異世界って聞いたら、普通、ファンタジーだって思うじゃん。   作:たけぽん

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今回から次回予告は少しお休みして、新コーナーをやりたいと思います。


22. 充実

 

 入り口で行うことは、基本2つ。入退場が自由になるリストバンドの装着とパンフレットの受け渡し。パンフレットにはVRブースのチケットも付いている。男女のペアはそれに加えてスペシャルアイテムが貰える。どうやらゲームのキャラのキーホルダーらしい。男女ひと組につき一つしか受け取れないのは運営の悪意を感じる。

 

「次の方どうぞー」

 

俺たちの番が回ってきた。リストバンドを巻いてもらうために腕をだす。

 

「リストバンドをつけさせていただきま…ファッ!?も、望月!?」

 

は?なんでイベントスタッフが俺の名前知ってんの?すでに学校外にも噂広まってんの?

なんてことは無く、顔を上げると答えは簡単だった。

 

「池内…。なにしてんだ?」

クラスメイトの池内だった。

 

「いや、バイトだよ。すごいんだぜ、研修でゲーム試遊し放題だったんだからな!」

「そうか、じゃあバイト頑張ってな。あと、スペシャルアイテムくれ」

「お、おう。こちらスペシャルアイテムになりま…ってそうじゃねえ!」

 

どうやら渋谷の存在に気付いたようだ。これは、あれだな。次にお前は『お前ら、そういう仲だったのか』と言う。

 

「お前ら、そういう仲だったのか!?」

 

予言的中。そのうち時間止められるかもな、俺。

 

「望月、こいつ誰?」

 

渋谷はさらに不快そうな顔で尋ねてきた。

 

「同じクラスの池内だ。詳しくは俺も知らん」

「そう、池内君。言っておくけど私は好きでこんな奴と一緒にいる訳じゃないから。誤解しないで」

 

そんな表情で言うなよ。だが、むしろ説得力があっていいかもな。

 

「好きで来てるわけじゃない……。ということは命令!?ご主人様的なあれなのか!?」

 

半分あってるから、即座に否定できなかった。が、その間がよろしくなかったのか、池内はどんどん妄想を膨らませているようだ。

 

「望月…。お前は敵だ!リア充爆発しろ!こちらスペシャルアイテムになります!どうぞ楽しんで行ってください!」

 

俺を非難しながら仕事をこなすその器用さは見習いたいもんだな。とりあえず池内は放置して、入場することにした。

 

「屈辱だわ…。こんなのと付き合ってると誤解されるなんて」

 

明日からしばらくは噂になるだろうな。二股野郎と勘違いされる未来が見える。まあ、もとより他人からの評価なんて気にしてないが。

 

「にしても、これは凄いな」

 

会場はゲームの音でいっぱいだ。ゲームセンターの拡大版と言ったところか。

 

「なんか、頭痛くなってきた…」

 

まあ渋谷はゲーセンとかいかなさそうだし、予想通りの反応だな。俺としてもアイテムが手に入った以上、渋谷と行動する必要はないのだが、せっかくだしこいつにもゲームの素晴らしさを教えてやろう

 

「適当に回るぞ」

「この人ごみの中で歩きたくないんだけど、確実にはぐれるじゃない」

「手でも繋ぐか?」

「その時はあんたの骨は粉々ね」

 

そんな握力は無いように見えるが…。まあでも迷子になられても困るしな。

 

「じゃあ、俺の服の裾でも掴んどけ、これ命令な」

「この外道が…」

 

そう言いつつも渋谷は裾を掴んできた。ここだけ切り取ったらさぞかし甘酸っぱい場面なのだろう。

 

「お前、ゲームってやったことあるか?」

 

歩きながら問いかける。

 

「無い。そんなことするくらいなら英単語の一つでも覚えたほうが効率的じゃない」

 

つまり丸っきりのゲーム初心者か。となると簡単な操作のものが良いかな。

 

「じゃあ、あれにするか。ちょうど空いてるし」

 

俺が選んだのは、シューティングゲーム。かなり昔のソフトのリメイクで、操作性はそのままで、グラフィックやボイスが遥かにレベルアップしたものだ。ビームを打ったりボムを落としたりするだけのなので、渋谷でも楽しめるだろう。

 

「二名様でのプレイになりますか?」

 

なんと、新作は対戦機能が搭載されているようだ。3本勝負で、2回勝ったほうの勝利となる。渋谷は相変わらずの仏頂面だ。なんか面白いことでも言ってやるか。

 

「二名様でのプレイって意味深だな」

「死んで」

 

怖い。以前瑠璃と電話した時ぐらいは怖い。

二人で席に座り、コントローラーを渡される。とりあえず一番簡単なモードを選ぶ。一通りチュートリアルが終わった後、再びモード選択画面になった。敵を倒していき、スコアで競うモードと、プレイヤー同士で戦うモードだ。

 

「どっちがいい?」

「どっちでも」

 

とりあえず、スコアで競う法にするか。シューテイングゲームを初めてやるならこっちのほうがいいだろう。

 

一戦目がスタートした。

画面を分割して、右が俺、左が渋谷だ。

定石通り、雑魚敵をビームで倒し、地面の砲台に爆弾を落とす。

渋谷の画面を見ると、既に一回死んだようで、スタート地点からやり直している。

しかし、渋谷は文句は言わずに、黙々とプレイしている。

そんなこんなで一戦目は俺の勝ちだった。

 

が、その後不思議なことが起こった。渋谷の機体がノーミスで雑魚敵を撃退し、三戦目のボスもハイスコアで破壊した。

2対1で俺の負けになった。

 

「お前、なにしたんだ?」

「何って、この雑魚敵?とかいうの動きに法則性があるじゃない。ボスとかいうのも攻撃パターンがあるし」

 

なんて奴だ…。やはり天才か…。試遊用だからか、それとも難易度が簡単だったからだろうか。それにしても初見で出来るか?こんなこと。

 

「機械相手だと凡人振りに拍車がかかるわね」

 

ドヤ顔うぜえ…。でも、どうやら楽しんではいるようだな。

 

「次は、あれだな。太鼓の達人」

「ああ、あれは見たことあるかも」

 

流石ドンちゃん。格が違う。

 

「ふはははは!次は負けんぞしおり!」

「つぎも私が勝つよ。あーちゃん。約束通りクレープ奢ってもらうからね!」

 

声のしたほうを見ると、亜季斗としおりの姿があった。どうやらレースゲームをやっているようだ。声をかけようと思ったが、二人とも楽しそうなのでやめておいた。アイテムは今度渡すか。

 

太鼓の達人は五分五分の成績で終えた。その後、会場を歩きまわっているととあるポップを見つけた。

 

「SAOの新作か…」

 

ソードアートオンラインの新作が出ることは知っていたが、もう試遊できるのか。とても気になるが、どうやら一人用だ。渋谷が暇になっちまうな。

 

「別にいいわよ」

 

俺の視線から察したのか、渋谷は承諾してくれた。

 

「それじゃ、お言葉に甘えて…」

そんなに並んでいなかったので、すぐに順番が回ってきた。さて、とりあえずキリトを使うか。

それにしても、形だけみると、今の俺って凄く充実してるな。学校で仲の良い友達がいて、テスト前に勉強会して、今日なんかは女子と出かけたりして。まあ、体育祭の時のような面倒事もあったし、変な先生や、狂った先輩に目をつけられたりもしたが、それでもあの時の俺からは考えられない環境だ。仮初めでは無い、でも本物と断言も出来ない。でも、これは俺があの時求めたものとは違う。

 

 

だからこそ俺は今の俺が嫌いだ。

 

 

 

なんて考えながら、画面のキリトは敵をなぎ倒していく。キリト△。

 

「なかなか面白かった」

「そうね、あんたものすごく集中してたし」

 

傍目にはそう見えるのか。

 

「そろそろVR会場に行くか」

「ずっと思ってたんだけど、VRってなに?」

「ヴァーチャルリアリティのことだ。専用の機械を頭に付けることでゲームに入り込んだような状況でプレイできる」

「へえ、ゲームってのも案外バカに出来ないものね」

 

そんな話をしながら歩いていたら、出入り口で渋谷の姿が消えていた。トイレだろうか。迷子だろうか。だが、出入り口は人が少ないし、迷うはずもない。やはりトイレだろうか。しばらく待つか。

 

 





今回からはキャラ紹介をしていきたいと思います。よう実のプロフィールを参考に作りました。基準としてはC評価が平均値です。わかりやすく言うと、池内はすべてCです。
記念すべき第一回は主人公、望月武哉君です!







望月武哉 (もちづき たけや)



1年B組 部活動 無所属 誕生日  9月12日(転生前後で同一)

学力 C+  知性 A  判断力 A+ 身体能力 C  協調性 C-

主人公。女神の手違いで異世界へと転生させられた高校一年生。元の世界では大学生だったが、転生後の世界では高校生として生きていくことになる。
どのような異世界かを知るために、沢渡ひならと友人関係を結び、日常生活を送ることを決める。
学力・運動能力ともに平均的であるが、真面目に勉強に励めば結果を出せる程度のポテンシャルは持っている。
また、過去のとある経験から、人の表情や仕草から感情を読み取ることに長けているが、本人はその力を使うことに迷いを感じている。
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