炎の魔人が豪腕を横薙ぎに振るうと、巻きついていた鎖が連動して鈍器と化しながらウサギ耳の少女を襲う。
ウサギ耳の少女は姿勢を低くしてそれを避けると、攻撃によって生じた隙を突くように懐に飛び込み拳を放つ。
だが、腹部目掛けて放たれたその一撃が炎の魔人には大したダメージにはなっていないらしく、返す刀の裏拳が少女の側頭部に向かって振るわれる。
咄嗟に打撃に使っていなかった左腕で防御する事は出来ていたが、明らかにその表情は苦痛の色を表していた。
そして、即座に炎の魔人は腕に巻き付いている鎖を先の流れと同じように鈍器として振るい、少女はそれを避ける。
距離を取って様子を見ていると鎖を用いた攻撃が振るわれる。
近付いて打撃を加えたとしてもダメージは通らず、返す刀で与えた以上のダメージを確実に負う。
いや、仮に返す刀が無かったとしても、その拳で殴り付けた際に浮かべた苦痛の表情を見るに、単純に『触れる』だけでも火傷という形で部分的なダメージは蓄積されていく。
攻撃しても防御しても回避しても、少女の力が削られる状況なのだ。
仮に、この状況での打開策があるとすれば……。
(……『触れず』に攻撃出来て、尚且つその体温を少しでも減らす事が出来る攻撃……)
内心で言いながら、既に蒼矢の中で答えは見つかっていた。
怪物として変化した自身の右腕――そこから放つ事が出来る水や冷気を用いた飛び道具。
それを命中させる事が出来れば、あるいは魔人の体温を低下させた上でダメージを与える事が出来るかもしれない。
だが、現在蒼矢の近くには見張りとして磯月波音が立っている。
「……くっ……」
現在の状況やここまでの経緯から考えても、磯月波音が炎の魔人の仲間である事は間違いないのだろう。
その時点で、彼女もまた蒼矢と同じく怪物の力を使う事が出来るのだと考えられる。
ここで抵抗すれば、ほぼ確実に彼女とも戦う事になる。
(……どう、すれば……)
分かっては、いるのだ。
自分がこのような目に遭っている原因が、誰にあるかなんて。
だけど、どうしてもその選択は選べない。
向けられた言葉も、そこに込められた情も偽りで、全ては茶番に過ぎなかったとしても。
実際に、少なくとも失意に暮れていたあの時に、ほんの少しとはいえ心に癒しを与えてくれた少女を、怪物の力で傷付けるなんて行為は許容出来ない。
自分勝手だというのは百も承知だ。
既に誰かを自分の都合で傷つけておきながら、今更そんな偽善が通るとも思わない。
だがその一方で、眼前で戦っている少女は自分を助けるために戦ってくれている。
自分勝手な偽善を通してその思いを無碍にしてしまうのか、あるいは善意を理由に癒しを与えてくれた少女を傷つけてしまうのか。
どちらを選んだとしても、明確に傷跡を残す選択肢。
「……どうして」
どちらも選べない、と言わんばかりに蒼矢は言葉を放つ。
目の前で誰かが痛めつけられているのにも関わらず、その表情を一向に変えない薄情な少女に向けて。
「どうして、無関係の少女が傷つけられているのを見てそんな顔を出来るんだ。どうして、この状況に対して何も言おうとしないんだ。何とか言ってくれよ……」
「……話すことなんて、なにもありませんよ」
「……オレの事はもうどうなってもいい……オレが屈服する事で『解決』出来る問題だったら、そうする事で家族やあの少女の『安全』を確保出来るのなら……ここで、諦めるから……」
「……そういう事は、わたしじゃなくてあの人に言ってください」
「君には説得出来ないのか。君は、アイツの仲間じゃないのか?」
「…………」
やはりと言うべきか、話は通じない。
それどころか、会話という行為そのものをする気が無いと言わんばかりの態度だった。
「……頼むよ。君を傷つけたくないんだ……」
遂には思わず俯いて弱音を漏らす蒼矢だったが、波音は返事を返さなかった。
もう、諦めるしかないのか。
諦めて、自分の都合で誰かを傷付ける選択をするしか無いのか。
そう思い、歯を食い縛って顔を上げた時だった。
「…………?」
見逃せない変化が生じていた。
何に? 無表情を貫いている少女の表情に、だ。
(……なんだ、この感じ……)
その変化に気付くまで、少女の表情に目立った表情は浮かんでいないように見えていた。
苛立っているようにも悲しんでいるようにも喜んでいるようにも見えない、印象で言えば冷たいという例えが正しいと言ってしまえるほどに。
だが、今の少女の表情は
自分で自分の顔の筋肉をどう動かせばいいのか分からなくなっているように。
感情を消そうとする事に、勝手に失敗しているように。
「……ぁ、ふ……笑わせないでください。わたしはあなたを騙していたのに。傷つけたくないなんておかしい話ですよ。嘘を吐くにしても少しはマシな……」
「嘘じゃない」
「……な……」
殆ど反射的に言葉が出た。
疑問の声が返ってきた。
その声は震えていた。
「嘘じゃないって言っているだろ!!」
「…………」
「確かにオレは君に酷い事をされた。でも、その一方でオレは君に少しだけ救われていた。許す許さないの問題じゃないんだ。例え全てが嘘だったとしても、
いっそ怒号のような声が蒼矢の口から放たれる。
少女は肩を震わせながらも無の表情を作ったが、今となっては無理をしているようにしか見えなかった。
蒼矢の胸の中に、ズキリと痛みが走る。
ここまでの反応まで含めて全てが演技だった――などとは考えない。
明らかに、少女は何かを隠そうとしている。
自分の心を押し殺してでも、必死になって守ろうとした何かがある。
(……いったい、何なんだ……)
「あァーあァー」
疑問を抱いた直後の事だった。
ウサギ耳の少女と戦闘中の炎の魔人が黄色い声を漏らした。
次の言葉を紡ぐ間にも鎖が振るわれ、ウサギ耳の少女は回避のための動作を強要される。
「……結局は折れるのかヨ。もうちょっと頑張っテくれると思ってたンだがな」
「…………」
「まァ
「……わたしは、別に、折れてなんか」
「ご苦労サン。モう黙ッててもイいぞ?」
一方的過ぎる言葉だった。
何かに、落胆したような声色だった。
明確に、重要な意味を含む台詞だった。
少女の表情が、決定的に歪む。
炎の魔人は気にする様子も無く、蒼矢に向けて飄々とした態度で言葉を放つ。
「お前もお前で折れねェのナ。この状況なラ、お利口に仲間にナってくれると期待しテたんだガ」
「……彼女に何をした……」
「俺達の仲間になれば、欲しいモンは大抵手に入るんだゼ? なァーんでそンなに拒むのやら」
「彼女に何をしたと言っているんだ!!」
その態度にも、その言葉の内容にも――怒りを覚えずにはいられなかった。
ここまで来て、事情を少しも理解出来ないほど鈍い思考はしていない。
彼女は、磯月波音は、利用されていたのだ。
目の前の炎の魔人――あるいは、その属する『組織』の思惑に。
「何をシたって、勘違いさレちゃ困るナ。その女の行動はソの女が自分で決めタ事だぞ? この状況ダって、その女が選ばなければ回避出来た事だ」
「……病院にいたオレに対する言葉は、確かに拉致を成功させるための演技だったのかもしれない。実際はオレとは初対面で、これまで一度も会ったことなんて無かったのかもしれない。だけど、少なくとも今の行動は彼女自身が望んでやっている事だとは思えない!!」
「まァ、ドう考えヨうがお前の勝手なンだがな。正解が聞きたいンなら、その女に聞けばいいだろ」
ただし、と炎の魔人は付け加えて。
「喋ろウが喋るまイが、どっチにしてモ俺達の『組織』に従ッた方が良い事に違イは無いけドな。お前にしてモ、そこの似非バニーガールにしても、素直に仲間になった方が自分のためになるぞ?」
「ふざけるな。誰がお前達の仲間になんか……」
「お前にソの気が無かろウと、何の問題も無いんダよ。その気ガ無いなら、ソの気にサせるだケだ」
その声色には、余裕しか無かった。
最初から、抵抗の意思など問題にもならないとでも言っているような。
自分の心を文字通り鷲掴みにされているような不気味な感覚に、蒼矢は素直に恐怖を覚えていた。
構わずに炎の魔人は言葉を紡ぐ。
「さァて、あンまり時間も掛けたクはねェし、さっサと決断しテもらおウか。
一つ目の選択肢は到底選ぼうと思えず。
二つ目の選択肢は、元々蒼矢自身が危惧していた可能性で。
三つ目の選択肢に至っては、方法もそれを許容出来る心理もまるで理解出来ない。
つい少し前の問答と同じ、悪意しか感じられない問い掛けだった。
「…………」
仮に仲間になれば、最低でも家族の安全は保障されるのか。
自分が怪物として『使われる』事を許容すれば、これ以上状況が悪化する事はないのか。
自身に宿っている怪物の『力』を我が物にするため、周りの人間が望まない形で傷付けられるような事が。
少しだけ、蒼矢は考えた。
そして、素直な感情のままに答えた。
「いい加減にしろ」
「……へぇ……」
「最初からオレを本当に仲間として扱うつもりなら、彼女を巻き込む必要は無かったじゃないか。ただ誘いたかっただけなら、普通に病院に来て話をすれば良かったじゃないか。どんなに嘘に塗れた胡散臭い話だったとしても、家族を人質に取ったと脅し掛けて来たとしても……それで大人しく付いて来れたかもしれないのに。自分しか傷を負わずに済むのなら、それで良かったのに。どうして彼女までオレの『力』のために傷付けられないといけないんだ!! 人質に取る取らないの前に、最初から既に誰かを傷付ける事しか頭に無いじゃないか!! そんな事をする『組織』なんかのためにオレの『力』は使わせない!!」
「あくまデも従うツもりは無いンだな。コれでも親切心で教えテやッたつもりだったンだが、そコまで強情になるンなら仕方がねェ。お望み通り、傀儡にでも成り果てルがいいさ」
炎の魔人が歩み寄ってくる。
背を向けられたウサギ耳の少女は後頭部を狙おうとしたのか飛び掛かったが、それを予測した炎の魔人が振り向くと同時に放った裏拳で建物の壁際まで殴り跳ばされてしまう。
蒼矢は右腕が変化した『蛇口』から炎の魔人に向けて高圧の水流を放ったが、水流は炎の魔人の体に触れると同時に殆どが蒸発し、ダメージを負わせる事などまるで出来ていなかった。
それでも諦めるわけにはいかなかった。
こんな悪党に自分の『力』を悪用されたら、きっと被害は自分が考えられる範囲を超えてしまう。
家族が人質に取られて害を為される事も到底許せる事では無いが、最初から平気で誰かを傷付けようとする相手に真っ当な取引が成立するとは思えない。
何としてでも、ここで阻止しなければならない。
だが、今の蒼矢の力では鉄の仮面で顔を覆った炎の魔人の力には到底敵わない。
高圧水流にしろ氷の矢にしろ、放つためには『溜め』が必要となる。
既に炎の魔人は、それが許されない距離まで近づいて来ている。
そもそも、放つ事が出来たとしてもそれだけで決定打に成り得るとは思えない。
(……駄目、なのか? 結局オレには……誰かを守ることなんて……)
大層な決意があろうと、状況を打開出来るだけの力が無ければ何も為せない。
地に這う事しか出来ない非力な怪物は、更に大きな力を持つ怪物に平伏させられるだけ。
司弩蒼矢には、何も出来なかった。
ウサギ耳の少女――縁芽好夢にも、何も出来なかった。
「……なンの真似だ」
この場において初めて、明確に苛立った声を炎の魔人は漏らした。
司弩蒼矢もまた、信じられないものでも見るように目を見開いていた。
炎の魔人の進行を遮るように、磯月波音が両手を広げて立ち塞がっていた。
まるで、司弩蒼矢を守ろうとしているように。
「……もう、やめてください」
その声は震えていた。
表情こそ見えないが、辛い気持ちになっている事ぐらいは容易に想像出来た。
「お願いだから、もうこれ以上あの子や蒼矢さんを傷付けないで……っ」
炎の魔人は、少女の言葉になど気にも留めなかった。
それ以前に、自分の進行を遮ろうと阻みに来た時点で笑みすら消しているようだった。
「なンの真似だッて聞いてンだヨ。自分の立場を忘れたノか? 逆らったラどうナるか解ってンのか?」
「…………」
「役立たズもここまで来ると笑えねェ。そもソも、今の状況を作り出すために協力してきたのは他ならぬお前自身だろうが。自分で裏切って傷付けた相手を、今度は守ろうって? ハッ、自作自演で都合良くハートを掴もうとは大したビッチだなオイ」
駄目だ、と蒼矢は思った。
少女の事は宿す力も含めて全く知らないが、それでも炎の魔人の進行を食い止める事など到底出来るとは思えない。
懇願の言葉だって通用する相手では無いし、そもそもこの
(……やめろ……)
蒼矢には、まるで理解出来ない。
こんな自分がどうして守られているのか、その理由の何もかもが。
少女だって、きっと理解しているはずだ。
守ろうとする行為が、自分自身の命を危険に晒す行為でしか無い事ぐらい。
「やめて、くれ……」
全てを理解しているはずの少女の背中は、地に這う化け物に対して何も語らない。
それを見過ごせば何が起きるのかを知っているのに、蒼矢には何も出来ない。
そして、炎の魔人には少女の意思を尊重する理由など特に無かった。
だから、
「やめ
直後に、間近で鈍い音が炸裂した。
炎の魔人がサッカーボールでも蹴るかのように放った鋭い蹴りが、少女の体を薙ぎ払った音だった。
(……あ)
その瞬間から、司弩蒼矢の意識下で体感時間は狂っていたかもしれない。
認識の速度から引き延ばされた時間の中で、何か水っぽい音が耳に残った。
人外の蹴りを受けた腹部を中心にくの字に姿勢を曲げられた磯月波音の口から、何かが溢れていた。
赤とも黒とも違う、独特の色彩を有したナニカが。
その答えは解り切っているのに、どうしても空回りを続ける蒼矢はその単語を導き出せない。
流れていく風景のように一瞬の中で視界から外れていく少女の顔は、笑っていた。
決して喜びによって生まれた表情では無かった。
司弩蒼矢はそこまで認識して、ようやっと手を伸ばそうとした。
しかし、届かない。
まだ人間らしい輪郭を残した左手も、怪物そのものと言える右手だったものも。
どうしても、届かなかった。
少女の体がゴロゴロと建物の床の上を転がって。
その光景を、蒼矢は呆然と見送って。
全ての時間もそこで戻って。
「『……あ、ああ、あああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?』」
思考が破裂した。
人のような、獣のような、
その絶望の叫びには、何故か蒼矢以外の『誰か』の声も混じっているようだった。
炎の魔人の蹴りは、殺すためというよりは本当に邪魔なものを横に除ける程度の力しか込められていなかったのだろう。
だが、それでも生身の人間にとっては致命傷と成り得る一撃である事を、怪物の姿で一撃を貰った蒼矢自身が体感していた。
死んでいないはずだ。
殺すつもりで放たれた蹴りではないはずだ。
だから死んでいないはずだ。
……そう信じたいのに、少女の体は横転を止めてから動かない。
その口元から漏れているであろう血の色が、嫌でも最悪のイメージを浮かばせてしまう。
彼女は、磯月波音は、死ぬ。
今の時点で死んでいるかもしれないし、死んでいないとしても間違い無くこのままでは死ぬ。
「もウ全体的に面倒臭ェし、さっサと終わらセるか……」
炎の魔人の言葉など、頭に入っていなかった。
頭の中を反芻するのは、ただただ目の前の現実に対する拒否の言葉ばかり。
どうしてこうなった。
何故あの少女が死ぬような目に遭わなければならないのだ。
自分が下手に抵抗しようとした所為なのか。
こんな事になる前に、自分で自分の命を絶っていれば良かったのか。
全部、自分が。
自分の『力』が招いた結果なのか。
どうして自分には化け物の力が宿ってしまったのか。
自分の弟に対する『嫉妬』に塗れた醜い心が招いてしまったのか。
どんなに自問自答を繰り返しても、答えなんて出なかった。
自分で自分の感情を制御する事が出来なくなっていた。
頭の中を、血のように真っ赤な色彩が埋め尽くし。
司弩蒼矢の意識は、心の深い場所へと落ちた。
◆ ◆ ◆ ◆
……と、いうわけで最新話ですが、いかがだったでしょうか?
久々の話で滅茶苦茶長いのにあんまりストーリー進んでないじゃん!! って自分でも書いてて思いました。キャラの心理描写を薄くすると物語の内容自体も薄くなるような気がして、必要なものは出来る限り書き上げているつもりなのですが、人によっては読むのが苦痛になるレベルの量かもこれ……。
雑賀と蒼矢(と好夢)がそれぞれの視点で絶望的な状況に立ち向かった今回の話ですが、どちらも共通して『個人の善意を信じようとして』最終的には状況を悪くしてしまっているんですよね。
結果として片や信頼したい相手の足を引っ張り、片や信じたかった相手の立場を悪くして最悪の展開を導き出してしまったり……どうにも都合良くいかないもんです。
そして前回の話でも少しだけ戦闘描写を加えた例のへヴィーで炎な魔人の電脳力者ですが、本編を見ての通り司弩蒼矢からしても今回デジモンの力を覚醒させた縁芽好夢ちゃんからしても相性最悪な相手です。ある程度の距離が離れていても殴れて、触れる事がそもそもアウトで基礎スペックも高い……と。
初登場なのに不利な体面ってのは雑賀も通った道ですが、世代差から見ても今回はもっと詰んでるかも……?
牙絡雑賀と縁芽苦郎はどうなるのか。
司弩蒼矢と磯月波音、そして縁芽好夢はどうなるのか。
次回をお楽しみに。感想やら質問やら何やら、色々お待ちしております。