ナザリック最後の侵入者   作:三次たま

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おまけも本編です。シリアスばかりで吐き気がするのん……ほのぼのはどこ……


ナザリック最後の支配者

【マタタビの至高の41人大百科】

 

No.15:るし☆ふぁー

 

 相当な芸術家肌のようで、作品へ注ぐ熱量と悪ふざけの度合いは半端ない。タブラ達と共同開発したというルべドだが、あの性能の盛り方はどうかと思う。

 そして重度のコミュ障。気を許した相手にはグイグイ来るタイプらしいが、少なくともマタタビはお眼鏡にかなわなかった。クランからギルドに移行した後メンバーになった人物なのもあってほぼ接点は無いが、ウルベルトの伝聞から察するに相当な甘えん坊ちゃんだと思った。

 やはり彼を受け入れるアインズ・ウール・ゴウンの面々の度量の広さと言ったら凄まじい。そんな彼が割と早期にあの居心地いいギルドを引退したというのだから世の中わからない。考えられるとすれば、成長してコミュ障が治ったのか、それとも何か別の依存相手を見つけたのか。

 

◆◇◆

 

 追憶に浮かぶ思い出はいつだってセピア色だった。

 上書きで塗り直してあたかも鮮明なカラー写真のように誤魔化しているが、過去の栄華に狂いきれるほどアインズは純粋ではない。

 狂いきれたら、それはそれで気楽だったろうが。

 

 長年心の支えにしていた唯一の人生の輝きであるギルド:アインズ・ウール・ゴウン、その絆は流れる月日と共にとっくに風化してしまっていた。アインズにとっても、たっち・みーにとっても、タブラ・スマラグディナにとっても。

 

 たっち・みー は娘の為にユグドラシルを去って、果てや異世界にまで迷い込んだ。タブラ・スマラグディナは何らかの理由でアインズ達に敵対するまでに至った。

 

 マタタビは取りこぼした家族との時間を取り戻すため、与えられた絶大な富と力を投げ捨てて元の世界に帰ろうとしている。

 

 ともすればアインズはどうだろう。

 

『我々は御身に、アインズ・ウール・ゴウンを名乗られるあなた様の存在に、ずっと救われておりました。

 その研ぎ澄まされた支配者としての在り方が、創造主を見失った我々シモベの心を満たしてくださったのです』

 

 今のアインズに残されているのは、己に縋り懸命に尽くしてくれる愛し子達だ。

 節介焼きで思い込みが激しくて手の掛かかって仕方ないあいつらが、しかし、空っぽだったアインズに存在する意味をくれた。あるいは、存在した意味をくれた。

 だから彼らの為ならアインズは何だってしよう、何にだって成って見せよう。世を制覇する大魔王にでも、慈悲深い理想の支配者にでも、もしくは最低最悪の裏切り者にでも。

 

 かくして、元より歪に曲がったアインズの天秤が、逆方向へと大きく狂う。

 アインズは、心の底から改めて決意した。

 

 NPCを守るためならかつての仲間にだって容赦しない。

 

 たとえ彼らから嫌われてでも、憎まれてでも、アインズは彼らを守りたい。

 それが、今のアインズに残された全てなのだから。

 

『居なくなった方々はさて置いて、今は目の前の存在のために私は戦いましょう』

 

 耳に残るのはいつか聞いたデミウルゴスの決意の言葉。

 臓腑の無いアインズだが、今とても腑に落ちた気分だった。

 

 

 アルベドとルべドの衝突音が、アインズの中に引っかかっていた虚しい遠慮と躊躇を切り落とす。

 

 過去を置き去り今だけに意識を向けると、思いのほか、その心の軽さが心地よかった。

 

「アインズ様!!」

 

「〈魔法最強化(マキシマイズマジック)万雷の撃滅(コールグレーターサンダー)〉」

 

乾いた指先から迸る雷激が、衝突するアルベドとルベドの合間を牽制して切り離す。

 

「〈魔法最強化(トリプレット)無詠唱化三重詠唱(マキシマイズサイレントマジック)爆撃地雷(エクスプロードマイン)〉」

 

続けざまに無詠唱化した魔法を行使。

その効力が発揮されるより速く、ルべドの背に浮くファンネルが燃え上がる。

搭載されたジェットブースターの直線加速だ。

まるで転移魔法の如き超速で間合いを詰めたルベドの一撃が容赦なくアインズへと振るわれる。

 

少女の見た目に騙されてはいけない。マタタビがユグドラシルにて最凶と呼び恐れられていたように、ルべドもまたナザリックにて最強の武力を誇る。

神器級二股槍キトリニタスの横殴り、ルベドの剛腕が放った殴打ダメージをモロに食らった肋骨がまるで豆腐のように粉々に砕け散る。

もし肉身で受ければ肺と心臓が根刮ぎされる致命傷だ。

 

「ガ八ッ」

 

激痛と沈静化の狭間に揺れる意識を辛うじて繋ぎ止めながら、固く拳を握りしめた。

そして事前に掛けていた魔法を躊躇なく起動させる。

 

「〈光輝緑の体(ボディ・オブ・イファルジェントベリル)〉発動」

 

逆再生のごとく殴打ダメージが修復され、吹き飛ばされた肋骨が元に戻る。そして槍に押し出されたように移動していた。

 

光輝緑の体(ボディ・オブ・イファルジェントベリル)〉は殴打ダメージを一度だけ無効化できる魔法だ。同系統の魔法に刺突や斬撃に対応するものも存在する。

 

この時アインズはルべドの表情を一瞥する。動揺や硬直する様子が無いことを確認し、心底から歯噛みした。

 

(……やはり)

 

初見の敵ならば数舜間の動揺を誘えるこの魔法だが、この世界では今が初戦闘となるはずのルべドは一切反応を示さず追撃をかける。

まるでアインズの手札(・・・・・・・・・・)を知り尽くしているかの如き(・・・・・・・・・)冷静さだ。

 

だがアインズやアルベドもまた、ルべドの絡繰りを知り尽くしているため落胆はすれど動揺はしない。

真っ直ぐにアインズ狙い突き進むルべドを、無詠唱化して仕掛けた三重地雷が迎撃する。

 

「……!!」

 

予備動作の無い無詠唱トラップ。そして無属性の魔法攻撃は完全耐性では防ぎきれない。

だが大爆発に揉まれたルべドの体力をライフエッセンスで測っても、まだまだ大して削れていない。

彼女を覆う特殊金属の強化装甲が分厚過ぎるためだ。その総合強度はタンク職として特化したアルベドに匹敵する。

 

「……るし☆ふぁー さん気合入れ過ぎだろ」

 

思わず制作陣の一名に文句をこぼすアインズ。いったいどれほどの希少金属を使い込んだのか。

もちろん彼以外の面々にだって山ほど文句があった。まさかこうして命がけで戦うとは思いもしなんだから。

 

しかし端から敗北を確信して勝負に挑むほど、アインズもアルベドも愚かではない。

水滴岩を穿つという。確実に一手一手を積み重ねてルべドと言う大岩を砕く、その覚悟と策を携えてここにいるのだ。

 

「潰れろスピネル!!」

 

爆風が晴れるより先に、間髪入れずアルベドのバルディッシュが大上段からルべドを狙う。全体重を掛けた非常に重い一撃だ。

しかし、

 

「おねえちゃん……訂正を要請する。すぴねる ではなく、ルべド!」

 

土埃を巻き上げながらルべドはそれを迎え撃ち、両手持ちのキトリニタスの先端で受け止める。

マタタビに感化されて戦士職の動きを齧った今のアインズだからこそわかる。ルべドの動きは、熟練した戦士の応対だった。

 

そして口にするのは、攻撃よりもスピネルという別称の方が堪えたかのような信じられない言い草だ。

NPCであるルべドは重度のシスコンであるという設定が与えられているため、確かにアルベドからの蔑称はある意味可愛い弱点だが……

 

(全然性能が可愛くねぇ!)

 

 冷徹な最強ゴーレムが超シスコン。いかにも誰かさんらしいギャップ要素だ。

 しかし愛でてやろうにも萌えてやろうにも落差と状況が悪すぎる。

 

「〈魔法最強化位階上昇化(マキシマイズブーステッドマジック)魔法の矢(マジック・アロー)〉》!」

 

 第一位階魔法を9位階相当に強化して解き放つ。無数の光の矢が必中効果で寸分狂わずルべドを捕らえた。

 しかしルべドは片手を挙げて、

 

「〈石の壁(ウォールオブストーン)〉」

 

 防御魔法を発動。ルべドとアルベドの前に石壁がせり上がる。光の矢は、ルべドが片手間に召喚した石の壁と対消滅するように掻き消えた。

 

 何を隠そうルべドの職業編成は魔法戦士。アルベドを一蹴できるフィジカルを有しながら、魔法すら使いこなすのだ。

 

「やるわねスピネル! でも、片手がお留守、よっ!!」

 

「………ぐぐぐ」

 

 魔法行使の為にキトリニタスから片手を外した瞬間を、アルベドは見逃さない。

競り合いの状況から更に一歩強く踏み込んで、体格差を活かし押し潰すようにバルデッシュを上段から叩き付ける。

そのままルべドの肩口に切り口が奔り、血飛沫の代わりに電撃と火花が飛んだ。

 

「……浅いな」

 

バルディッシュは見事に食い込んだものの、やはりルべドを覆う装甲が堅い。

アインズとアルベドの連携で攻め立てようやく決めた攻撃も、決定打には程遠かった。

 

(さすがルベド。一筋縄ではいかないか)

 

僅かに膝を震わせるだけの無表情なルベドを見て、アインズは次の一手を決意する。

 

 

 

 

 

 

「撤退だアルベド!」

 

「はい! アインズ様!」

 

 アインズとアルベドはそれぞれ、左手薬指に嵌めていたリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを輝かせる。

 戦闘中にわざわざ装備枠の一つをこの指輪で埋めていた理由など、逃げ切るために決まっている。

 

 

 

「………逃がさない 〈追尾転移(ストーキングテレポーテーション)〉」

 

 転移の間際、ルべドの右手指も同様に輝いたのを見て、アインズは内心で「だろうな」と溜息をついた。

 

 

 あらかじめ決めていた避難先は、ナザリックの特殊隔離地域である宝物殿。この部屋に来るにはギルドメンバーと一部守護者のみに与えられたリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの転移しか方法が無い。

 

 転移した宝物殿『第一の部屋』は、黄金と宝物が山脈の如く乱雑に連なるエリアだ。アインズとアルベドが息を合わせて同時転移した直後、『第二の部屋』へのパスワード式ロックゲートをくぐって即座に内側からロックを仕掛ける。

 

 そして暗幕状のゲートシャッターが閉ざされてから間も無く、反対側から何か叩きつける様な轟音が響いた。間違いなく、ストーキングテレポーテーションで追尾してきたルべドの仕業だろう。

 

 しかしいくらルべドと言えど、ギルド拠点の隔壁を力技でこじ開けることは不可能だ。物理的な突破手段があるとすれば、今アルベドからマタタビの手に移ってる世界級アイテム【真なる無】の対物範囲攻撃ぐらいなものである。

 そして正式な入り方はパスワードの入力だが――

 

『かくて汝、全世界の栄光をわがものとし、暗きものは全て汝より離れ去るであろう』

 

 反対側から入力された解除コードは、しかしルべドの通過を許さない。

 

「無駄だ、パスワードも変えてある」

 

 相手はナザリックのギミックの大部分を構築したタブラ・スマラグディナだ。

  タブラのリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンがルべドの手に渡っていたのは、事前にマタタビが確認してくれていた。

 ならば当然、タブラからルべドに宝物殿のパスワードを伝えている可能性も考えられた。

 

 改めてルべドの容赦ない追跡を目の当たりにしアインズは戦慄するが、自分が一枚上手を取れた現状に著しく安堵を憶える。もし仮に、ルべドがパスワードを突破しこの部屋に入って来ていれば、アインズとアルベドは殺されていただろう。

 

「さて改めて情報をまとめよう。アルベド」

 

「承知しました」

 

 

 タブラ・スマラグディナが創造したルべドという存在は、アルベドたちと同様のナザリック地下大墳墓拠点防衛用NPCである。

 その出自に特別な点があるとすれば、ハーフゴーレムという種族の特性が色濃く出ていることだろうか。

 

 ユグドラシルにおいてハーフゴーレムという種族は、人間種が『人体改造手引き』という種族変更アイテムを利用することで習得できるクラスである。

 外見的には人間種に近いヒューマノイド的な容姿となり、身体能力が大きく向上するのが特徴だ。ギルド:アインズ・ウール・ゴウンにおいてこの種族を選んでいたナーベラルの創造主である弐式炎雷は、この種族のフィジカル性能を活かした超高速戦闘を得意とする100レベル盗賊職だった。

 

 しかしハーフゴーレムの特殊性はそれだけに留まらない。この種族の最大の特徴は100レベルまでの余剰成長域を開けておくことで、その分一般的なゴーレムと同様に外付けの改造を施し能力を強化させることができることだ

 ルべドの総計レベルは75。つまり25レベル分の容量を改造強化に充てられていた。彼女の強化内容は主に3つの要点に絞ることができる。

 

 まず大きな特徴として基礎能力値の大幅な上昇。

 膨大な金属資源を強化に充てることで、筋力、防御力、敏捷性、耐久力が並みの100レベル戦士職の平均値を大きく上回ったオーバースペックを獲得している。この時点で、守護者最強のシャルティアでさえ真正面からの勝利は難しいだろう。そしてルべドの真価はこんなものではない。

 

 2点目が世界級アイテム【熱素石(カロリック・ストーン)】の搭載である。無限のエネルギーを秘めているとされるこのアイテムをゴーレムに搭載することにより、なんと無限のMP供給を実現させることができる。そのためルべドは、ほぼ無尽蔵に魔法を発動することができるのだ。

 ルべドが習得している魔法の種類は少ないが、〈現断(リアリティスラッシュ)〉、〈上位転移(グレーターテレポーテーション)〉、〈石の壁(ウォールオブストーン)〉、〈追尾転移(ストーキングテレポーテーション)〉、〈時間停止(タイムストップ)〉など、どれも非常に強力なものばかり。バフを掛ける系統の魔法が無いのが救いだが、先から時折使っていたファンネルによる瞬間加速もMP消費によって発動する機能であり、どこまでも性能に無駄が無い。

 

 そして最後の3点目。これがある意味一番の目玉であり、アインズにとってルべド攻略の最大の障壁と言える機能。ルべドに搭載された特殊戦闘用人工知能プログラム『クリフォート』だ。

 

 これを持ち込んだのは、かつての仲間の一人であった『大喰らい』ベルリバー。

 なんと元々はある企業が軍事目的として秘密裏に開発していたAIだったらしい。ただ22世紀現在ではAIの軍事利用が禁止されているため、結局は内部監査で明るみに出てプロジェクトそのものが白紙化。その監査部だった当時のベルリバーが、抹消される予定だった『クリフォート』をこっそり持ち出して提供したというかなりグレーな背景があった。

 

『平和利用なら問題ないでしょう?』

『ユグドラシルの戦闘用にチューニングするのはプログラマーである僕の仕事だよ? ……ま、本業のクソ案件に比べたら楽だからいいけど』

 

 ヘロヘロがぼやきながらルべドに仕込んだ『クリフォート』の真骨頂は、様々な環境に適応できる応用力と、ユグドラシルの戦闘にも対応できる高度な学習能力。

 なにせ現実世界での実践運用が想定されていたAIだ。微細な気圧や気温の変化情報までも蓄積し、秒間で数百通りの先読み処理する性能をもってすれば、多少複雑なゲームシステムへの対応など容易い。学生に足し算引き算をさせるのと同じだ。

 

 そんな『クリフォート』のスペックは実戦を積み重ねていくほどに強くなる。

 さきほどの一戦でやたらルべドがアインズの動きに慣れていたのは、ユグドラシル時代のモモンガが彼女の実践演習に協力してしまったことに起因していた。

 

 この『クリフォート』の恐ろしいところは、単なる戦闘技術の学習に留まらず、そこから更に発展できることにある。

 たとえばアインズの戦い方は、前衛の味方を配置してサポートに徹するバリバリの後衛型。

 ルべドの近接戦闘能力は非常に高く、ならば当然、アインズはルべドの攻撃に対して距離をとったり防御や回避を行うだろう。しかし『クリフォート』は、アインズがそう行動するだろうと予測した時点で、更に先を読んで次の一手を繰り出す。

 それはアインズのフェイントであったり、あるいはブラフであったりするのだが、そういった動きの一つ一つすら『クリフォート』は貪欲に学習して、攻撃パターンを変えていく。ルべドのAIは、戦闘中に、戦闘中だからこそ、相手に合わせて進化し続ける。厄介この上ない代物だった。

 

 強さ、堅さ、速さ、そして賢さ、全てを与えられたルべドに対し、果たしてアインズ達の勝ち目はあるのか、無いのか。

 

 アインズの全てがこの命題に懸かっている。

 

 

「なんて不利な戦いなんだ」

 

 アインズは壁際にもたれながら、小さな声で呟いた。

 静寂に満ちた宝物殿の回廊に響くそんな弱音は、しかしどこかに嬉々が含まれている様な前向きさがあった。

 

「それではこのまま、宝物殿に籠城いたしましょうか? マタタビがカッツェ平野で全てを終わらせるまで」

 

 横に控えたアルベドが、ヘルムを脱いだ素顔で微笑みながら問いかける。頬に垂れる汗は断じて冷や汗などではなくて、闘気と高揚によるものだ。籠城の提案は冗談に他ならない。緊迫した状況であるにもかかわらず、だがあえてアインズはその冗談にのっかった。

 

「ははは、マタタビさんがタブラさんからルべドの指揮権を奪い取ってくれれば、確かに全部片が付くな。彼女に与えた貸しを考えれば、それぐらいの仕事はしてもらわないと割に合わない」

 

「ふふ、そうですね。そも、このタイミングでタブラとの戦端を開いてしまったのは彼女なのですから、その程度の働きは当然でしょうね。また、例の如く事情を伏せて独断専行しおってからに……」

 

 無邪気に笑うその表情は本当に子供のようであり、しかしその言葉には紛れもない怒りが込められている。

 般若のごとき絶妙な笑顔のアルベドを見ながら、アインズは溜息をつく。

 

「お目付け役のパンドラズ・アクターすら連絡をよこさない以上、我々に話せない相応の事情はあるのだろうが……全く世話の焼ける。どうして彼女は不合理な真似ばかりするんだろうな。報・連・相……せめて理由だけでも話してほしいが」

 

 マタタビとアインズの信頼関係は、三歩進んで二歩下がるを繰り返しているようだった。

 先日自らスレイン法国との密通を明かしてくれたり、今日も事前に連絡だけは入れてくれたのだから、一応は前に進んでいるのかもしれないが。それにしたってあんまりではないのか。

 

「しかし、考えてみればアインズ様と私にも同じことが言えますね。今からでも、玉座の間に軟禁している他のシモベたちを動員すれば、ルべドの対処などもっと容易く行えたでしょうから」

 

 アルベドは自嘲して、アインズもまた苦笑を浮かべた。

 

「そうだな。本当はもっと賢いやり方だって、わかっているはずなんだけどな」

 

 現在他のNPC達は、アインズの命で玉座の間に幽閉している。ギルドメンバー同士の戦いに愛すべき子供たちを巻き込まないためだ。

 アルベド曰く、至高の存在同士の衝突などを彼らが知れば、最悪自殺者が出るとのことらしい。

 

 しかし、NPC達の精神衛生を考慮しても取れる手立ては存在しただろう。

 簡単に考えるだけでも、例えば第八階層守護者のヴィクティムを一人だけ連れ出して、ルべドに足止めスキルを使わせてから後で記憶操作するとかがある。たったそれだけでも今の戦況は覆せるし、他にも色々手はあるだろう。

 

 わかってて尚二人だけでルべドに挑むのは、アインズとアルベドのくだらない我儘、自己満足に他ならなかった。

 

「私は、アインズ様を愛しております。ナザリックを愛するアインズ様も、アインズ様を愛するナザリックもまた、愛しております。そして御身と同じ志でもってかの地の守護に当たれることを、心より光栄に、そして嬉しく思います」

 

「俺もだよ、アルベド」

 

 こんなのは、独り善がりが二人善がりに変わっただけだ。でも、それだけでも今アインズの心は舞い上がるように軽かった。

 誰かと心を合わせて一つの戦いに挑むなんて、それこそ何年ぶりのことだったか。

 

 今のアインズには、思い出すことも出来やしない。

 

 

『ギルドマスターモモンガ』

 

 水を差すように、あるいはとても空気の読めたタイミングで、ルべドからの〈メッセージ〉がアインズに届く。

 

『宝物殿からの退出を要請する。要件が飲めなければ、カッツェ平野でタブラ・スマラグディナと戦闘中のマタタビを攻撃する』

 

 

 抑揚の無い機械的な口調で語られる淡々とした請求は、様々な情報をアインズに示していた。

 そしてユグドラシル時代には無かった、AIではないルべド自身の知性に強くアインズは警戒する。

 

「なるほど、ルべドもこの戦線の概要を知っているわけか。」

 

『肯定。おそらくあなた様の狙いは、マタタビとタブラ・スマラグディナの対決に横槍を入れられないための時間稼ぎと推測した。であれば、この籠城は不合理であると指摘する』

 

 ルべドの推測はそれなりに的を得ていた。

 籠城の継続と言うアルベドの冗談が冗談足る所以は、マタタビの安全と目的が脅かされる可能性があったからだ。

 

「しかしそれなら、なんで今のうちにマタタビさんの方に向かわなかった?」

 

『タブラ・スマラグディナの伝聞情報から、此方からマタタビを攻撃しても高確率で逃がしてしまうと判断したから

 それはマタタビの殺害というタブラ・スマラグディナの目的とそぐわぬ上、あなた様の抹殺命令も困難になる。

 ゆえに、望ましくないと判断した。ただし、あなた様の籠城が長期になる場合は、この推測の限りではない」

 

「にしたって、どうして数分間も私達を待ってくれていたのかな? 大変気が利いて嬉しい限りだが」

 

『当初はこの籠城を、あなた様がバフ系統の強化魔法を掛ける時間稼ぎであると判断したから。

 しかし数分間待っても抗戦する意思を見せないため、時間稼ぎのための籠城であると理解を改めた』

 

「なるほどな、しかし大した自信だ。それはつまりバフ程度のハンデならいくらでもやるからかかって来い、という意味か」

 

『概要は正しい。あなた様に逃げられると任務遂行に非常に差し障る。ゆえに、有利な条件を提示することで、あなた様との交戦再開を要求する』

 

「ああ、もちろん。了解した。おかげさまでバフ魔法もかけ終えているからな。

 今すぐにでも第八階層に戻らせてもらおう。ただ、こちらからの要請が一つある」

 

『何か』

 

「今の私の名前はアインズ・ウール・ゴウン。ナザリック地下大墳墓を統べる最後の支配者、アインズ・ウール・ゴウンだ。是非ともそう呼んでくれ」

 

『承知しました。アインズ様』

 

 

 

 

 

 

 









◆おまけ『原作最強キャラはいくらでも盛って良いとされる(暴論)』◆



タブラ「ハーフゴーレム改造して最強NPC作ろうず! 目指すは打倒たっち・みー!」 

るし☆ふぁー「ひゃっはー! 熱素石で無限MP! 希少金属大盛で超装甲!」

あまのひとつ「武器は任せろ! もちろん神器!」

べルリバー「俺が持ってきた『クリフォート』を!」

ヘロヘロ「僕がルべドに組み込んで!」


タブ・るし・あま・ヘル・ヘロ・「「「「「でけた!! 勝負だ! たっち・みー!!」」」」」


たっち・みー「降参です (頑張ればイケそうだけど、ここは5人の顔を立てよう)」

モモンガ「すごいです皆さん! (八階層のあれらをモモンガ玉で強化すれば完封できそう)」

タブ・るし・あま・べル・ヘロ「「「「「やったぜ!!」」」」」


ウルベルト「お前らの負けだ、気付け」











????「ズルだ!! ズルっこだ!! 私のパパは最強だもん!!(涙目) 負けるなんてありえないもん!!(プルプル)」

ペロロンチーノ「……やはり、リアルロリも捨てたものではない!?」

ぶくぶく茶釜「もしもしポリスメン?」

たっち・みー「呼んだ?」

タブラ「なるほどね」
















るし☆ふぁー「ねぇ、そういえばルべドの設定ってどんなの?」

タブラ「こんな感じ(超ロングスクロール)」

るし☆ふぁー「へぇー。あ、そうだ。この見た目で極度のシスコンで甘えん坊だったら面白くない?」

タブラ「ギャップ萌えいいね♪ 少し設定削るから適当に書いいいよ」

るし☆ふぁー「おかのした」
















ニグレド「スピネルシスコン過ぎてウザくない? 甘えん坊が許されるのは2歳児までよね」

アルベド「そうかしら」

ニグレド「あと、いかにも何か悪戯しそうな雰囲気無い? 動き出したら絶対なんかやらかすわよ、この子」

アルベド「それはわかる、とてもわかる(モモンガ因子)」

ルべド「ぴえん……(るし☆ふぁー因子)」















タブラ「モモンガさんとアルベドとマタタビは敵だからね。よろしく(スイッチぽちー)」

ルべド「おかのした(コイツ嫌い)」










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感想飽食なんて雑魚作者のすることです。そして私はどうしようもなく雑魚作者でした
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