サキサキルート ~It's wonderful life~   作:成龍

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第1話

 

 

 

「黒のレース」

 

出会いは最低だった。

パンツを見られたり働けば負けとかフザけた文章を書く奴にこんな想いを抱くはずがないと…アイツに救われるなんて思ってもいなかった。

いきなり愛してるぜとか言ってくるし。

でも結局そんなアイツのおかげでまた大切な家族との時間を取り戻せたのだから。

だからありがとうって言いたかった。

言いたかったけど恥ずかしくて言いに行くつもりでいたけど言えないまま明日は言う明日は言うと心に誓ったのに1日、また1日とズルズル引き伸ばしてしまっている。

本当に感謝してもしきれないのに。

なのに…なんでまたアイツは余計な事を…

働きたくないとかブツブツ言っておきながら

 

 

『ねぇ、アレが噂の最低な二年でしょ?』

 

『アイツあんな事しておいてよく学校来れるよねー』

 

結局アンタが一番働いてるじゃん…

校内1の嫌われ者になって、ホントは傷ついてる癖に平気なフリして…

アタシ、前に偶々見ちゃったんだよ。人が来ないところで壁に拳打ち付けて泣いてるアンタを。

 

『クソッ、こうなることは分かってた。でも…やっぱキツい…』

 

心が痛む…大切な家族との時間を取り戻させてくれたアンタに何かしてあげたい。

恩を返したい。

アタシは彼に何をしてやれる?味方でいること?当たり前だ。

傍に居てやること?いやソレは彼女だと思われないだろうか?それにこんな無愛想な女が彼女じゃあアイツは嫌だろうな…まあ距離はほどほどにしておこう。

というかなぜアタシはこんな事を考えたんだろ…それにアイツの傍には奉仕部の二人がいる。

アイツらなら大丈夫だろう。

だったら理解してあげる?それならアイツを知ることから始めなきゃ。

でもどうやって?ただですら感謝の想いを告げるのをズルズル引き伸ばしてるアタシがいきなり話しかけたりとかしたら自称ボッチのアイツは困るんじゃないか?アタシでもビクッてなるかもしれない。

でもこれだけは分かる。

彼を独りにしちゃいけない。

いつか壊れてしまうかもしれないから…だからこそ近くにいてやりたいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

比企谷がアタシのバイト先に来た日以来、バイトを辞めて学校には遅刻しないように行けるようになった。

戸を開けると『やべーっ、べーわ、それどこのナニタニ君?』とかいううるさいクラスメイトの声が耳に入り不快に思いながらもアタシはアイツと同じように寝たフリを始める。

中学の頃だったら戸部の胸ぐら掴んで壁に叩きつけて説教してたかもしれない。

いや、多分あの頃のアタシは家族以外に説教なんてしないな。

殴ってる可能性の方が高い…昔のアタシ物騒だな。

周りが比企谷の悪口やら噂話しをしている中、その噂を広めた元凶の相模はというと、なぜか急に大人しくなっていた。

何かに気付いてしまったのだろうか?

視力に自信があるわけじゃないからハッキリとは分からないけど戸部がナニタニ君ナニタニ君言う度に申し訳なさそうな表情になってるようにも見えなくはない。

とりあえず戸部の言葉に反応してるという事は分かる。

それから数分すると誰かが戸を開ける音が聞こえてソコを見る。アイツはいつも通りめんどくさそうに教室の戸を開けクラスメイトに話しかける事もなく机に突っ伏して寝たフリをする。

きっとアタシが戸を開けたところから寝たフリを止めて見ていたことにも気付かなかっただろうな。

比企谷が来た事に気づいた戸塚が友達との話を切り上げ朝の挨拶をしに行く。

戸塚に話しかけられた時めちゃくちゃ嬉しそうなのがちょっとイラッてくるけど…

どんだけ戸塚好きなんだよ…戸塚は一応男だからね?分かってるよね?

でもアタシもあんな風に堂々と話しに行きたいな…

なんで行けないんだろ。戸塚が羨ましい。

そして戸塚との会話を終えてアイツはまた机に身を任せて寝たフリを始めたところで同じようにアタシもまた寝たフリを再開する。

 

 

 

 

 

 

 

「修学旅行の班決めをします。先生は職員室居るから決まった班はメンバーの名前を書いて職員室に持ってくるように。班は絶対に男女別で」

 

しばらくすると修学旅行の班決めになった。

アタシを誘ってくれる人は今のところ誰もいない。

この際だから比企谷に声をかけてみようかな?アイツは絶対に自分からは声かけないだろうし戸塚も一緒みたいだし戸塚がいるとなんか安心するんだよね。

いろいろフォローしてくれそうだし優しいし可愛いし戸塚ホント天使!

いやアタシも戸塚大好きじゃねぇかっ!

 

「サキサキー同じ班になろう!そして男子たちの未来を語り合おう!」

 

心の中で1人漫才をしているとまだ友達になったつもりはないが海老名が声をかけてきた。

いや待って、そんな予定じゃなかったしアタシそういう趣味ないんだけど?

とツッコミたい気持ちを心の中に押し込み、班は男女別だったことを思い出して諦める事にした。

それにコイツがいるということは三浦は絶対にいるんだろうなぁ…本当は嫌だけどコイツしょっちゅう鼻血噴射するし。

自分で言ってて思うけど鼻血噴射って何?鼻血って普通垂れるんじゃないの?ドバァッて音が出る時点でおかしいよ?アニメとか漫画とか小説とかじゃないとありえないよ?

でもあの鼻血の量はやっぱ心配になるからな。

三浦がいなかった場合の事を考えて見ておかなければいけない。

 

「サキサキ言うな!…まあいいけど」

 

「ツンデレさんめ!ツンデレサキサキ」

 

体育祭の時からよくこんな風に絡まれる。

ちょっとウザいけど別に嫌ではない。ホントだよ?

 

「…」

 

「とりあえず向こう行こっ!サキサキ」

 

「あぁ…」

 

ただ三浦とは仲良くないしなぁ…まあ最初は嫌いだったけど最近たまに見せるアイツのオカンみたいなとこは嫌いじゃない…でも仲良くなれるか?なれない可能性の方が高い。

とりあえずキレないようにまずは我慢しようか。

 

「えーコイツも同じ班?あーしコイツ苦手なんだけど」

 

我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢食我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢………

 

「まあまあ優美子落ち着いて!サキサキ意外と良い娘だから大丈夫だよ。」

 

 

 

 

 

この先大丈夫だろうか…

 

 

 

 

 

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