カルデアにこいつらを召喚してみた   作:Million01

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アサシン

 

「土方さ〜ん!斎藤さ〜ん!」

 

セイバーのサーヴァント、沖田 総司は数メートル先にいる二人の英霊の名を叫びながら手を振った。

 

「ん、なんだ?」

 

バーサーカーのサーヴァント、土方 歳三は振り返りながらそう言った。

 

「ご飯食べに行きましょうよ!」

 

「阿呆が。俺達英霊には食事は必要ないだろう」

 

タバコを吸いながらアサシンのサーヴァント、斎藤 一は呟く。

 

「ええ〜いいじゃないですか。新撰組が三人も揃ったんだし……」

 

ーーー新撰組。幕末の頃、京都を中心に活動した治安組織であり、このバーサーカー、土方 歳三は新撰組副長を努めていた。更にはセイバー、沖田 総司は新撰組一番隊隊長。そしてアサシンである斎藤 一三番隊隊長の肩書を持っていた。

 

だが、三人はそれぞれ別の道を行った。

戊辰戦争が起こると新撰組は鳥羽・伏見の戦いで敗北。

江戸へ撤退するも構成員の方針の違いにより隊は分裂。この時点で斎藤 一は新撰組を脱退。

近藤は新政府軍に捕まり処刑。

近藤の死から僅か二ヶ月で沖田総司は肺結核で病死。

土方は北海道へ向かう榎本武揚と合流し、明治2年に函館で戦死してしまう。

未だ生きていた斎藤 一は警察官となり西南戦争で抜刀隊に参加、その後も長寿を保っていた。

 

たとえ、道が別れていたとしても信念は新撰組の頃のままだ。だから、こうしてまた話し合える。

だから、抜けた理由や死んでしまった事を口に出さない。

 

「……行くぞ」

 

バサッ、とマントを翻しながら土方が短くそう言った。その言葉だけで沖田も斎藤も理解した。

 

「…………」

 

斎藤は口に加えていたタバコを指で挟むと、握りつぶすようにタバコの火を消しながら土方の後を追う。

 

「…………」

 

沖田は二人の後ろ姿を見て、嬉しそうに顔を明るくしながら後をついていく。

 

恐らく、セイバーである剣心が見たらこう言うであろう。

 

 

ーーー「生前の新撰組のようだ……」と……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルデアの食堂で三人が横に並ぶよう座っていた。

正面から見ると左から土方、沖田、斎藤という順に座っており高低差が激しかった。

 

「いただきます!」

 

「「いただきます」」

 

沖田の元気な挨拶に続き二人は低い声で挨拶をした。

彼らの目前には赤い弓兵や剣と盾を持った赤髪の騎兵など作った調理した料理がおいてあった。

 

「あ、土方さん。知ってます?斎藤さん明治の頃は藤田 五郎と名乗っていたんですよ」

 

沖田は和風定食のご飯を食べている土方にそう言った。

沖田が放った言葉に横でかけ蕎麦を食べていた斎藤の目がギロリと沖田を睨む。

 

「ほう……藤田 五郎か。どこにでもいそうな名前だな」

 

「ですよね!私もその名前を聞いた時は思わず笑いましたよ!」

 

沖田がそう言いながら苦笑する。

 

「そう言う貴様はどうなんだ?お前の刀、死んだ後盗られたぞ」

 

「ええっ!?菊一文字がですか!?」

 

「…………」

 

「そう言えば、沖田。カルデア(ここ)で抜刀斎と闘ったそうだがどうなんだ?」 

 

ピクッ、と沖田の手が止まる。

 

「……負けましたよ。宝具が当たる前に先に宝具でやられましたよ。流石だな〜緋村さんは……」

 

「…………」

 

「斎藤さんは維新後には闘ったんですか?」

 

「フン……抜刀斎でもない奴と闘う気はない」

 

「ああ、そっか……緋村さんは抜刀斎として召喚された訳じゃあないですよね……」

 

沖田はそう言いながら幕末の事を思い出す。江戸幕府が政権を握っていた時代の末期。

新撰組が敗北した鳥羽・伏見の戦い。

その場には土方や沖田、斎藤はいた。そして宿敵、緋村 抜刀斎とも相まみえたのもここが最後であった。

 

土方や沖田、斎藤もあの人斬りの目を、眼光を覚えている。それは自分達も同じであった。

斎藤には自身の正義があった。それは『悪・即・斬』である。

いや、それは新撰組の真の正義であったのかもしれない。

だが斎藤曰く、『新撰組と人斬りがただ一つ共有した真の正義』。

宿敵であった緋村 抜刀斎も新撰組も同じ正義を持っていた。

だが、信念の違いによりぶつかりあった。ただ、それだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

斎藤が食堂を出て、廊下を歩いていると剣心と居合わせてしまった。

 

「…………」

 

剣心は足を止めるも、斎藤の足は止まらず剣心の横を通り過ぎる。

 

「斎藤。お主はここまで来て何を望む?」

 

「別に何もだ」

 

足を止め、背後の剣心に呟いた。

 

「ただ、『悪・即・斬』を貫くのみ。マスターだろうがなんだろうが私欲に溺れ厄災をもたらす様なら『悪・即・斬』のもとに切り捨てる。

狼は狼

新撰組は新撰組

そして人斬りは人斬り

なあ抜刀斎……」

 

「……生前に言ったでござるよ。もう人斬りはしない。せめて殺めた者への償いとして、より多くの人々の幸せで補う」

 

「フン……だから貴様との決闘に応じる必要はない」

 

「…………」

 

斎藤はそう言うと剣心の背後から去っていった。

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