いつか書きます。
あと、連投注意です。
アサシンとライダー
数々の竹林が生える山。カルデアのマスターの御一行は途中で出会ったはぐれサーヴァントである青年と共に聖杯がある山頂へと向かう。
『立香くん、マシュくん。気をつけてくれ。サーヴァントの反応だ!しかも、これは───』
カルデアからの通信を遮るかのように手裏剣が立香へと飛来する。
「先輩!」
いち早く気付いたのがデミ・サーヴァントであるマシュだ。持っていた大盾を立香の前で構えて防ぐ。
「カルデアとやらのマスターとそのサーヴァントだな」
タンッ、と立香達の目の前へと立ちはだかる赤い甲冑を着込んだ男。右目が長い黒髪で隠れ冷静にサーヴァント達を解析している左目は歴戦の強者の目だ。
『霊基からしてアサシンのサーヴァントだ!』
「アサシン……?」
「フン。それなりにできるようだが俺の世界の忍には劣るようだがな」
男が大きな団扇と大鎌を取り出し戦闘の意思を見せた。
「俺と踊ってももらおうか」
「来る!マシュ、ライダー、お願い!」
「はい!」
「うん、わかった!」
マシュは返事をして大盾を構え、ライダーと呼ばれた青年が前へと出た。
《ジクウドライバー!》
《ジオウ!》
彼が二つの機械を取り出して戦闘準備を始めた。
一つはベルト、そしてもう一つはそのベルトへと装填する端末だ。
「厶……」
敵であるアサシンが眉を潜めライダーを睨みつける。そんな雰囲気の中、ライダーのベルトから軽快な待機音が流れた。
「───変身!」
クルリと右手を捻りベルトへと指をかけてベルトのバックルを回転させた。
そこでアサシンが気付く、あれは姿を変えて戦う宝具だと。アサシンがまずはライダーを叩こうと急接近しだした。
《ライダータイム!》
時計を思わせるホログラムがライダーを囲い、更には"ライダー"という文字がアサシンの目の前へと飛び出した。
直撃、するかと思われたマゼンタ色の文字をアサシンがバク転ですばやく避けた。
《仮面ライダージオウ!》
マゼンタ色の文字が近未来を沸騰させるパワードスーツの仮面部分へと収納され複眼へと変わる。全仮面ライダーの力を受け継ぎ、過去と未来をしろしめす時の王者。その名も
「なんか、行ける気がする!」
「仮面の戦士か。俺の知る男よりも面妖だな」
アサシンが彼を見て何を思うかは知らない。ライダーはそんな事を気にせず武器を取り出して彼へと詰め寄った。
「とりゃっ!」
ギンっ!と剣と鎌が衝突する。火花が散り、お互いの力が衝突する。
「───火遁・豪火球の術!」
アサシンが距離を取って印を結んで頬を膨らます。直後、アサシンの口から放たれる巨大な火球が立香達の視界を覆った。
「マシュ!」
「はい!」
間一髪、マシュが前衛に出て素早く火球を防ぐ。
「ライダー!」
《ジュウ!》
《フィニッシュタイム!》
ライダーが自身の武器"ジカンギレード"をケンモードからジュウモードへと移行し、ある端末を装填し構えた。
《ダブル!》
二人で一人の仮面ライダー、疾風と切り札の力を持つ戦士のエネルギーが銃口へと収束し
《ギリギリシューティング!》
放たれた。炎の渦の中を突き抜け、一直線に飛ぶ風の弾丸がアサシンへと迫った。
「!」
ザシュリ、とアサシンの頬へと傷を付け血が一筋。
「ほう。今のを当てるとは中々良い目を待ってる奴がいるな」
ギロリ、とアサシンが立香とライダーを見下ろした。
「お前の素質か、それともマスターの素質か」
ゴクリ、と彼の一睨みに立香が息を呑み、ライダーが武器を握る手を強めた。
「これは、少し楽しめそうだな」
そうは言っているがアサシンの表情が変わることがなかった。
表情は変わらないものの、彼の瞳に変化が訪れる。彼の黒い瞳が赤く輝き、三つの小さな勾玉が浮かび上がった。
立香がその瞳を見て直感的に感じ取る。あれは魔眼の類だと。
アサシンの一族に最も縁のある瞳術もとい魔眼は動体視力に優れ、あらゆる攻撃を見切ることができる。これを使いこなせばアサシンの使う"忍術"と呼ばれる術をそのまま跳ね返す者もいるとか。
月が照らす暗闇の中、彼の瞳が妖しく輝き動いた。
「早っ!」
ライダーが息を呑んで叫ぶがアサシンの蹴りで吹き飛ばされた。
「───火遁・業火滅却!」
続いてアサシンがマシュの方へと振り返ると彼女へと炎を吹き出した。大盾でも防ぎきれない範囲で彼女を焼き尽くす。
「ライダー!マシュ!」
立香が二人を心配して叫んだ。
「大丈夫です。先輩」
「俺もなんとかね」
二人が立ち上がってマスターを守るかのようにアサシンと対峙した。
「どうした?この程度か?」
「ねぇ、なんでアンタは本気を出さないの?」
「なに……?」
「だってアンタはそれほどの力を扱えるっていう事はマスターがいるってことでしょ?」
「そして、俺達と対峙してるってことは敵。つまり、アンタ達がこの特異点の原因。なら、なんで本気を出さないの?」
「なぜ、今そんなことを?」
「別に気になっただけ。アンタ達が特異点の原因なら俺達を排除するはず。なら、全力を出すのが普通じゃん」
「面白いことを言うな、小僧。だが、一つ言わせてもらおう」
一つ間違えれば煽るような言い方にアサシンはまるで気にしないどころか鼻で嗤った。
「……?」
「お前達に全力を出す必要がないからだ」
ダッ、と彼が地を蹴りライダーの目の前へとやってくるとそのまま右手の団扇で思い切り吹き飛ばした。続いてマシュへと振り返りそのまま大鎌を振り下ろす。なんとか寸前で受け止め攻撃を防ぐ。だが、それもアサシンにとっては想定の範囲内だ。
タッタッタッ、と彼女の大盾を踏み台にして上へと登り飛んだ。
「───火遁・
マシュの頭上で放たれる新たな忍術。龍を象る
った無数の炎が彼女の体を喰らいついた。
「くっぅぅ!!」
その身を焼かれても必死に持ちこたえる彼女にアサシンはそのまま無視してマスターへと急接近していく。
「なっ!」
マスターは身構える。こちらへと接近してくるアサシンに複数の光線が迫る。
「そう簡単に頭はとらせないか」
チッ、とアサシンが舌打ちして距離を取ってライダーを睨む。
《フィニッシュタイム!》
ジカンギレードをケンモードへと戻してまた新たな端末を武器へと装填した。
《電王!》
時の列車に乗って戦場を駆ける仮面ライダー、時の運航を守る者の力をその刀身に宿す。
《ギリギリスラッシュ!》
赤いエネルギーが刀身に収束され射出される。
「ハァァァッ!」
ライダーがそのままジカンギレードを振り下ろす。すると、それに連動した射出された赤いエネルギーの刃がアサシンに向かって振り下ろされた。
「フン」
鼻で嗤い、アサシンが後ろへと避ける。赤いエネルギーがそのまま地面へと埋まり不発に終わってしまう。
「どうやら、お前たちはここまでのようだな!」
アサシンがそう言って再び地を蹴った。
「まだまだっ!」
アサシンが飛んだ直後、ライダーがその場で体を右へと捻る。
「何……?まさかっ!」
赤いエネルギーの刃がライダーの動きに連動して地中の中でも動きを止めなかった。刃がそのまま彼の周囲を回ってそしてアサシンの真下から飛び出てくる。
「しまった!」
さすがのアサシンでも空中でこの攻撃を避けるのは難しかったらしく、そのまま派手に横へと吹き飛んだ。
いくつもの竹林を追ってその姿は暗闇へと消えていく。
「マシュ!立香!大丈夫?」
「はい。一応、私は無事です」
「うん、俺も大丈夫」
ライダーの確認に二人は頷いて見せると安堵するように息を吐いた。
「あのサーヴァント、かなり強力だから気を付けて。恐らく今のでも倒しきれてない」
「次にアサシンが姿を見せたら俺が宝具を打ち込む。もし、それで駄目だったら撤退するよ」
そのライダーの言葉に二人は頷いてアサシンが吹き飛んだ方へと注意を払った。
ザッ、ザッ、と草を踏む音が暗闇の方から聞こえてくる。
「中々、やるな。お前たちの攻撃に誠意を払おう」
暗闇の中から赤い光が見え、男が姿を見せた。
「行くよ!」
《フィニッシュタイム!》
ライダーがベルトに装填された端末のスイッチを押して宝具を使用する。
ベルトのバックルを回転させ空高く飛ぶ。それと同じくしてアサシンの周囲に現れる無数の"キック"という無数の文字が徐々にライダーの足へと収束される。
《タイムブレーク!》
「とりゃァァァァっ!!」
昭和の頃から受け継がれる
「がぁっ!!」
アサシンの囲う骨が砕け、彼のライダーキックが直撃した。アサシンの体は数歩、後退るだけで吹き飛びはしなかった。
「フン!」
ガシッ、とアサシンがライダーの足を掴むとそのまま彼を地面へと叩きつけた。
「中々、楽しめたぞ。良いだろう。うちは マダラも全力で答えよう」
アサシンがそう言うと彼の周囲に青いエネルギーが段々と形を成していく。骨の巨人、そしてその巨人が皮を持ち、そして服を着てそして体格を変える。
「───この完成体・
立香達の目の前に現れるのは巨大な天狗。大きな翼を持つ長い鼻の巨人。うちは マダラと名乗った男の宝具。
「えぇ……」
ライダーが目を見開いて困惑するような声を出す。それもそうだろう。対峙していたアサシンがこれほどの強大な力を隠していたのだ。
「───俺、一人分なら地図を書き直す範囲も狭くて済みそうだな」
マダラの宝具である巨人が刀を取りだし、抜刀する。その刀身が煌めき、立香達へと迫る。
「マシュ!宝具を!」
「はい!」
「それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷。顕現せよ!」
マスターである立香の言葉にマシュが構え大盾に魔力を収束させる。
「───『
ダンッ!と大盾を前方に身構えて宝具を開放する。円卓の盾が展開し、防具がぶつかり合う。山一つ、吹き飛ばす宝具と魔を弾く城塞が衝突し、激しい魔力の爆発が生じる。光が辺りを照らし全ての者を包み込む。
誰かアサシンを止めろ(