見直しとかしてないから、多分誤字脱字設定矛盾とかあるよ。
下手に八月にしたの後悔したけど、逆に考えるんだ。
イベント無視で自由に書けるさ、と(錯乱)。
あ、タイトルに意味はないです。
思いつかなかっただけ。
一時間ほど逃走して、取り敢えず追手を振り切ったと人心地付ける場所まで来た。
逃げている間、どうしてあんなに早く追跡されたのかクレスと議論したが、色々な可能性が考えられて結局結論は出なかった。
ただ、その可能性の中にはバリアジャケットだったからというのがあった。
確かに、「高町なのは」のバリアジャケットは普通の服じゃないし、コスプレをしているかのようにとても目立つ。
そういうわけで、まずは服屋に寄り上下と下着のフルセットを購入。続いて顔の印象を変えるため、百均で太い黒縁の伊達メガネを装着。ツインテールも止めて、まとめて帽子の中へしまう。
「よし、これでだいぶ見た目変わったな」
『確かに、パッと見では「高町なのは」とは分からなくなりました。しかしマスター、ジャージですか……』
「命かかってるのにオシャレなんぞしてられっか。動きやすさ重視に決まってる」
それに、オシャレするほど金がない。
あいつがもう少し金を持ち歩いてれば、あるいは考えたかもしれないが。
いや、やっぱ無いわ。いくら外見が女の子でも、中身は『俺』だし。
「まあこの変装も、体内に発信機なんかが仕込まれてたら無駄なんだけどな」
『その可能性は低いと思われます』
もし発信機があったなら、上空を素通りされるはずがない。
何かしらの手段で居場所がバレたのだろうが、直接ここだと分かるほどの精度ではないというのがクレスの予想だ。
「さて、隠れていてもジリ貧だし、ネカフェに行くか。身分証が必要ない所はわかるか?」
『残念ながら。地図くらいはありますが、そこまで詳細な情報は持ち合わせていません。一つずつ回るしかないでしょう』
「んじゃ、一番近いところに案内してくれ」
『了解、マスター』
それから俺たちは、いくつもネットカフェを回った。
身分証がない子供というのは思いのほか痛く、次々に断られてしまったが、六店目にしてようやく入ることが出来た。
すぐにモニターに向きあい、クレスをアクセルモードにして有線でネットと接続した。クレスには無線機能が無いので仕方がないのだが、下手にオリジナルを知っているせいか、クレスは機能が制限されていることが随分と不満なようだった。
「どうだ、クレス?」
『アクセス完了。情報収集を開始します』
クレスは俺が手で検索するよりも、圧倒的に早い速度で情報を収集していく。
ネットに接続して十分が経つ頃には、大体の情報が集め終えていた。
その間俺はフリードリンクをチューチューして栄養をとっていた。川魚よりずっと美味しい。
『マスター、「高町なのは」らについて調べ終わりました』
「聞こう」
『「高町なのは」は、やはり管理局教導部に勤めているようです。時空管理局本局武装隊 航空戦技教導隊第五班、一等空尉です』
「そうか、「私」はあれを乗り越えたのか」
『私』の持つ記憶の最後は、撃墜された瞬間。腹部を貫かれる痛みと、ヴィータの悲鳴のような叫びは鮮烈に思い出せる。今は俺と混じったから客観的に判断出来るが、あれは、ヤバい。死んでもおかしくなかった。
細かい話も聞きたいが、今は後回しだ。
「直接連絡が付くアドレスはあったか?」
『フェイト=T=ハラオウン執務官への依頼窓口のものがありました。それ以外は残念ながら』
「それでも十分だ」
フェイトの奴、ちゃんと執務官になれたんだな。
きっと一発合格だろ、優秀だし。
『いえ、どうやら二度ほど落ちたようです』
「え、フェイトが!?」
フェイトが二浪するとか、俺じゃ受かる気がしない。そもそも受ける気もないけどな。
『それで、メールの文面はいかが致しましょう?』
「クレスのデータ全部送っちゃえば? 実験に関するアレコレなデータ持ってるんでしょ?」
『確かにありますが、メールで送るには重すぎです』
「んじゃ、実験の概要と証拠になるデータ。最後に、首都クラナガンに潜伏中保護求むでしめれば?」
『その証拠データが重いという問題なのですが』
「そんなの、今日の日付を入れた俺の写真でいいじゃん」
俺は『高町なのは』なのだから、見ればわかるだろ。
『それなら、動画を送った方が信憑性が増すでしょう』
「いいんじゃね、それで」
四杯目の野菜ジュースをストローで吸いながら答える。
あー、うまいわー。
お腹タプタプだわー。
『マスター、既に撮り始めています』
「……へ? ちょ、ちょっと、撮るなら撮るって言えよ!」
慌ててジュースを机に置き、コホンと咳払いを一つ。
「あー、どうも、初めまして………」
●REC
「……あー、うめー」
チューチュー、ズゾゾゾ。
『マスター、既に撮り始めています』
「……へ? ちょ、ちょっと、撮るなら撮るって言えよ!」
慌ててジュースを机に置き、コホンと咳払いを一つ。
「あー、どうも、初めまして。いや、久しぶりの方がいいのか?」
うーんと腕を組んで考え込む。
「今は俺だし、やっぱ初めましてだな。えー、突然のことで申し訳ないのだが、助けて欲しい。概要はメールにある通り、プロジェクトFの実験体なんだよね、俺。運良く逃げ出したんだけど、今も追手がかかってて、あー、正直ヤバイ。頼れるのアンタ達しか思いつかないし」
はははっと笑う彼女にあまり悲壮感というか危機感が見えないのは、彼女の性格のせいなのだろう。
『マスター、今の姿では分かりづらいでしょう。元に戻っては如何でしょう?』
「あ、確かにそうだな。クレス、バリアジャケット出して。ついでに髪型もオリジナルと同じで」
『オーライ、マスター』
動画の少女が、一瞬光に包まれる。
そして、その光が止んだ時そこに居たのは、高町なのはだった。
もちろん本人じゃないのはわかる。なにせ、この「高町なのは」は幼い。
外見がおおよそ11、12歳なのだ。
「えーと、私としては、久しぶり、かな? フェイトちゃん、元気してる? と言っても、私の記憶じゃそんなに久しぶりって気がしないんだけどね」
なははっと笑う様子は、高町なのはそのものだ。
「無事に執務官になったんだってね。私の記憶は八年前が最後だから、受験の結果知らなかったんだよね。私が言うのも可笑しいのかもしれないけど、おめでとう」
そこで、ふうっと動画のなのはが息を吐く。
それと同時、バリアジャケットが解除されて、もとのジャージの少女の姿に戻る。
「やっぱ「なのは」口調は、すげー違和感感じる」
『心配いりません、本物と同じでした』
「まあ、何だ。そういうわけで俺は「高町なのは」のコピーってわけだ」
バリアジャケットの解除と一緒に口調も元に戻る。
「今はクラナガン二十八地区って所にいる。早めに来てくれることを祈る。ああ、最後に、俺の名前は―――」
突如、爆発音が聞こえ、最後の言葉が飲まれてしまった。
○REC END
「やっば、もう来たのか!? クレス、さっさとメール送って逃げるぞ!」
『今、送ってい――』
ブツンと、全ての明かりが消えた。
俺は慌てて、暗闇の中で淡く光るクレスを掴む。
『転送失敗です、マスター』
「やられたな、建物のブレーカーをぶっ壊された」
『とにかく脱出しましょう』
とはいえ、この状態で正面から出て行くのはマズイ。
間違いなく待ち伏せされている。
「確か、トイレに窓があったな。そこから出よう」
『戦闘になる可能性高いです、バリアジャケットを装着しましょう』
クレスの言葉と同時、服装がなのはモードに切り替わる。
学校の制服をモチーフにしたようで、とても可愛らしいと思う。じっくり眺める気も時間もないけどな。
店内の客が非常口へと向かう中、俺だけがトイレへと向かう。
親切な誰かが、非常口はそっちじゃないと俺に言う。それに心の中で礼を言いつつ無視、トイレに駆け込んだ。
「っち、この窓はめ込み式だ!」
迷っている暇はない。
俺はクレスを振りかぶり、思いっきり窓へと叩きつけた。
鈍い音をたて、窓ガラスにクモの巣状のヒビが入る。
『せめて、鈍器として使うなら一言――」
「もう一丁!」
『……もういいです』
二回目で穴が空き、それから何度かクレスをぶつけることで、俺が潜れるほどに窓ガラスが割れた。
外はビルとビルの隙間、人一人がやっと通れる路地になっている。ついでに、ここは三階。飛び降りるにはクレスの力を借りる必要があるようだ。
『飛翔魔法は準備済みです』
「流石、仕事が早い」
何の気負いもなく、ひょいと窓から飛び出した。
直後、頭上から殺気を感じる。
「っ! フライアーフィン!!」
俺の足元に翼のような光、フライアーフィンが現れる。
空中を蹴るような形で横っ飛びすれば、寸前までいた場所を砲撃が貫いた。
ビルの壁に当たった砲撃は爆風を生み、体勢が崩れていた俺はそのまま吹き飛ばされる。
何とか制動をかけて体勢を立て直し、撃たれた方を見れば、そこには先程とは違う魔導師がこちらに杖型デバイスを向けていた。
『マスター、相手は遠距離型です』
「見りゃわかる!」
言った瞬間、次弾が発射された。
足を止めていたため、避けるには間に合わない。
「アクティブプロテクション!!」
砲撃相手ではオートガードで発動したバリアでは防ぎきれない。
自らの意思でバリアを張り、多くの魔力を流し込んで砲撃を受け止める。
「があああっ!!」
ずしんと、吹き飛ばされそうな圧力に襲われる。
何とか耐え切って魔導師のことを見上げる。こちらに向けた杖先のスフィアには次弾のチャージが始まっていた。
「ちくしょう、最悪だ」
『ロングレンジでは砲撃を撃たれます。接近しましょう』
「それしかないか!」
膝をぐっと落として力を溜め、タイミングを見計らう。
一際スフィアが明るくなったのを機に、それを解き放つ。
「フラッシュムーブ!」
砲撃魔法が放たれるのと同時に高速移動用の魔法を発動し、砲撃はすれ違うようにして魔導師との距離を詰める。
バリアジャケットが砲撃を掠めるギリギリの距離だが気にしない。
その勢いのまま、上段からクレスを振り下ろすが、奴の発動したプロテクションに弾かれた。
「やっぱオートで張ってるよなぁ」
『砲撃魔導師のデフォルトです』
「仕方がない、ミドルレンジでの高速射撃戦だ!」
『そもそも、それが普通です』
私で殴るのがイレギュラーなんですというクレスの呟きを聞き流し、フォトンバレットを生成する。
無論、向こうも既に近距離戦の構えを見せており、多量の弾幕をばら撒き合う戦いが始まった。
掠めるようなぎりぎりの回避を続けながら、お返しに弾幕をプレゼント。
少しずつだが、こちらが押している。
『避けるの上手いですね、マスター』
「陰蜂に比べればマシだからな!」
勝ったことないけど。ホント、「俺」は変なことばかり覚えているんだから。
「一気に押し込むぞ! ディバインシューター、セット!」
俺の周りに、5個のディバインスフィアが現れ、くるくると衛星軌道を描き始める。
「
俺の叫びに合わせ、ディバインスフィアが魔導師に向かって飛んでいく。
魔導師は迎撃に魔法弾を撃つが、乱数回避を組み込んだスフィアにはなかなか当たらない。
2個は落とされたが、残りが奴を上下後ろからロックオンする。
「シュート!!」
よけられないと判断した魔導師は、全力でプロテクションを張る。
それでも、私のディバインシュートはバリアにヒビを入れるくらいに強力だ。
そして、ここで最も重要なのはプロテクションのために足が止まったこと。
「シューティングゲームやって、弾幕の張り方勉強してこい!
一切の容赦なく、追手を吹っ飛ばした。
「やばい、めっちゃ疲れた……」
『休んでいる暇はありません。この騒ぎです、すぐに逃げましょう』
「……休んじゃダメ?」
もう、丸二日ちゃんと寝ていない。
今はアドレナリン出てるから、何とか立ってられるけど、切れたら絶対寝る。
『死にたいのですか?』
「雪山かよ……分かってる、逃げるぞ」
飛んで逃げるのは目立つので、人気のない所に降り立ってバリアジャケットを解除。
人ごみに紛れるようにして、その場を離れるのだった。
オリジナル小説の「メイの早撃ち講座」書きたいから、多分しばらく更新しない。
バーリアー、平気だモーン!