孤高剣士の歩む道   作:O.K.O

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こんにちは、O.K.Oです。
いつもいつも読んでいただきありがとうございます。

私情(半分はモンハンワールド)が忙しく、久方ぶりの更新になりました。
モンハンワールドもかなり楽しいですね。武器の動きなど、取り入れていけたらなぁと思ってます。

では、第26話、張り切っていきましょう。


第26話 突っかかり

「そう…ですか…。トーヤ様は依頼を受けて下さったのですね…」

 

「またトーヤ殿に御恩ができましたな…」

 

刀夜がボルボロスの依頼を承諾した後、ヴァイスは王宮へと戻り、事の経緯をシーナに報告していた。

そしてその報告を受け、それはシーナが望んだ展開であるにも関わらず、彼女はどこか釈然としない様子であった。ヴァイスはそんなシーナを見て、決して咎めたりはしなかった。

事が事なだけに、今回の依頼は、ギルド存続のためには必ず達成して貰う必要があった。刀夜にはその実力があるとシーナが判断したのだ。そして、恐らくその判断は間違っていないであろうとヴァイスは考える。ランク3までのハンターでボルボロスを捕獲できる実力を持つのは、恐らく刀夜のみであろう。

しかし、ヴァイスから見て、シーナが刀夜に好意を抱いていることは明らかである。そんな相手、それもランク2の彼にボルボロスの捕獲を頼んだのだ。いくら刀夜に実力があると分かっていても、相手はあの土砂竜。無傷で依頼を完遂できるとは考えにくい。そんな依頼を、好意を抱く人に任せるということは、シーナにとって身を切るように辛い決断だったであろうとヴァイスは推測していた。

 

「大丈夫…ですよね…」

 

シーナのどこかすがるような言葉に、ヴァイスは返答する。

 

「彼なら大丈夫です。きっとまた会えます」

 

「……」

 

どこにも確証がない、気休め程度の言葉だとヴァイスは思った。そして、シーナもそれを分かっていたが、同時に無事を願うことしかできないと彼女も分かっていた。それだけに、彼女は自分の無力さを恨んだ。

 

「私たちは本当に、無力ですね…。他の人にこうして頼まなければどうにも出来ないなんて…」

 

「我々ができること、それを今は致しましょう」

 

「そうですね…。お姉様を説得してきます」

 

そうしてシーナは何度目とも分からないフローラの説得へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

ヴァイス、グライスとの話し合いの翌日、刀夜はボルボロス捕獲の依頼を受注するためクエストカウンターに来ていた。

いつも通り、アイシャのカウンターに向かうと、そこにはすでに他のハンターがいた。

 

(先客か、でかい図体だな…)

 

刀夜は静かに自分の順番が来るのを待っていた。しかし、いつまで経っても刀夜に順番が回ってこない。何やら揉めているようだったが、刀夜の知ったことではない。刀夜がアイシャに声をかけようとした、その時である。

 

「あ?!だからなんで俺達が依頼を受けられねぇんだよ!!」

 

前のハンターが拳を机に叩きつけ、アイシャに怒鳴り始めた。

 

「ですから、この依頼の受注者はもう決まっていると言ったでしょう」

 

腕っぷしが強そうな相手にアイシャは慣れた様子で対応する。こういうところは、さすが受付嬢といったところか。しかし、それでも大柄の男の怒りは収まらないのか、なお怒鳴り散らし続ける。

 

「ランク3のハンターでこの依頼を受けるなら、俺達が一番相応しいだろうが!」

 

「しかし、順番は順番です」

 

「だったらそいつをここに連れてこいやおらぁ!どんなやつか俺が直々に見定めてやるからよぉ!!」

 

「はぁ……困ったものですね……。ん?」

 

アイシャは後ろに並んでいる刀夜の存在に気づいた。刀夜はと言うと、いつまで待たせるんだ、と言いたげな視線をアイシャに送っていたが、彼女がこちらを見た瞬間嫌な予感が沸き起こった。

 

「……取り込み中みたいだな。また後で来る」

 

「あ、トーヤさーん!良いところに!」

 

アイシャの言葉で大柄の男が振り返る。しかし、男は刀夜の風貌を見て興味を無くしたのか、すぐにアイシャに向き直った。

 

「あ??人が話してる時に余所見ってのはないんじゃねぇか??それよりも、早くそいつを連れて来いっつってんだよ!!」

 

男の言葉を聞いて、アイシャは何やら得意げな表情を浮かべている。刀夜は本気で嫌な予感がした。そして、「頼むから余計なことは喋らないでくれ」という視線をアイシャに送ったが、その努力虚しくアイシャは口を開いてしまう。

 

「ふふ〜ん、連れてくるまでもなかったようです!あなたの後ろの人が、その依頼を受けるハンターさんです!!」

 

アイシャは見事なまでに言い切り、完璧なドヤ顔を決めている。刀夜はというと、いつもの無表情は変わらなかったが、額にはかなりの血管が浮き出ていた。

アイシャの言葉で場は一瞬静寂に包まれたが、すぐに男と、周りで聞き耳を立てていたハンターたちの笑い声で溢れかえった。

 

「ぷっ……ギャハハハハハっ!!おいおいアイシャちゃん、いつもだが今回は本当に面白い冗談かましてくれたな!こんなちっこいやつがボルボロスの捕獲だって?無理ありすぎるだろうが!ギャハハハ、やっべぇ涙出てきた……」

 

男の言葉に周囲のハンターたちも大笑いしている。笑い声で騒がしくなったところでアリアノーラが出てきた。

 

「一体何事です……か……」

 

騒ぎを収めようと出てきたアリアノーラであるが、真っ先に刀夜の表情を見た瞬間顔が青ざめた。周囲は気がついていなかったが、刀夜からは微かな殺気が放たれていたからだ。男はアリアノーラが出てきたことに気づくと、彼女に話しかけた。

 

「お、アリアちゃんか?丁度いいところに。ギャハハハハ……あー笑いが止まんねーわ。おいおい、こんなちびっ子がボルボロスの捕獲依頼受けるってマジか?」

 

どうやらアリアノーラの表情に男は気づいていないようだ。アリアノーラはこのままではまずいと思った。彼女は刀夜の殺気を抑えるためにその場しのぎの嘘をつくことにした。

 

「何があったかは知りませんが、現在そちらの依頼はギルド上層部にて、本当に適切な依頼か精査されています」

 

「え?!アリア?!」

 

アリアノーラは静かに、アイシャに「黙って」と声をかけ、アイシャは口を紡ぐ。アリアノーラが一瞬刀夜を見ると、少し殺気が収まっていたので話を続けた。

 

「本来、ボルボロス捕獲はランク4以上の方が受注出来るものです。我々ギルドはそちらの依頼を危険と判断し、取り下げておりました」

 

刀夜の殺気が収まる。男は笑うのをやめ、アリアノーラに問いかけた。

 

「なるほどな〜。でも、アイシャちゃんは先に申し込んだ人がいるって言ってたが、それは嘘か?」

 

アリアノーラはアイシャを見た。「言いました……」と小さく呟く彼女にアリアノーラは頭を悩ませる。また刀夜の殺気が感じられた。

 

「恐らく、アイシャが勘違いしたのでしょう。依頼が取り下げられることは滅多にありませんので、彼女がすでに受注者がいると判断したのは不思議ではありません」

 

アリアノーラが言い切ると、場が再び笑いに包まれた。

 

「なんだ、アイシャちゃんのいつもの早とちりかよ。はぁ〜笑った笑った。まあおかしいとは思ったんだよ、こんなやつがボルボロスなんて」

 

アリアノーラが恐る恐る刀夜を見るが、殺気はもうなかった。アリアノーラは安堵の息をつく。

 

「まあ、もしその依頼が出てきたら俺達が受けるからな?ランク3で受けるってなりゃ俺達が一番相応しい。正直受けたい依頼を受けられないってのは尺だが、アイシャちゃんの冗談に免じて今日のところは許してやるよ」

 

そう言って男はカウンターから振り返り、刀夜の方を見る。

 

「お前も、そんなちっこい体でハンターなんかやめとけやめとけ。ぷっ……あ〜、思い出すだけで面白いわ」

 

そう言って男は周囲に座っていた男二人を引き連れ立ち去っていった。男が立ち去ると、アイシャのカウンターの出来事で笑っていた他のハンターたちも各自のすべきことに戻っていく。そして、刀夜かゆっくりとした足取りでカウンターに歩を進めた。

 

「トーヤさん、本当に申し訳ありませんでした。しかし、こうするしか場を沈める方法が……」

 

刀夜はアリアノーラが言葉を言い切る前に口を挟む。

 

「ツッコミ嬢、お前は良くやってくれた。問題はアイシャ、お前だ」

 

刀夜の指摘にアイシャが体をビクッとさせる。

 

「でも、誰が依頼者かって聞かれた時に後ろにトーヤさんがいたので、実際に受注者を見たらあのハンターさんも納得するかと思ったんです……」

 

アイシャの様子にアリアノーラはやれやれという感じで声をかける。

 

「あのねアイシャ、確かに受注者が誰か、というところは公表できるけど、あんな感じのやつにそれを言うと揉め事が起きるのは必然でしょ……」

 

「それにだ、俺は揉め事も騒ぎも嫌いだ。無駄に目立たせようとするな」

 

二人がそう言うと、アイシャは「すいませんでした……」と謝罪を述べた。さすがに萎れたアイシャを見て、刀夜もこれ以上は攻めないことにした

 

「まあそれはもういい、次はないようにしてくれ。それよりも俺は例の依頼だ。アイシャ、受注手続きをしてくれ」

 

「は、はい!んじゃ気を取り直して、行ってみましょう〜!」

 

「ちょっとアイシャ、一応あの依頼は受注できない体にしたんだから、もう少し目立たないように!」

 

刀夜の許しを得たアイシャの切り替えは早かった。またいつも通りのおかしなテンションに戻った彼女を見て、アリアノーラは「はぁ……相変わらずね……」と呟いた。

 

(しかしボルボロスの、捕獲か……。うっかり討伐しないようにしないとな)

 

刀夜の頭の中は、ボルボロス攻略のことでいっぱいであった。

 

 

 

 

 

 

 

「今日のアイシャの冗談はマジで面白かったな」

 

リエル国の街で先程ギルドから出てきた3人組が歩いていた。アイシャに突っかかっていたリーダー格の男が残りの二人に話しかける。

 

「ですよね、俺も思わず笑っちまいやした!」

 

「俺なんて今でも……ギャハハハ!」

 

街中で、決して行儀の良いとは言えない笑い声が響く。そんな中、思いついたようにリーダー格の男が口を開いた。

 

「俺、あいつのいいあだ名思いついたわ。……なんてどうだ」

 

「あ、兄貴天才ですわ!」

 

「そりゃいい、傑作だ、ギャハハハハ!周りにもどんどん広めていきましょ!」

 

「あぁ、しばらく振りのいいおもちゃができそうだ……」

 

そうして3人は下衆な笑みを浮かべるのであった。

 




刀夜対ボルボロスを楽しみにされていた方、戦闘は次の回となります。もう少しお待ちくださいませ。

それではまた次話で会いましょう。
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