異世界って聞いたら、普通、ファンタジーだって思うじゃん。   作:たけぽん

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20. 貸借

 

 

 

「だからね、ここで公式をつかうと…」

「だ、だめだ……理解不能っ!」

 

相変わらず亜季斗は苦戦している。

俺はといえば、

 

「だから、このグラフが必要になってくる訳だよ」

 

瑠璃に数学を教えてもらっていた

 

「なによ望月、こんな初歩的な問題も分からないの?」

 

このアマ、理数が得意だからって調子に乗りやがって…

 

「ていうか、お前こそパソコンとか使うなら英語は使うんじゃないのか?」

 

パソコンは詳しくないが、ドラマとかのハッキングシーンでは良く分からない数字や英語が表示されていた気がする。それともドラマと実際のハッキングは違うのだろうか。

 

「い、いやその……。翻訳ソフト使ってるから……ね?」

 

ね? って言われても何と返せばいいんだ。答えに詰まったので再び数学に意識を戻す。

 

「そういや、瑠璃って入試の成績どれくらいなんだ?」

 

ふと気になったので聞いてみたら、急に部屋が沈黙した。

 

「武哉が、他人について聞いただと……?」

「あ、あり得ないわ…」

「も、望月君、体調悪いの?」

 

なんだこいつら、俺が他人に興味を持つのがそんなに異常だとでも言うのか。

 

「もっちー。成長したんだね……。うんうん……私は嬉しいよ。グスッ」

 

こいつが一番失礼だ。もういい。さっさと問題を解こう。

 

「あー、望月君、いじけちゃった?」

「別に」

「いや、それ絶対いじけてるでしょ」

 

なんだこいつら、めんどくさすぎるだろ。ツンデレってやつ? どっちかと言うとDV男みたいな感じだけど。

 

「瑠璃ちゃんはあたしと望月君の間くらいの点数だったかな」

 

ようやく俺に悪いと思ったのか、ひなが教えてくれた。最初からそうしてほしかった。さっきのやり取り丸々無駄だったろ。ネット小説ならひどい字数稼ぎと解釈されそうだ。

 

「へー。じゃあこの中だとひなが1番で瑠璃が2番。私が3番で望月と委員長が4番ね」

 

いや、俺お前より点数高かっただろ。しかもなんで亜季斗と同率なんだ。主観丸出しのご都合主義すぎるだろ。

 

「なによ、理数ならあんたなんて足元にも及ばないんだからね」

 

俺の視線から言いたいことを察したらしい。今、全教科勉強してるのは何のためだと思ってるんだよ……。まあ、しおりも俺が嫌いだから言っている訳ではないのは知っているのでそこまで気にはしていないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、それにしても頭を使ったせいで腹が減ってしまったな!」

「何言ってんだ、始めてからまだ2時間しか経ってないぞ」

 

そうツッコミを入れた矢先、俺の腹が鳴った。

 

「そういえば、起きてから何も食ってなかった……」

「何か作ろうか?望月君?」

「いや、冷蔵庫がすっからかんだ」

 

今日の晩飯分くらいしか残って無い。

 

「じゃあ、買い出しじゃんけんだね♪」

 

良く分からないが、じゃんけんをして負けた奴が買い出しに行くというゲ―ムをやるらしい。

 

「いくよー?ジャーンケーン」

「「「「「ぽん!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言って、俺と亜季斗が負けた。なので俺たちは、最寄りのスーパーへ向かっていた。

 

 

「なあ、武哉よ」

「なんだ?」

 

どうせ大した話ではないだろうが、歩いている間は暇なので応じることにした。

 

「明日は暇か?」

「まあ、暇だな」

「ならば……」

「断る。明日こそ一日中寝るんだからな」

 

どうせ明日もうちで勉強したいとか言うんだろうし、断る一択だな。

 

「ま、まってくれ!せめて話を聞いてくれたまへ!」

 

あーもううるせえな。仕方ない。聞いてやるか。

 

「実は明日、サッポロファクトリーで『PSかあにばる』というイベントがあってだな」

 

聞いたことはある。某ゲーム会社主催のゲームイベントで、発売前の作品やハードを試遊出来ることで有名だ。

 

「実はな、男女のペアで入場するとスペシャルアイテムが貰えるのだ!」

「知るか。しおりと行けばいいだろ」

「い、いや!もちろんしおりとは行くが、そのアイテムが複数ほしくてだな!」

「俺に誰かと入場しろってことか?」

「そのとうり!!」

 

正直ゲームイベントには興味がある。だが、問題なのは男女のペアで入場しなければならないことだ。女子の知り合いなんて片手で数えられる程度だし、誘えそうなひなや瑠璃はゲームには興味が無さそうだ。

 

「武哉ぁぁ……」

「何でアイテムが複数必要なんだ?」

「実はな、ペアひと組につきアイテムは一つしかもらえないのだ……。しおりは我に譲ってくれると言うのだが、申し訳なくてな……」

 

なるほど、そういうことか。

 

「……分かった。だが、あまり期待はするなよ?」

 

しおりには体育祭の時の借りがあるし、引き受けてやるとするか。

 

「センキューマイフレンド!これで心おきなく遊べるぞおおおお!」

 

 

こんなに暑いのに元気なもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーパーで適当に買い物を済ませ、自宅へと戻った。

廊下を歩いていると、部屋のほうからどたばたと音がした。

 

「おおお帰り!二人とも早かったじゃない!」

「ただいま」

 

女子たちはものすごく慌てた様子だ。

 

「お菓子と飲み物買ってきたぞ。それと部屋漁っても何も面白いものは無いぞ」

「ギクッ!」

 

瑠璃はいつも通りだがひなとしおりは分かりやすい反応をしてくれた。こいつらは泥棒には向いてないな。

 

「あと、食材を冷蔵庫に入れるんだが、だれか手伝ってくれないか?」

「あ、じゃあ、あたし手伝うよ!」

 

台所で冷蔵庫を開け、食材をいれていく。

 

 

「も、望月君……。勝手に部屋漁ったりしてごめんね……」

「別にいいさ。特になにもないからな」

 

反応から見て、言いだしっぺはしおりだろうしな。

 

「なあ、ところで明日って何か用事あるか?」

「ふぇ!?い、いや、その……ってごめん。明日は塾のテスト対策講座があるから忙しいかな……」

 

一人目。勧誘失敗。

 

「で、でも!また今度誘ってね!」

「あ、ああ。そういえば瑠璃も同じ塾とかだったりするか?」

「うん。そうだけど?」

 

二人目。勧誘する前に失敗。

まあ、まだ手は残されているし、諦めるのは早いか。

 

 

 

 

そうして、時間は流れ時計を見ると既に5時を過ぎていた。亜季斗としおりは集中力が切れ、スマホでゲームをしている。

 

「今日はここまでにしよう。月曜からまたやるってことでいいか?」

 

いい加減、眠いしな。昼まで寝てただろって? 知らん、そんなことは俺の管轄外だ。

 

「そうだね、じゃあまた月曜日ってことにしようか」

 

こうして勉強会は今日のところは幕を閉じた。

 

 

 

夕食を終え、テレビを見ているとメールが来た。

差出人は『赤坂しおり』。どうやら言った通りやってくれたようだ。

これも含めて、明日帳消しにしよう。

 

俺は、目的の相手に電話をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

しおり「次回予告ね。今回こそちゃんと喋るわ」

武哉「気合十分だなそれじゃあ次回……」

しおり「いや、さすがに酷過ぎるでしょ!最早まともな会話すら許してくれないわけ!?」

武哉「冗談だ。次回はあのキャラが再登場するぞ」

しおり「え?誰だろう……。木崎先生とか?」

武哉「さあ、誰だろうな」

しおり「なにそれ、すごく気になるんだけど」

武哉「詳しくは次回、『意外』で明かされるぞ。お楽しみに」

しおり「何とか予告できた……」

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