グレモリー邸の一室。主に客が泊まるように作られた部屋で蓮は起きた。
「ふぁ~……良く寝た」
そう呟いて蓮は起き上がり着替える。時刻はまだ5時前。他の人達がまだ起きておらず、静かな廊下を蓮は歩き食堂に着くと厨房の方から何か音が聞こえた。
蓮が覗いて見るとメイド長であるクローディアが調理していた。
「こんなに時間から料理の仕込みか?」
クローディアは落ち着いてこちらに視線を向け、またもとに戻す。
「ええ、これが勤めですから。乾様は何故?」
「何、いつも起きる時間がこの位だからってだけ。…手伝おうか?」
「お客人に手伝わせるわけには……」
「いいんだよ俺がやりたいだけだし。ついでにあんたとも話したかったし」
そう言って蓮はクローディアに何を作るか聞き、調理器具を出す。
「……それで話とは?」
クローディアがそう切り出す。
「グレイフィアの事だよ。何か話したか?」
「……何も」
「姉妹なんだろ。何か話すことぐらいあると思うんだが?」
「……私が避けているだけです」
「何で?」
「私はあの戦争からずっといままで、私の妹グレイフィアが死んだと思っていました。ですから再会したとき目を疑いました」
そう言って淡々と話すクローディア。蓮は静かに聞いていた。
「まさか赤の戦士に助けられ、今もこうして生きて私と同じようにメイドをしているとは思ってもいませんでした」
「んで?何で避けているのか分からないんだが?」
「………それは………」
言葉を切るクローディア。しかし、少ししてまた話始めた。
「本当は私が助けなければならなかったはずなのに、私は助けにいけなかった。助けにいかなかった。サーゼクスに止められたとき何故振りきって行かなかったのか。今でもその時の負い目とグレイフィアが助けに来なかった私を恨んでいるんじゃないかと思って顔を会わせずらいんです」
「ふーん。でもさグレイフィアを見てて恨んでいるように見えるか?」
蓮はクローディアに聞いた。クローディアは首を横に振る。
「だろ。実際グレイフィアは恨んでないんだよ。もっと言えば、自分があのとき強かったらって思ってるぐらいだ」
蓮は「完成だ」といって、器具を片付け始める。
「まぁ、何であれ一回グレイフィアと話をしてみたらどうだ?あいつもお前と話をしたいって思ってるだろうしな」
「つまるところ行動しろ、と言うことですか」
「そう言うことだ。んじゃ俺は朝の訓練に行くわ。それと今朝の飯の事は誰にも言うなよ。後が面倒くさいからな」
「フフッ…ええ分かりました」
そう言って厨房から出ていく蓮を少し微笑みながらクローディアは見送った。
その日のお昼ごろ、グレイフィアとクローディアが仲良くお茶をして話をしている姿があったという。
――朝食を食べたグレモリー眷属と蓮達はグレモリー家の領地内の荒野にいた。
夏休み前に言っていた修行をするためだ。
「よし、全員揃ったな。今から修行の内容を書いた紙を配る……と行きたいところだが乾、おまえからは何かあるか?」
「うーん、小猫とギャスパー、ゼノヴィアは俺らが見るとしても、まず木場はスピードはあるけど剣の重さ、つまりパワーが足りない。だから、パワーかスピードのどっちかを重点的にやれ。長所か短所どっちを伸ばすかは自分で決めろ。アルジェントは回復能力を長時間そして遠距離でも使えるようにしろ。回復しなかったら腐っていく人形を渡すから腐らせないようにしろよ。姫島とグレモリーは主に魔力だからな、纏めて言うぞ。攻撃に変化をつけろ、そんだけだ。これを昇華すんのはお前ら次第だぞ。兵藤は………………………アザゼルが何か考えてるだろ」
「俺だけ適当すぎじゃね!?」
一誠が喚いているが蓮は無視をした。
「良くわかってんじゃねぇか。イッセーには特別な修行相手がいる。もうそろそろ来ると思うんだが」
アザゼルがそう言う。蓮はアザゼルの言った言葉で気がついた。
(アザゼルの奴、多分ドラゴンとかそう言う類いの奴を呼んだな)
しかし、そんな事を考えてもいない一誠はと言うと、
(修行の相手って誰だろうな。綺麗なおっぱいのお大きい女性だったらいいなぁ。そんであんなことやこんなことをしてもらって………グフフッ!)
……………最低である。
数分待った後、山の方から猛スピードで何かが飛んできた。それに気付いた一同はそちらを向くとその正体であるドラゴンが目の前に降り立つ。
大きさは全長で15m程の真っ赤な鱗と黄色の角をを持ったドラゴンだった。
「で、でっけぇぇぇ!」
一誠がその大きさに声を上げる。他の人も驚いていた。蓮とその家族を抜いて。
「アザゼル、良くもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」
ドラゴンがアザゼルに言う。
「ハッ!サーゼクスからは許可もらってるぜ。何か文句あるかよ?」
「ふん、まあいい。それで?俺に相手をしてほしいと言うのはそこの小僧か?」
一誠は「え?俺?」と反応する。
「そうだ。イッセー、紹介するぜ。このドラゴンは『
それを聞いた一誠は自分の思っていた事とかけ離れている事に愕然とし、蓮はやっぱりかと言った感じで見ていた。
『久しいな、タンニーン』
「そうだな、ドライグよ」
「し、知り合いなのか!?」
一誠がドライグにそう言う。なにげにドライグの初の台詞である。するとアザゼルが、
「タンニーン、このガキにドラゴンの使い方を教えてやってほしいんだが」
「俺じゃなく、ドライグが教えればいいのではないか?」
「それでも限界がある。やはりドラゴンと言えば……」
「実戦方式……俺にこの少年を苛め抜けと言うことだな」
「はぁ!?ドラゴンにいじめられるの!?」
「期間は人間界の時間で二十日程。それまでに禁手に至らせたい」
「了解した」
そこに蓮が会話にはいる。
「なあ、アザゼル」
「何だ?蓮」
「強力なドラゴンもう一体追加してもいいか?」
「え?何?
「いや、あいつじゃない。今呼ぶからちょっと待ってろ。来な、ティア」
蓮がそう言うと目の前に魔方陣ができ、そこから一人の女性が出てくる。
青い髪をポニーテールに纏めてあり、慎ましい胸をした美女だった。
「久しぶりだな、蓮。なかなか呼んでくれなかったから寂しかったぞ」
「すまねぇな、ティア。出す場面がなかったんだ」
「おおおおぉぉぉ!絶世の美女だぁぁ!」
女性の姿をみた一誠がそう叫ぶ。
「………何だ。この弱そうな奴は」
「弱そうじゃなくて弱いんだ。今回呼んだ理由はこいつを苛め抜いてほしいんだ。タンニーンと一緒にな。久々に動きたいだろ?という事でアザゼル、こいつも……ってどうした」
蓮が振り向くとアザゼルとタンニーンは固まっていた。
そして気付いたようにアザゼルが質問をする。
「おまっ、なんでティアマットがここにいるんだよ!?魔物の森にいるんじゃなかったのか!?と言うか今おまえティアマット呼んだよな!?いつ契約しやがった!言え!!」
「ティアマットよ、何故そんな人間に使えているのだ………」
「ん?久しいなタンニーン。まあ理由としては簡単だ。私より蓮の方が強かったからな。私が自分から契約したんだ。時期は……去年の夏だったかな?」
「黒歌が間違えたときだな」
「なんと!」
タンニーンは女性が言った言葉に驚き、
「………サーゼクスになんて言おう」
アザゼルは頭を抱え出した。そこに何も分からない一誠が聞く
「あの、アザゼル先生。なんでそんなに悩んでるんですか」
「今蓮が呼んだあの女の名前は「アザゼル言わなくていいぞ。私から言う」そうか……」
女性が前に出てくる。
「私の名前はティアマット。龍王の一角で『
その言葉に蓮の家族以外が驚く。当たり前である。使い魔として最強と言われる龍がいつの間にか人と契約していたのだから。
「では、そいつは一体なんだ。龍や悪魔の気配もないただの人間だぞ」
タンニーンがそう言うとドライグとティアマットが声を揃えて言う。
『「赤の戦士だ」』
「なに?」
『だから俺と白いのをボコボコにして倒した奴だ』
「正確にはその息子だがな」
それ聞いたタンニーンは蓮に顔を近づけじろじろと見る。蓮はそれに動揺したようすもなかった
「何だよ」
「いや、ティアマットが契約した理由が良くわかってな。内側に強力な気を感じる。そこの小僧よりもな」
そう言って顔を離すタンニーン。蓮はアザゼルに改めて聞いた。
「で、アザゼル。ティアを追加していいのか?」
「ああ、むしろありがたいぐらいだ。ティアマット、そのガキを苛め抜いてやってくれ」
「ふん、蓮に言われたからやるのだ。言われなかったらやってないぞ」
「すまねえな。また
「!…約束だぞ」
「ああ。ってことで頼む」
そうしてタンニーンは一誠をつかむ。
「ぶ、部長ー!」
「頑張りなさいイッセー!」
一誠はそう叫んで遠くに飛んでいった。
「さて私もいこうか」
ティアマットは人の姿からドラゴンの姿に変わり、同じ方向に飛んでいった。
「さてイッセーも行ったし、修行開始だ」
アザゼルのその一言で夏休みの修行が始まった。
修行回は主にゼノヴィアを中心として書きます。ただイッセーのことは書かないかもしれません。