DIGIMON STORY デジモンに成った人間の物語   作:紅卵 由己

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第六節「二日目:因果の兆し、求められる成長」①

 

 しばらく経って。

 森の中、チーム『チャレンジャーズ』の3名とレッサー、そして依頼者である銀毛のレナモンのハヅキとホークモンは朝を迎えた。

 昨夜、謎の凶悪なデジモン達の手で『天覧の橋』を崩壊させられ、あえなく湖に飛び込む羽目になった一行は、その後にどうにか湖の岸辺まで泳ぎ、そこで先んじて岸まで到着していたらしいレッサーと合流してから、その場を離れることを余儀なくされた。

 襲撃者の存在があり、その規模も目論見も何も知らない以上、その近辺に滞在するのは危険だと判断されたためである。

 戦いと泳ぎに疲れた体に鞭を打ち、黒煙を上げる橋に背を向けて走り、死に物狂いで隠れられそうな場所を見つけ、そこまで出来てようやくの眠りに就く——途中途中、見張り役を交代しながら。

 実のところ、眠れ眠れと促されながら本当にきちんと眠ることが出来た者は、殆どいなかった。

 燃え盛る町の上での戦いは、彼等に良くない意味での興奮を与えていたのだ。

 

「で」

 

 当人曰く湖の上を高速で走ることで危機を脱したらしい、目元に隈の見えるレッサーが口火を切る。

 

「まぁ、追撃してくる気配は夜通し無かったし、とりあえず一安心ってことにしたいわけだが……アルス」

「……ぅ……」

「率直に聞くが、自分が何をしでかしたか自覚はあるか? 俯いてないで、オイラの目を見て答えろ」

 

 冷えた声色だった。

 付き合いの短いユウキでさえ、怒りを覚えている事を察せられる程度には。

 感情を向けられている当人であるアルスことベアモンは、今まで見たことも無いほど消沈した表情を浮かべながら、こんな言葉で応えた。

 

「……出しゃばっておいて、何も出来なかったから――」

「違ぇよボケが」

 

 乾いた音が響いた。

 ミケモンのレッサーが、ベアモンの左頬を――右手の、肉球の無い裏側で――叩いた音だった。

 叩かれ、痛みを訴える素振りすら無いベアモンに対し、レッサーは容赦なく言葉を紡ぐ。

 

「出しゃばったから? それで何も出来なかったから? ……ふざけてんのか? そこに責任を求めるやつがいるなら言ってみろ。ぶん殴ってやる。オイラがキレてる事はな。お前が一人で突っ走ったことだ――仲間である二人も、依頼主も護衛対象も放っておいてな」

「…………」

「お前に見ず知らずの誰かの危機を放っておけないぐらいの良心があることは、別にいい。そのぐらいはオイラも含め、発芽の町の住民の殆どが知ってることだしな。だが、立場を忘れて自分の役割まで放棄するのは筋が通らねぇだろう」

 

 それじゃあ野良のデジモンと何ら変わりない、と。

 誰かに依頼され、相応の見返りを前提に役割を背負う――そんな、責任ある立場にある『ギルド』のデジモンとして相応しくない、とレッサーは言う。

 

「今のお前はユウキとトールの二人と組んでるチームのメンバーであり、同時に依頼を受けている『ギルド』のメンバーだ。であれば、どんな事をするにしても協調は不可欠だ。解るか? 馬鹿でも解るレベルで危険な場所に突っ走ったお前さんが無事に戻ってくる確証が無い以上、チームメンバーである二人やオイラは、色んな理由からお前を助けに動かないといけなくなる。……依頼主や護衛対象に、どうあれリスクを背負わせながらな」

「…………」

「解らないようなら言っておいてやる。お前はあの時、町の住民を助けるために、それ以外の身近なものを助けない事を選んだんだ。依頼を受けたチーム『チャレンジャーズ』のメンバーとしてではなく、見ず知らずの相手の命にすら責任を負った気になっただけの勘違い野郎としてな」

「……っ……」

 

 助けないつもりなんて無かった――などと反論しなかった辺り、ベアモンもレッサーの指摘を正しいものとして受け取ってはいるのかもしれない。

 だが、その右手は納得のいかない気持ちを抑えようとするように硬く握り拳を作っていた。

 レッサーは無視して続けた。

 

「お前があの時やるべき事は、いきなり叫んでがむしゃらに突っ走ることなんかじゃなくて、まず仲間に協力を求めることだった。歩幅を出来る限り合わせて、集団で動くことを継続することだった。そうすれば誰か助けられたとまでは言わねえが、仲間の安否も知れず、退路も知れないまま破れかぶれに進むしかなくなって、あと僅かにでも脱出が遅れたらおしまいなんてふざけた状況にまで追い詰められることは無かった。ワケわからん敵の存在こそあったが、離れ離れにさえならなければ、適切に役割分担して効率的に動くことが出来たと、少なくともお前達の力量を知ってるつもりのオイラは信用していたんだぞ」

 

 今となっては結果論であることぐらい、レッサーも重々承知している。

 あの燃え盛る町の上で、見えない時間制限を前にどれだけのことを成し得ることが出来たのかなど、タカが知れていたのだから。

 だが、離れ離れにさえならなければ最低限の働きは出来たのだと――言い換えれば、それで誰も助けられなかったとしても、最善を尽くした以上は誰のせいでもないのだと、レッサーは言った。

 ユウキもトールも、沈み込んだ様子の仲間の姿を前に口を挟むことは出来なかった。

 今、何を言っても、気休めにすらならないように感じたために。

 何かに区切りをつけるように一つため息を吐いてから、レッサーは最後にこう告げた。

 

「お前はチームの一員で、今は護衛の任務の真っ最中だ。その当たり前の事実を、ちゃんと心に刻んどけ」

 

 告げて、ベアモンの反応を待つことも無くレッサーの視線が依頼主——銀毛のレナモンことハヅキの方へと移る。

 特に怒りを覚えているようには見えない一方、何かを思案するように両腕を組んで二人のやり取りを哀しげな表情を浮かべたホークモンと共に眺めていた今回の依頼主は、レッサーの視線に気付くと、口を開いた。

 

「……説教はひとまず終わったと見てよろしいでござるか?」

「あぁ。すまんな、アンタの話も重要だってのは解ってるんだが、オイラはこいつ等の面倒を見る立場なんでな」

「構わないでござるよ。こちらも似たような事を言いたくはあったのでござるし」

「…………」

 

 当然と言えば当然だが、現在進行系で落ち込んでいるベアモンの事を特に庇おうとする様子もない辺り、思う所はあったらしい。

 集団行動において重視すべきことを、少なくともユウキやトール以上に熟知し徹底していると思わしき銀の狐は、何処か重々しく息を吐くとこんなことを言い出した。

 

「……まさか、ここで直に遭遇することになろうとは思わなかったでござるが、遭遇してしまった以上は説明する必要があるでござろう。私達が、あなた方に依頼をすることになったそもそもの理由――私達の里を襲った、謎の集団について」

「……あのよくわからん連中がそうだってのか?」

「あくまでもその一団、と見ているのでござるが、取った手段が同じである辺り、関係者であることは確実でござる。あの町を粉砕したスカルグレイモンのミサイルが、その証拠でござる」

「……というと?」

「前提として、この辺りの地域にスカルグレイモンが生息しているという情報は無いでござる。どこかの竜系デジモンが偶然進化したと考えても、あの狙い澄ましたミサイルの雨は不自然。高い知性と悪意をもち、それ等を制御出来る群れが存在しなければ今回の惨事は説明出来ないのでござる」

 

 スカルグレイモンという種族は、進化の悪例としてユウキのいた人間の世界でも(界隈では)有名だ。

 非現実な『アニメ』として語られる範囲でさえ、それは失敗と暴走の象徴であり、仲間と協調して作戦と呼べるものを遂行出来るほどの知性を持っているとは思えない。

 そして、そのユウキの認識はデジモン達にとっても同じらしく、ハヅキの語ったスカルグレイモンという種族のイメージに異論を挟む者はいなかった。

 レッサーが言葉を紡ぐ。

 

「まぁ、確かに『ギルド』の情報でも、スカルグレイモンが群れを為して誰かと連携を取るなんて話は聞いたことがねえな。全部が全部そうではないにしろ、大半はそうだ。目の前のデジモンをとにかく襲いまくり、結果として物を壊す……しか能が無いって程度の感じで、遠距離の狙撃とか他のデジモンとの連携とか、そんなのが出来る個体は見たことも聞いたことも無い」

「……でも、実際にはあの町だけを狙ってミサイルが何発も放たれた。そして、十分過ぎるほどの被害が出て状況を整えた上で別のデジモン達が襲いに入った……」

「徹底的だったよな。別に怨みとかがあるわけではなく、ただただ愉しそうに。イマドキ、ロードするためだけに町を襲撃しに来るやつなんて珍しいが、何か別の目的でもあったのかね」

「実のところ、目的は現時点でも憶測でしか語れないのでござる。ただ壊したい殺したいを理由とするデジモンも、世界には少なからず存在するのでござるし」

「……クソったれ……」

 

 思わず悪態を漏らすユウキの脳裏に過ぎるのは、燃え盛る町で対峙した異形の怪物。

 ブレイドクワガーモンというデジモンの特徴を人の形に無理やり近付けたかのような何かが、町の住民を切り刻み殺していた姿――そして、そいつが去り際に吐いていた言葉。

 

(……アイツは、去り際に俺の事を『同類』と呼んでいた。俺の身に起きた変化の事を知っているかのように。それはつまり……そういうこと、だよな……)

 

 意味は嫌でも理解出来る。

 だが、それをレッサーやハヅキ、ホークモンの目の前で口にする事には躊躇いを覚えた。

 

(……敵の正体が人間だなんて、デジモンになった人間がこの世界にいるだなんて、彼等に言って大丈夫なのか……?)

 

 人間という存在に関して、三人がどんな風に思っているのかは解らない。

 だがどうあれ、その発想を口にした時点で真っ先に疑われることになるのは他ならぬユウキ自身なのだ。

 何故正体が解るのか、という疑問は少なくとも不可避なのだから。 

 事情を知るアルスやトールだけならまだしも、事情を知らないレッサーやハヅキ、ホークモンに対してはひたすらに不信感を与える結果になりかねない。

 その不信感がどんな出来事に繋がるか、まったく予想が出来ず、怖くなる。

 躊躇いの理由の自分本位さに虫唾が走るが、結局ユウキは言葉を紡げなかった。

 

「ユウキ、解りやすい悪党に正義感に燃えるのは結構だが、その苛立ちは早めに消化しとけよ。アルスみたいに突然突っ走られたら困る」

「……ん、はい……」

「……ったく。ハヅキさん、話を続けてくれ。時間がもったいねぇ」

「承知」

 

 苛立ちに沈黙した所で、ユウキがその理由共々勘違いされながら、ハヅキが情報を繋げていく。

 

「重ねて述べている通り、私達のいた忍びの里が襲われた時も、今回と同様にスカルグレイモンのミサイルが使用されていたのでござる。凶器も段取りも類似している辺り、見えた種族に違いこそあれ同じ組織の者であることは察しがつく。……そして、同じであると推理した上で述べておく事があるのでござる」

「それは?」

「あれ等のミサイルが、どのようにして放たれていたかという点でござる」

「……どのようにって、脊椎部に生えてるアレをぶっ放してる以外に説明のしようは無いんじゃないのか? オイラはスカルグレイモンに進化したことなんて無いからどんな風にとか解るわけも無いんだが」

「そのような話であればまだ簡単だったのでござるが、事実は少し異なるのでござる」

「あん?」

「事実から述べると――」

 

 そして、ハヅキは言った。

 底知れぬ悪意の持ち主たる敵の、その力の一端を。

 

「――奴等の中の一部のデジモンは、他のデジモンを武器にして操る能力を持っている」

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 同時刻。

 遠く離れた荒れ地に、デジモン達が焚き火の残骸である木炭を囲うように群れていた。

 彼等の近くにはいくつかの薄汚れた大型車両が停められており、どれからもナンバープレートは剥ぎ取られている。

 つまる所、盗品。

 何処からの、などと聞くまでもなく、事実一つ取ってもその場にいる者達のアウトロー具合が察せられるというものだ。

 ルールを守る気なんざ無い、という言葉を顔に貼り付けたような軽い調子の群れの中、傘を携えた雌山羊の獣人のような姿のデジモン——メフィスモンが何処から調達したのかも知れない珈琲を嗜みながら口を開く。

 

「あのデビドラモンちゃんは死んでしまいましたかぁ。うーん、ミサイルの味方識別《マーキング》は設定していたんですよね? まさか誤射で消し飛んだとか、仮にそんなオチならカワイソウ過ぎて涙が止まりませんよぉ」

 

 そういう彼女の視線の先では、胴部の黒い球体を除くほぼ全身が剥き出しの骨で形作られた、骸骨のデジモン——スカルサタモンが胡座をかいていた。

 彼は漫画か何かでしか見ないような造形の骨付き肉に喰らいつきながら、メフィスモンと言葉を交えていく。

 

「んー、どうだかね。設定はしていたはずだし、他の奴と同様に燃えないための仕込みもしてたよな? その前提だと住民に返り討ちに遭ったと考えるべきか。利口なヤツだったんだが、残念だ」

「ですねぇ。もっと強くなってくれたらこちらも楽が出来たのに」

「役に立つ前に死んじまうとはなぁ。ま、代わりの戦力なんていくらでも用意出来るだろうが、損した気分になっちまう。良くないぜぇ、こういうのは」

「こっちだと資源は無限に近いほどあるにしろ、節約は意識しないといけませんねズズズ」

「もうちょっと上品に飲めんのかオメーよぉ」

 

 身内の死というものが絡んだ会話でありながら、彼等の完走はひたすらに軽いものだった。

 彼等の視界の外では、彼等が手下としているデジモン達――主に小悪魔型や魔獣型の、成長期や成熟期の――がスカルサタモンと同じく骨付き肉を貪っている。

 小規模な宴会、とでも言うべきムードが漂う中、肉に右手の刃を突き立てることで持ち歩いている全身フルメタルな人型の凶器——昨夜、チーム『チャレンジャーズ』のユウキとトールの二人と交戦していた者である――がサクサクと地面に足の刃を突き立てつつスカルサタモンの方へと歩み寄り、言葉を投げ掛ける。

 

「リーダー、試射はあとどの程度やる?」

「そうだな。威力と精度には満足したし、そろそろ他の武装の開発にも乗り出すべき時期かもな……」

 

 スカルサタモンはそう言うと、視線を自らの背後に向ける。

 見れば、そこには一際目立つ物体が一つ。

 上から下まで全てが灰色がかった白い骨で構成された、筒のように見えるもの。

 筒の内側には鮫のような造形の肉塊がグロテスクに蠢いており、それに備わっている眼は誰にも向けられてはいないものの、見方によっては飢えたケダモノのような獰猛さを帯びているように見えたかもしれない。

 誰かに使われることを前提とした構造であり、それ以外の要素を無駄として切り捨てた、生き物のように見えなくもない――武器。

 それに、まるでお気に入りのオモチャか何かでも眺めるような視線を向けながら、スカルサタモンは言葉を紡ぐ。

 

「しかし、やっぱり良いよな、こういうのって。戦争で始めてミサイルって兵器を開発して、その発射ボタンを押したやつも、きっと同じ感覚を覚えてたんだろうなぁ。芸術は爆発とは良く言ったもんだ」

「ただし、生産ラインは不安定。『素体』となるスカルグレイモン自体、雑草のようにどこにでも現れるものではありませんからね。『牧場』で私も育成を頑張ってますが、時たまスカルではなくメタルになったりそれ以外になったり、狙い通りとはいきません」

「まぁ、進化まで思い通りに出来たら苦労なんかしねぇわな。いいさ、どう転んでも戦力増強に繋がるんだ。よっぽど大損しない限り、予想外も含めて楽しんだ方が得だろう」

「その考え自体は否定しないけど、誤射とかは本気で勘弁だからな? クロンデジゾイドの装甲の防御力にも限度はあるんだ」

「戻ってきたら珍しく、なんか傷付けられてたもんなぁ。何だったんだアレ?」

「町の中に同類がいた。味方につく気が無いらしいから殺そうとしたら痛い目を見た。それだけ」

 

 人型の凶器もといブレイドクワガーモンに対し、ふーんと興味があるような無いような、曖昧な反応を返すスカルサタモン。

 彼は骨付き肉を一口してから、問いを返した。

 

「まぁ、俺達がそうであるように、何かしらの縁でこっちに来る電脳力者《デューマン》もそりゃいるだろうが……どんな奴だった?」

「ん……姿はギルモンで、一応グラウモンに進化出来るみたいだったな。後は電能力者特有の最適化が出来てたこと以外には、特に何も。仲間はコカトリモンに進化出来るエレキモンが一体見えたぐらいだが、多分他にも仲間がいただろうな」

「あぁ、それなら私が対面したバステモンやレナモン、ホークモンがそうかもしれませんね。町の住民であればミサイルで多少なり焼け焦げているはずが、そうなっていなかった辺り、偶然あのタイミングで町の外側にいたデジモン達かもしれません」

「ふ~む。電能力者混じりの一団ねぇ……どっかの組織の構成員か何かか?」

「どうだろうな。何かの偶然でデジタルワールドに神隠しに遭ったみたいなパターンかもしれないし、普通に『シナリオライター』の案内人に連れられたやつかもしれない。当人に聞いてみない限りは知りようが無いな」

「まぁ、いいんじゃないでしょうか。特に誰かを殺すなとか厳密な指示が飛んでいるわけでもないのですし、その電能力者なギルモンがあの状況から生き延びて私達と対峙することがあったら、その時は遠慮なくこちらの都合を通すのみです」

「だな。俺達のプロデューサーは、どうあれ破壊と殺しとを俺達に求めている。であれば、この場にいない誰かに遠慮する必要なんかねぇ。存分に、殺りたいように殺っちまおう」

 

 確認作業は簡潔に。

 電能力者、という言葉が持つ意味を知っているはずの彼等は、されどその殺害に躊躇を覚えなかった。

 何の罪も無いデジモンだろうが、仲間になる余地があるかもしれない同類だろうが、感じ入るものはほぼ同じ。

 味方にならないのであれば殺し、味方にしたいと思う要素も無いならば殺し、大した理由が無くとも殺す。

 他者の命というものを重く感じない彼等は、故にこそ選択の速度が他を逸している。

 そんな彼等の言葉は流れるように過ぎていき、食事の終わりと共に足が動く。

 傘を携えたメフィスモンの電能力者が、指針を述べる。

 

「では、都市攻略に向けての準備を進めるため、ひとまず拠点まで戻りましょうか。この辺りに用事はもう無いはずですし、ロイヤルナイツに見つかっても面倒です」

 

 決めるべき事は決まった。

 悩むことは何もなくなり、それぞれ大型車両に乗り込んでいく。

 が、出発の直前、スカルサタモンの電能力者が残骸以外何も残っていないであろう橋の町のある方角に視線を投げているのに気付き、ブレイドクワガーモンの電能力者は疑問を投げ掛けた。

 

「……ん、どうした? 何か思い当たりでも浮かんだのか?」

「いやな。乱入者って話でふと、思う所があってな」

 

 些細な記憶の呼び起こしがあった。

 類似した出来事、命を軽く見つつそれでも印象に残った存在。

 それを、さながら世間話のようにスカルサタモンの電能力者は口にした。

 

「天使だらけの村で見た、バカ強い化け物。ヤツもあの場に来ていたのかなとか考えただけだ」

 

 

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