孤高剣士の歩む道   作:O.K.O

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こんにちは、O.K.Oです。
いつもいつもこの小説を読んで頂きありがとうございます。

それでは第29話、張り切って行きましょう。


第29話 ランク制度改定

「ちっ……“豪炎”のパーティーか……。ノンハント、運が良かったな。今日はこれくらいにしといてやる。行くぞ」

 

ゲダンは舌打ちしつつ、拳を収める。そして、2人を引き連れ出口に向かう途中、刀夜とのすれ違いざまに小さく刀夜に話しかけた。

 

「今度たっぷり可愛がってやる」

 

そしてバタン、とギルドの扉の出口が閉まる音がした。エルザ達の登場と、ゲダン達がギルドから出ていったことにより周囲のハンター達も興味を失ったのか各々の作業に戻っていった。

エルザが刀夜を心配したような声をかける。

 

「大丈夫だったか?」

 

「あぁ、何ともない。それと助かった」

 

(もう少しでこのフロア一体が奴の血で染まるところだったからな。余計な騒ぎは勘弁だ)

 

「その様子なら大丈夫そうで何よりだ。割り込んで良かった」

 

エルザと刀夜の懸念していた内容には若干のズレがあるようだが、エルザがそれに気づくことはなかった。

そしてエルザの隣にいるローウェンもまた口を開く。

 

「無事で何よりだ。あいつは“荒れくれもの”のゲダンと言ってな、気性の荒さが問題視されているやつなんだ」

 

「荒れくれもの、か。そのまんまだな。なぜギルドはあんな奴を野放しにしているんだ」

 

刀夜の疑問にルーナが答える。

 

「それが、厄介なことに実力はそこそこあるんですよ……。こちらのギルドは現在人手不足でして、できるだけハンターを処罰するのも避けたいという状況なんです……」

 

「なるほどな」と刀夜は呟く。そんな中ルーナがヨンの存在に気づいた。

 

「こ、このアイルー……」

 

「ん?なんニャ?」

 

「あぁ、そいつは俺の……」

 

何かを言いかけたルーナ、そんな彼女に刀夜は説明を入れようとするが、彼女の大声で、続く言葉がかき消される。

 

「かわいいぃぃぃ!」

 

「んニャァ?!」

 

突如ルーナがヨンに抱きついた。

 

「おいおいまたか……」「おいルーナ……」

 

ローウェンとプロントが頭を抱える。どうやら前科ありのようだ。

 

「これは一体どういうことだ?」

 

「どうもこうも、早くこいつから離してニャ!」

 

ルーナの腕の中で暴れるヨンを尻目に刀夜は説明を求める。その疑問にエルザが答えた。

 

「実はルーナは無類のアイルー好きでな……こうなるともう誰にも止められない」

「いや、諦めないで欲しいニャ!」

 

ヨンが刀夜に助けを求める視線を送るが、ゲダンの件もあるため刀夜はそのままにしておいた。

 

「エルザさん、次のクエストの時のお供はこの子にしましょ!君名前は何て言うの?あっ……!」

 

するとそこでヨンがルーナの腕から抜け出し、刀夜の足の後ろに隠れる。

 

「ニャー!僕はトーヤのお供だニャ!他のハンターと組むつもりはないニャ!」

 

「「「「っ!!」」」」

 

ヨンの発言に、4人は驚きで目を見開く。そしてエルザが恐る恐る、刀夜に尋ねた。

 

「トーヤさん……そのアイルーはトーヤの専用お供なのですか……?」

 

「あぁ、さっきも言いかけたが、一応俺のお供だ」

 

「一応って何ニャ!……まあそうニャ、僕はトーヤのお供のヨンだニャ」

 

刀夜の言いようにヨンが抗議の声を上げるが途中で無駄と判断したのか、ヨンが自己紹介する。

 

(トーヤに専用お供がいるのか……。一体彼の実力はどれほど……)

 

そう、この世界において専用のお供が存在する、ということはそのハンターがかなりの実力者であることを示す。何せアイルーは、実力ある強者にのみ、そのハンターのお供になることを望むからだ。それなりの実力があれば(それでもかなりの腕が必要ではあるが)ギルドへの申請により、ギルドに所属する派遣お供を連れて狩猟を行えるが、専用お供となると話は180度変わってくる。

 

「……」

 

先程からあまり会話に参加しようとしないプロントが刀夜に睨むような視線をぶつけている。刀夜は、こいつは苦手だ、と心の中で思いつつ口を開こうとするが、先にプロントが言葉を発した。プロントの瞳には刀夜が持つハンタープレートが映っていた。

 

「……おい、お前それ星1プレートじゃねぇか」

 

プロントの発言により他の3人も刀夜が持つプレートに視線を集める。3人はそのプレートを見て驚くばかりである。

 

「やっぱりお前、これまでの狩猟実績は……」

 

「おいプロント、その先は口にするな。それに、彼はお供持ち、お前の考えていることがあるわけない」

 

何かしら言いかけたプロントに、ローウェンが待ったをかける。そんな中、エルザが刀夜に尋ねる。

 

「トーヤ、何故お前ほどのハンターがまだ星1なんだ?何か理由があるのか?」

 

「星1ってこのプレートのことか?俺はこんなプレートを持っていた覚えはない。俺のプレートは黄色のやつだ」

 

刀夜にとってもよく分からない状況であった。刀夜は正直にそう答えると、しばしの静寂が4人を包んだ。

 

(あ?何かまずいことでも言ったか……?)

 

「な、なぁトーヤ。お前まさか、ランク制度の改定をまだ知らないのか……?」

 

ローウェンが恐る恐るといった様子で刀夜に尋ねる。

 

「ランク制度が改定……?俺はこの2週間、セントラル草原でヨンといたんでな。そんなことがあったのか?」

 

「そうか、そういうことか。なるほどな……」

 

エルザは刀夜の回答に唖然としつつも、納得したように小さく呟く。

 

「トーやさん、実はちょうど2週間前に新たなランク制度が制定されたんです。急な出来事でしたし、ここを離れていたトーヤさんが知らないのも無理ないとは思うのですが……」

 

そこでルーナは意味ありげに言葉を区切る。

 

「ですが……?」

 

疑問に思う刀夜に、ローウェンが続けた。

 

「それに伴って旧ランク制度に基づくランクが取り消されたんだ。つまり、全ハンターが新制度においては星1の最低ランクからスタートしたってことだ。それはもう2週間前はハンター達が大騒ぎしてな……」

 

「なるほどな。それで街にいればその騒ぎに気づくはずが、俺は例外だったと。しかしよくそれをハンター達は受け入れたな」

 

「ギルドは『実力あるハンターを再度見極めるため』、の一点張りでな。まあ、ギルドの言い分は俺達もよく理解している。なんて言ったって今回の改定には半端なハンターをふるい落とすという目的があるからな」

 

そこでエルザが口を挟む。

 

「いずれにせよ、まだ改定内容について知らないなら早くカウンターに問い合せた方がいい。このままだと受けるクエストも受けられなくなるからな。あと、私達もこれで失礼する。仕事が山ほどあってな……」

 

そう言えばエルザ達はギルドの調査隊のメンバーでもあったんだな、と刀夜は思い出しつつ、エルザの言葉にコクリと頷きクエストカウンターへと向かった。

 

 

 

 

 

「あ、トーヤさん!!今までどこをほっつき歩いていたんですか!」

 

アイシャが担当するクエストカウンターに向かった刀夜であるが、アイシャが刀夜を見つけるなり非難の声を浴びせる。

 

「それは俺の勝手だろう」

 

「そうかもしれませんが、こんのくっそ忙しい時に限って現れなくなるんですから。え?心配?少しだけですがしてましたよ、ほんの少しだけ」

 

「誰もそんなことは聞いていない」

 

久方ぶりのアイシャはいつも通りの調子である。そんな中ヨンがアイシャに話しかける。

 

「アイシャ、久しぶりニャ〜」

 

「お!ヨンちゃんではないですか!お供申請以来かな?いやー、相変わらず愛らしいご様子で」

 

「ん、その節は世話になったニャ!」

 

「はぁ〜、可愛すぎますね。トーヤさんにもこの素直さを見習って……ってなんでもありませ〜ん」

 

アイシャは刀夜の放つ殺気を感じたため言葉を区切る。

 

「それはそうとトーヤさん!本日の重要案件ですが、ランク制度改定についてはさすがにもう耳に入っていますよね?」

 

刀夜は静かに頷く。先程エルザから聞いて知ったばかりであるが、それを言うとアイシャがうるさくなりそうなので黙っておくことにした。

 

「了解です!アリアー!刀夜さん来たよー!」

 

アイシャがそう呼びかけると、奥からアリアノーラが出てきた。

 

「やっと来ましたか……。ったく遅すぎるのよ……」

 

「なんか言ったか?」

 

「い、いえ!ではこれから新たなランク制度についての詳細をお話させていただきます!」

 

アリアノーラは誰にも聞こえないように悪態をついたつもりであったが、刀夜の耳に届いてしまったようだ。刀夜が殺気混じりに威圧すると、アリアノーラは焦った様子ですぐに話題を変えた。

アリアノーラの説明によると、新たなランク制度は以下の通りである。

1つ目、旧ランク制度廃止に伴い全ハンターのランクをリセットすること。これに関しては刀夜はエルザ達から話を聞いていなかったので別段驚きはなかった。

2つ目、ランク分けに際し、旧ランク制度の白、黄、赤、緑、青、紫、黒と色による7段階制を撤廃し、1から10の星の数による10段階性への移行。これはハンターの実力を細かく吟味し、各々に見合った手腕のクエストを受注させるためのものだそうだ。刀夜のプレートが黄色から星1つに変わっていたのはこのためだ。

3つ目、これが一番刀夜にとっては驚くべき改定であり、それと同時に嬉しい改定でもあった。上位、下位の段階分けである。星1〜5のハンターを下位ハンター、星6〜10のハンターを上位ハンターという位置づけにする制度が採用された。そして、下位ハンターは上位クエストを受けることが出来ないということも話された。

この3点が新たなランク制度の概要である。

 

「ちなみに、下位と上位では狩猟対象の大型モンスターの種別は変わりません。しかし、そのモンスターの大きさ、凶暴性などは全くの別物です。上位に上がった際にはこれらの点を留意した上で狩猟をお願いします。それと、上位のクエストは依頼数があまり多くありません。これは上位モンスターの個体数がそもそも少ないことによります。ですので、上位クエストを受けることになる際はお早めの受注をお願いします」

 

「……なるほどな」

 

(これは益々楽しくなってきたな……。恐らく、直近で倒したボルボロスは下位のモンスターだろう。そしてヨンの言っていたリオレウス希少種は……ククク……)

 

「んー、僕には関係ないけど、まあトーヤは頑張るニャ」

 

「……あぁ、そうだな。ん、ちょっと待て」

 

最近はクエストの手応えをあまり感じられず、退屈しかけていた刀夜であったが、まだまだ上があると知り喜びを隠せない。様々な思考を巡らし自分の世界に入りそうになっていたが、ヨンの言葉で意識が引き戻される。それと同時に、刀夜の中で一つの疑問が生まれた。

 

「ランクが一度リセットされたのは分かった。が、またランク1からクエストを受ける必要があるのか?それはめんどくさすぎるぞ」

 

刀夜がそう言うと、アリアノーラは表情を曇らせる。

 

「そこなんですが……最初にクリアした依頼のランクで認定しています。

なので、いきなり上位クエストを受けることも可能ですが……まあおすすめはできません。こちらとしてもある程度提示するクエストは限定しています」

 

「なるほど、それなら納得だ。それじゃあ早速、受注可能なクエストを見せてくれ」

 

そう言うと、アリアノーラは言いにくそうに口を開く。

 

「実は……トーヤさんが次に受けてもらうクエストは既に指定されています……」

 

「何?どういうことだ?」

 

刀夜は非常に嫌な予感がした。気のせいであって欲しかったが、こういう時の予感は大体当たっていた。それは今回も例外ではない。

 

「本当に言い難いのですが……リエル国第一王女、フローラ=リエル様からトーヤさんに、指名依頼が入っています」

 

「……なに?」

 

アリアノーラの言葉に刀夜は驚きとため息しか出ないのであった。




やはり上位と下位があってのモンハンですよね。

それではまた次話で会いましょう。
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