完全にギャグ展開していくつもりなので、シリアスはなるべく無いはずです。
東京都内の駅構外。一つのテントの中に一人の女性が外の暑さに項垂れるように机に倒れている。
その女性の名は『ハリー・茜沢・アンダーソン』三十路を超えているのだが、顔は若々しく未だに高校生と間違えられたりする。
名前の通り外国人と日本人のハーフではあるのだが、髪色は真っ黒で顔つきも日本人そのもの。スタイルだけは外国人と夢の集合体のような人物だ。
何故そんな彼女がここにいるのか。それは彼女の素性に関係している。
人理継続保障機関フェニス・カルデアに所属する職員の一人で、あまりにも役に立たないので左遷され続けスカウトマンとして来ている。
表向きは献血サービスとなっているが、実は世界を救うための人員を探すための施設であったりする。
そんな彼女が未だに仕事をしない理由は
「暑い...暑すぎる。何これ何なのこれ聞いてないよ」
「仕方ないですよ。何でも夏一番だとか」
「雪山からこれは辛すぎ...はぁ...」
ため息を吐きながら何故こんな事になってしまったのかを考え始める。
やぁ初めまして。私の名前はハリー...茜沢さんかあかちゃんと呼んでくれ。他言は認めよう。
おっとふざけている場合では無かった。突然の事だが私事俺は転生者だ。
物心付いた時に気づいてしまった。自身が転生者なのだと。一応前世の事も思い出せる。ただ、名前や具体的な出来事は無理で浅く広くと言った感じだ。
そんな俺だが実は家が魔術師の家系だった。
魔術があれば誰でもはしゃぐだろ。あると知った当時はかなりはしゃいで魔術師にでもなってやろうかな、などと思っていたけどその夢は尽く打ち砕かれた。
なんと魔術回路が二十本しかないらしい。優秀な兄は百本以上あり天才とされていた。てか笑うよなこのせいで自由に魔術が使えねぇ。
我が家の跡継ぎは兄に決まり要らない子になってしまった俺は最終的に人体実験を受けることになる。この時の自分を殴ってでも止めたいと今でも心から思っている。
そもこの実験について語るには魔術師の目的。どうやって根源に至るかについて話せばならない。
根源に至る方法は数あり聖杯戦争?と呼ばれる物でも至れるらしい。興味がないのであまり詳しく無いけど。
それで実は我が家では『運』で至ろうとしていた。
いやけどね、偶然至るのを待つとかではなくて『運』を味方につけて至ろうとしていた。
世間一般ではこの世は金だと言っているけど実は違う。この世は『運』で出来ている。
『運』良くテストの予想が当たった。
『運』良く大金を拾えた。
『運』良く生き残った。等々
正しくこの世は『運』によって成り立っている。そう考えた御先祖様は『運』を上げる魔術を研究し続けた。
しかし、そんな物が上手く行くはずがなく二十回の人体実験も全て失敗している。
そこで諦めれば良いのに馬鹿な大人達は諦めきれずに、身内でやればどうにかなんじゃね?と安直な考えに至る。
兄は優秀で跡継ぎ。となれば残るは落ちこぼれの俺。幼き頃の俺に拒否権などは無く強引に受けさせられた。
二度目の死も早かったなと思いつめていたが『運』良くそれは成功してしまった。成功してしまったのだ。最悪な事に...
『
効果は分かりやすく説明するならば、本来ならありえない事でも俺に関しては1%、0.00001%どんなに小さな確率でも0でなければ必ず起こししまう。
例を上げるのならばポーカーが良い。
ポーカーにおいて最強のカードロイヤルストレートフラッシュ。
手札を交換せずに起こせる確率は1/649740。普通に考えて無理と思える手札。
これを俺は呪いを受けた時から換算して1万2563回連続で起こしている。
奇跡の体現とも言えるこの呪い。当然周りは騒ぎ立てた...なので家出した。
結論が早すぎる?いやこれ以外言い方無いんだよね。本当に家出したし。
結果としてカルデアに拾われレイシフト確率0.1%と少ない事から裏方の仕事を転々として今に至っている。
『運』は良いけど不幸だァァァ!!って叫びたくなるね。思い出せば出すほどに苛立ちはましさっさとカルデアに帰って優雅に暮らしたい。なので適当に一人拉致ってしまおう。そう決めテントから外に出る。
今の服装は胸もとのがっつり空いた黒のワンピースに、白の白衣のいかにもな格好だ。(傍から見たらただの痴女)
「ふぅぅぅーん。まぁ適当に一人を選ぼう」
道行く人々を眺めつつビビッと来る人を待つ。数秒間見ていると一人の青年が目に止まる。
足はすらっと長く顔付きもカッコイイよりは可愛い系の顔でカルデアの
うん、アイツだな。ロマニとくっつけたら面白そうだし。
「お兄ーーさん!」
「ひやっ!」
青年は突然腕に抱きつかれ変な声を上げる。茜沢は胸の谷間に腕を沈ませ、下から見上げるように声をかける。これぞ秘技ぶりっ子。
女からは嫌われるが男からは好かれる謎の存在だ。ちなみに前世ではそのせいで地獄を見た気もする......諭吉達......
思い返して闇の感情が出る前に胸にさらに沈め男の興奮を誘う。青年は見事にまた変な声を上げ鼻から血を垂らしそうになっている。
くくくく所詮男はこの程度か!俺も心は男だけど
「お兄さん。お願いがあるんですけどぉ...献血の協力してくれませんかぁ?」
「いやでも」
「お願いしますぅ...そうしてくれないと私...私......クビに」
瞳から涙を零してみせる。無論演技である。男は女の涙に弱いのを上手くついた作戦だ。
「わ、分かりました。協力します!」
「ありがとぅございますぅ。それじゃあこちらへぇ」
案内するのはテントの中。中もthe献血施設のような機械などが置かれているが全てフェイクだ。
適当に椅子に座らせ注射器で血を少しだけ貰う。
「チクッとしますねぇ」
「え、はい。てかそれだけ何ですか?」
「いいえ違いますよぉ。簡単に血液型を調べるんですよぉ、最近珍しい方の人もいるのでぇ」
そう言って少しだけ頂いた血をメガネに白衣の定番研究員に渡す。
渡した血は血液型を調べる訳ではなくレイシフト率を調べる。最悪20%超えていればいいやと思っていたが、なんと脅威の100%日本では発見確率は0と言われていたのだが、大きくその予想を上回る結果となった。
その結果を先程の研究員から渡され見た時は呪いのせいかとも思ってしまった。
まぁいい。見つかったんだからこれで帰れる。よしやろうか。
「すみません...もう少しかかるみたいなのでぇこちらのアイスティーどうぞぉ」
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、これから大変ですから」
「?...なるほど?」
謎の言葉に首を傾げつつアイスティーを一口飲み、すぐに机に頭から気絶した。
やったぜ。超強力睡眠薬入りアイスティーのおかげで無傷でGETだぜ。
完全に寝たか確認するためほっぺを数回突っつく。一向に目覚めない。
「よし...運ぼう。慎重にだよ」
「なかなかゲスい事しますね」
「いやいや、これは彼の責任だよ。親がよく言うだろ知らない人から物を貰っても食べちゃダメって。守らなかった彼がいけないよ」
「はぁ...まぁいいですけど。さっさと運ぶぞ」
青年は五人の男に慎重に車椅子に乗せられ、車に乗せられ誘拐に近い形でカルデアへと送り出す。
青年強くなれよ......
白衣を羽ばたかせハイヒールで一歩を踏み出し右足のヒールをへし折り、その場に大股でパンツをモロ見せで倒れる。
近くを通りかかった職員は既に彼女のだらしなさと下品さを知っているので、見向きもせずにせっせとテントを片付ける。
もう少しリアクションしてよ!!
心からの叫びも誰にも届かない。