孤高剣士の歩む道   作:O.K.O

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こんにちは、O.K.Oです。
この小説を読んでいただき本当にありがとうございます。

それでは第6話、張り切って行きましょう。


第6話 モガの村

歓迎、と聞き村人とあまり関わり合いたくないと感じた刀夜であったが、今気にすべき点はそこではなかった。ケイルの発言に刀夜は様々な思考を巡らせる。

 

(新人ハンターだと?この展開…MH3そのものだ。ゲームではケイルが新人ハンターにベースキャンプの設置を依頼していた。とすると、ここはMH3の世界なのか…?ここは一つ、確かめてみるか)

 

突如固まってしまった刀夜を心配したのか、ケイルが声をかける。

 

「トーヤ、急に固まっちまって大丈夫か?」

 

「なあケイル…、最近この辺りで地震が多発していないか…?」

 

ケイルは刀夜の突拍子な質問に戸惑いつつも答える。

 

「えっ?あー、地震?そんなもん起こってないが…。急にどうしたんだ?」

 

その返答に刀夜はまたも思考を巡らせる。ゲームにおけるMH3の世界では、モガの村において原因不明の地震が住民を悩ませていた。実はその地震がボスモンスターの古龍種ナバルデウスによるものであり、それをハンターが倒して村が平和になるという結末に繋がっていたのだ。

 

(なるほど…。俺というイレギュラーな存在のせいかは分からないが、全くMH3の世界と同じ、というわけでは無さそうだ…。ククク…これは良い。あの世界と全く同じだと先が読めて面白みが半減する。多少予測できない方がスリルがあって面白い)

 

刀夜は頭の中で確認を終えると、そこで思考を打ち切る。

 

「いや、こっちの話だ…」

 

「トーヤ、お前さんは不思議なやつだな…」

 

ケイルは首をかしげ呟く。そして刀夜はというと、もう一つ伝えておくべき話があることを思い出した。

 

「そうだケイル…。さっき新人ハンターと共に働く、そう言ってたよな…?」

 

「あ、あぁ…。そっちの方が効率的かと思ったんだが…」

 

「その事なんだが、ケイル…。俺はそもそもハンターではない。だから、俺はハンターのように獲物を狩る術を知らない」

 

ケイルは刀夜の発言に驚く。

 

「なに!そうなのか!?トーヤの背中にあるものを見て、てっきりハンターかと思ったんだが…。そいつはトーヤの武器じゃないのか?見たことない形状をしているが…」

 

刀夜はすぐにまた、予め用意していた説明を述べる。

 

「…武器と呼べるのかは分からない。ただの拾い物だからな…。ケイル、俺は漂流していたんだ。もし俺が武器を持っていたとしても、それは今ごろ海を漂っているだろうな…。歩いている時にたまたまこいつを見つけて、何もないよりはマシだと思って持ち歩いていただけだ…」

 

「そうか…そうだったな…。すまん、辛いことを思い出させた…」

 

「いい、気にするな…」

 

真摯に謝るケイルに対して、刀夜はどこか申し訳ない気持ちになる。

 

「悪かった…。しかし、そうか…。トーヤがハンターでないとすると、お前さんをモンスターに相対させるのは危険だな。うーむ、どうしようか…」

 

だが、この展開は刀夜の狙い通りのものであった。刀夜は一つの提案をする。

 

「…こうするのはどうだ。その新人ハンターにはモンスターの素材調達、俺はアイテム採集。分担すれば、効率もよくなるだろう…」

 

「おぉ!それはいい考えだな、トーヤ!そうしよう、2人で役割分担して働いてくれ!」

 

実際は夕暮れのジャギィ戦で自分がある程度戦えることは分かっていた。しかし、刀夜にとって見知らぬ新人ハンターとの共同作業など苦痛以外の何者でもなく、それはどうしても避けたかったのだ。刀夜は自分の思い通りの展開になったことにほくそ笑む。

 

「よーし!そうと決まれば早く村に戻ろう!周りもだいぶ暗くなってきた。行くぞ、トーヤ!」

 

そう言い、意気揚々と歩み始めたケイル。その背を追って刀夜は歩き始めたのだった。

 

 

歩くこと数10分、孤島から桟橋を通じて2人はモガの村に到着した。モガの村はMH3と同様に、海の上にあった。

 

(こういう所は同じなんだな…)

 

村人たちはまだそれぞれの仕事をしているようで多くの人の声が飛び交っている。走り回っている子供の様子も見られ、正に平和を体現したような村であった。辺りはすっかり暗くなっていたが、村の灯りは対照的であり、その光は穏やかな海面を照らしていた。

 

「あー!ケイルだー!」

 

1人子供がそう叫ぶと、村人たちが各々手を止め、ケイルに歩み寄ってくる。

 

「今日もお疲れ様〜!」

「さすが村長の息子!働き者だなぁ〜!」

「毎日毎日村のためにありがとうございます」

 

そういったケイルを労う声が彼にかけられる。ケイルもそんな村人たちの声に嬉しそうであった。

一方刀夜はというと、どこか場違いな気がして一刻も早くこの場を立ち去りたいという衝動に駆られていた。それに元々刀夜はできるだけ他人と関わり合いたくないことも相まって、寝泊まりできるとは言えモガの村に来たことに早くも後悔し始めていた。

 

(これは少し先が思いやられるな…)

 

そんな時、村人の一人がケイルの後ろにたっている刀夜の存在に気づき疑問の声を上げる。

 

「ん?ケイル、その後ろに立っている青年は誰だ?」

 

「そうだ!こいつの紹介をしないとな!みんな、こいつはトーヤ。トーヤが乗っていた船が沈没してここに漂流したらしい。少しの間この村で働きながら過ごしてもらうことにしたから、みんな仲良くしてやってほしい!」

 

ケイルがそう言い終えると、振り返り刀夜の肩を叩く。何か一言、というところだろう。刀夜は渋々挨拶する。

 

「霧雨刀夜という。少しの間、よろしく」

 

刀夜の無愛想な挨拶の後に、ケイルがフォローを入れる。

 

「トーヤは少し人付き合いが苦手らしくてな。みんな暖かく接してやってくれ」

 

そう言うと村人達が笑顔で刀夜を歓迎する。

 

「おう!これからよろしくな〜!」

「珍しい名前だな〜、東洋生まれか?!」

「また人が増えるなんて嬉しいわね〜」

 

刀夜は相変わらず無愛想な顔のままであった。暖かな歓迎は刀夜にとっても悪い気はしなかった。だが刀夜にとってはそれ以上でもそれ以下でもなかったのだ。そうして刀夜の紹介が終わると、ケイルは仕事に戻るよう村人達に伝える。

 

「 トーヤ、クエストカウンターの前に座っている俺の父親に挨拶してこい。一応、この村の村長だしな。挨拶が終わったら俺の所に来てくれ、トーヤの寝泊まりする場所まで案内する。あと暇がある時でいいから新人ハンターのライトにも挨拶してあげてくれ。別行動とは言え、同じモガの村で働くもの同士、顔も知らないというのはまずいだろう。トーヤのことは予め俺が説明しておく。仲良くな」

 

刀夜は面倒事が増える一方だと嘆きつつも、少しの間とは言え、この村で過ごすには必要なことだと感じたので大人しく言う通りにしようと思った。そうして刀夜は村長であるロイス=バーンの元へ向かった。

 

 

「お前さんが新しくここで過ごすことになったトーヤかの?恐らくセガレから聞いておるであろうが、わしがこのモガの村の村長、ロイス=バーンだ。よろしくのぅ…」

 

「霧雨刀夜…よろしく」

 

ロイスの容姿がMH3の村長と同じであったため、刀夜はどこか懐かしさを覚える。

 

「うんむ、お前さんの話は先程聞いておったが、人付き合いが苦手なのであったな。安心せい、ここの皆は優しいものばかりだ。何かあれば遠慮せずに相談するがよい」

 

「…ありがとう」

 

刀夜としては余計な関わりは持ちたくなかったため、それは極力避けたかったが、気づかうロイスに礼を述べる。

 

「まあ、仕事の方はしっかりな。さて、お前さんにはまだこれからすることがあるであろう。挨拶はこの辺にして、セガレの元へ行ってくるのじゃ」

 

そう言うロイスに対し刀夜は頭を下げ、ケイルの元へ向かった。その刀夜の後ろ姿を見つつロイスは考えていた。

 

(あやつの背中にあるもの、見たことのないものだ…。恐らく武器であろうが、どんな武器か想像もつかん。霧雨トーヤ、一体何者じゃろうか…)

 

その問に対する答えはいくら考えても出るはずもなく、ロイスは刀夜に対して興味を抱くのであった。

 

ケイルの元へ戻った刀夜は現在、自分が寝泊まりする部屋についての説明を受けていた。ちなみに刀夜の部屋の場所は新人ハンターが寝泊まりしている一つ上の階であった。

 

「この村にいる間はここがトーヤの部屋になる。風呂はあっちにあるからな。食事もこの部屋で取ってもらう。あとトーヤ、腹減ってるだろ?そこの机のもの、食べていいからな」

 

ベッドの横にあるテーブルの上には、湯気が出た温かな料理が並んでいた。

 

「…何から何まで感謝する。ありがとう」

 

食事と寝床、2点に関して言えば刀夜にとって本当にありがたかった。

 

「まあその分しっかり働いてもらうけどな!さあ、今日はもう疲れただろ?飯食ってゆっくり休むんだぞ。明日からはもう働いてもらうしな。じゃあ、また明日な」

 

そう言ってケイルは部屋から出て行った。刀夜は背中の黛を壁にかける。そして机の上にある料理を食べつつ、今後のことを考えていた。

 

「最初はどうなるかと思ったが…食べ物と寝床を確保出来たのは良かった。あとはこの村との関わり合いだが…極力影は薄めて依頼をこなしつつ、この世界に関する情報を集めよう。あとは、自分の狩猟スキルだな。こればかりは実際にやってみないとわからない」

 

ジャギィと戦いはしたが、一太刀で勝敗が決したため刀夜の太刀を扱う腕前がどれほどのものかは分からなかった。刀夜はジャギィにあっさりと勝てたからと言って、決して自分の狩猟スキルを高いとなどという過信はしない。

 

「ある程度そういった事が分かり次第、この世界を見て回るか。ククク…本当に楽しみだ…。様々な環境下での様々なモンスターの狩猟、ゲームでも相当のめり込んだが、それが現実となると比べ物にもならないな」

 

今後のことを考え、刀夜は心を弾ませる。

 

「とりあえず、明日からはモガの村の依頼をこなして行くか。ケイルにはアイテム採集と言ったが、自分の力を測るためにも、やはり狩猟は必要だ。バレないようにだけ気をつけないとな…」

 

そうして刀夜は自身のこれからの方針を決め、料理を食べ終えた。そして今日1日の疲れを癒すため風呂に入った後ベッドに横になり、深い眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遂に刀夜、拠点を見つけましたね。
刀夜1人の時と他の人がいる時の文章書くペースが全然違う…。他の人の描写を入れるとどうしても時間がかかります。

それでは、7話で会いましょう。

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