―――「おぉ~。新しく千歳と千代田が航になって軽空母の仲間入りしたんか。うーん…、大鯨も龍鳳に?あっかーん!こりゃマズいでぇ!?軽空母の巨乳率が上がってまう。どうにかしなあかんなぁ…」
ある日のこと、千歳航と千代田航と龍鳳は指令室に呼ばれました。三人が提督にそこで言われたことは、軽空母になったことによって越えられなければいけない絶壁があるから、ことが収まるまで一時的にそれぞれ丈夫な家を建ててそこで過ごしてほしい。という内容のことだった。
なんのことかさっぱりわからなかった三人は、とりあえず、それぞれ妖精さんの力を借りて、千歳航は日本酒には木があうと言って木製の家を、千代田航はお姉に包まれたい!と言ってセメント、ソーダスト、ラテックスなどの合成素材の家を、龍鳳は提督の言っていた『丈夫な』という言葉を胸に、コンクリートと鋼で出来た原子力発電所のような家、否、要塞を建てたそうな。
各々が新しくできた家でくつろいでいた。
そんな時、千歳航の家にお客さんが来たのだ。コンコンッとノックをして「うち、龍驤なんやけど。軽空母になったお祝いをと思ってな」と言うお客さん。軽空母の先輩だと思ってドアを開けると、そこにはメスと注射器をもってケタケタと笑う真っ赤な小さめのお客さんが立っていた。思わずドアを閉める。確かにあれは龍驤さんだと何度も何度も自分に言い聞かせる。深呼吸して、再びドアをゆっくり開ける。そして「龍驤さん、ですよね?」と恐る恐る声をかけると「そうに決まってるやない。うちは正真正銘、ほんまもんの龍驤…」と明るい口調で腕を背中で組んでにこやかに返してくれた。千歳航は安心して家に入れようとしたとき、お客さんは「…巨乳を憎み、巨乳のメス豚どもの胸からぜい肉を取り除く、永遠の絶壁、龍驤…や!」と言い放ち、メスと注射器をこちらに向けて襲い掛かってきたのです。思いっきりドアを閉めて龍驤を撃退する。反撃しようにも、狭い室内では艦載機が飛ばせません。鍵を閉めて外に連絡しようとしたとき、『バララララララ』とプロペラの音がすると、一気に木の家は火の海の中に沈んでしまいました。何とか軽いやけどを負いながらも逃げだして、助けを求めて、千代田の家に向かった。
千代田航は驚いた。愛する姉がけがを負いながら自分の家に逃げ込んできたのだから。
「大丈夫!?」
「だ、大丈夫だから。それよりもここに龍驤さんを入れないで」
「何があったていうのお姉」
コンコンッ
「あ、ちょっと待っててね。はーい。すぐ行きまーす」
「ダメ!開けちゃだめよ!」
「え?」
千代田は千歳の忠告間に合わず、ドアを開けてしまいました。すると、
「今晩はぁ。いやー、軽空母になったらしいやない!それで、お祝いをと思ってな」
「あ、龍驤さん。わざわざありが、キャッ!お姉何でドア閉めるの?鍵までかけて」
「お、落ち着いて聞いてね。実は私、りゅ、龍驤さんに襲われたのよ」
「そ、そんなわけないじゃない」
「ここの家は私のとこより丈夫そうだけど、逃げる準備をした方が…」
そんな話をしていると『バララララララ』と、千歳にとっては二度目の悪夢が始まりを告げる音がしました。
「えっ?何の音?」
「龍驤さんの艦載機よ」
「そ、そんなこと」
「きっと、提督が家を丈夫に作れっていうのは、龍驤さん対策ね」
「そうかも、だけど」
どんどん室温はあがっていきました。それもそのはず、家の周りも家の屋根も火の海でした。どんどん室温があがって、とうとう屋根や壁が激しい爆撃に耐え切れずに、ひびが入り、穴が開き、とうとう逃げ込んだキッチンまで火がまわってきました。
「あっあそこの穴から逃げましょう。このことを龍鳳さんにも伝えないといけないし」
「わかった、お姉。すぐ行き、ま」
「おやおや、姉妹仲良くどこ行きはりますの?」
「「ヒッ」」
そこには、メスと注射器をもった龍驤さんがケタケタと笑いながら少し遠くの方に、まるで炎と戯れるように立っていました。「じっとしといてくれたら、早く終わるのにな~」と言いながらゆっくり近づいてきました。そこで、千歳が近くにあるものを片っ端から投げ飛ばしました。塩の入った瓶に、お皿。そして、思わず日本酒のたっぷりはいった一升瓶を投げてしまいました。もちろん龍驤はよけました。しかし、うしろの壁にぶつかって、瓶が割れて中身が出ると、すぐに引火してそこそこ大きめの爆発が起こりました。龍驤は勢いに飛ばされ前に倒れました。それを見計らって二人は一目散に逃げました。
二人がやけどを負いながら逃げ込んだ先は、龍鳳の家です。龍鳳は初めは驚きはしたものの、すぐに中に入れて、龍驤撃退の準備を始めました。まず、鎮守府に電話をしようとしましたが、なぜか電波が悪く、つながりませんでした。次に、すべての窓をシャッターで閉め、燃えやすいものをすべて二階に運び込み、自らの艤装とお酒や食用油を手元に置き、戦闘態勢に入ります。すると、ピンポーンとインターホンが鳴りました。小さな液晶から外の様子をうかがうと、そこには龍驤が立っていました。
『おーい。龍驤なんやけど、中入れてくれへん?軽空母になったお祝い持ってきたで』
「……」
『いるんはわかっとるんや!偵察機が二匹のメス豚かくまってんのをしっかり見とるからなぁ!』
「……」
『そっちがその気なら、強硬手段にでるしかないなぁ』
そう言ってケタケタ笑うと、龍驤は少し離れて艦載機を放ちました。『バララララララ』と、悪魔の雄たけびがあたりに響く。しかし、いくら外側を燃やせど、分厚い壁で覆われた要塞はなかなか丈夫で、龍驤は破壊するのに手こずっていました。「こうなったら…」と、龍驤は小さくつぶやくと、艦載機をその要塞にぶつけ始めました。いわゆる、『特攻』です。すると、どんどん壁にひびが、穴が。そうしてとうとう小学校高学年が通れるぐらいの穴が開きました。
「へへへ、じゃまするでぇ~」
とうとう、龍驤は中に入ってきました。しかし、龍驤は大量の液体をかぶせられました。それは、三人が用意したお酒や油でした。龍驤は驚いて後ろへ下がります。しかしそのことにより、屋外の炎が燃え移り、一瞬にして龍驤は火だるまになりました。
「くそぉ!」
そのとき、「なにやってるんだ!」と声がして、龍驤が水浸しになりました。
「へ?提督?」
「千代田…それに千歳と龍鳳、無事で何よりだ。いや~、本当にここまで粘ってくれて助かった。こいつは巨乳に対して過剰な敵意を向けるんだ。だから、鎮守府から離しておきたかった。あと、携帯使えなかっただろ?それは、共犯の夕張がなんか機械を仕掛けたらしい。普段は有能な二人なんだがなぁ。とにかく、何らかの処罰をこいつらにあたえないとな」
「す、すまんなぁ。みんな」
「はぁ。外の車で鎮守府に戻るが、一緒に行くか?っていうかそうしないと寝るところもうないよね」
「「「お、お願いします」」」
その後、龍驤と夕張は禁固刑と鎮守府の美化活動という処罰を受けたそうな。
めでたしめでたし