異世界って聞いたら、普通、ファンタジーだって思うじゃん。   作:たけぽん

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17. 閉幕

 

 

 

 

 

「ではこれより、閉会式を始めます」

 

 やっと終わりか、耐えて耐えて耐えたぞおおおおおお!

うん。このテンションを体育祭にぶつければ良かったんじゃないかな。反省反省♪

生徒たちはすっかり疲れた様子で、校長の話なんて誰も聞いていなかった。俺だけピンピンしてるなんて、校長にも他の生徒にもなんだか罪悪感があるな……。いや、無いな。

 

「ではこれより、クラスの順位と特別点獲得者を発表する」

 

木崎先生の言葉に、生徒たちの雰囲気がガラっと変わる。まあ今日一番大事なところだしな。

 

「総合結果による特別点については、一週間以内に学校で審議ののち該当者に通達する。なのでこの場では、クラスの順位とその中の獲得者を発表することになる」

 

ということはこの場では瑠璃と安藤の勝敗は分からないということか。クラスに関しては……どうでもいいか。

 

「では結果表を提示する。」

 

そう言うと大きな電光掲示板が運ばれてくる。何に使うものなのか分からなかったが、ここで使うものだったのか。

数秒して電光掲示板が点灯した。生徒の目は上位3位にくぎ付けになる。

 

 

3位 2年C組  安藤 直樹

 

2位 1年B組  望月 武哉

 

1位 1年D組  泉 忠則

 

 

「……は?」

 

 思わず声に出してしまった。安藤が3位なのは分かる。かなりの好成績だったし。泉が1位なのも評判通り、流石野球部レギュラーだ。だが2位は? 1年B組ならどう考えても瑠璃が獲得者のはずだ。だがそこには俺の名前が表示されている。何かの間違いだろうか。

 

「以上で特別点の発表を終わる」

 

え、終わり? 詳しい内訳とか説明無いの? もうボクワカラナイヨ。タイイクサイワカラナイヨ。

 その後、特に何も無く閉会式は終わってしまった。

その瞬間、俺のところにクラスメイト達が押し寄せてきた。なんだこれ、一躍時の人だな、俺。

 

「おいおいすげーな望月!なんだ?何がそんなに評価高かったんだ?」

「やっぱ二人三脚はお前が何かしたんだろ!?」

「望月君すごーい!隠れた天才ってやつ?」

 

め、めんどくせえ……。その後、しばらくクラスメイトたちは俺にあれやこれや聞いてきたが、瑠璃が打ち上げを提案するとすぐさまそっちへ興味を移した。助かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はようやくクラスメイトから解放され、グラウンドの端のベンチに座った。色々と面倒なこともあったが、なんとか終わったな……。そうして感傷に浸っていると、見知らぬ人物がこちらへやってきた。誰だ? 見る限り上級生のようだが。そしてそいつは俺の横に座り、おもむろに話しかけてきた。

 

「――監視カメラの映像なんてどうやって手に入れたんだ?」

 

……突然だな。だが、なるほどな、ようやくあの時の答え合わせができるわけだ。

 

「なんのことだかさっぱりだ」

「とぼけんなよ、泉から話はきいてるぜ?渋谷ミサの計画を看破した奴がいるってな」

「泉の話が真実って確証もないだろ」

「確かに。だが今日の二人三脚。あれを見て確信した。お前がペアの女の表情や走り方、そして感情を読み取ることで、動きを上手く合わせてあの結果を出したってことがな。実行委員の中で渋谷の計画を見破れたとしたらお前しかいない」

 

 こいつ、かなりのキレ者だな。そして何より不気味なのは、こいつからは一切感情が読み取れないことだ。顔だけを見れば楽しんでいるように見えるが、それが仮面であることは明らかだ。こんな奴に会ったのは初めてだ。

 

「俺からも聞くが、渋谷たちをけしかけたのはあんただな?」

「そう思った理由を聞こうか」

「実行委委員が始まったのは5月の途中だ。だがカメラの映像によると5月の早い段階で渋谷たちは実行委員での妨害を考えていた。ひなが実行委員になるなんてことはあの時点では他クラスに知れ渡ってはいないはずだ。何より、俺が対面した渋谷ミサはカメラの話を出すまではなんとか平静を保っていた。そこから明確な証拠が出ない限り事実を隠ぺいできるほどの力を持ち、鋭い洞察力がある奴がバックにいると確信した」

 

 それに、渋谷の動機は妬みによるものだった。それにしては、計画はしっかりと練られていた。そこに一番、違和感があった。

そう言った後、相手の表情を伺ったがやはり何も感じられない。

 

「さすがだな。その少ない情報から俺の存在まで予想していたとは。もはや洞察力とかそんなレベルじゃねえ。とんだ大物だ。その通り。渋谷には沢渡ひなが実行委員になることを教えてやった。後はあいつが考えてやったことだがな」

「そしてもう一つ。俺が策を看破するのもあんたの予定通りだった。そうだろ?」

「ふっ。それに関しては今気づいたって顔だな」

「あんたの意図を聞こうか」

「何、簡単なことさ。俺は自分を最大限高められるゲーム相手が欲しかったんだ。そのための餌にお前は引っかかったってことさ」

 

……とんだ大物はどっちだよ。

 

 

「悪いが俺はあんたとゲームで遊ぶつもりはないぞ」

「ふっ。すぐにお前もその気にさせてやるよ」

 

さいで。もうこれ以上話しても意味はなさそうだな。

 

「……悪いが、見たいテレビがあるんだ。俺は帰らせてもらう」

「せめて名乗らせろよ。2年C組、月島海聖だ。よろしく頼むぜ、望月武哉」

 

いや、聞いてないから。

そのとき、やっと感情が感じられた。それは、喜びに似てはいるがなんとも表現できない。そんなおぞましいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ話って」

「なんだよじゃありませんよ、あんたが小細工したんでしょ。藤堂先生」

 

 夕暮れ時。俺は人気のない教室で藤堂先生に尋ねた。この先生は以前、木崎先生に俺の事を有能だと吹き込んだ事実がある。そして木崎先生と長い付き合いがあるらしいので、あの結果はこの男の仕業だと確信していた。

 

「なんのことだ?」

「俺に嘘が通じないのは分かってるでしょうよ」

 

おそらくは二人三脚の練習でひなと走った時から、この男は俺の『力』に気付いていたはずだ。

 

「なら分かってるだろ?二人三脚の結果を加味してやったんだよ」

「それだけですか?」

「後は企業秘密だ。まあ、ヒントを出すなら、この学校が道有数の進学校だってことかな」

 

ものぐさ教師のくせに企業秘密とは矛盾もいいところだ。これ以上話しても無駄だろうし帰るか……。

 

「望月」

「なんですか、家で録画したドラゴンボールが待ってるんですけど」

「お前の“それ”は劇薬だ」

 

……全く、恐ろしい先生だな。

こうして、体育祭は幕を閉じた。

 

 




次回予告

武哉「終わったな、体育祭」

ひな「……」

武哉「長かったな」

ひな「……」

武哉「どうした?ひな」

ひな「どうしたじゃないよ!何なの今回!ライバルみたいな人出たり、『力』とか意味深な言葉使ったり!異世界日常物語じゃなかったの?これじゃあ異世界異能学園黙示録になっちゃうよ!」

武哉「それに関しては作者から一言あるそうだ」

ひな「なんて?」

武哉「『今では反省している』だそうだ」

ひな「嘘だ!絶対反省してないよね?しかもそのネタ知ってる人そんなにいないでしょ!」

武哉「次回『試験』」

ひな「まだ話は終わってな……」

武哉「次回『試験』」

ひな「お楽しみに……ってそのゴリ押しは流石に無理があるよ!」
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