この小説を読んでいただき本当にありがとうございます。
今回はタイトル通りのものとなっております。
それでは第18話、張り切っていきましょう。
刀夜はギルドマスターであるグライスとの会話の後、クエストカウンターの前に来ていた。早速クエストを受けるためである。そしてクエストの紹介をしてもらおうとするとアリアノーラに話しかけられる。
「あなたには担当の受付嬢を付けることにいたしました。担当の人がいるとクエストの斡旋がされやすくなり、受けられるクエストの選択肢も増えると思います」
刀夜にとってそれはありがたい申し出だった。
「それは助かる。それで俺の担当の受付嬢がいるカウンターはどこだ?その言い方だとアリアノーラではないんだろ?」
刀夜がアリアノーラに尋ねると彼女は非常に言いにくそうな顔をする。アリアノーラが「それなんですが…」と呟くとよく聞き覚えのある声が飛んできた。
「アリア~!私が担当するモガの村から来たトーヤさんって方はどなたですか??」
刀夜はその声を聞き頭を抱えたくなる。アリアノーラも口調が普段のものにかわったようだ。
「はぁ…。アイシャ、この人よ…」
アリアノーラが刀夜の方を見てアイシャの問に答える。
「あー!あなたは確か私を見て避けた人ですね~!でも大丈夫です。いいクエストを、ドドーンと紹介しますね!」
「アリアノーラ、もう変更はできないのか?」
「もう決定いたしましたので…」
変更できないのは薄々気づいていたので決定したことにどうこう言っても仕方ないだろうと刀夜は納得出来ないながらも渋々受け入れる。
「トーヤさん、エリスは元気にしていましたか?」
「あぁ、俺が出る時はあの村に馴染んでいたな」
そう言うと「あぁ~良かったぁ!」とアイシャが安心する。
「エリス、最後までモガの村に行くことを嫌がってたんですよ…。でも馴染んでいるなら本当に良かったです!」
「はいはい、エリスの話はまたするとして、今は仕事中でしょ?」
アリアノーラの言葉にアイシャはハッとする。
「そうでした!またエリスの話聞かせてください!ではでは現在受注できるクエストはこちらになります」
そう言われ刀夜はいくつかの依頼が乗った紙を見せられる。
(やはりハンターランク1は採取クエストが多いな…。今のランクで狩猟できる大型モンスターはドスジャギィだけか…。ん?このドスジャギィの依頼書だけ紙が赤い、どういう事だ?)
刀夜は疑問に思ったことをアイシャに尋ねる。
「何故この依頼書だけ紙が赤い?」
「えーっとですね、これはランクアップクエストと言ってこれをクリアすると1つランクアップできます!ランク1から2へ上がるにはこのドスジャギィを狩猟できれば上がれるって寸法ですね~」
「2から3に上がる時もランクアップクエストをクリアしたら上がれるのか?」
「そうなんですが、ハンターランクが2以降はこういった青い紙の依頼書があります」
そう言ってアイシャは刀夜に青の依頼書を見せる。
「これはキークエストと言ってランク毎にいくつかのキークエストがあります。これをぜーんぶクリアして初めてそのハンターランクのランクアップクエストに挑めるわけです!」
(用はキークエストを全てクリアし、その後ランクアップクエストをクリアすると次のハンターランクに上がれるわけか。まあゲームとさほど変わらないな)
「複数のクエストを同時にやることは可能か?」
「それはできません…。ですので1度につき1つの依頼しかできないためキークエストを一気に片付ける!という力技はできないんですね。それにキークエストもランクアップクエストも本当に生きるか死ぬかの厳しいものでハンターさんは中々次のランクには進めません…。その証拠にランク7のハンターさんは現在3人しかいないのです!」
刀夜は自分もいずれその位置に上がろうと思っていたが、予想以上に厳しいのだと少し驚いた。
「なのでランクが上がれば上がるほど、やはり周りから尊敬の眼差しを受けるわけですよ。ちなみにランク3でもう上級ハンターのレベルです」
「そんな感じなのか、まあ周りの目はなんでもいい。とりあえずこの依頼を頼む」
そう言って刀夜は通常の白い依頼書を渡す。
「ほいほい、ジャギィ15体の狩猟ですね!」
そう言ってアイシャが刀夜を見送ろうとすると刀夜は一つ尋ねたいことがあったと思い出す。
「…そうだ。アイシャ、フリーハントはどうやって依頼できる?」
「フリーハントですか?一応ネコタクチケットの納品という依頼があり、それを納品すると依頼完了ですがこの依頼を受けるハンターさんは滅多にいませんよ?」
「そんなことはいい、もしその依頼で大型モンスターと遭遇して討伐した場合はどうなる?」
「えっと…討伐したモンスターの一部を持ってきてもらえればオッケーです」
「そうか、ありがとう」
「いえいえ!ハンターさんを手助けするのが我々の仕事ですので!」
刀夜は知りたい情報が得られたので素直に礼を言うとアイシャは笑顔でそう述べる。
「俺は依頼を片付けてくる。場所は…セントラル草原か…」
(他の依頼の場所も見たがセントラル草原がほとんどだった。いよいよ俺の知らないフィールドが出てきたわけだ。ドスジャギィ討伐はフィールドに慣れてからにしよう)
「セントラル草原はあちらの竜車に乗って行ってもらいます!ギルド専属のアイルーがニャニャっと運んでくれますよ~」
「アイルーがいるのか。まあそろそろ行ってくる」
「お帰りをお待ちしています、ネバーギブアップ!」
結果から言うと、特に危なげなく依頼は終了した。セントラル草原はギルドから竜車で1時間ほどの場所にあり、その名の通り緑に恵まれた場所であった。緑が多いためアプトノスやケルビといった草食のモンスターが多数存在しており、ジャギィは少しベースキャンプから歩いた場所にいた。20匹ほどの群れで動いており、刀夜は見つけると真正面からそこに突っ込んだ。ゲームのハンターの動きを完璧にものにし、この世界でその技術をそのままアウトプットできる刀夜にとってジャギィなど取るに足らない相手であり、ものの数分で辺り一体は真っ赤に染まっていた。依頼完了後はこれからのクエストのためセントラル草原の地形を日が暮れるまで調査していた。草原というだけあってそれほど複雑な地形では無さそうなフィールドであった。
そして現在、刀夜はリエル王都に戻っておりギルド管轄のハンター専用の宿泊場所にいた。この宿泊場所はハンターなら誰でも無料で利用できるというもので、刀夜もクエスト依頼後この部屋に荷物を置いてからセントラル草原に出発していた。
「やはり…ジャギィでは物足りない、足りなさすぎる」
そう呟く刀夜は今日受けたジャギィ討伐の依頼を振り返る。
「あと2、3回依頼を受けてフィールドを把握したらドスジャギィ討伐クエストを受けるとするか…。あまりに後々にしているとまた黛に臆病だとバカにされそうだ」
そういうことで今後の方針が決定した刀夜は部屋の中にあるアイテムボックスでアイテム整理を行ったあと眠りについた。
そうして刀夜は後日結局2回依頼を受けたことでフィールドの特徴を大体理解し、今はドスジャギィ討伐依頼を受けるためギルドカウンターにいるアイシャと話していた。
「えっ?!もう赤依頼を受注するんですか?!流石にまだ早すぎる気もしますが…」
「大丈夫だ、問題ない。それよりも赤依頼とはなんだ?」
「えっと、赤依頼とはランクアップクエストの略称ですね。ちなみにキークエストは青依頼、通常クエストは白依頼とも言います。しかし…ドスジャギィはランク1のハンターの登竜門です…。大型モンスターの狩猟は一つ間違えると死に直結する危険なもの…もう少し経験を積んでからの方がいいと思うんですが…」
渋るアイシャに刀夜が「ドスジャギィ討伐経験がある」と思わず言いかけた時、隣にいたアリアノーラがアイシャに話しかける。
「ドスジャギィ討伐、彼なら恐らく大丈夫よ。受注させてあげて」
「本当…?アリアがそう言うなら…。トーヤさん、ちょっぴり心配ですが無事に帰ってきてくださいね?」
「あぁ、こんなとこで俺は死なない。あとアリアノーラ、助かった」
そう言って[ドスジャギィの討伐]と書かれた赤の依頼書をアイシャに渡し、刀夜はギルドを出発した。
「アリア、本当に大丈夫なの??ぜーったい早すぎると思うけど…」
「普通ならね。でも、彼なら大丈夫。というか、遅すぎるくらいかもね…。まあ、今後彼が受けたいと言う依頼は渋らず承認してあげて」
「ふーむ…何かわけアリと見た!そう言うならりょーかいです!さて、お仕事お仕事っと」
そう言ってアイシャは自分の仕事へ戻る。
アリアノーラは刀夜がドスジャギィ討伐クエストを受けるということでギルドマスターであるグライスに報告をするため、奥の部屋へと向かう。
(「彼が赤依頼を受ける時は俺に報告してくれ。まだ先のことだとは思うが、よろしく頼む」って言われたから報告しに行くけど、グライスさんと言えどまさかこんなにも早くなるとは夢にも思っていなかったでしょうね…)
そうしてアリアノーラはグライスに刀夜がドスジャギィ討伐依頼を受けたことを伝える。グライスはその早さにやはり驚いたようであったが、すぐに行動を始めアリアノーラにギルド調査隊を出すようにと伝える。その際にグライスが何をしようとしているかアリアノーラは気づき、更に調査隊のメンバーを知り部屋を出たあと盛大にため息をつく。
「はぁ…。グライスさんも大胆なことを…。彼が依頼完了後にセントラル草原にギルド調査隊を派遣するなんて…。しかもこの調査隊のメンバー…。それだけ彼の実力を把握しておきたいってことね」
ハンターの実力は大型モンスターの死体の傷跡を見ればおおよそ予測がつくと言われている。どこに攻撃したか、傷はどれだけ深いかなど判断基準は多種多様にあるためだ。グライスはドスジャギィの死体を調査隊に調べさせ、刀夜の実力を測ろうとしているのだと思った。
「グライスさんも大変ね。私もこの文書を調査隊に届けないと。これから忙しくなりそうね…」
そう呟くアリアノーラは今回派遣されるメンバーに仕事内容を伝えに向かうのであった。
次回、刀夜とドスジャギィ戦います。
また次話で会いましょう。