《小猫side》
部長の婚約者のライザーに勝つために行った特訓。
そしてその特訓を終え、レーティングゲームに挑み、敗北した次の日。
私は弱い。
そう考えながら私は誰もいない放課後の屋上で、沈んでいた。そして後悔もしていた。
あそこで、気を緩めなかったら撃破されなかっただろうし、そのあとも他のライザー眷属をもっと倒せていたはず。それに特訓した時ももっと他の人と違う特訓の仕方があったんじゃないだろうか。もっと技術を知っていれば…。
考え出すときりがない。
そして一番後悔したことは、仙術を使うこと。
かつて姉様が使って暴走したあの力。その力を使っていれば、うまく制御できていれば今回のレーティングゲームに少なくとももっと貢献できたはずだった。
私は、弱い。心も体も。
そんな事を思って体育座りをする。
目に涙が貯まる。それを押さえるだけでこの座りかたになったのでは無いだろう。
とそこで屋上のドアが開いて、誰かが入ってくる。
かつての姉様に似た匂いがするので、蓮先輩だろう。
「どうした」
蓮先輩はそう言ってくる。
「…何でもありません。蓮先輩には関係ありません。何しに来たんですか」
嘘だ。
本当は話したいし、この心のいたさをわかって欲しい。
そう思っても、口からは違う言葉だけ。
せめて涙だけでも止めないと。
「ふーん、何かあったんだな。この感じから何か後悔しているって感じか」
先輩はそう言った。
…何で分かるんですか。
そう何時もみたいに言いたい。でも口が開かない。
そしてまた違う言葉が出てくる。
「…放っておいてください」
「…当たりか。まぁ、今さら後悔しても仕方ないだろうが。何後悔してるか知らんが」
黙って…。
「…放っておいて、ください」
私がそう言っても先輩は黙る気配はない。
「そんだけ自分が弱かったってことだしな」
黙って。
「後悔だけってのも悪くはないが、つまらないし、面白くもないし、バカのやることだな」
黙って…!
「自分がああしていればとか考えている奴は傲慢だな。そんなこと思っても過去は変えられねーし」
黙って!
「弱いなら弱いなりに工夫しろってんだ。全部終わった後にそんなこと言って、後悔してもこっちとしては何も出来やしないし、後悔してるだけの奴に労ってやる気持ちなんか一ミリもでねーよ」
ああ、ダメだ。
「黙ってください!!」
私がそう叫ぶと先輩はこっちを見てくる。
「先輩に何が分かるんですか!守りたかったものや救いたかったもの貢献したかったのに守れなかった、救えなかった、貢献出来なかった気持ちが!何が分かるんですか!自分の不甲斐なさでみんなの足を引っ張ってしまったこととか!恐くて力を発揮できなかった、事…とか…!」
先輩はその事を聞いても平然としていた。
しかし先輩は近づいてこう言った。
「頑張ったな、小猫。泣いてもいいぞ」
先輩がそう言って頭を撫でてくれた。
もうだめです。先輩の前では涙を流さないって決めたのに…。
そんな嬉しいことを言ってくれたら泣いちゃうじゃないですか。
「…う、うう…うわぁぁぁぁぁぁぁん!」
私は少しの間、蓮先輩の前で大声を上げて泣いた。
先輩はその間ずっと頭を撫でるだけで何も言わなかった。私はその方が嬉しかった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」
―――10分後――――
ようやくちゃんと涙が止まりました。
止まると思ったときに、思い出して泣いてしまった。
それがなんかいも続いた。
「収まったか」
「…はい、お陰さまで。お見苦しいところを見せてしまいました。すみません」
「いや、謝んなよ。むしろ気にすんなよ。俺が言ったんだし」
やっぱり先輩は優しいです。
「それより、泣き終わってどうだ。すっきりしたか?」
「…はい、さっきよりもすっきりしました。何か軽くなったと言うか…」
「泣くてのは一種のストレス解消法だ。人目を気にせず、大声を上げて泣く。それだけでストレス解消になる」
「…そうなんですか。知らなかったです」
「さて、お前の後悔したこと言ってみな。全部、とは言わないが少しでも話してくれ。ストレス解消するぞ」
先輩はそう言ってくれました。
そして私は裏のことを省いて話しました。
話を聞き終わった先輩はこう言いました。
「それ、お前が後悔する必要ねーよ」
「…え?」
「いやだって、これ出来レースだろ?お前らは初心者、相手はプロ。そりゃ負けて当然だろ」
先輩はこう言う。
私も考えてみると、なるほど確かに出来レースです。
相手はフェニックスで【不死】の特性を持っている。駒を全部揃えている。レーティングゲームで何回も勝っているフェニックス眷属。しかも不死鳥の涙も付いている。
対してこちらは高火力を持っているのは部長と一誠先輩。でも一誠先輩は高火力を出すために時間をおかなければならない。
それ以外はスピードがあるけど火力がない裕斗先輩や、火力はあるけどスピードがない私。回復しか出来ないアーシア先輩など少しバランスが傾いている。
オールラウンダーなのは朱乃先輩だけ。
駒も揃っていない。まだレーティングゲームを経験していない。
それだけハンデがついている状態で勝とう何て無理があったのだ。
何かそう思うとさっきまであった後悔の塊みたいなものが小さくなってきました。
「…よくよく考えるとそうですね」
「だろ?それにさ俺は後悔すること事態は否定していないんだよ。その先をどうするかが問題なんだよ」
?どういう事でしょうか?
私が首をかしげて考えると蓮先輩が言ってくれた。
「後悔してもさ、前に進む奴とそのままそこに止まっちまうやつがいるんだよ。前に進む奴はその後悔したことを土台にして歩いていく。じゃあ、止まった奴はと言うと、なにもしないんだよ」
「…止まる奴はなにもしない…」
「そうだ。止まった奴は自分には出来ない、慰めて欲しいとか考えているだけで動かないんだよ。俺がわざとお前がイラつくような言葉を言ったのは、お前が『止まっちまう』目だったからだ」
「…そうだったんですか」
「…知ってるか?」
しみじみと思っていたら先輩が突然言い出す。
「一度や二度と失敗してもいい。その事から学んで強くなろうとすれば強くなる。勉強しかり、運動しかりな。なかには妙なことをしでかす
「…そうですね」
そう言った後先輩は立ち上がり私を真っ直ぐ見ている。
やがて顔をずらしこう言った。
「もう止まる目じゃないな。まあ、頑張れよ。それと、落ち込んだ事とかあったらいつでも話せよ。」
「…はい!またよろしくお願いします」
そう言って蓮先輩と別れた。
私は少し考えたあと。すっきりした状態で家に帰った。
もうフェニックス編は終わりになります。
蓮がグレモリーの婚約パーティに行くはずないですし