超有名ゲームの世界で死んで行く俺たち。   作:高任斎

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断言しよう、誰かが死ぬ。


デス1:君が逝く。

 吹きすさぶ風が、よく似合う荒野。

 地雷原上級ステージを前に、俺たちは動けずにいた。

 

 ああ、もちろん、特殊能力によって最初の一歩は爆発しない。

 

 俺の世代だと、最速タイムを目指して素早く数カ所クリックして、大きな拠点ができたらあらためて取り掛かるみたいなスタイルが主流だったんだが、最近のバージョンはちょっと違うらしいな。

 最初の一歩で、大きさに違いはあっても必ず拠点区域ができるとか。

 一瞬、随分と親切設定になったんだなと思った。

 なんせ、俺らの世代がマインスイーパーにはまった頃は、拠点を作るまでに何度もゲームオーバーになってたからな。

 でも、考えてみてくれ。

 

 最初の一歩は、爆発しない。

 最初の一歩で、必ず拠点ができる。

 

 なあ、おかしくないか?

 つまり、地雷の配置が最初から決まってるんじゃなくて、こっちのクリックに合わせて再配置されてるってことじゃねえのか?

 それはつまり、ゲームを進めていく上で必ずと言っていいほどぶつかる状況、『ヒントなしで2分の1』を選択させられる時、任意に当たり外れを決められる可能性があるってことじゃないのか?

 

 ……そこに思い至って、冷や汗が出た。

 

 どこまでっ、どこまでふざけたゲームなんだこれはっ!

 

 必死に歯を食いしばる。

 しかし、涙が止まらない。

 死にたくない。

 地雷原ステージは永遠に続いていくのだ。

 時間制限がなくとも、どうしようもない2分の1を繰り返していけば、俺たちは必ず死ぬ。

 うろ覚えだが、上級ステージのクリア率なんて、20%ぐらいだったんじゃねえのか?

 

 一歩を踏み出すことができずにいる俺たちを笑うか?

 どうせ死ぬならいつ死んでも一緒だろ、と。

 理不尽にまみれた世の中だが、それでも、こんな理不尽はあんまりじゃないのか?

 

 膝をついていた。

 両手をついていた。

 まるで可視化されたような絶望を前に、俺は立ち上がることさえできずにいた。

 

「発想の転換だ!」

 

 俺が、みんなが、声の主を見ていた。

 

「マインスイーパーの世界だってのは認める。しかし、ここは現実だ!現実なら、いくらでも手段がある」

 

 俺よりもずっと若い男だった。

 思慮分別に欠けたって感じじゃない。

 男は、まるで幼稚園児が砂場に向かって飛び込むように大きく地雷原に向かってジャンプした。

 

 特殊能力発動!

 

 男を中心に、荒野としか思えなかった地面が綺麗なタイルの陣地を広げた。

 そして、その周辺に浮かび上がる、呪いの数字。

 その数字は、周囲8方向のヘックスに、いくつ地雷が仕込まれているかを示すもの。

 その数字から推測して、地雷の位置を確定していくのが本来のやり方だが……。

 

「所詮は地雷」

 

 男は、地面に向かって岩を投げつけた。

 地面とぶつかり、転がる。

 

「ここに、地雷はない」

 

 待て!

 俺の叫びは届かなかった。

 いや、遅かったのか。

 男が吹き飛び、あちこちで爆発が起こり……ステージがリセットされる。

 最初の犠牲者を前に、俺たちはあらためて胸に教訓を刻んだ。

 

 地雷は、人間に反応して爆発する。




言いだしっぺは死ぬ。
岩をどこから取り出したとかいうんじゃない、人生、ノリと勢いとタイミングだ。
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