またまた次の日の朝、俺はレイナーレとアルジェントが修行している場所に来た。完成した武器を届けに来たのだ。朱乃のやつはまだ微調整が済んでいないのでまた後日届けることにする。
………あの盾をアルジェントに渡していいものかどうか迷うところだが、言ってしまったのは此方だ。素直に渡そう。
「よう。修行は順調か?」
そう言うとレイナーレが走ってくる。
「あ、蓮さま。今丁度始めるところでした。身体能力強化の方ですが順調に進んでいます。今は腕の部分ができるようになりました」
「なら丁度良かったな。アルジェント用のアイテムが出来たから持ってきたぞ」
「もう出来たんですか!?」
「ああ。……まぁバグッたけど」
「はい?それってどういう……」
レイナーレが何か言っているが気にせずにアルジェントに話に行く。レイナーレはそれに着いてくる。
「アルジェント」
「あ、蓮さん!おはようございます!」
「ああ、おはようだ。さて早速だがお前に造るって言っていたアイテムを持ってきた。が、まぁ俺には使えなくてな。スキルは神器で分かったんだが、実際には使えなくてな。動作確認が出来なかった。すまん」
「い、いえいえ!造って貰っているのにワガママは言えません!」
アルジェントはそう言っているが、製作者としては動作確認やら安全確認は重要なことであり、それをしていないのに使わせるのは心配である。
「少々心残りがあるが、とりあえず渡しておく」
そう言って表面に一個の白色の十字架がついている黒色のブレスレットを渡した。
レイナーレとアルジェントは顔を見合わせ、レイナーレが聞いてくる。
「蓮さま、これのどこに盾要素が?」
「これは収納用のブレスレットだ。主に盾用に作ったんだがまだ中には四つぐらい収納できる。取り敢えずそれを腕に嵌めて盾を思い浮かべてみろ」
そう言うとアルジェントはブレスレットを腕に嵌めて盾を出した。
「どうだ?使えるか?」
「はい、軽いですし、何か……この盾の使い方が流れ込んでくるような………」
「ん?俺にはそんなことなかったぞ。試しに使ってみてくれ」
「は、はい!」
そう言うとアルジェントは魔力を盾にため始め、
「ヤァッ!」
そう言って盾を振り上げた。その瞬間三人の回りにオレンジ色のオーラが出て消えた。
「今かかったのか?」
「はい、かかっている…筈です」
「今何をかけたんだ?」
「えっと、私を含めた一定範囲の人に防御用のスキルを…」
ふむ、本当にかかったかわからねぇな……
「よし、レイナーレ俺に魔力弾を打て」
「え!?む、無理ですよ!」
俺がそう言うとレイナーレは躊躇っているが、スキルを実感するにはこれが手っ取り早いのでさっさとやって欲しい。あと勘違いするなよ?俺はMじゃない。
「早くしろ、スキルがかかっているか確かめるための実験みたいなものだ。弱い魔力弾でもいい。特に俺みたいな
「わ、わかりました。行きます!」
そう言ってレイナーレは俺に魔力弾を放つ。
少し威力があったように見えたが当たったら全くいたくはなかった。
「レイナーレ、どの位の威力の弾を打った?」
「え、えっとこんな感じです」
そう言ってさっきと同じ威力の弾を少し離れた場所にはなったレイナーレ。それを見てみると、土が抉れ、直径1mの穴が出来た。
……うん。
「アルジェント、スキルはちゃんと発動していたぞ」
「はい!良かったです!」
「?」
その後レイナーレにも持たせたが盾は動かなかった。と言うかアルジェントに、
「よくこんな重たいものを持てましたね。身体強化しないと持てませんよこんなもの。それでもこれですけど」
と言うぐらいだった。
取り敢えずアルジェントにしか発動できなかったということでまた計測させてくれと言ったあとアルジェント用の訓練メニューを教え、次の場所に行った。
さて、
~会長眷属の修行~
「あれ、乾くん?何故ここに?リアスの眷属の修行に付き合っていると聞いたのですが?」
「生憎、俺は平等に行きたいんだ。あっちはあっちで俺の家族がやってるし、俺の考えでは両者引き分けが一番被害が少ない。そうすりゃ支取会長の夢もこれ以上バカにされねぇだろ」
そう言うと会長の顔が赤くなる。
「ん?どうした?顔赤いぞ」
「!な、何でもないです!(な、なんで顔が赤くなってるんですか私!静まってください!)」
いったい何があったんだ?
「取り敢えず、全員集合させろ、一気に全員に覚えさせる」
「は、はい。分かりました。(ん?何故教えるではなく、覚えさせると言ったんでしょう?)」
そうして会長が全員集めたわけだが、
「あの、匙くんが居ないんですが?」
「そう言えば匙は別の場所に行くとかなんとか言っていましたね。誰か知っていますか?」
いい場所に気づいたな。
「匙は俺が個人的にメニューを渡しておいた」
「え、乾くんが?じゃあ何処にいるのかも?」
「ああ、今匙は……」
~匙side~
「えーっとあいつからもらったメモだとここら辺だけど………」
匙が歩いているのは他の眷属と違い、森のなかを歩いていた。
(ここに行けば会長の夢を助けれる、上級悪魔を見返させる……そうあいつは言っていたからなこれに乗らない話はねぇ!どんな修行が待っていようと耐えてやるぜ…!)
そう思っていると森が開け、荒野に近い場所に出た。他のみんなから遠い場所だ。
「ここ、かな?ここに修行の師匠がいるって書かれてるんだけど……いないな」
匙がそう呟くと、目の前が歪み黒い穴が出現。そこから少女―――
「ん、ヴリトラ、来た」
「あ、あのー、オーフィス………さん?まさかとは思いますが修行の師匠って…」
「ん、我、蓮にヴリトラ強くしろって言われた。だから我のやり方で、強くする!」
そう言ってオーフィスは弾幕を張って追撃し始め、回りに大きい蛇も出現させる。
それを目の前にした匙は顔をひくつかせながら…
「あ、あ、あ…あの野郎ォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
叫んだ。
~side out~
「匙はオーフィスの遊びあ…ゲフン、相手をしてもらっている」
「「「「匙ィィィィィ!?」」」」
「ちょっとそれ大丈夫んなんですか!?消滅しませんよね!?」
そう言って会長は心配した声で言う。
「大丈夫だ。俺も定期的に見に行って教えるから」
そう言うと二人の女子が怒ってくる。確か花戒と仁村……だったか?
「なんでそんな危険な事を匙先輩にやらせるんですか!」
「そうよ!流石に酷すぎるわ!」
はぁ…全く………ぬるいな。
「じゃあ、負けてもいいってのか?」
「「ッ!」」
「今、グレモリー眷属の兵藤はドラゴン二体とガチ修行をしている。なのに匙は普通の修行で勝てるのか?無理だろ。あいつが勝つためには同じいや、それ以上の修行をしなくちゃならねぇ。あいつもそれを分かっている筈だ。なのにお前らがそんなんでどうする?あいつが頑張っているのを裏切るつもりか?」
そう言うと全員静かになる。そのあと会長がこう言った。
「匙、頑張りなさい。みんなも匙の事は信じていましょう。今は私たちの修行の事を第一で考えていきます。いいですね?」
「「「「はい!」」」」
さすが会長、士気をあげるのは得意だな。
「さて乾くんは何を教えてくださるのですか?」
「俺が教えるのは…近接格闘と合気道だ」
「「「「近接格闘と合気道?」」」」
「ああ。お前らは基本的に補助や遠距離が多い。騎士はいるみたいだがそれだけじゃダメだ。だからこそ近接格闘を教える。近接格闘と合気道は武器がなくても相手が出きるから遠距離が近距離の奴と戦うときはこの二つを重宝する。軍人は近距離と遠距離を使い分けて臨機応変に対応するらしい」
「かといって二つも要らないのでは?近接だけならどちらかひとつでも…」
「近接格闘は主に相手を攻撃、殺傷するものだ。対して合気道は相手の力を受け流しその力で投げるという自分の体力を使わない、主に防御に関係するものだ。この二つを覚えるだけで攻守できるようになるのさ」
「だったら防御の近接術があれば…」
「自分が体力温存している間もダメージが与えられるのが合気道なんだよ。わかったか?」
「「「「はい!」」」」
「んじゃ、今から始めるからな、ビシビシ行くぞ。あ、それと、いつも来れるわけでは無いが最後の方は俺はこれに変身して相手するからな」
そう言って俺はベルトを取りだし腰に嵌めて銀と銅色の菱形のバックルを倒す。
『complete』
そんな音声が鳴り俺は【ライオトルーパー】に変身した。
「その姿は……!?」
そうしてすぐに変身を解除する。
「最後の方は連携でやってもらうからな。俺はこれに変身してやる。取り敢えずはある程度は形になるまでこれには変身しないから安心しろ。さ、始めるぞ」
「「「「はいッ!」」」」
そう言って会長眷属の修行が始まった。
そして、修行期間は終わり、パーティーの日になった。
その時まさか三十体のオルフェノクの軍団が来ているとは誰も思っていなかった。
そしてパーティーの会場に蓮がよく知るあの人が来るとは思ってもいなかった。
やっとパーティーに行けます。長くなって申し訳ございませんでした!
最後のあの人は皆さん予想してみてください!
まぁ、すぐにわかると思います。
次回も気長にお待ち下さい。