DIGIMON STORY デジモンに成った人間の物語 作:紅卵 由己
やっぱり四時間半程度で全部書き上げるなんて無理だったんだよ!!←←
場所も変わらず、会話だけの話になったので地の文がどうしても少なくなってしまう……もっと精進します。
デジタルの太陽が強く光り、広大に広がる大海原がキラキラと光を映して美しい光景を作り出している浜辺のエリア。
海面に映った自身の姿を見て、赤い恐竜のような姿をしたデジモンは言葉を失い、ただ立ち尽くしてるのを一匹は頭の上に疑問符を浮かべ、一匹は怪訝な表情を浮かべながら見ていた。
エレキモンは内心で呟く。
『面倒な奴を助けちまったなぁ……』と。
そもそも。
この世界……デジタルワールドにおいて、ニンゲンとは絵本などで語られる架空の存在でしか無いのだ。それが実際に『現れる』事など考えも出来ない。
何故なら、それがこの
(仮にあのデジモンが嘘を吐いているとして、何の目的でこのような見え見えの無い嘘を吐いてるんだ?)
エレキモンは内心で疑問を呟く。
(……怪しいな)
現状、赤色の恐竜デジモンの証言に関する判断材料が一切無いため、エレキモンが赤い恐竜型デジモンに大して疑心を浮かべる。
分からない事が多い以上、警戒するに越したことは無い。
「ねぇ、君」
「……何だよ」
「え、ちょ、おいベアモン!?」
尤も。
そんなエレキモンの思考は勇気なのか、それとも無謀なのか、警戒もせず容疑者のデジモンに声を掛けたベアモンによって、一瞬で粉々に粉砕されたのだった。
その行動に驚いたエレキモンは待てと言わんばかりに声を上げるが、張本人であるベアモンはそんな事はお構いなしに会話へ突入している。
「君って本当にニンゲンなの? 絵本とかで見た姿とは凄く違うけど……」
「……あぁ、確かにニンゲン
「何があったか覚えてる? 記憶に残ってるの?」
「……いや全く。ニンゲンだった時の日々は鮮明に覚えてるんだが……この姿になるまでの過程が、全く記憶に入ってないんだ」
どうやら本人曰く、記憶喪失と言うわけでは無いらしい。
ベアモンはそれに対して嘘を吐いている気配を全く感じられず、それが本心なのだと信じて会話を続ける。
「てことはさ、自分が何で海中に溺れていたのかも知らなかったりするの?」
「ああ……」
「う~ん……それじゃあさ……」
「待て」
ベアモンが次の質問を恐竜デジモンに問おうとした時、質問に被せるようにベアモンの後ろからエレキモンが制止の声を上げる。
そして、そのまま自身の質問をぶつける。
「お前さんが人間なのか、そうでないのか。そっち方面の事は今はどうでもいいが、一つだけ聞かせろ」
「何だ」
「お前が敵じゃないかについてだ」
「エレキモン!?」
「ベアモンは黙ってろ。俺はコイツにどうしても聞いとかねぇといかないんだ」
エレキモンは警戒心を解く事無く、見知らぬ恐竜デジモンを睨み付けながら質問を続ける。
「言っておくが、俺はお前自身が敵かそうで無いかを聞いてんだ。その自分が人間だったなんて言う嘘はともかく、そこが知れないとこちとら安心も出来ねぇんだよ」
「………………」
「早く答えな。沈黙は敵である事を自ら肯定していると見なすぜ」
「ちょっとエレキモンったら……」
場の緊張感が高まり、普段は温厚な性格であるベアモンも流石にムードの悪さからエレキモンに制止の声を掛ける。
「この子は敵でも無いし、嘘も吐いていないと思うよ?」
「何?」
ベアモンの告げた言葉に、エレキモンは何か根拠があるのかと問い返す。
言葉を思考する事も無く、ベアモンは自身が思った事をそのまま口に出して伝える。
「だってさ、僕らがこの子の立場になってみ? いきなり別の世界に来て、知らない生き物を見たら誰でも驚くけど……敵意も向けていない相手を敵にすると思う?」
「それが演技って可能性もあるだろ」
「あの様子で、初対面の相手に嘘を吐こうと考えるとは思えないけど?」
エレキモンを説得するベアモンの脳裏に過ぎるのは、数刻前に見た独白を続けながら驚愕の形相で海面に映った自身の姿を見る恐竜デジモンの姿。
「僕なら、目を覚ました時に目の前に知らないデジモンが現れてたら驚いて、壁に頭をぶつけると思うな」
「……お前って、ホントこういう時には信用性のあることを言うよな……」
流石にここまで根拠を突きつけられては敵わないのか、エレキモンはベアモンに対して返答をした後、視線を恐竜デジモンの方へと向ける。
「まだ納得してねぇけど、とりあえずお前が敵じゃないって事だけは信じとく」
「ごめんね。エレキモンって、いつもこうやって確認しないと安心出来ない所があるから……」
「……お、おぅ……」
二人の会話の原因となった存在はただ、そう返事を返すしか出来なかった。
思考がマトモに機能していないのか、はたまた状況に付いていけていないのか、その表情は何処か二匹に対して恐怖を感じているようにも見える。
その感情に気付く事も無く、エレキモンは恐竜デジモンに対し、改めて声を掛ける。
「……で、自称ニンゲンだったらしいお前さん。これからどうすんだ?」
「どうするって……」
「見た所、行く宛が無いんだろ? 何も持ってないみたいだし」
エレキモンの問いを聞いた恐竜デジモンは考える。
爬虫類のような顔立ちの小さな頭で考えて、考えて、考え抜いたが……結局の所。
「……ああ、行く宛も帰る宛も無いな」
「せっかく助けちまったし、お前さんは悪い奴じゃないと信じるから言わせてもらうぜ」
エレキモンは一度緩急を付けてから、考えを言葉にする。
「お前、俺らの住んでる町に来ないか?」
「……え? いいのか?」
「良いんじゃないかな? 僕は賛成だよ!!」
思わずそう問い返した恐竜デジモンだったが、その問いを返したのはエレキモンでは無く、ベアモンだった。
「……じゃ、じゃあ……とりあえずお前らの町に行くよ。色々調べたい事もあるし……」
「これで決まりだな」
「それじゃ、予定より結構遅れたけど……帰ろうか、僕等の町……発芽の町へ!!」
ベアモンはそう言って、大量の魚が入った自分用のバケツを右手に持つと、この場所まで続いていた今まで来た道を引き返し始めた。
「よっと……さて、帰るか。ちゃんと付いて来てくれよ」
エレキモンは恐竜デジモンに背を向け、ベアモンの進路と同じ方へ歩を進め始める。
「ちょっと待ってくれ!!」
その途中、恐竜デジモンはベアモンとエレキモンに初めて自分から声を掛けた。
「何?」
「一応、俺には名前があるから……自己紹介ぐらいはさせてくれないか?」
「……そういえば、名前を聞いてなかったな」
「ちょうど良いし、互いに自己紹介しようよ!!」
ふと、疑問をぶつけるばかりで恐竜デジモンの名前を聞いていなかった事に気がついたエレキモンは、一度立ち止まると恐竜デジモンの自己紹介に耳を傾ける。
ベアモンも赤い恐竜デジモンの方に視線を向け、それを確認した恐竜デジモンは、自身の存在の証である名前を明かす。
「俺の名前はギルモン。人間としての名前はコウエンユウキだ……よろしく」
「僕の名前はベアモン。まだ個体としての名前は無いけど……よろしくね」
「俺の名前はエレキモン。以下同文だ」
こうして、三匹は出会った。
美しい海の景色が見える砂浜の上で、当たり前のように輝くデジタルの太陽に照らされながら。
日常は非日常へ姿を変え始め、物語はゆったりとした軌道に乗り始める。
今回の話で戦闘をさせるか、させないか迷ったりしましたが、結局させない事に。
とりあえず今回の話で、プロローグは終了の予定です。次回から第一章に入ります。
最低限のラインをひとまずは超す事が出来てよかったです……ただ、今回の話……何処か雑な感じがしますので、いつか修正して書き直す可能性が高いです。
……てか、今回の話は三人称よりも一人称で書いた方が書きやすいと思った(子並感)