異世界って聞いたら、普通、ファンタジーだって思うじゃん。   作:たけぽん

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25. 結果

 

そして時は流れ、俺たちは……

 

 

「やった!初めて英語で平均点超えた!」

「我も全教科平均点を超えたぞ!ふははははははは!」

 

テストを乗り切った。勉強会は意味を成したのだ。そんなわけで、俺たちは学校近くのマックで祝勝会を開いていた。

 

「凄い……凄いね二人とも!」

 

ひなは自分の事のように喜んでいる。まあ、二人の最初の様子を見ていれば喜びたくもなるよな。

 

「もっちーはどうだったの?」

「まあ、やった分はできた」

 

瑠璃の問いかけに素直に答える。

事実、俺の国語の点数は95点。苦手だった数学も80点を超えた。他も80点代を獲得した。10点も上がるとは思ってもいなかった。

 

「そろそろ、個人ページに順位が送られてくる時間だね」

 

確か、10位以内に入ると特別点が貰えるんだったか。まあそうでなくとも順位発表ってのは緊張するものだろう。

 

携帯に通知が来た。これにより、個人ページで順位が確認できるようになった。

 

「あう…あんまり良くないかも……」

 

しおりは画面をみて落胆している。まあ、それでも勉強しないよりはいい結果だったはずだ。亜季斗なんか小躍りしてるし。

 

「ひなはどうだった?」

「うん。1位だったよ。瑠璃ちゃんは?」

「9位。ちょっとミスがあったから」

 

しれっと言ってるけど凄いことだな。特別点獲得おめでとう。

 

「渋谷氏のおかげだな!感謝するぞ!」

 

亜季斗の言葉に、隅でジュースを飲んでいた渋谷が反応する。なぜ渋谷がいるかというと、来る途中にばったり会って、流れで連れてこられたからだ。

 

「別に……」

 

渋谷の表情は暗い。まあ、ひなが1位と言うことは渋谷は2位以下な訳だし、当然だな。

 

「その、渋谷さん…」

 

しおりが遠慮がちに話しかける。

 

「まあ、追試回避出来たのはあなたのおかげだから、お礼は言うわ。ありがとう」

「……そう」

「でも、私はあなたを受け入れることはできない」

「……そう」

 

しおりなりに考えてくれたようだ。渋谷のおかげで結果が良かったのは事実だしな。

 

「そういうことだから」

 

そうして、祝勝会は終わり、俺たちは帰路についた。亜季斗たちとは逆方向なので、ひなと渋谷と3人だ。

 

 

「……」

「……」

「……」

 

何というか、気まずいな。ひなと渋谷の勝負の結果が提示されたことが大きいな。

しかし、この沈黙に耐えろと言うほうが無理だろう。面倒だが、家までお通夜ムードなんて御免こうむる。

 

「なあ、渋谷」

「なによ」

「勉強会に参加したのがまずかったか?」

「……」

 

勉強会に使った一週間で俺たちはたくさん勉強できた訳だが、逆に言えば教える側の渋谷はその分自分の勉強が出来なかったということでもある。気付いていなかった訳では無いが、渋谷の表情に不安も揺らぎも無かったので放置していた。何か策でもあるのだろうと思っていた。

 

「ごめんなさい、渋谷さん……。あたしが途中で出られなくなっちゃったから……」

「別に、それとこの結果は関係ないし」

「で、でも……」

「うっさいわね。だってあんたも一週間、望月たちに教えてたんでしょ?」

「う、うん?そうだけど……?」

「なら、条件は同じ。同じ条件で勝負して負けただけだから」

 

それは、渋谷のプライドが導き出した答えなんだろう。条件を同じにするだけだから渋谷はひなと同じく一週間を勉強会に費やした。だが、それだけじゃない。渋谷なりに体育祭の時の謝罪がしたかったのだ。遠回りなやり方だが、自分の出来る範囲でしっかり行動したのだ。俺に似てるなんて自意識過剰だったかね。

 

「そうか、ミサがそれで良いなら俺は言うことは無い」

「そうだね!ミサちゃん、二学期も負けないからね!」

「はいは……、ってなに名前で呼んでんのよ、馴れ馴れしい」

 

俺とひなは顔を見合わせる。俺は意図的に名前で呼んだのだが、ひなも同じだろうか。

 

「望月君の信条なんだよ」

「何がよ?」

 

ああ、そういえば体育祭の時にそんなようなことを言ったっけか。

 

「「距離が近い人は名前で呼ぶ」」

 

俺とひなの声がシンクロする。ミサのほうを見ると、以前のように顔が真っ赤だ。

そして急に後ろを向き、

 

「私、本屋寄っていくから。じゃあね」

 

そう言って走って行ってしまった。本屋は結構前に通り過ぎたんだが、あのペースで走ったらつくころにはへとへとだろうな。

 

 

そして、今度はひなと二人で歩きだす。

 

 

 

「あたし、ミサちゃんとは前からお話したかったんだ」

「そりゃまたなんで?」

「体育祭の準備中、廊下ですれ違う時、なんだか怖い目をしてたから、怒らせちゃったのかと思って」

 

なるほど。ひなもひななりに渋谷の敵意には気付いていたってことか。

 

「でも、今日のミサちゃんは楽しそうだったからよかったよ」

「そうか」

 

きっとミサはこれから変わっていく。ゆっくりとだが、確実に。

ひなはそれを感じ取ったのだろう。そして、ひな自身も、しおりも、亜季斗も、瑠璃だって変わっていくのだろう。胸の中で、何かが痛むような気がした。

 

 

「そういえば、望月君は何位だったの?」

「俺?そうだな……。いかにも俺らしい順位だったよ」

「なにそれ?ちゃんと教えてよー」

「さあな」

「もう、意地悪!」

 

ひなの声は蝉の鳴き声にかき消された。それは夏休みの到来を告げているようだった。

 

 

 

 

 

 

望月武哉  11位

 

 

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