異世界って聞いたら、普通、ファンタジーだって思うじゃん。 作:たけぽん
ピピピピピピピピピピピピ。
アラームを止めて俺は起き上がる。……なんだ。やっぱり夢だったのか。けっこうリアルな夢だったな。寝起きで体が硬いので体を伸ばしてみる。
「ん~……あれ?」
目をこすって意識を覚醒させると、そこには知らない天井、知らない部屋があった。
「マジかよ……」
いや、まだ確証はない。とりあえず周りを調べてみよう。俺は布団から起き上がり、部屋の探索をすることにした。
……机があるし、身長からして学生だろう。生前は大学生だったわけだが、こっちではどうだろうか。机の上を確認すると、カレンダーと財布があった。順番に見ていこう。
――現在は西暦で2017年4月。
どうやら現代らしい。学生証も確認してみようか。
――札幌市中雲(なかぐも)高校1年生、望月武哉。住所は北海道、札幌市中雲区と。
高校生って……マジで転生したのか……。
……流石にドッキリにしては凝りすぎている。そう思い恐る恐る、部屋にある姿見の前に立ってみることにした。
「これはもう言い訳できないな……」
どうやら転生前と転生後で別人の姿になったというわけではないらしいが、あきらかに大学生の頃の俺の風貌ではない。高校生ってこんなに肌つやつやだっけ。それに身体の大きさも違うな。これは若返っただけとみていいのだろうか。しかし、俺の見た目が大幅に変化しているという事実が、“異世界ではないかもしれない”という僅かな可能性にとどめを刺した。これは認めざるを得ない。女神との会話含め、ここまで全部が夢だというなら別だが。あとは、世界観も把握しとくべきか……。
……とりあえずこの世界は俺の住んでいた世界と外観は同じようだった。札幌市に住んでいるのも生前と変わらない。だが、違う点も多々あった。まずこの家には俺しかいない。つまりは家族がいない。そして中雲区なんてものも生前の札幌市にはない。……まぁ少なくとも日本であることは確かか。いや待て、中雲なんて知らない土地があるんだ、この目で確認するまでは日本かどうかも疑ったほうがいいかもしれないな。とそこで、
―――ぐぅ~
腹の虫が鳴った。考えることは山ほどあるが、まずは飯にしよう。腹が空いてはなんとやらだ。
空腹を満たした後、妙に疲れていた俺はすぐに眠ってしまった。転生するのにもやっぱり体力いるのかねぇ。
ピンポーン。チャイムの音で目が覚めた。時計を見ると午後4時を回っていた。さっき起きたのが午前7時だったから、実に9時間も寝ていたことになる。ピンポーン。ああ、はいはい。今出ますよっと。
ドアを開けると、そこにはセーラー服に身を包んだ、俗に言うJKが立っていた。もう少し言うと、身長は一般的な女子高生より少し低め、顔は整っていて、髪型はポニーテール。体型はそうだな……これも一般的な女子高生よりも少し痩せめだ。
「望月武哉くん……だよね?」
綺麗な声がする。
「そうだけど……?」
「体調、悪かったの?」
「へ? いや、特には?」
「……今日、入学式だったのは知ってるよね?」
しまった。迂闊だった。今は4月、そして俺は高校一年生。つまりはそういうことだ。
「今日だったのかよ……」
「……ぷっ、あはははは!」
JKは笑い出した。
「入学式忘れるって……ぷっ、あはははは!面白すぎだよ~!」
話題を逸らそう。女子に笑われるとかトラウマぶり返しちゃうって。え? なんのトラウマかって? いやいや……察して? ね?
「で?君は誰で何しにここへ?」
「あーそうだった。えっと、あたしはあなたと同じ一年B組の沢渡ひなです。ここまで言えば何しに来たかは分かるよね?」
なるほど、おそらくは連絡もなしに入学式をさぼった俺の様子を確認しろとでも言われてきたんだろう。そのボランティア精神に敬礼。
「入学式忘れて何してたの?」
「いや……別に……」
「まあ元気ならよかった。じゃあ明日からはちゃんと学校行くんだよ?」
「あ。ちょっと待ってくれ」
彼女を呼び止める。そう、俺は大事なことを忘れていた。
「しばらく一緒に学校に行って欲しいんだが。」
何故なら、俺はこの辺一帯の地理が分からない。中雲区なんて生前は無かったからな。だが何故か彼女の反応は、
「ふぇ!?……えっと……その……えっと」
なんでこの子こんなに動揺してるんだ? 俺と学校行くってそんなに嫌か? 転生してすぐにショックで死んじゃうかも。と思っていると彼女が口を開いた。
「何で……急に?それに……あたしなの?」
ああ……これはあれですね、チョロインですね。まあ俺の言い方が悪かったか。てかそれにしてもちょろい。少し意味深なこと言われるだけで勘違いとか中学生か……。
「俺はここに来たばかりで土地勘がないんだ。それにわざわざクラスから君が選ばれてここまで来たってことは家が近所だったりするんだろう?」
「まあ、近所というか、隣の部屋だけどね」
「……」
言い忘れたが、俺の転生先の宿はどこぞの高級マンションだった。あのウザ女神の最大限の配慮なのだろう。
「なら話は早いな。じゃあ明日迎えに来てくれ。じゃまた明日。」
「あ、うん……」
半ば強引に話を終わらせ、俺は部屋に戻った。さてと、明日の学校の準備をするか……。この世界がどうなっているのか知るには、しばらくここで高校生をやっていたほうがいいだろう。学園異能バトル系なのか……デスゲーム系なのか……まあその辺だろう。
こうして俺の望月武哉としての異世界高校生活が始まった。
次回予告
武哉「というわけで始まったな。『異世界って聞いたら、普通、ファンタジーだって思うじゃん』」
ひな「そうだねー。いったいどんな話になるんだろう?」
武哉「作者は最近『俺ガイル』や『よう実』にはまってるみたいだからそんな感じじゃないか、多分。典型的な陰キャの妄想が炸裂しそうだ」
ひな「も、望月君……あんまり言ったら読者がいなくなっちゃうよ……」
武哉「てかタイトル長すぎだろ。略称とかないのか?」
ひな「作者は『いせファン』って呼んでるみたいだけど……」
武哉「何か聞いたことある略し方だな……たしか『異世界はスマ…』」
ひな「わー!それ以上いったら本当に読者いなくなっちゃうから!じ、次回!『登校』!」
武哉「お楽しみに」