深き森の騎士団長   作:リリィウッド

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第9話 「小さな国」

――エダ商業地区 <城壁>

 

スグルは領主のレティシアとエダ商業地区を囲う堅牢な城壁の上にいた

 

「凄いですねこの城壁」

 

「ふふ・・そうでしょ」

 

なぜここにいるかというと

 

遡ること数刻前――――――――――――――

 

「ナズナ、領主様に色々報告するから領主様の館に行ってくるよ」

 

「分かりました」

 

「何か変事があったらすぐに戻るからそれまでは留守を頼むよ」

 

「お任せくださいませ団長様!」

 

ナズナに留守を頼みスグルは領主レティシアの館に向かった

 

使用人はスグルの顔を覚えていたようで館に着いてまもなくレティシアのところに案内される

 

「いらっしゃいスグルちゃん」

 

「ごぶさたしてますレティシアさん」

 

「それで今日は何かしら?」

 

「はい、わが団の設備の手配のお礼とこの間発生した数件の害虫討伐後の処理報告に」

 

あれから数件ほど害虫が出現したので討伐に出ている

その数件・・いや2件目の段階でスグルは気づいた

このエダ商業地区はリリィウッド王城地区の方とは違いすんなり討伐に出れることに

 

「そろそろ来る頃かなと思ってたわ」

 

「お見通しでしたか・・」

 

「ずばりハイムちゃんのとこに居た時と勝手が違うことでしょ?」

 

「勝手と言いますか、たしかに凄いスムーズに害虫討伐に出撃出来ると思っています

何せ姐さんのとこに居た頃は姐さんが凄いイライラしてましたしね討伐前は」

 

「そうでしょうね・・・この国は特にね」

 

「そうですね・・」

 

リリィウッド王城区は害虫が出現した際、すぐに討伐隊を出せない

任務を騎士団に依頼するが遅いのだ、それは役人達がどこの騎士団に依頼するかを

決める会議をするからである。

 

そのことを頭の中で思い出しているとレティシアがスグルに声をかけてくる

 

「そうだスグルちゃん!」

 

「何ですか?」

 

「少し場所を変えてお話しましょうか」

 

「場所を変える?」

 

「いいかしら?」

 

「大丈夫です」

 

「そう、なら行きましょうか」

 

そうレティシアに言われ馬車に乗り、城壁の下側に着き

そのまま二人でこの城壁の上まで来た

 

「スグルちゃん、この城壁は誰が建てたと思う?」

 

「リリィウッド王家ですか?」

 

「はずれ~正解は私のご先祖様」

 

「そうなんですか」

 

「そうよ・・・さてとさっきのお話の続きをしましょうか」

 

「はい」

 

「ハイムちゃんのところに居た時はどんな感じで害虫討伐に出てたかしら?」

 

スグルはさっき自分の頭の中で思い出して事とハイムの騎士団のいた時の事を

レティシアに説明していく

害虫が出現した場合まず騎士団に報告はすぐには入ってくるがすぐには出撃できない

その地区ごとにある役所が報告を受けそこから

役所の連中が会議をしてどの騎士団に依頼するのかを決める

もの凄く後手後手の対応なのだと

これはリリィウッド王城地区ではよくある光景だとレティシアに説明した

説明を聞き終わったレティシアは言う

 

「ハイムちゃんがイライラしてる顔が簡単に思い浮かぶわ・・」

 

「はい、俺も思いますよ役所の連中は慎重すぎるというか判断が遅い

それのせいで害虫が出す被害が大きくなるのに」

 

悔しそうにスグルはレティシアに言った

するとレティシアはこう切り出す

 

「それでここに来たらそんなことは無く直ぐに討伐に出れることに驚いたかしら?」

 

「そうですね、でも最初は騎士団はうちしかないし直ぐに出撃ができるんだろうなと思ってました

何回か討伐を出るたびに、気づきましたよいつも報告に来るのが憲兵さんで役所の人じゃないことに」

 

それに気づいたスグルはこの地区を見回って役所がないことに気がつく

役所が無いのにこの地区はちゃんと回っている

その疑問をレティシアに聞こうとわざわざ報告やらと理由をつけ聞きにきた

 

「どうしてこの地区に役所はないですか?」

 

その質問を待っていたかのようにレティシアは答える

 

「いらないからよー」

 

「いらない?」

 

「スグルちゃんここはね」

 

 

「ここはねリリィウッドであってリリィウッドじゃないの」

 

「どういうことですか?」

 

「そうね簡単に言うと自治区のようなものよ」

 

「自治区・・・ベルガモットバレーにある「桃源郷」みたいな感じですか?」

 

「そう思ってもらって構わないわ一応所属はリリィウッドだけども色々ごちゃごちゃしてるのよ・・ふふふ」

 

そう言った後レティシアはスグルに説明する

 

「私のご先祖様は花騎士だったらしいのそれでまだ小さい集落だったここにご先祖様が

他国と貿易を始めたの、でも勝手に貿易は出来ないから

事前に当時のリリィウッドの女王様には許可取ったって書物に書いてあったわ」

 

「やっぱりレティシアさんの家は凄い一族なんですね・・」

 

「そうね、でもリリィウッドから見れば地方貴族よ私の家なんて、それで続きだけど・・」

 

レティシアはスグルにエダ商業地区がどうして今の体制になっていたかを説明した

当時の女王に貿易の許可を貰い、そこで女王と交渉をした

まずは貿易で得た収入の何割かをリリィウッド本国に献上し国益として納める事

そして集落の自治をレティシアのご先祖様が行うという事

その交渉を当時の女王は了承したそうだ

実際、その後は集落に賢人エダが滞在しブロッサムヒルやバナナオーシャン、今は閉ざされている南西の国などの

他国との交流を取り持ち貿易は成功し集落は商業地区として発展したそうだ

国益と納めている献金は今ではリリィウッドの国金の半分を占めるとも説明してくれた

 

説明を聞き終えたスグルは

 

「想像以上にここは凄いとこなんだって思いますよ」

 

「ふふ・・そうでしょ」

 

「もう云わば一つの小国みたい感じですよね?」

 

「そうなるわね、それでもここまでするのにご先祖様たちはご苦労なされたそうよ」

 

「そうでしょうね、他国との交流は大変だったんだろうなっては思います」

 

少し暗い表情になってレティシアがいう

 

「でも・・この地区を妬んでる人間も少なからずいると思うわ」

 

スグルは思い浮かんだことを言葉にした

 

「もしかして元老院ですか?」

 

「ふふ・・本当に察しがいいわね大体当たりよ」

 

「大体?」

 

「半分当たりで半分はずれってとこかしらね」

 

レティシアがスグルに問いかける

 

「スグルちゃん、あなたがここに騎士団置けた理由は分かる?」

 

その問いにスグルは

 

「えっと・・俺が平民出の騎士団長だからですか?」

 

「ふふ・・それも大体当たりにしておきましょうか、

また機会があったら話してあげるわ今日は帰りましょうか」

 

レティシアはそこで話を切り上げ屋敷に帰るようにスグルを促す

 

「わかりました」

 

内心スグルは・・・

 

「(平民出だけの理由じゃないないってことか?いや今はいいかまたレティシアさんが話してくれるどこかで機会があるかもしれないし)」

 

 

 

城壁から戻りまた応接間で報告を行った後

レティシアの屋敷を後にしスグルは騎士団の詰め所に戻り

夜も更けていたが一人で執務を行っていた時だ

少ししてコンコンとドアをノックされる

 

「どうぞ」

 

ドアが開き入ってきたのは

 

「夜遅くまでご苦労様、団長さん」

 

「こんな時間にどうしたんだ?レッドチューリップ」

 

「少し話したいことがあるのよ」

 

いつもはスグルに誘惑するような感じで絡んでくるのに今日はその雰囲気ではないのを感じスグルは

レッドチューリップに問う

 

「どうしたんだ?」

 

「あのね、団長さんちょっと相談があるのよ・・・・・・」

 

果たしてレッドチューリップの相談事とは?

 

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